ウルティマ地獄編   作:XX(旧山川海のすけ)

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休暇中の四人の勇者リルファ、そしてルロードは、この世界の王の強さを知った。
一方その頃、ガルネフとウッドには何があったのか……?



第二十話 全滅

★★★(ガルネフ)

 

 

「もうすぐ、ガルネフ。お前の願いが叶うぞ」

 

 西部デパートのレストランで、ボクはウッドさんにそう教えられ。

 喜びに包まれたんだ。

 

「ホントですか!?」

 

 喜びのあまり、声が上擦る。

 ボクがなれるのか!

 伝説級の魔術師に!

 

「ああ。だから、ちょっと協力して欲しいんだ」

 

 ウッドさんはテーブル越し向こう側に座っている。

 真面目な顔で。

 

 ……何を頼まれるのか?

 

「これからしばらく後に、俺は……」

 

 ……その後に語られたことは、最初ボクは信じられない気持ちだった。

 何でそんなことをするというのか。

 

 でも……

 

「お前を最高の魔術師にするために、必要なことなんだ。頼む……」

 

 ウッドさんは頭を下げて、ボクに頼み込んで来た。

 ……多分、意味があるんだ。

 

 ウッドさんは意味のないことをしない人だ。

 だから、きっとそういうことなんだと思う。

 

 だから……

 

「分かりました。言う通りにします」

 

 ボクは彼の言ったことを受け入れることにした。

 頷く。

 

 そのときだった。

 

「……ウッドさん」

 

 いつの間にか。

 人間族の男がボクらのテーブルの傍に立っていた。

 

 それを、男の声で気づくに至る。

 

「やあ、ステゴマ」

 

 ウッドさんは彼にそう返事をした。

 ステゴマと呼ばれた男は……

 

 この世界で平凡で特徴らしい特徴が無いのが特徴の種族である、人間。

 なんてことないヒューマノイド。

 

 そして男の職業は、あらゆることが出来るが、あらゆることが中途半端であることが特徴の職業、レンジャーだった。

 装備している布の服に、レンジャーという名の刺繍がある。

 

 そんな彼は

 

「ウッドさん。約束の金です」

 

 ドスンッ、と。

 テーブルの上に重い金貨の入った袋を2つ、ドカンと置いてきた。

 

「……ご苦労。これをあと5巡してくれ」

 

「分かりました」

 

 そう言って、ステゴマと呼ばれた人間の男は去っていく。

 ……終始、死んだ目をしながら。

 

 

★★★(ステゴマ)

 

 

 俺の名前はステゴマ。

 元は浮浪者。

 

 いつ殺されてもおかしくない状況で生き抜き。

 ときには民家に強盗に入ってでも金を稼いで、食いつないできた。

 不屈の男だ。

 

 俺のチームは……

 

 集金のために組織された。

 

「スペードです。よろしく」

 

「クラブです。よろしく」

 

「ダイヤです。よろしく」

 

 ……職業はなんでもいいので、場末の酒場で適当にスカウトして来た冒険者。

 喰い詰めていれば喰い詰めているほどいい。

 

 そんな3人。

 

「よく来てくれた。俺はステゴマ。仕事は簡単だ」

 

 こいつらの名前も顔も職業も覚えなくていい。

 どうせ数合わせ。

 

 意味なんかない。

 

 

 船を使わないと行けない街。

 デスガルチ。

 

 俺はここに用事があった。

 

「へへ、大儲けだぜ」

 

「何を買おうかなぁ?」

 

「売春宿に行き放題だ!」

 

 ……俺の背後で何も知らない奴らたちが。

 どうでもいいけど。

 

 大儲けができるという話をしたら、ホイホイついてきた3人。

 どうしようもないクズたち。

 

 だから、俺には何の罪悪感も無かった。

 

 秘密の扉を事前に買っておいた魔法の鍵で開け、侵入する。

 ……防具屋の金蔵に。

 

 そこには山のような宝箱が並んでいた。

 いくら開けても開け切れないほどの。

 

「うおおおお! すげえ!」

 

「宝の山だぜ!」

 

「うほほーい!」

 

 クズ3匹が狂喜乱舞している。

 

「さあ、稼ぐぞ」

 

 俺がそう言ったことが切っ掛けになった。

 俺たち4人で周囲の宝箱を開けまくる。

 瞬く間に大金が俺のものに。

 

「すげえぜ! 金持ちだぁ!」

 

「金だ! 金だ! 金だ!」

 

「うひょおおお! ゴホッ! ゴホホッ!」

 

 ……宝箱の罠で風邪を引いている奴もいる。

 まあ、どうでもいいけど。

 

 そして俺たちの懐がパンパンになってきたときだ。

 

 ……そろそろかな。

 

「泥棒どもめ覚悟しろ!」

 

 ドドドドド、と金蔵になだれ込んでくる守衛たち。

 ま、当然だわな。

 

 俺は分かっていたが。

 

「え? なんで守衛?」

 

「ここ、いくら盗んでも犯罪にならないんじゃ?」

 

「安全に稼げるって……」

 

 蒼白になってる。

 アホどもめ。

 

 なぁんも考えてないから、こんな目に遭うんだよ。

 少しは疑え。間抜けが。

 

 俺たちは瞬く間に包囲されてしまう。

 8人の守衛。

 守衛は8人のチームで行動するのが基本なのだ。

 

 仮面のムキムキマッチョマン。

 守衛。

 彼らは素手の戦闘のエキスパートであり、サブミッションの達人でもある。

 

 そんな彼らが。

 

「さあ、関節を1個ずつ逆に折ってやるからな」

 

 そんなことを言いつつ、サディスティックな笑い声で嗤う。

 

 さて。

 

 守衛による犯罪者の処刑。

 俺は拷問に遭うのはご免なので、その前に持っているナイフで自分の喉を掻き切った。

 

 

 真っ暗だ。

 一体どうしたのだろう。

 ここはどこなんだ。

 

 死後の世界なのか。

 しかしそのとき。

 俺を呼ぶ声がした。

 

「ステゴマよ」

 

 そして俺は目覚めた。

 

 

 ……気が付くと、ロードブリティッシュ城の謁見の間だった。

 俺たち20人の冒険者は、パーティが全滅すると同時に国王陛下の前に死体が転送される魔法を掛けられている。

 

 これは、このシステムを利用した金策なのだ。

 

 パーティ全滅時に、死体は陛下の前に転送され。

 そしてそのとき、パーティリーダー1人だけ陛下のお力で蘇生してもらえる。

 

 俺の他のメンバーは……

 

 全員、人間の形をしていなかった。

 関節がおかしな方向にひん曲がり、首の長さが長くなってる奴もいた。

 死ぬまでに相当な苦痛があったんだろう。

 どいつも物凄い顔をしていた。

 

 愚かであるってのは罪だわな。

 こいつらを見て、俺はつくづくそう思った。

 

 さて。

 

 俺は自分の懐を確認した。

 うむ。パンパン。

 

 こいつらは……

 

 懐を探ると、こいつらのもパンパンだ。

 

 大儲け。

 

「すみません。棺桶を貸していただけますか?」

 

 周囲に居た人に、助力を願う。

 こいつらの稼ぎ分を、ウッドさんに渡さないと。

 

 こいつらが稼いだ分を渡したら、こいつらは20人の冒険者から除名。

 蘇生させるつもりはないからね。

 焼き場にそのまま持っていく。

 

 さーて。

 あと何巡したら、ウッドさんが満足する額に到達するのかねぇ?

 下働きは辛いよ全く。

 

 ……また酒場でクズをスカウトしてこないとな。

 俺は3つの棺桶を引きずりながら今後のことを考えた。




デスガルチの鎧屋:
このゲーム、クリアに大量のお金が要求されるので、お金をいかに稼ぐのかが重要なのですが。
このデスガルチの鎧屋での金策は、とても簡単に大儲けできるのでとてもおすすめです。
ダンジョンは潜るのに魔法を使うか梯子を探して下の階に降りないといけないという不便さがあります。
街中での泥棒はそういう手間が無いため簡単です。
ただ、犯罪なので守衛が襲ってきます。
そのため、盗み専門のキャラを作り、守衛に殴り殺されても殴り殺されても、王様の前で復活した1人のキャラで防具屋に突貫するのが効果的です。
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