ドーンの街での買い物と用事は、まだ終わらない……
★★★(ルロード)
武器屋で分からされて。
購入した弓矢を渡された。
これが俺の武器……
木製の弓だ。
矢もセットでついてくる。
矢筒に入ってる矢の数は多い。
矢は使った後回収してまた使うのが基本になるのかね?
そう、手渡された武器を見て、俺はそう思った。
「……なかなかしっかりした作りですよコレ。さすがは手間掛けてまで来た街の商品だけありますね」
んー、と言いながら。
弓矢を手渡されたもう一人のメンバー、リルファが弓の具合を確かめていた。
弓の弦を引き、ビィン、ビィンと言わせている。
「オイ、時間が無いぞ。次は食べ物屋だ」
ウッドさんの言葉。
そうだった。
この街は、昼には消えてしまうんだ。
急がないと。
「薄めたエールと軍用パンを数か月分頼む」
「あいよ」
……えらく大量に買うなぁ。
俺はウッドさんの食糧の買い方に、業者の影を見た。
「すごい量を買うんですね」
俺がそう言うと
ウッドさんは仏頂面でこう言った。
「……ダンジョンでグレムリンに出会ってしまった場合のことを考えたら、これじゃ足りないくらいだ」
「グレムリン?」
初耳だった。
思わず聞き返す。
ウッドさんはこう言った。
「ダンジョンにのみ棲み着く餓鬼の一種だ。出会ってしまうとそいつが大量の食糧を盗んでいく」
ヤツの盗みの手口は神業……どんな冒険者でも逃れる術は無い……。
どんなやつなんだ……? グレムリン……?
俺は見たこともないその怪物の姿を必死で想像した。
でも、ダンジョンの中で食糧を盗んでいくなんて。
恐ろしい怪物もいたもんだと思うよ。
だって、食べるものがなくなったら死ぬしかないじゃんよ!
「では次に行く。……その前に」
ウッドさんは、リルファに手招きをした。
顔に疑問符を浮かべながら、リルファはその招きに応じる。
そしたら。
「リルファ、これを次の道具屋で買ってくれ」
そう言いながら、ウッドさんはリルファにメモ用紙を渡してきた。
……何故自分で買わないんですか? そのときは、それが分からなかった。
「えーと……蝋燭を下さい」
「何セット?」
「ええと……6セットで」
リルファがメモを読み上げながら買い物をしている。
時折「これ、何て読むと思いますか?」って聞いてくるから、俺もそれに参加する形だ。
……なんか汚ねえな。ウッドさんの字。
非常に読み辛い。
なので買い物が非常にやり辛い。
「6セットね。はいよ」
道具屋のおっちゃんから、梱包された蝋燭を渡された。
それを道具袋にしまい込む俺たち。
「あと、魔法の鍵を20個と、時の砂を10個……」
「それはあれだね。免許証要るね。購入免許」
道具屋のおっちゃんは厳しい表情でそう言う。
「こーにゅーめんきょ?」
俺は顏に疑問符を浮かべて聞き返してしまった。
するとおっちゃんは少しイラついた表情で
「購入することを許されてる証明書だよ。当たり前だろ? どんな扉でも開けられる鍵に、時間をしばらく止められる砂時計。危なくてそんなもん簡単に売れないよ」
……確かに。言われてみればそうだ。
しかし、俺たち頼まれているんだよな……
「あ、私たち20人の冒険者です」
そのとき、そう言いつつ国王陛下から交付された「20人の冒険者証書」をリルファは取り出したのだが。
俺の意識はそのとき、リルファの方に向いてなかった。
……何故なら。
俺たちがおっちゃんと道具の購入で悪戦苦闘している横で。
ウッドさんが……
道具屋店主の目を盗んで、道具屋のカウンター横に無造作に放置している宝箱をカウンター越しに開けようと、カウンターを乗り越えてその上から身を乗り出していたからだ。
アンタ何やってんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
俺は全力で突っ込もうとした。
しかし……
法律では罪人は全て死罪。
ここでウッドさんを告発することは、ウッドさんの処刑指令書にサインする行為も同じ。
だから俺は黙った。
黙って、見なかったことにした。
そして全ての買い物を終え、この街を去るとき。
「なんとか全部買えました……」
ふぃー、といった具合のリルファに、ウッドさんは「ご苦労」と言った。
ホントご苦労様だよ。
グループのリーダーは字は汚い、盗みはする。
最悪じゃないか。
「ウッドさん」
「なんだ?」
これは言わないといけない。
そう、使命感に燃えた俺は、ウッドさんを告発した。
「なんで盗みなんてしたんですかっ!」
それも、俺たちに店主の気を引かせるために買い物をさせるという念の入れぶり!
悪質ですよ!
そう、言おうとした。
けれど
「黄金のつるはしを手に入れるためだ。仕方ない」
……なん……だと?
黄金のつるはしって、あれだよな?
大地の鎧を掘り出せるっていう……
「道具屋の店主が隠し持っていたんだ。手に入れるにはああするしかなかった」
ウッドさんは、淡々と言った。
同情を引く感じではなかった。
俺は……この人の背中を見て、思った。
(……この人は、一体何を背負っているのだろうか?)
食糧:このゲームには宿屋が存在しません。その代わり、食糧の概念があります。HPとMPは、歩いていると自動で回復しますが、代わりにこの食糧が減っていきます。食糧がゼロになるとHPが減っていき、HPがゼロになると飢え死にです。
このシステムはフィールド、ダンジョン問わず適用されます。
そしてダンジョン(3D)では、ダンジョンの罠として「グレムリン」という存在が居ます。出現ポイントに立ち入ると、抵抗不可で食糧を確か100ポイント奪っていくのです。
食糧の上限が確か万はいかなかったと思うので、この被害がいかに深刻か分かっていただけますでしょうか?
許可証が無いと売れないアイテム:許可証については勝手な設定です。
ただまあ、こんなことは別にウルティマに限ったことじゃないんですけど、こんな危険なアイテムをよく道具屋は二束三文の値段で売ってるよなぁ、と思います。
黄金のつるはし:最強の鎧を掘り出すのに必要なアイテムなのに、何故か道具屋の宝箱の中に入っているのです。他人の物に手を出すことは犯罪なので、ここでプレイヤーは否応なく犯罪に手を染めることになります。道具屋のおっちゃんと交渉するイベント? そんなものはないですね!