次の目的地はどこなのか?
★★★(ウッド)
俺はウッド。
妖精族の盗賊だ。
俺は元々義賊だった。
金の有るところから、金の無いところへ金を運ぶ。
そうすることで、貧しい人々を救う。
理不尽なこの世の中、犯罪者の中にひとりぐらい、そういう奴が居てもいい。
そう思い、変な話だけど、俺は誇りをもって盗みをしていた。
金持ちの家から、貯め込んだ金を大量に盗み、貧民に施す。
そんなことを繰り返していた
俺の誇りは、逃走しにくいところを狙い、逃げおおせることだった。
だから、郊外近い場所の家はいくら金を貯め込んでいそうでも狙う事は無かったんだ。
この国の法律では、逃走に成功すれば罪は消える。
だから、俺は盗みをした次の日は、前日のストレスを吹き飛ばすためによく遊んでいた。
女を買いにも行ったし、酒も飲んだ。
その日も、同じ調子だったんだ。
酒場で酒を飲んでいると、守衛が軍団でやってきた。
そして言ったんだ。
「盗賊ウッド。昨日の盗みの件で、お前を逮捕する」
「え……?」
逮捕、だって?
守衛たちに、逮捕状という、生まれてはじめて見た、聞いた書類を突き付けられた。
逮捕……逮捕って何だ……?
俺が混乱していると
「……マズったよなぁ……国王陛下のご親戚の家さえ狙わなければ、こうはならなかったはずなのに」
守衛のひとりが、俺にそう侮蔑交じりの言葉を掛けてきたのを今でも覚えている。
俺が捕まった理由、それは。
俺が盗みに入った家が、国王陛下の従妹の家だったのが原因。
そのため俺は国王陛下の怒りを買い、俺に関してだけ「敷地外に逃げたら罪が消える」という、この国の一般的な法律の外の存在にされた。
だから捕まって……俺は懲役3000年の刑を受けた。
(俺はどうなってしまうんだ……?)
そのとき、俺は深く絶望した。
俺の懲役生活は過酷だった。
この国には、牢屋に罪人を拘束するという文化が無い。
そのため、俺のために特別に誂えられた刑罰……懲役3000年。
俺はどこに拘束されたのか。
それは……
時の洞窟最下層放置の刑。
……地獄だった。
食料も何も与えられず、地下奥深く、地下8階。
そんな階層に置き去りにされ、放置される。
……想像できるか?
時の洞窟最下層には不思議な水が湧き出る泉があり、その水を飲むことで飢え死にだけは逃れることができたが。
……全く動けないんだ。
何故なら、どんな化け物に遭遇するか分からないから。
こんな地下深くに、何がいるか分からない。
気が狂いそうだった。
ほんの僅かなスペースを居住空間とし、ひたすら孤独と不自由に耐える日々。
明かりが無いからとても暗く、そのせいで失明するのではないかと恐れて生きていた。
そのまま、10年以上の年月を過ごしたんだ。
ある日、俺は発狂した。
……いや、ほぼ発狂した。
もういいや。
この洞窟を歩き尽くしてやれ、と。
そう決断した俺は、大胆になった。
上級悪魔の影を見つけたら、素早く隠れ、逃げることを繰り返した。
そして……
幻を見た。
この国の王の姿に似た幻影だ。
あいたいようつきし
おうごんのつるはし
ぎんのつるはし
アンブロシア
へびのしるし
ぎんのつのぶえ……
その幻影を見たとき。
俺はこの世の全てを理解したような。
そんな感覚を覚えたことを覚えている。
そして
「……国王陛下は20人の冒険者を集めておられる。どうする?」
何の気まぐれか。
時の洞窟で幽閉中の俺にも、20人の冒険者のお誘いがかかってきたんだ。
そのスカウトマンは魔術師だった。
おそらく魔法で下層移動を繰り返してやってきたんだろう。
だから俺は言ったよ。
こんなところはもう嫌です。外に出させてください。
ってな。
不思議な水の湧き出る泉(回復の泉):このゲーム、食糧の概念があり、食糧が切れるとHPが減り始め、ゼロになったら餓死するというシステムとお伝えしました。
でも、この理屈で行くと、食糧が切れても、定期的にHPを回復できる手段があれば問題なく生き抜けるということになりません?
時の洞窟最下層には、その手段「回復の泉」があるんです。
この国の王の姿に似た幻影:時の王という存在です。このゲームのクリア条件「四枚の石板を並べる順番」を教えてくれます。ちなみに会うことでフラグが立ち、別のイベントを起こせるなどということはありません。よって、ネット等で時の王の話す内容を知っていれば、会う必要が皆無になる人物です。