勇者パーティーに明らかに役に立たなさそうな人が混じってるのですが   作:蓮太郎

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第四話 なかまに、なった!

 

「今回の件は本当に申し訳なかった。僕たちがもっと早く動いていたら君を苦しませることはなかったのに」

 

 そう言いながら勇者は爽やかな顔をして頭を下げる。

 

 たくさんの意味で格上な人物に謝られると一村人であるパラドは非常に気まずくなる。

 

 やったことがやったことだけに、かなりの責任を感じているようだ。

 

「いやー、謝る必要なんてないっすよ。確かに死んだと思ったのに生きてるだけで儲けものということだって」

 

「それでも君が自爆する必要はなかったはずだ」

 

「そりゃあまあ、どうせ死ぬと思って覚悟はしてたし」

 

「そう簡単に命を捨てようとしないでください!」

 

 勇者に謝られたと思ったらシスターから説教を受けることになった。なんという理不尽だとパラドは思わざる負えない。

 

 とはいえだ、この事件で助かったというか命拾い?いや、蘇生することができたのは彼らという勇者パーティーがいたからにすぎない。

 

 自爆して細かい肉片になったパラドを蘇生したのはシスターである。色々と飛び散って、蒸発して全部は残っていない筈なのに蘇生されると五体満足でいられる原理はシスター含めて誰にも分からない。

 

 曰く、女神の転生体だからこそ成せる奇跡だという。勇者パーティーって凄いね。

 

 実は、ほかの村人から放置していてもよかったんじゃないかという意見が出ていたが、その言葉がシスターの逆鱗に触れる羽目となっていたりする。

 

 話を聞く限り、村でのパラドの評判は悪い。のらりくらりとした性格ではあり人を煽ることもしばしばある。

 

 だが、あの時に見せた覚悟。そして人質になった原因が子供を庇って傷を負ったということ。

 

 状況を整理するとそうなった。助けられた子供、ユノが証言したのだ。

 

 あの人と遊んでたら怒らせちゃった、と。

 

 もちろん、その時点で蘇生されていないパラドはそのことを知らない。

 

 擁護があったとはいえ、魔族を一撃で炭に変える危険なスキルを持つパラドは村人にとっていつ爆発するか分からない爆弾と同じ、あの爆発を見てしまうとそう簡単に受け入れられないのだ。

 

「ちゃんと聞いてますか!ですから何回も蘇生はできますがいつでもできるわけじゃないんですよ?捨てるような真似は」

 

「もしさ、自分一人と大人数のどちらかが助からないならどっちを切り捨てる?」

 

「~~~~!何を言ってるんですか!」

 

「実際、あり得ない話じゃないんじゃない?だって命を切り捨てた実例がここにいるし」

 

「笑いながら言うことですか!」

 

 本気で怒鳴られたのにヘラヘラと笑っていることが不思議でならない。勇者はそんな顔をしていた。

 

 なにせ、スキルのせいで随分といわれのない悪意にさらされ、大人からもいじめられていた彼に今更そんな説教は通用しない。

 

 これが『自爆』の不遇さだ。全てを適当にあしらわなければ心が砕ける何のプラスにもならない筈のスキル。

 

 ギャーギャーワーワー息切れを起こすほど説教したシスターだが、説教された本人はどこ吹く風でる。

 

 まるで、心配してくれても大丈夫だと言い張り続ける報われない者を見ているような感覚だ。

 

 このシスター、一見清楚でおしとやかに見えるが周りが思う以上に短気でやると言ったら止められない困ったちゃんなのだ。

 

 特に命を粗末にする輩には容赦がない。女神の転生体という天井の座を捨ててまで人間に加担して命の大切さを説く彼女の暴走は勇者であっても止められないことはしばしばある。

 

「言っても聞かないならこうです!あなたを連れていきます!」

 

「何がどうなってそんな理屈になるんだよ。勇者様も何か言ってくださいよ」

 

「ごめん、言い出したら全く聞かないんだ」

 

「諦めんなよ!確かにこの村から俺がいなくなったほうが清々する奴らが多いけどそれとこれは別だろ!?」

 

「勇者様に旅についていけるなんて光栄なことじゃないか!」

 

「危ないと思うけど、聖女様がいたら安心ね」

 

「いやあ、私はそれほどじゃないですよー」

 

「親父とお袋まで!?」

 

 本人の意思を無視して着々と話がまとまりそうになっていた。止められる者は誰一人としていない。

 

 両親も木端微塵になったパラドを蘇生した神秘の儀を目の当たりにして聖女呼びしているのは当然のではあるが全員がスルーしていた。

 

 みんな本気でパラドを勇者の旅に連れて行かせようとしているのだ。

 

「待って、私は反対!」

 

 否、たった一人の勇気ある魔法使いが異議を唱えた。

 

 見た目も青紫のローブに身を包み、怪しげなネックレスや腕輪、そしてとんがり帽子といういかにも物語に出てきそうな姿。

 

 魔法使いと言わずして何という風貌の彼女が怒りを露わにして意見を述べる。

 

「自爆しか取り柄のない村人を連れて行くなんて足手まといにしかならないでしょ!」

 

「そうだそうだ、もっと言ってやれー」

 

 特に発言権もなく、何故か連れていかれていく理由もあまりよく分っていないパラドは魔法使いに檄を送る。

 

「でもさ、最近は荷物とか多くなってきたから運び屋として彼を雇うのとかどうかな?リサの我儘の矛先を変えられるよ」

 

「そういうなら仕方ありません」

 

「手のひら返しが早い……だと……」

 

「しれっと私を我が儘っ子にしませんでしたか?」

 

 まさかの裏切りによって退路が断たれてしまった。ついでに特定人物に言葉の刃が刺さる。

 

 今ベットから半身起き上がっている彼に期待ある目が向けられている。

 

 ひねくれてはいるが育ててくれた親から勇者に見初められ名誉ある旅に行くのではないかという期待という圧力にパラドは屈してしまった。

 

「あーもう!分かったよ、ついて行きゃあいいんだろ!だからそんな目で見ないで!」

 

「本当か!ありがとう」

 

「そこまで感謝されることないないのに何で謝る?そう簡単に頭を下げちゃいかんでしょ」

 

 思っている以上に勇者の腰が低くて困るパラドだったが、もうこれは彼の性格上治らないと判断して溜息を吐く。

 

 そして今後勇者パーティーの一員となって行動する自分の姿を思い浮かべた。

 

 勇者が戦っているのに何もできず命のに危機に瀕して自爆する姿。

 

 周りが勝手に嫉妬して闇討ちされそうになる姿。

 

 光に照らされる勇者の陰にひっそりと隠れることしかできない姿。

 

 ろくな想像しかしかできなかった。

 

「いざとなれば自爆すればいいか」

 

「だから簡単に命を捨てるなといったじゃないですか!」

 

「いやあ、それでもさ」

 

 シスターとパラドの言い合いは平行線をたどり、日が暮れても終わらなかった。

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