ウマ娘×ストライクウィッチーズ-Project Cross Rebellion- 作:ソロー筋
第一章 謎の少女1
夕方のトレセン学院のコース、スペシャルウィークは自らの限界を突破すべく全力で走っていた。
「また……負けちゃった。もっとがんばらなきゃ」
コースの照明と、オレンジに染まった空が彼女を照らしている。
彼の背中は汗で濡れ、足は地面を強く蹴っていた。
しかし、走っているコース上の先が突如として空間が歪み、周りの音が消えていく。すでに止まれる距離を超えている。
ほとばしる稲妻の中から、光の球体が現れる。それは青白く輝きながら膨らんでいく。スペシャルウィークはその光に向かって、激突し、直後吹っ飛ばされた。直撃した痛みは不思議となかった。
一瞬何が起こったのか、思考が混乱して、死んだのかと思った。
なんとか目を開いて、コースを見ると、不思議な球体は次第に収束していった。
「な、なんなの、いったい……!」
完全に球体が消失すると、不自然なほどきれいに抉られた地面の中央に、一糸まとまぬ少女が倒れていた。彼女は一見すると人間に見えたが、よく見ると頭には犬に似た獣の耳が生えており、臀部からは同じく、ふさふさとした獣の尻尾が見える。ウマ娘では見ない類だが、仲間かもしれない。
飛ばされた勢いで、コースの柵を砕いたせいで、背中と呼吸が苦しい。
「助けなくちゃ」
ふらつく足取りのスペシャルウィークのもとへ、アグネスタキオンの声が届く。
「おーい、大丈夫か」
スペシャルウィークに駆け寄り、肩を貸す、タキオン。
「研究室でカメラを見ていたんだ。防犯カメラという名目でトレーニングを観察してたんだがね。そしたらいきなり閃光が走って……何が起こった?彼女は、いったい……」
「もうなにがなんだか。わたしはは大丈夫です。それより、まずは彼女を」
「ああそうだな。それにしてもあの空間振動の揺れ幅は……異常だ。こんなことは初めてだ」
アグネスタキオンは自らの白衣を、謎の少女にかけると、スペシャルウィークとともに運んだ。
ウマ娘なら、人ひとりを運ぶことくらいなんてことはない。
「もう、保健教諭もいない。私の研究室に運ぼう。彼女の状態を確認しないと」
夜の帳が落ちようとしていた。
ふたりに担がれた謎の少女をタキオン専用の研究室に運び込む。部屋は黒を基調とし、各種の計測器具と医薬品が不気味に光っている。タキオンは彼女をベッドに寝かし、呼吸や脈を急いで確認し、とりあえずほっと一息つく。
「命に別状はないようだが、かなり熱があるな。それはそうと、どう思う、スぺくん」
タキオンが少女の耳と尻尾を指さす。
「えっとお、ウマ娘さん?」
「わたしもそう思ったが、これは見たところ、犬だぞ」
「じゃあ、イヌ娘ちゃん?」
「残念ながら、この世界にイヌ娘なる存在は確認できていない」
「まあ、ウマ娘の亜種とも考えられるが、彼女が目を覚まさないことには何とも言えんな」
ふたりが話し合っているほんの少しの間のことだった、再び少女に目を戻すと、
「耳と尻尾がきえてるっ!」二人ははもって声を出した。
タキオンが急いで、付け根を確認しても、それらしい接続部分は見当たらなかった。
「どうゆうことだ……」
「どうしましょう、タキオンさん」
「とにかく、今晩は私が様子を見よう。生徒会の連中が見回りにくるかもしれん。スぺくんは、また明日きたまえ」
スペシャルウィークが出て行った研究室でアグネスタキオンはうなった。
「どうやら、えらいことがはじまりそうな予感がする。それも悪いほうのな」