ブルーアーカイブ -キヴォトス消防学校活動記録-   作:フェデラルジオグラフィック

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ご無沙汰してます。今回は地の文少な目(当社比)になります。


現場臨場

 

 911指揮と書かれた車両の助手席に乗り込む。隣に座った隊員に私は問いかける。

 

「何が突っ込んだか見えたか?」

 

「ええと……多分飛行機かと」

 

 そう言いながらドライバーがエンジンをかけると無線機ががなりだす。内容は勿論一つである。

 

『……ポンプ613からディスパッチ*1

 

『ポンプ613どうぞ』

 

『古聖堂にて大規模な爆発が発生、第二出動要請』

 

『10-4』

 

『はしご718からディスパッチ』

 

『はしご718』

 

『古聖堂の状況は10-60*2、すべての救急車を直ちに古聖堂に回せ!』

 

『10-4、聖堂にて10-60発生』

 

「91大隊からディスパッチ」

 

『91大隊、どうぞ』

 

「隊員からの報告では聖堂に()()()が衝突した模様。現在聖堂のシルエットを確認できない。第二出動要請。ピエトロ広場とマルコ大通りに集結地点を設定」

 

『10-4、全ユニット、古聖堂に対し第二出動を発令。繰り返す、古聖堂に第二出動を発令』

 

 無線でやり取りしている間にも砂煙が濃くなっていく。煤まみれの人々の間をかき分け車列は進む。

 

『救助614よりディスパッチ』

 

『救助614、どうぞ』

 

『こちらは古聖堂に対し()()()()()()のようなものが突入したと認む。展開する全ユニットに対しテロ攻撃の可能性を通知されたし』

 

『10-4、ディスパッチより全ユニット……』

 

『はしご718よりディスパッチ、全ての救急車を古聖堂に回されたし!』

 

 指揮車が既に到着している各種車両の脇をすり抜け古聖堂に面するピエトロ広場に到着して止まる。車から降りて防火服とヘルメットを装着する。砂塵が舞って視界が悪いがまずは見えている範囲で周囲の状況を一通り総覧する。調印式場となっていたはずの古聖堂は跡形もなくなっている。瓦礫の山の上に人影はなく、代わりに広場のあちこちで人が倒れていて呻き声が聞こえる。それだけを確認すると一旦車に戻って無線機に取りつく。

 

「91大隊よりディスパッチ」

 

『91大隊』

 

「91大隊より状況報告。古聖堂は全壊、瓦礫の中にいる要救助者の数不明。ピエトロ広場及び周辺道路に負傷者多数、集結地点はマルコ大通りのみに変更、どうぞ」

 

『91大隊、10-4、古聖堂に移動中の全ユニットはマルコ大通りに展開せよ、ピエトロ広場は負傷者多数につき車両の進入を制限する』

 

「続けて91大隊」

 

『91大隊どうぞ』

 

「大隊長権限により現時点での第三出動を要請」

 

『91大隊、10-4。全ユニット、古聖堂への第三出動を発令、古聖堂への第三出動を発令』

 

 ディスパッチとやり取りをしていると、ポンプ隊長が話しかけてくる。

 

「大隊長、こちらへの指示を」

 

「まずは聖堂周辺の負傷者を保護して一か所にまとめろ。体が瓦礫に埋まっている場合に備えて鳶口や斧を準備しろ」

 

「了…」

 

 新たな衝撃波が一帯を震わせる。わたしを含めた消防隊員達がその場で身を低くする。破片が飛んでこないことを確認してから周りを伺うと隊員が一人また一人と姿勢を上げ、消防車から鳶口や斧を取り出して負傷者の元へ走り始める。

 

 古聖堂近辺で爆発と思しき衝撃あり、と通信しようとした。しかしそれはできなかった。受話器が嵐のような状態になっていたからである。

 

『ポンプ823……』

 

『……にて再度の爆発……』

 

『ディスパッチより全ユニット、アニー・アレイ*3から古聖堂上空にて爆発があったとの通報あり。対応可能なユニットにあっては上空を確認されたし』

 

『指揮731よりディスパッチ』

 

『指揮731どうぞ』

 

『ゲヘナの飛行船が炎上し墜落しつつあることを確認。本隊飛行船より離れた位置におり飛行船の位置及び方位については不明』

 

『10-4、ゲヘナ飛行船炎上墜落中。飛行船の至近のユニットは現在位置と針路を報告されたし』

 

『82大隊』

 

『82大隊どうぞ』

 

『現在位置ルカ大通り652付近、ゲヘナ飛行船が本隊上空通過中……針路230、高度は不明』

 

『10-4、飛行船位置ルカ大通り652、針路230。82大隊にあっては飛行船を追跡し墜落地点を確認されたし』

 

『82大隊、10-4』

 

『ディスパッチより全ユニット、72、81、82、92大隊にあっては飛行船事案に対応せよ。古聖堂については61、64、71、73、91、93大隊にて対応のこと。各隊確認せよ』

 

 ディスパッチからの指示に了解と返答し一旦無線機を置く。隊員達の様子を確認しに聖堂の瓦礫へ近づくと見慣れない人影が複数見える。青白い服装はFEMAの黒と黄色の消防服やゲヘナ・トリニティの制服とも簡単に見分けがついた。周囲は瓦礫の山になっているというのに露出の多いレオタードを着ている。この場から逃げることもせず、ただ突っ立っている。

 

「ここはあぶないから早く離れて」

 

 声をかけるも集団は気づいた様子もない。

 

「おい、君たち、わたしは消防隊だ。救助の邪魔になるから瓦礫から降りなさい」

 

 語気を強めて再度問いかけるが何も変わらない。彼らの肩を叩こうと瓦礫に足をかけたそのとき、彼女たちに変化が起きた。銃を構えたのである。わたしに向けてではない。あの先にいるのはトリニティの生徒じゃ……

 

 そう考える間もなく古聖堂だった場所は複数の発砲音に包まれた。

 

 

*1
警察や消防の通信指令室のこと

*2
深刻な状態を示す符丁。建物に割りつけられた場合は半壊または全壊になっている

*3
通報者を示す符丁




冒頭部分の無線のダイアログは元ネタがあります。
あと主人公がいる場所と先生その他がいる場所は同じ古聖堂でも正反対となっている設定です。
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