だが、手に入れた鎧は、誰でも装備できる布のような素材の鎧であった。
この鎧は一体、どういうものなのか?
謎が深まる……!
★★★(リルファ)
大地の鎧を装備してみた。
……この鎧、鎧と言って良いのかな?
本当に、ただの服、って感じなんだけど。
デザインはタンクトップと短パンだ。
ただ、布地はどこでも見たことない感じ。
絹でも無いし、木綿でもない。
何なんだろう? 本当に。
動きやすいから、誰でも装備できるのは理解できる。
しかしなぁ……これで攻撃を防ぐことが……
こんな薄いのに、剣だとか爪だとか槍だとか。
そういう、敵からの攻撃を受け止めることができるのかな?
ちょっと、信じられないよ。
布地だって全身を覆ってるわけじゃないしさ。
そんなことを、ロイヤルシティの街中の姿見で自分の姿を確認しながら考えていたら。
「引ったくりだー!」
いきなり、そんな叫び声が聞こえてきた。
エッ!? 引ったくり!?
弾かれたように叫び声の方向を見ると、そこでは誰かの鞄を抱えた妖精族の男性が疾走していた。
必死の形相で。
あの人、こんな街の中心で犯罪を犯すなんて。
命をどぶに捨てるようなもの。
何かあったんだろうか……?
例えば、自分の家族の命が危ないとか。
お医者さんの蘇生手術なんて、1回500ゴールドも掛かるもんね。
私たち20人の冒険者は、死体が腐らなくなる特殊処理がされてるけど、一般の人はそうじゃないから。
老衰以外だと、死んだらすぐにやらないと蘇生できなくなってしまうもの。
気持ちは分からなくもない。
でも……
犯罪は駄目。
許されないよ。
私は犯罪で家族を沢山失った。
だから……
私は駆け出した。
あの人を捕まえるために。
私の視線が男性を捉える。
そして走りながら
……あれ? 足が……速くなってる!?
身体が軽かった。
いくらでも走れる気がした。
みるみる追い付いてくる。
いける……!
私は大地を踏み切って、飛んだ。
そして当たり前のように、私は男性の背中にドロップキックをすることができた。
ドカーン、と彼の背中に炸裂する。
「グワッ!」
引ったくり男性は前のめりに倒れた。
誰かから奪った鞄を投げ出しながら。
「ご協力感謝する!」
そこに集まって来た仮面のマッチョマンたち……守衛が、私の目の前で引ったくり男性を袋叩きにしていく。
「うがあああああああ……」
男性の断末魔。
骨が砕ける音、内臓が破裂する音が聞こえる気がする。
彼の命はあと何秒なんだろうか?
少し、可哀想だった。
……でも、犯罪を犯したんだからしょうがないよね。
自業自得だよ。
でも……
おかげで理解できた。
この「大地の鎧」は、装甲で敵の攻撃を防ぐ鎧じゃ無いんだ。
敵の攻撃を素早い動きで回避するための鎧なんだ!
病院:このゲームでは、蘇生は病院と教会で行います。死んだばかりの蘇生は病院。病院で蘇生失敗すると灰化してしまうので、その場合は教会です。一応究極の法力魔法でもできますが、それは能力値を上げないと無理です。そしてこのゲームの法力魔法のエキスパートであるシスターは、法力魔法しか取り柄が無いため、攻撃手段がかなり限定されます。
将来的な事を考えると、使いにくい職業と言えると思います。(なので、この小説のヒロインであるリルファの職業は騎士なのです。騎士はシスターと戦士の混合職業で、作者的にはシスターを入れるより騎士を入れた方が役に立つと思っています)
そういう事を考えると、蘇生は外注した方が良いのではないかと考えます。(そもそも、エリートキャラを死なせるような事態に直面させなければいいのよね)
鎧:このゲーム、鎧はダメージの軽減をしてくれないんですよね。回避率が上がるという方式で、被ダメージを減らします。
そのため、誰でも装備できる大地の鎧の回避率が上がる現象を「一時的に動きが早くなる」という方式で表現してみました。