それに辿り着いた四人の勇者一行は、何をするのか?
★★★(ルロード)
ドーン。
こんな街があったなんて。
夜明けになると姿を現す特別な街……
「とっとと入るぞ。時間が無い」
ウッドさんはドーンの街に足を踏み入れて行った。
ドーンの街並みは、美しかった。
俺の記憶の中にある、どんな街よりも清潔で、住人も良い人ばかりに見えた。
しかし、不思議な街だよな。
夜明けにしか姿を現さないなんて。
「昼になるとこの街、消えるんですか?」
「そうだ」
ウッドさんは淡々と答える。
そうなのか……何でなんだろうか?
不思議に思って俺が理由を考えていると
「……この街の人間はな、実在していないんだよ。実は」
歩きながら、ウッドさんがとんでもないことを教えてくれた。
……それはどういう……?
「……本当のドーンの街は、200年も昔に滅んでるんだ。国王陛下に反逆した罪で、街ごと滅ぼされた……」
ウッドさんの話は、凄まじかった。
約200年前、ドーンの街はこの世界で一番栄えた街だったらしい。
だが
大地の鎧という最強の鎧を作り出す方法を見つけたんだそうだ。
黄金のつるはしというつるはしで、特定の島の土をイメージしながら掘り返す。
するとただの土が、大地の鎧に変化する。
これを知った国王陛下は、街の住人が天の剣を掘り出すと言われていた銀のつるはしまで求めていると知り
「これは謀反の疑いありじゃ! 即刻屠城!」
「そして街は皆殺しにされた……」
ウッドさんは重々しく言った。
……簡単に殺しすぎだろ。国王陛下……!
俺は震えてしまった。
ウッドさんの話はまだ続いていて
「以後、ドーンの街は地図から消えたが、街の幽霊が街の跡地に出現するようになった」
なるほど……
「ひとつ、言っておくことがある」
そしてこれが、一番ゾッとした話だった。
「……この街の住人は街の幽霊の一部だが、自分たちの仲間を増やしたいという欲望を持っている」
だから
「……この街の住人は、ずっとここに居ればいい、と甘い言葉を囁いてくるかもしれないが……それに首を縦に振ったら、死ぬぞ……?」
そ、そんな!
俺たちが向かったのは、まず武器屋だった。
武器屋には様々な武器が置いてある。
鉞、弓矢、鋼の剣、ゴーストバスター、戦士の斧、銀の弓、太陽の剣……
どれも素晴らしくて、目移りしてしまう。
俺としては、この最強の剣と言っても過言では無さそうなこの「太陽の剣」かな。
俺の夢見ていた戦士の道が、ここにある……!
だが、そんな俺の考えていたことは、またしても裏切られるに至った。
「弓矢を2人分」
「あいよ」
……決められていたんだ。
何を買うのか、は!
「ウッドさん!」
俺は抗議した。
さすがに納得できない!
「何だ?」
「どうして太陽の剣じゃないんですか! 最強の武器っぽいのに、こんなに安いんですよ!?」
最強の剣の位置づけに置いてある「太陽の剣」が4550ゴールド。
最強の弓の位置づけで置いてある「銀の弓」が6550ゴールド。
2000ゴールドも安い!
すると
「お前はアホなんだな」
真顔で言われてしまった。
あまりにもあんまりな言葉で、俺はショックを受けた。
ウッドさんは続ける。
「いくら強かろうが、近接武器より飛び道具の方が良いんだよ。敵に近づかなくて済むんだからな。ちょっと考えれば分かるだろ。このアホタレめ」
クドクドクドクド。ウッドさんの言葉の雨。
俺は言い返せなかった。
「厳密に言えば、ここは銀の弓を唯一扱うことができるお前のために銀の弓を買うべきなんだろうが、たかだかいちメンバーの攻撃力に、そこまで金を掛ける意味合いがあるかと問われると疑問ではあるわけで……」
いかにこの選択が合理的なのかを説かれてしまった。
俺の考えていた戦士像って、夢見がちな幼稚なイメージだったのか?
女が思い描く、自分を迎えに来てくれる白馬の王子様みたいな……!?
このゲーム、近接武器はクソです。
使い物になりません。
最弱の飛び道具である「パチンコ」(厳密に言えばナイフも飛び道具なんですが、ナイフは一回使うと無くなる消耗品扱いの武器なので、除外します)
これと店売り最強の「太陽の剣」
どちらが使えるかと言うならば「パチンコ」なんですよね。
何故なら、このゲームは敵との距離という概念があり、通常の敵は近接攻撃しか攻撃方法を持たないため、接近してくるまで攻撃できない仕様なんですよ。(一部、呪文攻撃と言うえげつない攻撃方法を持つ敵がいて、そいつらは紛れもない強敵なんですけども)
なので、飛び道具を装備していれば、敵が接近してくる前に一方的に攻撃でき、上手くすれば無傷で戦闘を終えられる。
ウッドの言葉は至極もっともなのです。