ブルーアーカイブ -キヴォトス消防学校活動記録- 作:フェデラルジオグラフィック
色々と練っていたのですがアビドス篇だけどうしてもネタが出てこないので、パヴァーヌ編を先に出すことにしました。
その割には繋ぎ回になっちゃいましたけど。
新しい人工物と
「新しい人工皮膚?」
わたしの言ったことをオウム返しに聞いてくる先生。
「ええ、ミレニアムの医学部門が開発したものです。それの治験対象としてわたしが」
「ミレニアム……ユウカは何か聞いてる?」
先生が話を回すとミレニアムのセミナー生が帳簿とつける手を止めて顔を上げる。
「それでしたらすでに上腕や大腿の服で隠せる所で手術が何回かあってすべて成功していますね」
「わたしはこれを受けようと思っています」
「本当にいいんですか?顔という一番目立つところで試すのは初めてですが……」
「もともとこの傷がもとで消防士を続けられないのです。続けられる見込みがあるなら、少しでも上げられるなら、なんだってやりますよ」
ユウカの質問に即座に返す。この一点だけは譲る気はない。
その様子を見て先生がわたしを見る。
「それなら私と一緒に行く?明日ミレニアムに用事があるからさ」
特に断る理由もないのでわたしはそれに乗ることにした。
わたしは病院での集合時間まで時間があったので先生の依頼元の様子を少し垣間見ようとついて行き……どこからともなく飛んできた白い物体が先生に直撃する様を見ることになった。よく見ると型落ちのゲーム機のようである。
「プライステーションは無事!?」
二階の開いた窓から聞こえてきた声。おい、普通は当たったほうの心配をすべきだろうそこは。
それはともかく先生の容態を確認。創傷はコブがある程度で出血はない。気絶しているが呼吸に問題はない。しばらく安静にしてれば問題はないはず。
そうこうしているとごめんなさーい、という声と共に建物から人がかけてくる。赤と緑が対照的な双子とおぼしきミレニアム生。一方の声色から考えてこの二人がゲーム機を投げた張本人だろう。
「すみません、お姉ちゃんが投げたゲーム機が当たったみたいで…」
「あ!あたかも自分が何も悪くないような言い方!」
「それはいいから早く先生をどこか休めるところに」
「そうだった!とりあえず私達の部室に!」
赤いほうの生徒の招きで先生を部室に運び込む。大の大人をファイヤーマンズキャリ―なんて慣れたものである。部室まで運んだのはよかったのだが、部室がその……地震の後のような状態でどこに寝かせればいいのやら。そのことを言ってはじめて気づいた二人は慌てて部屋を片付ける。
「ところで、この人が先生ですか?」
しばらくしてできたスペースに先生を寝かせると、緑の生徒がわたしに聞いてくる。
「そうだけど、なにか?」
「ちょうどよかったです。先生をここに呼んだのはお姉ちゃんなので」
そう言っていると、私の懐からアラームが鳴る。見てみると約束の時間までの余裕が少ししかない。わたしはミレニアムで手術するはずだったことを忘れていた。
「すまない、こっちは用事があるんだ。起きたら先生に謝っておくように」
それだけ言って私は足早に部室を出る。あとのことはあの生徒達でもなんとかなるだろうし、彼女たちが先生を呼んだ本人なら話は早いだろう。
少し急ぐ道すがら、シャーレで見かけたセミナー生とすれ違う。少し話を聞いてみれば『ゲーム開発部』とやらに用があるそうだ。お互いに急いでいるのでそれだけしか話をしなかったが、あのしっかり者が直々に話をする程度には問題児の集まりなのだろう。いったいどんな連中なのやら。
少し息を切らせつつ病院に到着。病院の前にいたのはミレニアムのマイスター。以前の火災で技術的に支援してくれた仲であり、今回わたしを紹介してくれた人でもある。
「やあ、よく来たね。ねんでそんなに息が上がってるんだい?」
「ウタハさん…ハァ…ちょっと色々とあって走ってきたから…」
「そうか。手術に影響がなければ大したことは無いね」
彼女の案内で手術を執刀する医学部生や看護学生と面通りしその流れで身体検査へ。大怪我こそしたが体の丈夫さには自信がある。そのことを医者に行ったら彼女は苦笑していた。曰くミレニアムは自分の研究や勉学に明け暮れるあまり不摂生な生活をするものが数多くおり、トラップ作ってバックレようとすることなんか日常茶飯事で、しまいにはハッキングで自分の記録を書き換えようとする輩がまでいるとのこと。
検査後に行われた執刀医の説明によれば明日に手術を行い、その後数日間は異常がないか検査を受け、問題なければ退院とのこと。
―――手術は問題なく完了し退院した。
退院時に病院の出口で待ってくれていた先生について行くと、セミナーへの強盗の片棒を担がされることになった。どういうこのとなの。
次回、ミレニアムタワー襲撃作戦。
ゲーム開発部とアリスとの会合シーンは入院でショートカットしました。