これは一体どういう意味なのだろうか?
★★★(リルファ)
「え」
わけが分からなかった。
なんでそうなるの?
どうして、下賜された物品と金銭が少ないことが、殺人に繋がるの?
「そんなことできません!」
ルロードさんは顏を左右に振って拒否していた。
当然だよ!
先輩はそんなことができる人じゃない!
だけど
「甘ったれるな!」
ウッドさんがそう、強く言ってきたんだ。
カッと目を見開いて。
「この使命は遊びじゃない!」
そして
「やらないならもういい! 俺がやる!」
ウッドさんはナイフを握り……
つかつかつかと男性に歩み寄って……
ドッ、と
躊躇いなく男性をナイフで刺した。
ぎゃあ、という悲鳴が聞こえた。
そんな……!
だらだらと、血液が流れる。
ウッドさんは、男性の胸を刺した。
肺を狙ったんだろうか?
返り血を浴びるウッドさん。
そんな……!
男性はバタンと倒れて、そのまま動かなくなる。
「……俺が使命を与えられ、最初に殺したものが、魔物ではなく人間か……」
ウッドさんはそういい、自嘲気味に笑っていた。
同時に
殺してしまった男性から、光のエネルギーが集まってくる。
これはライフエナジ―と呼ばれる。
これが一定量溜まると、王様にそれを捧げることで私たちは生命力だけ強化してもらえるのだ。
してもらった回数を、累積したものをレベルといい、私たちはまだ1レベル。
1回も強化を受けていない状態。
ウッドさんは男性のライフエナジ―を口から吸いこんで体内に取り込んでいた。
これで、ウッドさんの体内で、あの男性のライフエナジーは存在し続けることになるわけだ。
そのときだった。
ピクリと、男性が動き始めたんだ。
え……?
ライフエナジーが出たということは、死んだということ。
なのに、何で動けるの?
「……また、この季節がやってきたんだね」
男性は壮絶な顔で立ち上がろうとする。
だけど、ウッドさんは立ち上がろうとする男性を蹴り飛ばし、馬乗りになって
男性をめった刺しにした。
立ち上るライフエナジー。吸い込むウッドさん。
……なんという凄惨な光景……!
それが複数回続いたところで、私は理解した。
……ああ、あの男性、死なないのか。
いや、正確には死んでるんだろうけど、すぐさま蘇生しているんだ……!
そして同時に気づく。
めった刺しにされ続けている男性の周囲に、赤い宝石が散らばっていることを。
あれって……?
「……ルビーだ。こいつの流した血液は、ルビーに変化する。そのままゴールドの代わりに使うことも可能だ。拾っておけ」
男性を刺し続けながら、ウッドさん。
何度殺されても蘇生でき、流した血液がルビーに変わる男性……
そんな人が、何で郊外に住んでるの?
殺され放題じゃん!
私は理解が追い付かなくて動けなくなった。
だけど
ルロードさんが、黙々と動き出して。
そのルビーを集めて、袋に仕舞い始めた。
……自分はやるべきことがやれなかった。
だから、これくらいはしなければならない。
ルロードさんの顔がね、そう言ってる気がした。
ということは……?
じゃあ、本来は私もああするべきなの……?
そんなの……できないよ!
だけど……
「あの……」
返り血を浴びながら殺人を続けるウッドさんに、私は「私もやるべきなんでしょうか?」と尋ねようとした。
すると
「お前はしなくていい!」
そう、叩きつけるように言われてしまう。
それで、ホッとした。
ホッとしたけど……
なんだか、居た堪れなくなった。
そして。
大量の宝石と、ウッドさんへの大量のライフエナジー。
それを得た私たちは、不死の男性宅を後にした。
「もう、こんな季節が来ないことを祈るよ」
殺され続けた男性の、張り付いたような笑い顔。
それが、私の心に強く残った。
王様に下賜されたものにナイフが含まれていたのは、こういうことだったんだ……
足りない分は、この男性を虐殺して稼いで来い、という……
……この使命、一体何なの?
このゲーム、犯罪の概念がありまして。
犯罪(殺人、窃盗)を行うと守衛という敵キャラが街に湧くようになる。
で、ゲームなので一回街から出ると、守衛は消えるのですが、捕まると戦闘になって初期状態だと間違いなく全滅させられます。
この状況をなるたけリアルに考えたら「こうなのかな?」というのが本作です。
で、今回の話ですが。
ゲームのスタート地点である王城の郊外でうろうろしている男性キャラがいるんですよね。
で、この男性キャラ。
何回殺しても消滅しない。殺しても普通に存在し続ける。
で、殺すたびに宝箱を残していくんです。
だからまあ、序盤は最弱だけど基本的な飛び道具武器「パチンコ」を装備して、この男性キャラを虐殺し、経験値とお金を稼ぐのがデフォでしたわ。