ダンジョンというものは、マッピングをしながら、迷い、苦労して進んでいくもの……。
それは……ただ辛いだけの、意味のない自己満足。
言わば敗北者の考えである。
それを学び、またひとつ彼らは真の勇者に近づくことになった。
さて、最下層には何が待つのか……
★★★(ガルネフ)
ボクの名はガルネフ。
魔族の男。
職業は魔術師。
ボクは冒険活劇に出てくるかっこいい魔術師に憧れて、魔術師になった。
魔術師の魔法は、ドラゴンをも屠る。
そう書かれていたから。
必死で修行を積んで、火炎魔法メドラを撃てるようになった時は、本当に嬉しかったんだ。
そしてそのまま、20人の冒険者に志願して、今に至る。
この20人の冒険者に志願すれば、世界最高の魔術師になれると俺に稽古をつけてくれた老魔術師が教えてくれたから。
何をどうすればいいのかはきちんとは知らないんだけど、とにかくそうらしい。
歴史上、非凡な能力を得るに至った魔術師は、皆20人の冒険者に志願しているらしいから。
そして今、ボクは黄金の洞窟という、ダンジョンの下層にいる。
これから最下層に向かうつもりだ。
精神力が回復したので、ボクは大きく伸びをして。
唱えたんだ。
気合を込めて。
「シーラ!」
ダンジョンの一階下の階層に、パーティ全員をテレポートさせる魔法。
プロのダンジョン攻略者は、皆この方法で最下層に行くんだとか。
その瞬間、ボクらの視界が歪み。
次の瞬間、ボクらは黄金の洞窟最下層に居た。
「さて」
ボクらのリーダーのウッドさんが、落ち着いた声音で指示を出す。
ボクらの基本行動方針は、全て彼が決める。
彼は言ったよ。
「まずはジプシーの玉だ」
言われて、リルファが道具袋から水晶玉を取り出した。
これがジプシーの玉……。
「それを持って、念じろ。現在地を教えろ、ってな」
言われて、リルファは目を閉じて「出て、出て」と独り言を言い始める。
すると……
ブゥン……と音を立てて。
水晶玉から地図が投影される。
正方形の迷宮全体像だ。
「今だ! これをメモるぞ!」
ウッドさんの素早い指示。
リルファが手帳を出そうとするも、先にウッドさんが自分の手帳を引っ張り出し、あっという間にメモってしまった。
迷宮地図と現在位置を。
「これでもう、全部大丈夫だ」
ウッドさんはとても自信に満ち溢れた声音でそう宣言する。
そして、歩き出した。
リルファから蝋燭を受け取り、先頭に立って歩き出す。
ボクたちはその後に付いて行った。
……この先に、この洞窟に潜った真の意味がある。
そう信じて。
そして、ウッドさんに連れてこられたのは……
激しく燃え盛る火鉢。
そこに突っ込まれている複数本の金属棒。
そして……
その火鉢に刻まれている紋章。
……王冠のマークだった。
「これが王の印だ」
ウッドさんは言った。
国王陛下にライフエナジーを捧げてレベルアップする際、これがないと6レベル以上には上げることができない。
いくらライフエナジーのストックがあったとしても、だ。
世界にはそんなルールがあったのか……
ボクはその話に驚き、興味深く思った。
「それでこれをどうするんですか?」
この火鉢に入ってる金属棒を使って、一体何をするのか?
ボクがそう訊くと
「ルロード」
ウッドさんはその質問には答えずに、ルロードに声を掛ける。
ルロードは「何ですか?」と返事をし、彼の方を向いた。
「腹を出せ」
……え?
そういう顔をしたルロード。
固まっていると
「いいから腹を出せ」
有無を言わせぬ勢い。
その勢いに気圧されたのか、ルロードは着ている布の服の裾を捲り上げて腹を出した。
見事に割れた腹筋が顔を見せる。
そこに
ジュッ!
おもむろに、ウッドさんがその焼けた金属棒を火鉢から出してルロードの腹に押し付けた。
肉の焼ける音と、僅かに臭いが漂ってくる。
「あぎゃあああ!」
突如焼けた鉄を押し付けられ、火傷を負ったルロードは悲鳴をあげる。
「こら、暴れるな」
「熱い! 熱いです!」
暴れるルロードに、焼けた鉄を押し付けるウッドさん。
そして
「……突然何なんですか」
火傷のダメージで冷や汗を掻いているルロードに、ウッドさんは言う。
「これが印の力を得るということだ」
「印……?」
ルロードの腹には、王冠のマークの焼き印がくっきりと付けられていた。
「多少堪えるが、これに耐えられないようでは使命は果たせない」
言ってウッドさんは、自分のその腕を……
火鉢の方のマークに押し付けた。
ジュウウウウウウウ!
「ぐうううう!」
悲鳴を根性で耐えている。
それが分かる呻き声だった。
そして
ウッドさんが火鉢から離れると
その腕には、ルロードに押されたよりもサイズがデカい焼き印が付いていた。
「……さあ、後は2人だ」
脂汗を掻きながら、ウッドさん。
何も言わないけど
どっちがいい? と言ってるんだろうな。
火鉢の印に直接腕を押し付けるのか。
焼きゴテで焼き印を押すのか。
「……焼きゴテでお願いします」
リルファがそう、呟くように言った。
「分かった」
ウッドさんが焼きゴテを手に取る。
「腹を出せ」
するとリルファは頭を振り
「……おなかは嫌です……肩にして下さい」
言って、腕を差し出した。
袖を捲り上げ、肩を露出させながら。
……女の子だから。
身体に傷をつけたくないのか。
そしてどうしてもやらないといけないなら、腹部よりも肩の方がマシ。
そういうことなんだろうか。
「……分かった。良い覚悟だ」
そして
ウッドさんは、手に持つ焼きゴテを躊躇いなくリルファの肩に押し付けた。
ジュウウウウウウ!
「アアアアアッ!」
身体を焼かれる苦しみに耐えられず、悲鳴をあげてしまうリルファ。
その苦悶の表情が、なんだか出産している女の子のように見えて……
ボクは……勃起していた。
……ボクは最低だ!
そしてボクも焼き印を押され。
全員が「王の印」を押した。
……なんだか、体力の3分の1は持って行かれた気がする。
「これで全員押したな?」
ウッドさんの確認。
ボクたちは皆頷いた。
そしたら
「……この近くに回復の泉がある。そこで体力を回復させたら、次は……」
ウッドさんがその次に言った言葉。
それが、ボクらを絶望の淵に叩き込んだ。
「……火の印を押すぞ。むしろそれがこの探索のメインだ」
……まだ、コレを押すのか……?
だが、ボクは「もう嫌だ!」という悲鳴を呑み込んだ。
……おそらく、無いと困るから押すんだ。
だから、やらなければならない。
そして
押すのはボクだけじゃない。
リルファだって押すんだ。
……また、あの苦悶の表情が見られる。
そう思うと、ゾクゾクしてくる。
……ボクは最低だ!
印:このゲームには、キャラクターに特殊能力を持たせる「印」というものがあります。
詳しい設定は知りませんが、おそらく魔術的な焼き印で、取得時にダメージを50点もらいつつも、取ると以下のような効果が
王の印<レベルを6以上にあげられるようになる特殊能力。
火の印<溶岩の上を歩いてもダメージを受けなくなる特殊能力。
力の印<バリアの上を歩いてもダメージを受けなくなる特殊能力。
蛇の印<エクソダス城を守っている大蛇を退散させる効果を持つ「銀の角笛」を効果発揮させる特殊能力。
ゲームでは自分で焼けた印に腕を押し付けて焼き印を身体に入れるんですけど、この二次創作ではこれとは別に「焼きゴテ」というオリジナルを入れてみました。
……そっちの方が興奮する場合あるよね!(黙れ)