ウルティマ地獄編   作:XX(旧山川海のすけ)

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「神に祈りを捧げる」という行為を学習し、より上のランクの冒険者になった四人の勇者たち。
彼らは銀の角笛を入手し、使命を果たすことへまた一歩近づいた。
さて、次に彼らは何を手に入れるのか……?


第十三話 レベルと魔物

★★★(ガルネフ)

 

 

「さて、レベルを上げようか」

 

 ……ようやく、ボクらはレベルを上げることが出来る。

 ここまで長かった……

 

 いきなりナイフ一本握らされ、殺人現場に立ち会わされたり。

 いきなり死霊の街に連れていかれたり。

 いきなり洞窟に潜らされて焼きゴテを押し付けられたり。

 

 本当に長かった……

 

 レベル上げということで、ボクらはロードブリティッシュ城近くの街、ロイヤルシティ近辺まで戻ってきていた。

 

「ちょっと待ってろ」

 

 言って、ウッドさんは一人、ロイヤルシティに行って武器を買って来た。

 今までナイフしか持ってなかったから、これでは戦えないということなのか。

 

 んで、何を買ってくるのかと思ったら

 

「これが俺の武器だ」

 

 見た目は長い筒。

 ボクはこの武器を知っている。

 

「吹き矢で戦う気ですか」

 

「何か問題があるのか?」

 

 ウッドさんはそう、ボクに返答する。

 吹き矢なんか、打撃力は大したことない!

 

 この武器は、矢に毒を塗ることで完成する。

 そうでなければ嫌がらせ以上の効果なんて望めない武器のはず。

 

 ルロードやリルファの装備している弓矢と違って!

 

 ……ま、まさか!

 

「無論、毒の使用はセットだ。当たり前だよな。吹き矢なんだし」

 

 生きてる敵には普通の毒。アンデッドには聖水を塗って使う。

 ……冒険者なのに、毒を使うだって?

 

「……冒険者の不文律で、毒の使用は厳禁のはずでは……」

 

「それは一般冒険者の話。我々、国王陛下に召集された20人の冒険者は違う」

 

 何をやってもいいんだよ。この国の法を全て認める覚悟があるならば。

 殺人だろうと、窃盗だろうと。

 

 ……ましてや、吹き矢に毒を塗ってはいけないなんて、罰則の無い意味のない決まり事だ。破って何か問題があるのか?

 

 全く表情を変えず、ウッドさんは言った。

 

 ……あれ?

 ボク、何か間違ったこと言ったかな?

 罰則が無いから守らなくていいなんて、それは最も野蛮な考え方なんじゃ……?

 

「とにかく行くぞ。時間が惜しい」

 

 ……そうやって、ボクは発言の機会も与えられず丸め込まれる。

 僕らは戦闘を開始した。

 

 

 

 街の外を歩いていると、怪物たちに出くわす。

 まあ、ゴブリンやオーク、グールにスケルトンばかりなんだけど。

 

 ……上のランクの怪物は、レベルが低いものは襲わないんだ。

 

 ……何故か?

 いやね、彼らは誇り高いのよ。

 弱い者いじめをしないんだ。

 

 多分、視界にも入ってないんじゃないかな。

 この程度の奴ら、歯牙にもかけぬ、って感じで。

 

 そこで。

 

 ……ふと思った。

 

「あの、ウッドさん」

 

「なんだ?」

 

 吹き矢でさっきリルファがクーンであらかた数を減らしたグールの生き残りを攻撃しながら、ウッドさん。

 

「ウギャア!」

 

 8体もいたのに、クーンで1体まで減らされたグールは、リルファとウッドさん、ルロードの弓と吹き矢の集中砲火を浴びて、こちらに辿り着く前に倒れ伏していく。

 そうして、全滅を確認したのち。

 

「……どうして、誇り高く弱者を相手にしない魔物たちが、迷宮ではレベル関係なしで襲ってくるんですか?」

 

 ボクのそんな疑問。

 それを溜息ととも、ウッドさんはこう返したんだ。

 

「……お前は根本的な勘違いをしているな」

 

 え……?

 

「奴らは誇り高いんじゃない。単に国王陛下が恐ろしくて低レベルのものを攻撃できないだけだ!」

 

 ……そこから聞かされた話はとても信じられなかった。

 曰く、全ての魔物は国王陛下と「一定レベルに到達しない冒険者を襲わない」盟約を結ばされていると。

 少なくとも、このソーサリア大陸に棲む魔物は全部。

 例外は迷宮だけ。あそこだけは自由に襲っていいと国王陛下に許可されてるんだ。

 

 ……そうだったのか……!

 何? ウッドさんの言ったことを全部鵜呑みにするな?

 

 ……じゃあ逆に聞く。

 

 戦えば絶対に勝てるような相手なのに、こちらを見ると逃げていく上級悪魔や盗賊たち。

 彼らの行動を「誇り高い」で説明する方が異常じゃないのか?

 

 国王陛下を恐れて攻撃できないから逃げてる。こっちの方がしっくりくる。

 

 ボクは騙されていたのか……!

 

 呆然とするボクに、ウッドさんはさらに言った。

 

「だから、一定量のライフエナジーが溜まるまで、絶対にレベルアップはするな。少なくとも8レベルには出来る程度溜まるまではな!」

 

 レベルを上げると、襲撃を許可された魔物たちが「待ってました!」とばかりに襲ってくるぞ。

 ……ウッドさんのその言葉が、いつまでも頭にこびりついて離れなかった。

 

 

 

 そして。

 

「クンテ!」

 

 ボクの発したクンテで、ゴブリンたちが全滅していく。

 

「ウワラバ!」

 

「タワバ!」

 

「ヒデブ!」

 

 爆裂四散して死んでいくのだ。

 脳みそや内臓、骨をブチ撒けて死んでいく小鬼たち。

 その様子には爽快感すらあった。

 

 足の動きをしっかり確認して発動しているから、いつも効果バッチリだ。

 毎回、ボクかリルファが大量のライフエナジーをゲット。

 生き残りをルロードかウッドさんが仕留める感じ。

 

 そこで思った。

 

 ……うん。メドラ、要らないな。

 むしろ、邪魔。

 

 ルロードや、ウッドさんのライフエナジー稼ぎに響くというか。

 やんない方がいいのかもしれない。

 

「……な? メドラは不要だろ?」

 

 ある戦闘の終わりに。

 ボクはウッドさんに肩を叩かれて言われてしまった。

 

「はい……」

 

 そう、答えざるを得なかったね。




レベルと魔物の関係:このゲーム、1レベルのままでは基本ステージであるソーサリア大陸に出現する魔物はずっと最低ランクの魔物だけです。
つまり、どこに行ってもドラキーかスライムしか出てこない状態。
レベルアップすると、上のランクの魔物が出現するようになります。
そして最高レベルにしてしまうと、最初の街周辺にヘルバトラーやグレイトドラゴンがうろつく状況になります。
なので、基本レベルアップはしない方がいい仕様です。変な話ですけど。
レベルアップのタイミングは2回。

1回目:船を取るために、魔物として海賊船が出現する5レベルにまで上げる。
2回目:エクソダス城を攻略できるHPを確保するために、8レベルくらいまで上げる。

能力値アップが出来るアンブロシア大陸と、エクソダス城だけは、レベル関係なしで最強の魔物が出まくるので、ここだけはHPを確保する目的で、ある程度レベルを上げておいた方が良いです。(特にエクソダス城。ここだけはとある事情で普通には戦えないので)
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