彼らは無傷の戦闘の重要性を身体で理解した。
★★★(リルファ)
マン・オー・ウォーを倒した。
毒を受けてしまったけど、毒治療魔法アルコトで回復したし。
「さあ、帰りましょう!」
あとは海賊船を乗っ取って帰るだけ!
私は笑顔で皆を振り返った。
すると
「ちょっと待ってくれ。毒を回復してくれ……」
ルロードさんが私にそう言って来る。
ああ、そうだった!
これまでは私、法力魔法が使えたけど、クーンしか使えなかったから。
まともに魔法を求められる状態になったのに、それに気づいてなかったよ!
「待ってください! すぐに治療します!」
「ふう、苦しかった」
ルロードさんは一息ついた顔だった。
まあ、はじめての経験ですもんね。
ダメージを受けるのも、毒を受けるのも。
「やっぱ無傷で終わらない戦闘なんてクソだよな」
「ええ。全く」
言って、ふたりで笑い合う。
「……よし」
そうしていたら、ガルネフさんが気合の入った声を出した。
「魔力が回復したから。行こうか」
おお!
じゃあ、行きましょうか。
馬鹿な海賊たちが、海岸に停泊していた。
タラップまでつけて。
「神殿の方に運び込む食糧はこれで全部か?」
「まったく、何で俺たちがこんなことを」
「王様の悪口をちょっと言っただけなのに……」
私たちは丘の上からそれを見ていた。
なんかゴチャゴチャ言ってるなぁ。
で、荷物の積み下ろし。
海賊はいつもそうだ。
私は隣のガルネフさんに向き直る。
ガルネフさんはウキウキしてるようだ。
……やっぱ、人間相手にダキニをやれるからかな?
海賊相手だったら何をしても犯罪にならないから、ある意味合法的な殺人ですもんね。
興奮しますよね。そりゃ。
まったくしょうがないなぁ。
私はガルネフさんの子供っぽい部分に、思わず苦笑してしまった。
そんなにダキニで瀕死になる海賊が見たいんですか?
まったく、子供ですね。
新しい玩具を与えられた赤ちゃんみたい。
そう、私が母親の気持ちでガルネフさんを見ていたら
ガルネフさんは印を組み、精神を集中し始めた。
おお……
そして
「ダキニ!」
そしてまた、あのときのように、暗黒のオーラが立ち上り。
海賊たちを襲っていく。
「あぎゃああああああ!」
「ぐぎゃあああああ!」
いきなり瀕死になるまで生命力を吸い取られ、倒れ伏す海賊たち。
もう、虫の息だ。
「……なんだお前たちは……?」
「いきなりなんだ……犯罪者か……?」
ゼェゼェ息をしながら、槍を持って反撃しようとしてくる。
失礼な。犯罪者はあなたたちでしょ。
私は返事の代わりに矢を放つ。
「ギャア!」
「ああ、ロバート!?」
1人射殺したら、海賊の1人がその海賊ににじり寄って
「頑張れ! 死ぬな! 刑期が終わったら息子に会うんだろう!?」
「お……俺はもうだめだ。最後に妻と息子に会いたかった……」
なんか話してる。
まあ、どうでもいいや。
すると
ピャッ、とルロードさんの矢が飛び、そのなんか話している海賊を討ち取ってしまった。
バタッと倒れて、そいつのライフエナジーがルロードさんに飛ぶ。
……ルロードさん、戦士という魔法が全く使えない名前だけ職業だから、ライフエナジーの稼ぎ悪いですものね。
こういうところで稼がないと、ダメですし。
……大変だなぁ……。
私はルロードさんに同情してしまった。
そして。
海賊を全滅させ。
死体を全部海に投げ込んで後始末した後。
「これで帰れるぞ」
笑顔のウッドさんに私たちは深い安心と達成感を感じて、そして喜びも感じた。
この大陸に来て、私たちはとても強くなった……!
船に乗り込み、海に出る。
向かう先は……
また、大渦。
明らかに、入ったら死ぬサイズの渦潮。
……この状況。
「帰るためには、あそこに入らないといけない」
大渦を見つめつつ、ウッドさん。
……ですよね。
何故か、そういうことだろうと思ってました。
皆、何も言わなかった。
皆分かっているからだ。
そういうことなんだ、って。
「いくぞ……」
ウッドさんが舵を切る。
渦に近づいていく……
私たちは覚悟する。
今度はどこの海岸に打ち上げられるのか……
近づいていく……
私は目を瞑った。
……
………
「さあ、着いたぞ」
……え?
目を開くと、そこは緑の大地が見える海。
ソーサリア大陸のある海だった。
船はそのまま。
壊れていない。
えええええええ?
なんで、今度は船が壊れていないの!?
帰還:
アンブロシアから帰るときも、大渦に飛び込むのですが。
何故か帰りの時は船が壊れないんですよね。
どういう理屈?