彼らの戦いはどうなってしまうのか?
★★★(リルファ)
マン・オー・ウォー。
大きさは、人間大の蛸。
それが8匹、海に浮いていた。
「マン・オー・ウォーとの戦いが避けられないなら、決して海上で戦うな。陸の上で戦うべし。……冒険者の鉄則だ」
ウッドさんは皆に忠告する。
私たちはその言葉を心に刻んだ。
そう、私たちへ言った後。
ウッドさんはガルネフさんに、こう指示した。
「ガルネフ、ダキニを使え!」
「分かりました!」
ダキニ……敵全体を瀕死にする魔法……!
ウッドさんが言っていた、魔力魔法で一番役に立つ魔法だ。
ガルネフさんがウッドさんの指示を受け、両手を広げて複雑な印を結ぶ。
精神を集中している……!
そして、目を閉じて呪文を口にする。
「ダキニ」
オオオオオオオオ……
ガルネフさんから闇のオーラが立ち上る。
闇のオーラは分散し、目の前の敵……マン・オー・ウォーたちに襲い掛かる。
ピイイイイイイイ!
海の魔物たちは甲高い悲鳴をあげた。
当然だろう。
瀕死になるまで生命力を削られたんだ。
もはやマン・オー・ウォーたちは、駆け出し戦士の一撃で絶命しかねない。
ダキニはそういう魔法。
「……できた!」
ハァハァと息を荒げて、ガルネフさんは汗を掻いていた。
そしてその顔には会心の笑み。
ものすごい達成感を感じているのかな。
「よくやったガルネフ」
ウッドさんはそんなガルネフさんを労った。
ガルネフさんはウッドさんに向かって頷く。
「さあ、後は狩るだけだ!」
私たちは武器を準備する。
私とルロードさんは弓を。
ウッドさんは吹き矢を。
そしてすぐに攻撃した。
ピギィー!
私の矢が当たったマン・オー・ウォーが最期の悲鳴をあげて、海に沈んでいく。
帰ったら矢をどこかで調達しないとまずいなぁ。
それを見て私は頭の片隅で考える。
ボッ!
死んだマン・オー・ウォーから、凄まじい輝きが立ち上り、私に向かって飛んで来た。
そして吸収する。マン・オー・ウォーのライフエナジー。
おお……!
これはすごい。
今まで味わった中では極上……!
こいつら、すごい美味しい!
「おおおお! 美味い!」
ルロードさんも嬉しい悲鳴をあげている。
ルロードさんも仕留めたんだ!
私たちはまだレベル5。
これからはマン・オー・ウォー相手に稼ぐんだ!
そんなことを、私は考えていた。
……お花畑なことを。
次の瞬間だった。
激しい光。
稲妻のような。
「グアアアアアッ!」
ルロードさんが悲鳴をあげる。
そして膝を突く。
……これが……呪文攻撃……!
次の瞬間、またフラッシュし、私の身体にも衝撃が走る。
私にも呪文攻撃!
き……きつい……!
「畜生! なんで戦うことで傷つかないといけないんだッ!?」
ルロードさんの嘆き。
私もその理不尽に音を上げそうになる。
だが、マン・オー・ウォーたちは容赦なんてしてくれない!
どうして!?
反撃してくるなんて! あなたたち心は痛まないの!?
海に浮かぶ怪物たちを憎々し気に睨む。
しかし、攻撃は止まない。
……神様!
私は神に祈った。
そのときだ。
「時よ止まれ!」
ズギャアアン! という音がした。
……攻撃が……止んだ?
私は顏を上げる。
見ると……
砂時計を構えたウッドさんがそこにいた。
あれは……!
時の砂……!
砂時計は砂を落としている。
上の砂が、下に落ち切るまで。
その間、時間を止める道具……!
「さあ……今のうちに!」
ウッドさんの言葉。
それで、私たちは再起動する。
私たちの矢と、ウッドさんの吹き矢が飛ぶ。
そして……
「そして時が動き出す」
ピギイイイイイイ!!
マン・オー・ウォーたちが同時に悲鳴をあげて海に沈んでいった。
勝てた……!
でも……
私たちはボロボロだ。
怪我をしてしまった。
毒まで受けた。
……もう、マン・オー・ウォーとは戦いたくない……!
「……身に染みて分かっただろう? ……呪文攻撃を持つ敵とは戦ってはいけない、と……」
そうか……これを教えるために……!
私はそこに気づき、深く頷かざるを得なかった。
ここまで戦うのに高くつく相手なんて……戦ってはいけないよ!
時の砂:
マン・オー・ウォーと戦うときは手放せません。
無かったらこっちはボロボロになります。
ダキニ:
魔力魔法で一番役に立つ魔法。
敵全体を瀕死にする魔法。
……即死させる魔法は無いのか? という質問が来そうですけど。
ありますけどね。そっちは「敵複数に効果」という魔法なんですよね。
「敵全体」じゃない。
……つまり、無傷の敵が残る可能性があるので、使えんのですよ。