脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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今後、不透明な中ですし、文脈も不安定な中で いつ失踪するか不明な中ですが……


8.人情

 

 

「お邪魔虫めが、失せろ!」

 

 

怒声を上げながら銃弾を撒く仲間達。

相手はロード級(中隊クラス)と取り巻きの群勢。

やや大型で形状が違う奴が親玉で、その周囲を4脚の奴らが大勢。 数を頼みにした手堅い戦法で押し寄せた。

撃って撃たれて、皆は文句と弾丸を垂れている。

 

 

「家族が死んで、恋人も殺された。 今更巻き返しの希望もない。 それなのに俺は生きている。 生きて戦ってる。 なんでだろうな畜生!?」

 

「決まってる! ムカつくからさ!」

 

「せめて役に立ってから死んでやる!」

 

「なら1体でも多くスクラップにしてやれ!」

 

 

それが日常と知りながら。

銃撃が空腹に響き虚空に響く。

それでも希望はあるのだ。

ニケがいて、皆がいる限り。

 

 

「ッ」

 

 

無線機を背負う隊長は、纏まっている奴がいるのを見つけると、人間の兵士の1人に投擲のサインを出す。

確認した兵士は瓦礫裏に一旦隠れると、小銃を置き、バックパックから手榴弾MG11を取り出した。

レバーを握り込んで安全ピンを外し、叫ぶ。

 

 

「グレネードッ!」

 

 

瓦礫に隠れた状態で上に放り投げたソレは、レバーが外れ、放物線を描きラプチャーの群れド真ん中に落下。

どれかの装甲にコツン、と当たる。

刹那、接触信管が作動。 起爆した。

爆音と爆煙に混じり、四方八方に飛び散った破片を近距離で喰らったラプチャーは、多少蹌踉けるに留まった。

 

 

「装甲目標にゃ無謀だったわスマンスマン!」

 

「残当!」

 

 

思わずツッコミを入れた。

古典的な真似をしている場合か!

大昔、EDFはそうした戦法を取って宇宙船を撃墜したと聞くけれども!

 

 

「なにやってるのよ!」

 

 

ここでアニスがグレラン発射。

遥かに高威力の榴弾、それが連続で撃ち込まれていき、爆風がラプチャーを包み込んでいく。

野郎共はサムズアップして、再び銃を握る。

 

 

「さすがだな!」

 

「ちょっと あんた達! 長く地上にいるなら対人兵器でどうにかならない事くらい分かるでしょうが!?」

 

 

こんな装備だもん、大丈夫じゃない。 問題だ。

1番良いのを頼む。 そんなアークへの交渉も考えるだけ無駄でしたね。

 

 

「使えるものを使うしかないんでね! 雑魚への嫌がらせが精々よ! 嬢ちゃん達は大物を頼む!」

 

 

悲しい懐事情を晒しつつ、提案はする。

こんなザマで、地上を生き残ってるから凄い。

 

 

「だってよ指揮官様!」

 

「"その通りにしよう"」

 

 

彼が言えば、素直にニケは行動する。

 

 

「ラジャー。 ロード級を優先的に攻撃します」

 

「指揮官、任せて下さい!」

 

 

頼もしいニケと装備がいて羨ましいね。

あ、勿論251やピナちゃんも頼もしいよ?

でも装備の差はどうしても、ね?

 

そんな良い装備でも文句はあるらしく。

アニスは回転部に装填された榴弾を ひと通り撃ちきり、ブツブツ言って再装填とゼンマイを巻き直していく。

 

 

「この時代に1発ずつ装填なんて〜ッ!」

 

「贅沢なヤツめ! ピナちゃんを見習え!」

 

「明らかに兵科が違うんですけど!」

 

 

それ、ポンプアクション式で連射出来ず、リロードもローダー使わずにショットシェルを1発ずつ手込めするピナちゃんへの侮辱?

弾撃ち切ったら最初の1発を直接チャンバーに入れたりとかショットガンアクション良いだろ? ピナちゃんがヤる事でカッコ可愛いを両立してんやで?

リボルバーな連装グレランにそうした別アクションあるんか? あってもあまりゴタゴタ言うと"誤射"するよ?(理不尽)

ああ、大丈夫。 峰打ちだから。 戦闘不能になる程度に攻撃するから。

 

 

「真面目にやって下さい!?」

 

 

ピナちゃんに怒られた。

とまぁ、確かにふざけてる場合ではない。

ワイも戦わねば。 重機関銃を据えているのは、決して飾りではない。

メンバーの中では火力持ちだ。 働かねば。

馬鹿正直に押し寄せようものなら、ワイの重機関銃の弾幕で蜂の巣にして鉄屑に……と豪快には出来なくて悲しい。

ラプチャーの装甲が厚いのもあるが、銃身が焼き付いたら使い物にならなくなる故に。

 

 

「こんなら、マリアンの機関銃が良いや。 即連射出来るし。 持ち運びし易いし」

 

 

気合いセミオートするにしても。

ワイらレジスタンスは、アーク以上に資源不足に喘いでいる。 主に軍需品。

ワイの場合は銃身とか、弾薬とか色々。

銃身を焼いてオーバーヒートすれば銃身を交換しなければならない。 でも予備は有限だ。 ガチフルオートしなければならない訳でもないなら、バースト射撃で過熱を防いだり、冷却を挟んで交換頻度を減らしたい。

 

という訳で、撃破や弾幕を張るより、装甲が薄そうな辺りを狙ってストッピングをかけたり、脚を撃って転倒させて妨害してやる。

そこをピナちゃん達が集中砲火。 蜂の巣に。

よし。 いつも通りの役割分担が出来て万歳。

 

 

「もっと弾幕張りなさいよ! 死にたいの?」

 

 

なのにアニスにケチつけられた。

死にたくないから、こうしてるの!

 

 

「戦場でメインウェポンが駄目になったら、それこそ死ぬやろ! まさか自決用拳銃で24時間戦えますと仰る? 君達の前任はソレで数分と経たず死んだんじゃないんかい!?」

 

「武器が駄目になるのが先か、死ぬのが先か試したいみたいね! それともご老体ともなるとどうでも良いのかしら。 あっボケてる? リペアセンター行っとく? ああ、ごめん、解体されるから行けないんだっけ? そもそも頭の問題じゃ解決出来ないわねぇ?」

 

「小娘が、言うじゃねえか誤射るぞゴルワァ!」

 

 

アニスは口達者だね、本当に!

あとソレ、他の老兵足るニケに失礼だよ!

更に言うとピナちゃん侮辱は度し難い!

 

 

「こんな時に喧嘩はやめて下さいね!?」

 

「ふたりとも、今は戦闘中よ」

 

「"やめなさい"」

 

「指揮官の言う通りです!」

 

「嬢ちゃんら、口より手を動かしてくれ!」

 

 

だってアニスがーッ!

などと子供みたいに喚きたい衝動を我慢。

 

 

「動いてますって。 あと嬢ちゃん言うな!」

 

 

雑魚がいくつか爆ぜて、転んだラプチャーに躓いて団子になっている奴に銃撃。

纏めて倒してやった。 一応の労働アピール。

 

 

「ごめんアニス、仕事奪っちゃった⭐︎」

 

「あらお婆ちゃん、無理しないで。 後は若い者に任せて?」

 

「悪いが婆さんじゃない、残念でした!」

 

「哀れで見てられないわ」

 

「ワイじゃなく敵を見て、どうぞ」

 

「「あなた達、いい加減にしなさい!」」

 

 

ニケ真面目組にキレられた。

流石にしゅんとなった。

アレもこれもラプチャーって奴が悪いんや!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………)

 

 

『状況終了。 被害報告をお願いします』

 

 

全て終わり、周囲を見やる。

残るは鉄屑の山と空薬莢。 座り込む人間。

死体は、無い。

 

 

「……こちら251。 民間人の犠牲もゼロだ」

 

 

もちろん、それもそう。

人間は、最早誰も住んでいないのだから。

そんな事、皆知っている。 それでもそう言うのは、希望に縋る為なのだ。

 

 

『お言葉ですが……いえ、了解しました』

 

 

シフティーも気持ちを汲んでくれた。

ニケがいたお陰だろう。 人間のレジスタンスだけなら死人が出ていた。 タクティカルなコンバットフレームがあれば分からないが、今回は間に合わなかった。

まぁ、そのうちに合流するだろうさ。 戦闘がこれだけとは思えない。 息を整えよう。

 

 

「……隊長」

 

 

ピナちゃん含む、周囲も戦闘後で熱が冷めたからか、複雑な表情を浮かべていた。

そんな彼等に構わず、04-F分隊の方も淡々と報告を済ませていく。

 

 

「損傷は軽微。 残弾数は良好」

 

「以下同文」

 

 

ラピとアニスは問題ない報告。

でもマリアンは多少被害を受けている。

右眼の虹彩が薄れている気がした。

 

その奥には赤い灯火が見え隠れ。

やはり……そうなのだろう。 嫌だな。

痛覚センサーをオフにすれば、痛みは無いにしても、そういう問題ではない。

 

 

「右下のプロテクター小破。 右眼レンズ榴弾により損傷。 ターゲット識別に問題なし。 残弾数は良好。 作戦は続行可能です」

 

『あっ……はい! 分かりました!』

 

「……怪我したのね」

 

 

アニスは心配した。

さっきは生意気だったが、根は良い奴ぽいね。

 

 

「大丈夫です。 もうすぐ座標位置につきます。 急ぎましょう」

 

 

そう健気に歩き始めるマリアンを指揮官は呼び止め、包帯を巻き始めた。

機械に人間の治療や処置は効かないというのに。

 

 

「……指揮官」

 

「はは、指揮官様、何してるの? ニケにはそんなの意味ないん……」

 

「いいえ。 あります」

 

「?」

 

「心が満たされる感じがしますから」

 

 

これにはふと、皆して顔を上げる。

マリアンの笑顔は、日より眩いものだ。

 

 

「指揮官。 ここにも包帯巻いて下さい。 ふふ、ありがとうございます。 もう全然痛くありません」

 

「…………優しい指揮官だね」

 

 

ピナちゃんの言葉に、ワイらも同意して頷く。

 

 

「うん。 今時に」

 

 

絶望は誰にとっても受け入れ難いものだ。

その笑顔が、花の命が幾許でも。

 

 

「慣れちゃいけない。 そんな光景もある」

 

 

スリングを斜め掛けして立ち上がる。

……ワイらはやれる事をやるしかない。




歴史改変点
マリアンの破損率17.05%→軽微
詳細:
左側の鎖骨フレーム、破損→なし
右下のプロテクター、大破→小破
右眼レンズ、榴弾により損傷
ターゲット認識には問題なし

更新常に未定
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