彼らは銀の角笛を入手し、使命を果たすことへまた一歩近づいた。
さて、次に彼らは何を手に入れるのか……?
★★★(ガルネフ)
「さて、レベルを上げようか」
……ようやく、ボクらはレベルを上げることが出来る。
ここまで長かった……
いきなりナイフ一本握らされ、殺人現場に立ち会わされたり。
いきなり死霊の街に連れていかれたり。
いきなり洞窟に潜らされて焼きゴテを押し付けられたり。
本当に長かった……
レベル上げということで、ボクらはロードブリティッシュ城近くの街、ロイヤルシティ近辺まで戻ってきていた。
「ちょっと待ってろ」
言って、ウッドさんは一人、ロイヤルシティに行って武器を買って来た。
今までナイフしか持ってなかったから、これでは戦えないということなのか。
んで、何を買ってくるのかと思ったら
「これが俺の武器だ」
見た目は長い筒。
ボクはこの武器を知っている。
「吹き矢で戦う気ですか」
「何か問題があるのか?」
ウッドさんはそう、ボクに返答する。
吹き矢なんか、打撃力は大したことない!
この武器は、矢に毒を塗ることで完成する。
そうでなければ嫌がらせ以上の効果なんて望めない武器のはず。
ルロードやリルファの装備している弓矢と違って!
……ま、まさか!
「無論、毒の使用はセットだ。当たり前だよな。吹き矢なんだし」
生きてる敵には普通の毒。アンデッドには聖水を塗って使う。
……冒険者なのに、毒を使うだって?
「……冒険者の不文律で、毒の使用は厳禁のはずでは……」
「それは一般冒険者の話。我々、国王陛下に召集された20人の冒険者は違う」
何をやってもいいんだよ。この国の法を全て認める覚悟があるならば。
殺人だろうと、窃盗だろうと。
……ましてや、吹き矢に毒を塗ってはいけないなんて、罰則の無い意味のない決まり事だ。破って何か問題があるのか?
全く表情を変えず、ウッドさんは言った。
……あれ?
ボク、何か間違ったこと言ったかな?
罰則が無いから守らなくていいなんて、それは最も野蛮な考え方なんじゃ……?
「とにかく行くぞ。時間が惜しい」
……そうやって、ボクは発言の機会も与えられず丸め込まれる。
僕らは戦闘を開始した。
街の外を歩いていると、怪物たちに出くわす。
まあ、ゴブリンやオーク、グールにスケルトンばかりなんだけど。
……上のランクの怪物は、レベルが低いものは襲わないんだ。
……何故か?
いやね、彼らは誇り高いのよ。
弱い者いじめをしないんだ。
多分、視界にも入ってないんじゃないかな。
この程度の奴ら、歯牙にもかけぬ、って感じで。
そこで。
……ふと思った。
「あの、ウッドさん」
「なんだ?」
吹き矢でさっきリルファがクーンであらかた数を減らしたグールの生き残りを攻撃しながら、ウッドさん。
「ウギャア!」
8体もいたのに、クーンで1体まで減らされたグールは、リルファとウッドさん、ルロードの弓と吹き矢の集中砲火を浴びて、こちらに辿り着く前に倒れ伏していく。
そうして、全滅を確認したのち。
「……どうして、誇り高く弱者を相手にしない魔物たちが、迷宮ではレベル関係なしで襲ってくるんですか?」
ボクのそんな疑問。
それを溜息ととも、ウッドさんはこう返したんだ。
「……お前は根本的な勘違いをしているな」
え……?
「奴らは誇り高いんじゃない。単に国王陛下が恐ろしくて低レベルのものを攻撃できないだけだ!」
……そこから聞かされた話はとても信じられなかった。
曰く、全ての魔物は国王陛下と「一定レベルに到達しない冒険者を襲わない」盟約を結ばされていると。
少なくとも、このソーサリア大陸に棲む魔物は全部。
例外は迷宮だけ。あそこだけは自由に襲っていいと国王陛下に許可されてるんだ。
……そうだったのか……!
何? ウッドさんの言ったことを全部鵜呑みにするな?
……じゃあ逆に聞く。
戦えば絶対に勝てるような相手なのに、こちらを見ると逃げていく上級悪魔や盗賊たち。
彼らの行動を「誇り高い」で説明する方が異常じゃないのか?
国王陛下を恐れて攻撃できないから逃げてる。こっちの方がしっくりくる。
ボクは騙されていたのか……!
呆然とするボクに、ウッドさんはさらに言った。
「だから、一定量のライフエナジーが溜まるまで、絶対にレベルアップはするな。少なくとも8レベルには出来る程度溜まるまではな!」
レベルを上げると、襲撃を許可された魔物たちが「待ってました!」とばかりに襲ってくるぞ。
……ウッドさんのその言葉が、いつまでも頭にこびりついて離れなかった。
そして。
「クンテ!」
ボクの発したクンテで、ゴブリンたちが全滅していく。
「ウワラバ!」
「タワバ!」
「ヒデブ!」
爆裂四散して死んでいくのだ。
脳みそや内臓、骨をブチ撒けて死んでいく小鬼たち。
その様子には爽快感すらあった。
足の動きをしっかり確認して発動しているから、いつも効果バッチリだ。
毎回、ボクかリルファが大量のライフエナジーをゲット。
生き残りをルロードかウッドさんが仕留める感じ。
そこで思った。
……うん。メドラ、要らないな。
むしろ、邪魔。
ルロードや、ウッドさんのライフエナジー稼ぎに響くというか。
やんない方がいいのかもしれない。
「……な? メドラは不要だろ?」
ある戦闘の終わりに。
ボクはウッドさんに肩を叩かれて言われてしまった。
「はい……」
そう、答えざるを得なかったね。
レベルと魔物の関係:このゲーム、1レベルのままでは基本ステージであるソーサリア大陸に出現する魔物はずっと最低ランクの魔物だけです。
つまり、どこに行ってもドラキーかスライムしか出てこない状態。
レベルアップすると、上のランクの魔物が出現するようになります。
そして最高レベルにしてしまうと、最初の街周辺にヘルバトラーやグレイトドラゴンがうろつく状況になります。
なので、基本レベルアップはしない方がいい仕様です。変な話ですけど。
レベルアップのタイミングは2回。
1回目:船を取るために、魔物として海賊船が出現する5レベルにまで上げる。
2回目:エクソダス城を攻略できるHPを確保するために、8レベルくらいまで上げる。
能力値アップが出来るアンブロシア大陸と、エクソダス城だけは、レベル関係なしで最強の魔物が出まくるので、ここだけはHPを確保する目的で、ある程度レベルを上げておいた方が良いです。(特にエクソダス城。ここだけはとある事情で普通には戦えないので)