そんな状態で、スケルトンの大群に襲われてしまった四人の勇者一行。
どうなってしまうのか?
★★★(ルロード)
お、終わった……!
俺の人生、終わってしまった……!
武器は小さなナイフ1本、着ているのは薄い布の服。
あるのは大量のお金だけ!
こんなの勝ち目が無い!
逃げよう!
逃げましょう!
「ウ、ウッドさん!」
「なんだ?」
ウッドさんは落ち着いている。
とても。
俺は言った。
この状況だ、絶対に認めてもらえる!
「逃げましょう!」
「敵前逃亡は死罪だぞ。これは軍務の一環なんだから」
しれっと。
ウッドさんは俺の提案を却下した。
そ、そんな……!
じゃあ、なんで最初の街で装備を買わなかったんですか!?
こんな事態になること、想定されてなかったんですか……!?
俺がそう、この事態に対するそんな感想を心の中で述べていたとき。
「……何か、策はあるんですかウッドさん……?」
リルファが冷静に、ウッドさんにそう尋ねたんだ。
すると。
「……リルファよ。法力魔法のクーンは使えるよな?」
「ええ。まあ。最初に使い方を習う魔法ですし」
法力魔法だと……?
ここで法力魔法が何の役に立つんだ……?
この世には、2種類の魔法が存在する。
魔力と法力の2種類だ。
魔力魔法はヒト族が持つ潜在的な力を根源とする魔法。
そして法力魔法は、神の力を根源とする魔法だ。
魔力魔法は大体攻撃に関する魔法が多い。
ウチのパーティだと、ガルネフさんがその使い手。
例えば火球を発射したり、時間を止めたり。
そして法力魔法は主に回復系統の魔法が多いのだ。
生命力を回復させたり、毒を消したり、生き返らせたりといった具合。
ウッドさんは、よりにもよって法力魔法をこの場での解決策として持ち出してきた。
一体何のつもりなんだよ……?
「クーンを使って、奴らを退治しろ」
「ええっ!?」
リルファは驚いていた。
おそらく、この状況で法力魔法の出番ってあるのかと。
俺も驚いていたけど。
リルファはもっと驚いていた。
「クーンってどういう魔法なんですか?」
知らないのかよ!
習ったんじゃなかったのか!
「最初に習うって言ってただろ!」
思わず突っ込むと
「そうはいっても……実戦で使ったことが無いというか……実戦でしか使えないというか……」
リルファはものすごく困っていた。
……ちょっと可哀想になってしまった。
何か理由があるのかな?
「それはどういうことなんだ?」
「それは……」
曰く。
クーンはスケルトンやグールと戦闘になったときに使う魔法。使い方は発声するだけ。
1回勝負。失敗するとその戦いでは2度と使えない。
……なんぞや?
「その代わり、精神力の消費がほぼゼロなんで、いつでも使える魔法でもあるんですけど」
困っている顔で、そうリルファは締めくくった。
ウッドさん……これについて何かご存じですか?
俺はウッドさんを見つめる。
ウッドさんは……
「法力のクーン、魔力のクンテはな、一種の呪術なんだよ」
説明してくれる。
ウッドさんの説明は驚きの連続だ。
それはこういうものだった。
「クーン、と唱えたときに、左足を踏み出している効果範囲内の低級不死者を灰化、もしくは分解させる魔法なんだ」
そしてこの呪術は、一度失敗すると同じ個体には二度と掛からない。
だから、一度しか使えないらしい。
なるほど。
……と!
スケルトンたちが、すぐ傍にまで迫ってきている!
今すぐ、クーンを発動させなければ!
「リルファ!」
俺は彼女に視線を投げた。
彼女は、俺の視線を受け、頷き。
スケルトンたちの足の動きを見て、唱えた。
「クーン!」
その瞬間だ。
リルファの身体が輝き、光の波動が広がって……
全てのスケルトンたちが、全部一緒にばらばらの骨の山になり。
同時に、その骨の山から、大量の光のエネルギーがリルファに向かって飛んでいく。
スケルトンたちのライフエナジーを受けて。
リルファが大きく成長したような、そんな印象を受けた。
「ものすごいライフエナジーを浴びた気がする……」
……そんなことを、彼女自身も言っていたから。
まあ、実際の成長は、王様のところに行かないと成しえないんだけど。
このゲーム、戦闘からは逃げられない仕様です。
戦いになったら、殺るか殺られるかの二択。
そして「クーン」「クンテ」という、謎な魔法がありまして。
説明書を読んだだけなら、出番があるのが「スケルトン、グールとの戦闘」もしくは「オーク、ゴブリンとの戦闘」これくらいしか分からない。
良く分からずに使ってみると、たまに敵が壊滅していく喜びに出くわす。
この魔法が成功するときと、失敗するとき。
この違いって何なのか?
……実は、敵グラフィックのモーションで、左足が前に出たときに使うこと。
これなんですよね。
このときに使うと100%成功するの。