ウルティマ地獄編   作:XX(旧山川海のすけ)

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卒業試験として、海の魔物マン・オー・ウォーとの戦闘に臨む四人の勇者たち。
彼らの戦いはどうなってしまうのか?


第二十五話 マン・オー・ウォー

★★★(リルファ)

 

 

 マン・オー・ウォー。

 大きさは、人間大の蛸。

 それが8匹、海に浮いていた。

 

「マン・オー・ウォーとの戦いが避けられないなら、決して海上で戦うな。陸の上で戦うべし。……冒険者の鉄則だ」

 

 ウッドさんは皆に忠告する。

 私たちはその言葉を心に刻んだ。

 

 そう、私たちへ言った後。

 ウッドさんはガルネフさんに、こう指示した。

 

「ガルネフ、ダキニを使え!」

 

「分かりました!」

 

 ダキニ……敵全体を瀕死にする魔法……!

 

 ウッドさんが言っていた、魔力魔法で一番役に立つ魔法だ。

 

 ガルネフさんがウッドさんの指示を受け、両手を広げて複雑な印を結ぶ。

 精神を集中している……!

 そして、目を閉じて呪文を口にする。

 

「ダキニ」

 

 オオオオオオオオ……

 ガルネフさんから闇のオーラが立ち上る。

 

 闇のオーラは分散し、目の前の敵……マン・オー・ウォーたちに襲い掛かる。

 

 ピイイイイイイイ!

 

 海の魔物たちは甲高い悲鳴をあげた。

 当然だろう。

 

 瀕死になるまで生命力を削られたんだ。

 もはやマン・オー・ウォーたちは、駆け出し戦士の一撃で絶命しかねない。

 ダキニはそういう魔法。

 

「……できた!」

 

 ハァハァと息を荒げて、ガルネフさんは汗を掻いていた。

 そしてその顔には会心の笑み。

 

 ものすごい達成感を感じているのかな。

 

「よくやったガルネフ」

 

 ウッドさんはそんなガルネフさんを労った。

 ガルネフさんはウッドさんに向かって頷く。

 

「さあ、後は狩るだけだ!」

 

 私たちは武器を準備する。

 私とルロードさんは弓を。

 ウッドさんは吹き矢を。

 

 そしてすぐに攻撃した。

 

 ピギィー!

 

 私の矢が当たったマン・オー・ウォーが最期の悲鳴をあげて、海に沈んでいく。

 帰ったら矢をどこかで調達しないとまずいなぁ。

 それを見て私は頭の片隅で考える。

 

 ボッ!

 

 死んだマン・オー・ウォーから、凄まじい輝きが立ち上り、私に向かって飛んで来た。

 そして吸収する。マン・オー・ウォーのライフエナジー。

 

 おお……!

 

 これはすごい。

 今まで味わった中では極上……!

 

 こいつら、すごい美味しい!

 

「おおおお! 美味い!」

 

 ルロードさんも嬉しい悲鳴をあげている。

 ルロードさんも仕留めたんだ!

 

 私たちはまだレベル5。

 これからはマン・オー・ウォー相手に稼ぐんだ!

 

 そんなことを、私は考えていた。

 

 ……お花畑なことを。

 

 次の瞬間だった。

 激しい光。

 稲妻のような。

 

「グアアアアアッ!」

 

 ルロードさんが悲鳴をあげる。

 そして膝を突く。

 

 ……これが……呪文攻撃……!

 

 次の瞬間、またフラッシュし、私の身体にも衝撃が走る。

 私にも呪文攻撃!

 

 き……きつい……!

 

「畜生! なんで戦うことで傷つかないといけないんだッ!?」

 

 ルロードさんの嘆き。

 私もその理不尽に音を上げそうになる。

 

 だが、マン・オー・ウォーたちは容赦なんてしてくれない!

 

 どうして!?

 

 反撃してくるなんて! あなたたち心は痛まないの!?

 

 海に浮かぶ怪物たちを憎々し気に睨む。

 しかし、攻撃は止まない。

 

 ……神様!

 

 私は神に祈った。

 

 そのときだ。

 

「時よ止まれ!」

 

 ズギャアアン! という音がした。

 

 ……攻撃が……止んだ?

 

 私は顏を上げる。

 見ると……

 

 砂時計を構えたウッドさんがそこにいた。

 あれは……!

 

 時の砂……!

 

 砂時計は砂を落としている。

 上の砂が、下に落ち切るまで。

 その間、時間を止める道具……!

 

「さあ……今のうちに!」

 

 ウッドさんの言葉。

 それで、私たちは再起動する。

 

 私たちの矢と、ウッドさんの吹き矢が飛ぶ。

 そして……

 

「そして時が動き出す」

 

 ピギイイイイイイ!!

 

 マン・オー・ウォーたちが同時に悲鳴をあげて海に沈んでいった。

 

 勝てた……!

 

 でも……

 私たちはボロボロだ。

 怪我をしてしまった。

 毒まで受けた。

 

 ……もう、マン・オー・ウォーとは戦いたくない……!

 

「……身に染みて分かっただろう? ……呪文攻撃を持つ敵とは戦ってはいけない、と……」

 

 そうか……これを教えるために……!

 私はそこに気づき、深く頷かざるを得なかった。

 

 ここまで戦うのに高くつく相手なんて……戦ってはいけないよ!




時の砂:
マン・オー・ウォーと戦うときは手放せません。
無かったらこっちはボロボロになります。

ダキニ:
魔力魔法で一番役に立つ魔法。
敵全体を瀕死にする魔法。
……即死させる魔法は無いのか? という質問が来そうですけど。
ありますけどね。そっちは「敵複数に効果」という魔法なんですよね。
「敵全体」じゃない。
……つまり、無傷の敵が残る可能性があるので、使えんのですよ。
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