DATE A LIVE Variante spirit 作:レゾリューション
30年前空間震と呼ばれる未曾有の災害が発生した。その空間にあったモノ全てが削り取られたようになくなっていた。この災害で多くの犠牲が出たが人類が何もしないわけではない。地下シェルターの普及が世界中で広がり空間震が発生する時には空間震警報が鳴りすぐに避難できる様になり
人々もこの状況に慣れていった。
そして4月10日
この日から少年•少女の物語は動き出す。
「明日からあの学校に通うのか……。勉強がんばったし、ほんとはいっぱい遊びたいんだけどな〜……現実って、無情」
カーテン越しに見える街並みは、どこか仄暗く、彼女の気分と重なるようだった。
ここは天宮市。両親の転勤に伴って引っ越してきた新天地。都市開発が進んでいるものの、ところどころに古い商店街や空き地が残り、無機質なビル群と温もりのある町並みが交じり合っている。
「……また、知らない街で、知らない人たちと。慣れるまでが面倒なんだよね、こういうのって」
この街に来るために、明那は編入試験を受けた。中途半端な時期に転校しなければならなかったこともあり、勉強漬けの毎日だった。努力の甲斐あって、どうにか合格を勝ち取ったものの、気持ちは晴れなかった。
「来禅高校かぁ……一応、進学校だって聞いたけど。前の学校の方が、空気ゆるかったな」
机の上には新しい制服と、これから使う教科書の束。それをちらりと見て、また溜息。
そのとき、階下から父の声が響いてきた。
「おーい、明那! 荷物運ぶの手伝ってくれー!」
……おっと。まだ段ボールがいくつか残っていたのを思い出す。
けど正直、面倒だった。少しぐらいサボっても、バレないだろう。
明那はそっと玄関へ向かい、ドアノブに手をかけた。その瞬間――
「どこに行くのかな〜、明那?」
背後から刺すような母の声が飛んできた。
「えっと……お腹が減ったから、ファミレスに行こうかな〜なんて……」
即興の言い訳に、母は呆れたように笑った。
「ほんとに〜? まぁいいわ。お父さんとお母さんは荷物を運び終えたらすぐに外出しないといけないから。行ってらっしゃい」
意外にもあっさり許可が出た。拍子抜けした明那がドアを開けようとした、そのとき。
「明那」
「ん、なに?」
「これ、落としたわよ」
母の手にあったのは、小さな玩具のようなベルト――けれど、どこか異質な存在感を放つそれ。ディケイドドライバー。
「あ、ありがと……危うく無くすとこだった」
軽く受け取って、それをポケットにしまいながら家を出る。
向かった先は、近所のファミレス。引っ越し当日でキッチンがまだ機能しておらず、ちょうど良かった。
注文したのは、迷うことなくチーズハンバーグ。昔から変わらない、自分の中の絶対的な正解だ。
「やっぱ、ファミレスのハンバーグって、落ち着くわ〜」
明那はナイフで切り分けたハンバーグを口に運びながら、ふと窓の外に目をやった。
街の光がぼんやりと浮かび、どこか懐かしい気分を呼び起こす。
「……もう五年前か。私がこの街にいたの」
呟きながら、残りのハンバーグを平らげ、アイスティーを飲み干す。会計を済ませて店を出ると、風がふわりと髪を撫でた。少し涼しいが、それがむしろ心地よい。
歩道に出て、なんとなく街の中心を見渡すように立ち止まる。
ファミレスから見える景色は明るく瞬き、明那の視線の先には、人通りも少ない夜の天宮市が広がっていた。新しいアパート、父の仕事、来禅高校……これから始まる生活のことを思うと、胸の奥がきゅっと締めつけられる。
「……変わらないようで、やっぱり少し違うな」
そう呟いて、ふと道路の向こうに視線を移す。まだ小さかった頃、何度も遊んだ小さな公園が、ぼんやりと浮かんで見えた。ブランコ、滑り台、ジャングルジム……そのどれもが色あせて、記憶の中よりも小さく見える。
そんな感傷にひたっていたとき
―ウゥゥゥゥゥゥゥッ!
けたたましいサイレンが店内に鳴り響いた。
「空間震警報⁉︎ ……嘘でしょ!?」
明那は驚愕と共に席を立つ。客たちは皆、混乱しながらも非常口へと向かっている。だが、目の前の街並みはすでに“変化”を始めていた。
建物が、沈んでいく。地盤が開き、商業ビルがゆっくりと地下に吸い込まれていく光景。まるで、地面が口を開けて都市を飲み込んでいるようだった。
「避難……間に合わない……!」
明那が口をつぐんだその時。彼女の前を、一人の男子高校生が駆け抜けていった。
「なあ! 赤髪の女の子を見なかったか!?」
「い、いや……見てないけど……!」
「どうしてここにいないんだ……っ!」
少年の目は焦燥と不安で濁っていた。何かを――いや、誰かを、必死に探している。
「とにかく、ここから避難しないと!」
「でも、まだ妹が避難してないんだ! 電話にも出てくれない!」
「ちょっと、携帯貸して!」
明那はスマホをひったくるようにして受け取り、GPSを確認した。
表示された位置は、確かにこの辺り。
「でも……姿が見えない。ってことは、“上”か“下”……?」
視線を上げた瞬間、何かが空から“落ちてくる”のが見えた。
雷のような音。
それは空を裂き、地面に激突した。
次の瞬間、爆風。地面が砕け、空気が歪む。
爆心地の中心に、ひとりの少女が立っていた。
漆黒のドレスのような戦闘装束。長い髪が無重力のようにふわりと舞い、手には巨大な大剣。その姿は、どこか神聖で、そして恐ろしいほどに美しかった。
“彼女”は無言で剣を振る。
空気が引き裂かれ、目の前の建物が一瞬で斬られる。音すら遅れて届く斬撃。ビルの上層が、静かに傾き、そのまま崩壊していく。
「……なに、あれ……?」
明那の口から、震えるような声が漏れた。
人の姿をしている少女は明らかに、“人”ではないナニカだった。
「いきなり何をするの!?」
明那の叫びに応じたのは、目の前の美少女
「殺そうと思っただけだ」
言葉は淡々としていた。無感情にも、挑発にも聞こえるその一言。だが彼女の次の台詞は、明那と隣にいる少年の理解を超えていた。
「お前たちも、私を殺しに来たんだろう?」
「……え?」
唖然とする二人。殺す? 誰が? なぜ?
混乱の最中、空が再び騒がしくなる。
轟音と共に現れたのは、背中に飛行ユニットのようなパックを装着し、両腕にはミサイルランチャーのような武器を構えた人影。高度を取りながらこちらに接近してくる。
明らかに、一般人ではない。
明那は目を細めて確認する。空を飛ぶ兵士――いや、“何か”。
嫌な予感が背中を走ったその瞬間。
光が、腰元で弾けた。
明那のポケットに入れていた“ディケイドドライバー”が突如、輝きを放った。
「え……もしかして……」
戸惑いながらも、明那は思い切ってそれを腹部に当てた。すると、まるで吸い込まれるようにドライバーが“展開”され、自動的に装着された。
「装着できた……!」
だがすぐに、あることに気づく。ライドブッカーがない。変身に不可欠な“剣兼銃兼カードホルダー”が、どこにも見当たらなかった。
…と思った次の瞬間、左腰に何かが装着される感覚。目を向けると、そこには仮面ライダーディエンド風のカードホルダーが出現していた。
恐る恐る開けてみると、中には3枚のカード。
明那はごくりと息を飲む。
「……これ、本当に変身できるのかも」
緊張と興奮が入り混じる中、まずは近くの少年――妹を探しに来たという彼を避難させなければと決意する。
「危ないから、下がってて!」
「君はこの状況でどうすればいいか、分かってるのか!?」
「だいたい分かった!」
返事になってないようで、どこか頼もしいその声。明那は意を決し、ドライバーのサイドハンドルを勢いよく引いた。
カシャン!
空間が揺れる。仄かに鳴り響く電子音。
それを見た精霊が、明那に目を向けた。
「……待て。今、貴様、何をした? お前は――一体、何者だ?」
明那は、自らを奮い立たせるように名乗った。
「通りすがりの仮面ライダーだ……覚えとけ!」
変身!
《SPIRIT RIDE》
《Princess》
ドライバーが叫び、光が弾ける。眩い光に包まれ、彼女の身体が変化していく。
しかし――次の瞬間。
「……え?」
変身が終わった明那は、己の姿を見て言葉を失った。
そこにいたのは、あの精霊とほとんど同じ姿の“もう一人の彼女”だった。ドレスのデザイン、髪型、雰囲気まで酷似している。
(仮面ライダー……ディケイド? じゃない……⁉︎」
違和感に満ちた己の姿を見下ろしながら、明那は叫んだ。
「おのれディケイドォォォォォォ!!」
その声は天宮市の空に、空間震警報と混ざりながら響き渡っていた。
主人公のあれこれは次回までお預け
読んで頂きありがとうございました