転生したら最強種族だった件   作:月影シオリ

6 / 10
噂の根源

『(もし…もし仮に、神様が人種差別を受けていたのだとしたら…?)』

 

 

あれだけ見た目の違う人種を、地球人が同じ「人間」として扱うか……そう問われれば、答えはNOに近いと思う。

 

いくら、私が元いた世界より色んな人種に溢れている世界とはいえ、ないとは言い切れない。

 

人種差別に怒り、傷付き。

そんな中で半身である神にも見放されて、切り離されたのだとしたら…。

 

 

『(そりゃあ怒るし、他人を憎む…。裏切りだと感じたのなら、自分の半身からだって、顔も見たくないほど一刻も早く離れたかったはずだ)』

 

 

鳥山先生は 描く必要がないから描いていないだけで、もし仮にそんな過去が本当にあるのだとしたら…。

 

間違いなくピッコロ大魔王も、その分身であるピッコロも…被害者だ。

 

仲良くしようとして近付いた人間に迫害されて傷付き、最後の砦で信用もしていた自分自身の半身に裏切られた。

だから切り離された瞬間…もう顔も見ていたくなくて、下界へと逃げた。

 

その時受けた心の傷は大きく…そして、深い。

 

 

『(勧善懲悪(かんぜんちょうあく)とはいかないよ…、これは)』

 

 

今でこそ、人に怒り、神に怒り、自分以外の全てを憎んでいるピッコロ大魔王。

 

でもその根本の心は……。

きっと、元々寂しさや悲しさで作られていたはずなんだ。

 

「どうして自分は嫌われて、神だけが愛されるのか」

「同じ1人の人間なのに、なぜ自分だけが追い出され…捨てられなければならないのか」

「自分自身だけは、信じていたのに…」

 

そんな「なぜ」「どうして」が蓄積されて…裏切られた悲しみが、ひとりぼっちの寂しさが、怒りや憎しみに変わったのだろう。

 

「自分が今こんなにも生きづらいのは、人間や神のせいだ」…と、自分に言い聞かせて…。

 

そう。彼はただ、寂しかっただけだ。

 

(カタッツ)と離れて地球に来て。何十年も待っても誰も迎えになんて来なくて…。

きっと、きっと…ずっと寂しかったんだ。

 

でも、その寂しさを紛らわす為に街に出たら化け物とでも呼ばれたか…。

その、ほんの些細な触れ合いで神様は傷付き…悪の心である彼が生まれてしまった。

 

先代神様へ弟子入りした際も「悪の心は(みにく)いから捨てろ」、「人を見守る上で邪魔だ」とでも言われたか…。

そして、無情にも彼は切り離されたのか…。

 

…神様の気持ちも、分からなくは無い。

やっと見つけた居場所…自分の理解者である先代神様に逆らえるわけも無い。

 

先代神様に見捨てられないように…居場所を取られないようにするので精一杯で、片割れの気持ちを気にする余裕もなかったんだろう。

 

 

 

 

 

 

『(…そう思ったら先代神様に対して、腹が立ってきた)』

 

 

人を見守る上で悪の心は邪魔だ、とか抜かしたと思われる先代神様…。

 

間違ってるとは言わない。でも人を理解し(いつく)しむのであれば、そういう 人と同じ悪の心こそ、もっとも必要だとなぜ分からなかったのだろう…。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。