彼らが向かう先は?
★★★(ルロード)
スケルトンを全滅させた。
死ぬと思ったけど、助かった……!
胸を撫でおろそうとするも、ウッドさんが
「いくぞ」
そういうので、ついて行かないわけにもいかないから。
大人しくついていく。
まず俺が突き進み、リルファが。
最後にガルネフさんが続く。
俺たちは暗い森を、ランタンひとつ持たずに歩き続けた。
一体、どこまで歩くのか……
そう、思い始めてきた時だ。
ウッドさんは足を止めたんだ。
……今度は一体何なんだ?
そう、思った。思ったけど、口には出さない。
ウッドさんに従った方が良い。
それを、ここまでの旅で学んだんだ。
「……ここで今日は野営するぞ。夜明けを待つんだ」
……ウッドさんがそういうので。
俺たちは、キャンプの準備を始めた。
焚火が爆ぜている。
焚火を囲みながら、手持ちの食糧を口にする俺たち。
保存食用の硬いパンを齧りながら、水代わりの薄いエールを口にする。
そして、話をした。
「……俺さ、故郷では一番強くてさ」
……俺は故郷では一番の力持ちだったんだ。
皆、俺を応援してくれた。
お前なら、近衛兵になれるって。
で、王城に出てきて、20人の冒険者に志願して、採用されて……
「でも正直、夢見ていたものと違う、って思い始めている」
俺が想像していたのは、剣を持ち、鎧を着て、魔物と切り結ぶ戦士の姿。
こんな、ナイフ一本しか武器を与えられず、布の服だけを身に着けて逃げ回る、怯えて震えるような、情けない仕事じゃなかった……。
「ルロードさん……」
リルファが俺のことを気遣う視線で見てくる。
それが少し、恥ずかしくなった。
何をこんな子に、愚痴を言ってるんだ俺は? 恥ずかしくないのか? と……。
……だから、こう言った。
「リルファはどうなんだ? 今の状況に満足してるか?」
すると
「……どうでしょう? でも、私は家族が中心街で住めるようになってくれるならそれでいいので、ルロードさんのような、難しいものは何も抱えていませんから」
ハハ、とちょっと困ったように笑う。
それが俺には少し眩しかった。
だけど。
続いた彼女の話は、とても過酷だった……。
「私の実家、ロイヤルシティの郊外に近くって」
犯罪を犯してもすぐに逃げられる。
そして逃亡が成功すれば罪が消える。
そんな環境。
だから、泥棒に入られるなんて日常茶飯事。
強盗で殺されることも珍しくありませんでした。
知ってますか? 郊外の人間は10才までに10人中5人は死ぬんです。
強盗やら追剥に巻き込まれて。
……毎日がサバイバル。
あそこではそうですね、明日の命があることが、その日の夢になるんですよ。
私は15人姉弟だったんですけど、8人死にました。
全て強盗に殺されたんです……。
……そう語るリルファの目は、遠くを見ていた。
俺は、自分が夢を見ることが出来る環境だったことに、自分が優しい環境で生きてきたことを自覚し。
……少し、自分の不満が恥ずかしくなった。
少しくらい、理想と違ったくらいで文句を言うなんて……
100点じゃなかったことで不満を垂れるなんて……
俺はなんて幼稚でダメなやつなんだ……!
恥ずかしさで、俺は硬いパンを力任せにかみ砕いた。
そして。
交代で寝て、夜を明かし……
夜明けを迎えたとき。
「時間だ。起きろ」
ウッドさんの言葉。
俺とリルファは、ガルネフさんを起こして、キャンプを畳む。
ウッドさんはただ一点を見つめている。
何かを待っているかのように。
そして、俺たちがキャンプを畳み終えたときだった。
いきなり、スゥ……と。
何もない空間に、建物が出現していく。
ひとつやふたつじゃない。
無数に、だ。
まるで街のように。
目の前で、幻のような街が、実体化していく……
「これは……?」
思わず、俺は言ってしまった。
だがウッドさんは、それに答えてくれた。
「これがドーン……。夜明けの街だ」
ウルティマ恐怖のエクソダスというゲームでは、ドーンの街以外の街で武器を買う意味がほぼ無いです。
武器の品揃えがいい街が、ドーンの街だけなので。
街は沢山あるんですが、どの町の武器屋も同じものしか売ってないんですよね。
どの街も、ドーン以外は、最初の街と一緒の品揃え。
こういうと、その壮絶さが分かると思います。
……街を訪問する楽しみが無いですなぁ。