脳みそ抜かれて女の子になって人類守るんだよ!   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
嵐が吹き荒れた

今回のあらすじ
進路先はトーカティブ


足踏み感が否めず、巻きの気持ち。

何故チャイムが実装じゃないのか。
そしてハフバへ……
結果→うわああああ!!?(絶望の再来
人の心無いんか?(黒笑
古城にある宝は人類の希望。
クラウンはポンコツ感あれど王なんやなって


93.戦闘継続

 

 

救援に向かう。

 

持ち堪えて見せろ。

 

EDF5 死神部隊より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(このままアークに逃げ込めば……!)

 

 

荒廃した地上を駆け抜ける翼、ピナ。

指揮官を背嚢と首の間に挟み、スラスターによる高速移動を続ける。 向かう先はアークへ続くエレベーター。 乗り込んでしまえば、地下へ逃げ切れる。

 

視界端、視神経に割り込んで小さく表示されるレーダー上では追手はいない。 ツライたちが上手く防ぎ止めているのだ。

 

そう信じる最中、奴は来た。

 

 

「『見つけたぞ、人間』」

 

「ッ!?」

 

 

嗄れた声。

身が硬直する瞬間、目の前に落下してくる人型個体。 巻き上がる砂塵。 晴れた先から覗かせる凶悪で余裕の顔。

それは不安と恐怖を煽る不快な愍笑。

どうだ、こっちは常に1歩先を行っている。 足掻くだけ無駄。 そう言わんばかりの態度。

 

ツライがやられた? 躱された?

 

ピナは考えない。 後でも出来る事は特に。

 

 

邪魔ッ!

 

 

判断は一瞬。

咄嗟にショットガンを発砲。 牽制すると同時に体を捻る。 ノズルが方向を変え、勢い良く粉塵を巻き上げれば、持主を廃墟の間へ滑り込ませた。 奴の巨体では入れない隙間。 加えて視界外に出れば、無闇に攻撃も出来ない。 理由は知らないが、奴は指揮官に固執している。 傷付けるのは本意では無い筈だ。 ならコレで幾らか時間を稼げる。

 

 

「『所詮は、その程度だ』」

 

 

が、奴は慌てない。 相手に逃げ場が無いのを知り得ているから。 棍棒のように腕を振り回し、邪魔な瓦礫を払いながら接近。 確実に追い詰めてくる。

 

戦うしかない。

無理に逃げようと思いっきりブースターを吹かしても叩き落とされるか、その隙に指揮官を攫われるのがオチだ。

ピナは湧き上がる覚悟を嚥下した。 懐からエブラグレネードを取り出すと、安全ピンを抜いて奴のいる方向へ投擲。 レバーが外れ、赤いスモークが足元に充満。 やがて青空へと立ち昇る。

 

 

「『無駄な足掻きだ。 この程度のエブラ粒子でどうという事はない。 視界が遮られたところで音響がある。 大人しく人間を渡せ。 そうすれば苦しまず殺してやるぞ。 ハハハ!』」

 

「冗談じゃない……ッ!」

 

 

処刑を受け入れる気は無い。

敵が何者か知らないが、一介のニケとして、指揮官を守らねばならない。

 

 

「指揮官、ここで応戦します! 下手に動いて攻撃を受けるより、友軍が来るのを信じて耐える事を具申します! 私を指揮出来ますか?」

 

「……わかった。 ただし、死ぬなよ」

 

了解(ラジャー)!」

 

 

指揮官は痛む体に鞭打って、瓦礫向こうの敵を覗く。 損傷は見られない。 ツライたちはあっさりやられたか、回避されてしまったのだろうか。 安否が気になるが、今は生き延びねばならない。

 

 

「プロダクト23。 ピナ、戦闘状態に移行。

エンカウンターッ!」

 

 

瓦礫向こうに銃口を突き出す。

距離があっても威力のあるニケ用の対ラプチャー散弾が、戦場に飛び散った。

何発かの散弾を、トーカティブは躱すでもなく堂々受ける。 一瞬、着弾地点の胴体が抉れ、弾痕が顔を覗かせるも、直ぐに閉塞してしまった。

 

 

「『ハハハ! たった1人で立ち向かうか、人間もどき。 だが蛮勇の選択には責任が伴うものだ』」

 

 

トーカティブは、ピナの弾切れのタイミングで飛び掛かる。 反撃を受け難い瞬間を狙っていたのだ。

 

 

「『たっぷり苦しんでから、死んで貰う』」

 

「くっ!」

 

 

甚振る事を楽しむ口調が、自分こそ戦場を支配する者なのだと震わした。

ピナ、チャンバーに直接ショットシェルを潜り込ませて緊急リロード。 至近距離の瞬間、その1発に賭けようとした、刹那。

 

 

「そうだな。 死んで貰う

 

 

どこからか、澄み切った懐かしい声。

瞬間、超大口径弾がトーカティブの胸元を貫く。

 

トーカティブの巨体が横へ吹き飛び、悶えた。

 

 

「『ぐおおおおッ!?』」

 

「っ、対艦ライフル!? まさか!」

 

 

エブラ粒子の関係でレーダーに投影はされない。

けれど分かる。 その者は伝説の分隊員の1人だということは。

 

 

「スノーホワイト様!」

 

 

返答の代わりに、遠くで閃光。

トーカティブの脚が爆ぜる。 問答は無用か。

 

 

「……知り合いか?」

 

 

指揮官が状況を飲めず放心するも、ピナは構わず彼を背負い直す。

 

 

「話は後で。 この隙に逃げます!」

 

 

ピナは再び指揮官の翼となり、戦線を離脱。

今度こそアークのエレベーターへ向かう。

 

後に残されるは悶え苦しむトーカティブ。

その側へ歩み往く白い死神。 古い荒廃仕様なマントを靡かせながら淡々と、冷めた口調で言い放つ。

奇しくも、トーカティブと同じ台詞が混ざった。

 

 

「久し振りに本部の無線を傍受したり、"()()()()"が見えたと思えば……今日は運が良い。 クイーンに1歩、近付いたのだからな」

 

「『おのれ、巡礼者あぁ……ッ!!』」

 

 

屈辱に歯軋りを鳴らすトーカティブ。

 

エブラグレネードから出るのはエブラ粒子だけではない。 スモークもだ。

それは友軍にも見える形となって現れる。 誤爆、自爆を防ぐ為に粒子に合わせて拡散するのだ。

それを近辺のニケ達は見た。 そして理解した。 あそこに今、戦っている仲間がいるのだと。 ともすれば速やかに救援に向かわねばならない。

 

その1番槍が、ゴッデスのスノーホワイトだった。 普段は北部の積雪地帯を巡回している白雪だが、EDF本部の無線を偶然傍受。 女王への手掛かりかと該当地域へ足を運べば……大物が釣れたという訳だ。

 

 

セブンスドワーフ、フルアクティブ!

貫けッッ!!

 

 

彼女が叫び、再び空間が爆ぜる。

今度は更にも増した巨大な爆音。

それを背後に聞きながら、ピナは振り返らず大地を翔び続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交戦開始(エンカウンター)

 

 

忍者のような、全身黒々ピッチリスーツに身を包んだ9人。 1人は白い笠を被り、服もまた薄く白地の軽装。 その癖、腰には鞘以外にも酒を入れた瓢箪をぶら下げる。

 

そんな近接部隊が荒廃世界を馳せ、瞳で見切れぬ剣戟を舞っていた。 銃の時代に剣を佩き、絶滅危惧の剣筋が照り返す。 軽量化ボディを活かした俊敏性を持ってして、敵が寄らば斬り刻む。 今も昔も異端に映る業物は錆びを知らずに主に応え続けた。

 

その先頭に立つは、隊長格にして紅蓮の姉である薔花。 背を預けて立つは、合流した妹の紅蓮。 100年の刻を過ごし、尚も紅き姉妹は現役であった。

 

 

「腕は落ちてない様だな、姉さん」

 

「レン、あなたもね」

 

 

残心の構えの中、久方振りに背を預け合う2人。 悦びに満ちた会話のみでは、ここが戦場である事を忘れそうだ。

正史(ゲーム)では叶う事の無かった光景が、ここにある。

 

アーク封鎖以降、紅蓮は女王の首を斬る為に。 薔花以下は指揮官の中尉共々ベースを転々としつつ隠遁生活であった。 その都合、頻繁に会う機会にも恵まれず、互いに遠く想い合うのみが続いてきた。

ところがこの度、本部から作戦参加要請。 曰く、重要な作戦を遂行している部隊の援護、救援。 その為に該当地域に寄ってくるラプチャーの撃退、排除が仕事。

今更の連絡に困惑しつつも、人類を見捨てる事は出来ず参戦。 その過程で紅蓮と邂逅、約100年振りとなる原隊復帰と相成った。

 

遠く、スモーク地点で爆音響く。

けれど動揺はない。 心配はなく、信じるのみ。

 

 

「私に任せて良いのよ?」

 

「まさか。 ()()()()()() ()()()()な、けれど頼れる仲間が現地入りしている。 問題なかろう」

 

「信じる仲間がいるのね。 お姉ちゃん、ちょっと嫉妬しちゃう」

 

 

妹の話に笑みを浮かべながら、寄ってくるラプチャーを斬り続ける。 造作もなく。

彼女たちもまた強者。 心配は要らないのだ。

 

 

「ところで中尉とは仲良く過ごしたのか?」

 

「ええ。 早死にしちゃったけど……レンがいない寂しさで絞り過ぎちゃった♪」

 

 

紅蓮、硬直。

話の勢いに任せたが故の不覚。

 

 

「……本人も男冥利に尽きた事だろう、うむ」

 

 

強過ぎる方面も考えモノかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『指揮官はアークへ退避しました!』

 

 

エイレンアサルト・ゼロに掴まる形で移動していたカウンターズ一行だが、シフティーからの報告に肩の力が抜ける。

 

 

「ピナが機転を効かせてくれたのね!」

 

「という事は、火力の見せ場はナシですか?」

 

 

安堵の表情を浮かべるアニス。

明るい口調はそのままに、不満気のネオン。

真面目ラピは、油断せず今後を聞く。

 

 

「シフティー。 カウンターズ及びワードレスの基地偵察任務は?」

 

『それが……本部から指示がありました。 退却は許可出来ない、作戦を継続せよ、との事です』

 

「ファッ!? こちとら怪我人出たのに!? 仲間増えたといっても指揮官不在やし!」

 

 

が、なんと任務は続くという。 本部の罠か?

 

シフティーはそう、上からの命令を申し訳なさそうに伝達。 重症者のツライは反射的にキレてしまうも、シフティーは仕事柄慣れてるのか、動じずに同じ口調で話し続ける。

 

 

『特殊個体トーカティブを捕獲するチャンスです。 それに、ベース228の戦力が削がれた今、制圧しなければ次は無いかも知れません』

 

「確かにそうね。 私もこのまま手ぶらで帰ったら、シュエンに小言を言われそうだし」

 

「ミハラもそう思うんだね」

 

 

ワードレスの2人は、これが仕事だと割り切っている。 あのメスガキの下で働いているからか、過剰な感情を人前で剥き出す事はしない。

 

シフティーは続けた。

 

 

『これに当たり、本部は更なる増援を送りました。 エリシオンからアブソルート。 テトラからカフェ・スウィーティー。 ミシリスからメティス。 EDFから特殊作戦コマンドも投入されています!』

 

 

唐突なトンデモ戦力に、またも大声が響く。

今度は歓喜混じりの驚愕だったが。

 

 

「3大企業の最強分隊じゃない!?」

 

 

アニスがビビり、ネオンも興奮気味に続く。

 

 

「それだけじゃありません! 存在が疑われていたEDF特殊作戦群も来るんです! 火力比べを現地で拝める、私にとっても またとないチャンス到来です!」

 

 

一方、ラピは冷静だ。

 

 

「大部隊ね。 この作戦、ただの偵察じゃなかったということ。 でも、急にどうして……」

 

『それだけ重要な展開、という事でしょう。 最初こそ偵察で終わる筈でしたが、特殊個体の登場と、その振る舞いで判断を大幅に変更したようですね。 その意図までは分かりませんが……』

 

 

トーカティブ捕獲によるラプチャーの解明からの戦争打開、地上奪還。 そして人類を滅亡させるN6の無力化……特にN6の存在と危険性は末端にまで知らされていない。 事情を知るのは一部のみ。 一般にまで知れたら混乱が起きてしまうからだ。

 

現場側でN6を知る者らは特殊作戦コマンド。

そして存在を秘匿されたニケ特殊部隊。

 

彼女らはコマンド部隊による露払いの元、密かに228内部に潜り込み始めている。

暗殺を仕事とするシージペリラス及び、エリシオンのイレギュラーニケ処刑分隊エクスターナーだ。 特性上、対悪人と対ニケであるが、現場における"()()()"と、その隠密性の高さからの特殊任務である。

もし彼女らを無関係者が目視した場合、始末されるか、記憶消去処分となる。 そうならないよう上層部が調整しているが、万が一はそうだ。

 

 

「なるほど」

 

「そうかそうか、本部はそういう奴か」

 

 

それらを察するは、長く生きてきたゼロ。

それとツライの両名のみ。

 

 

「なによ。 分かったの?」

 

「勿体ぶらず教えて下さいよ!」

 

「なに、歴史に残る戦いという事だ」

 

 

アニスとネオンが装甲をバンバン叩いて強請るも、適当に返答せるゼロ。

ラピも満足のいく返答を貰えるとは思っていないが、一応駄目元で聞いてみる。

 

 

「……あなたも、特殊任務で?」

 

「そんなところだ。 多くは教えられん」

 

 

深入りすれば、最悪消される。

記憶どころか体も。 最悪己は免れても他は駄目。 それは避けたい。 だから今は手を引く事にする。 一介の分隊長が介入出来る事は多く無いだろう。

 

 

「とりま、ゴリラにお礼参りや」

 

 

ツライの答えが、1番最もだ。

皆はそうね、と頷き前を見る。 砂塵が激しくなっている。 増援部隊と特殊個体がドンパチしている様子である。

 

 

「前方、目標と戦闘中の友軍。 状況を見て割り込む。 誤射に注意しろ」

 

 

いつの間にか指揮を執るゼロ。

違和感なく受け入れている面々。

 

ツライは何故か得意気だ。

お礼参りだけじゃない。 ゼロが、ストーム1と久々に戦えるから。

 

 

「ピナ、悪いな? 楽しんじゃって」

 

 

ツライはブースターを噴かし、1人離れて飛ぶ。

トーカティブが見える。 何者かによって胴体に大穴が空き、ボロボロだったが、死んじゃいない。 死なれちゃ困る。

何より抵抗の意志が残っているのが良い。

それを消してこそ、己が来た意味がある。

 

ツライは銃口を向けた。

 

 

「エンカウンター! 倍返しやワレェ!」

 

 

雨霰と弾丸を奴に注ぎ始めた。

それぞれも散開、交戦状態に入る。

 

2回戦と意気込もうや。

お前もツライさんになるんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は一方的な追いかけっこだった。

だが、あと1歩のところで巡礼者に邪魔されて例の人間を逃し、超大口径による不意撃ちもあって蓄積ダメージが増す。 自己修復が追いつかない程だ。

そこに更なる追い討ちとして、人形と人間もどきがやってきた。 それもさっき甚振ってやった連中だ。

 

どうやって危機を脱したかは知らないが、恐らく共に来た人形の援護により生き延びたのだろう。

そして、そのまま追撃に来たという訳だ。

 

だが所詮は人間もどきの支援無しに動ける代物じゃない。 今までもそうだ。 少し移動を稼げる程度の機動性を有する有人兵器に遅れを取る筈がない。

実際、最初に動いたのを確認出来たのは、人形にしがみついていた人間もどき。 特に悪足掻きをしていた背嚢付きだった。

損傷がなければ相手にしていたが、今は巡礼者もどこからか狙っている。 逃げるだけの力を溜め込み、跳躍で距離を取ろう。

 

そう考えるも、すぐ無駄になった。

 

そこからはあっという間だ。

人形が、奴の動きが常識外だった。 あまりに一方的に甚振られたのだ。 オレは余りにも格下だと見下していた。

高速で周囲を移動、視界に捉えられぬ内に腕に持つ2丁の光学銃で体中に穴を増やされ、それでも敢えて頭部は躱す余裕を見せた。 情報を吐かせる為だと直ぐ分かった。 同時にソレを考える余裕と命中箇所を絶妙にずらす技量には恐怖すら感じた。

 

なんなんだ。 何者だ、コイツは。

オレは何を相手にしているんだ!?

 

いやまさか。

まさかそんな。 この理不尽な強さは……!

 

 

「よぉ"()()()"」

 

 

奴は斃れるオレの頭部を踏み付け、視界いっぱいに光線銃を突き付けた。 ゼロ距離だ。

 

 

「お前の上司はゲロったぞ。 次はお前の番だ」

 

 

上司? カマかけか?

いや、本当にニヒリスターが、やられた?

この短期間で?

あり得ない。 いや、奴なら有り得る。

いや、有り得てたまるか……!

突然と現れた、台風の様な災害を認めるものか!

 

何もかも理解が出来そうで、追いつかない。

人間もどきに囲まれる中、赦しを乞う。

 

久し振りの、恐怖。

それを吐き出すように、唸る。 獣の様に。

 

 

「たす、けて……く"れ……ッ!

 

「命を何とも思ってなさそうな奴が、命乞いなんかしないで貰えるか? 2度は言わんぞ」

 

 

関係ない。

お前に、お前たちに与えるモノはない。

ただひたすらに、"あの方"に助けを求める。

オレを助けてくれた、あの方に。

 

 

「たす"け"て……女王、さ、まぁ……ッ!!」

 

 

通じたのか。 何かが来る気配。

それは奴も察したようだ。

 

 

「ッ、退避!」

 

 

 

銃口が退けられた、刹那。

 

 

 

────ドゴォンッ!!

 

 

 

大地を揺るがす轟音。

辺り一帯を覆う砂煙。 その中に揺らめく影。

 

 

「あらあら、外しちゃいましたか」

 

 

女の声がする。

最近、此方側に着いた新入り、けれども精鋭。

 

 

「勘が良いんですね。 羨ましいです」

 

「……またヘレティックか。 御託はいらないぞ」

 

 

煙が晴れる。

現れるは包帯を巻いた銀髪。 目を完全に隠す横長のバイザー。 黒く尖った羽を背負い、全体的に黒く体のラインをハッキリさせてくるピッチリスーツ。

 

 

「私はモダニア。 貴方は────」

 

「ゼロだ」

 

 

遮る奴。

ゼロ。 いや、お前の名はそうではない。

 

 

「本当の名前ではないでしょう?」

 

「お前も名乗ったらどうだ? そうしたら考えてやっても良い」

 

 

妙な緊張感の中、互いに構えつつ問答。

少し話過ぎだが、出来る事はそれくらいか。

 

 

「何を言っているのやら────周りが騒がしいですね。 ここは引いてあげます」

 

 

最初は偵察かと思ったが。

どうも規模が合わない。 恐らくはアークが、N6の無力化に乗り出したか。

……正確な軌道計算が済んでいないが、ただ発射するだけでも十分な被害は見込める。 人間もどき共がどこまで対処出来るか、見ものだな。

 

 

「素直に逃すと思うか?」

 

「しつこい人は嫌われますよ」

 

「好かれる気はない」

 

「なら……仕方ないです」

 

 

黒い影がモダニアを覆う。

瞬く間に巨大化、奴の人形に似た頭部を持つ搭乗式の兵器へと変貌していく。 オレも保護される形で巻き込まれていく。

だが、分かっている筈だ。 この程度で奴に勝てたら苦労しない。 恐らくは時間稼ぎと、オレを逃す隙を作る為か。

その時は……土産にモダニアの脳を直接侵食、破壊する。 アークに情報を渡す理由は無い。

 

慌てる人間もどきの声がする。

 

 

「おいおい、みるみる内に空飛ぶ脚無し巨大コンバットフレームが出来たんやけど? ニケサイズからどうやってビックになれるんや!?」

 

「本当、デタラメなんだから!」

 

「火力が試される時が来ましたね!」

 

「フォーメーションを整える! ゼロを援護!」

 

「……捕獲、難しいかもね」

 

「まだ分からないよ?」

 

 

それぞれが好き勝手に鳴き合い、動く。

また鳴り始める銃声と爆音。

 

嵐は続くか。

だが……永遠という事もない。

 

 

「俺はあと何度、戦えば良いんだ?」

 

「相手を分からすまでや。 頑張れ」

 

「ツライ、君もな」

 

「怪我人やぞ。 労わってどうぞ」

 

 

それが互いに求めるものかは、分からんがな。

 

 




常に更新未定

原作側の更新あれどモチベが。 ががが(殴
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