ようこそXYZを叫ぶ教室へ   作:てつお

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アベンジャーズ×よう実の筆休めに書いてみました。人気が有れば続けます。


第1話「新入生は何者だ? シティーハンターに育てられた少年の巻!」

 

 東京都、新宿駅東口にて。

 

「忘れ物は無い? ハンカチ持った? 歯ブラシは?」

 

 駅のホームで一人の女性が心配そうに口を開く。女性は短髪で何処かサバサバした雰囲気を出しているものの、その姿はまるで旅に出る我が子を慈しんでいる母親の様だ。

 

「大丈夫、家出る前に全部確認した。」

 

 だがホームにはもう一人が居た。少年はスーツを纏っており、艶の有る黒髪や整った顔立ちから清潔感のある好青年に見える。少年は女性の矢継ぎ早に放った質問に淡々と答えるが、女性の心は落ち着かないらしく、時折少年の身体にペタペタ触り、道行く人から見ても十中八苦過保護に振舞っている。

 

「香、そのくらいにしておけ。家を出る前に全員で持ち物確認しただろ?」

 

 すると女性の横から一人の男性が割って入って来た。男性は半袖のTシャツにジーンズやチノパンを履き、アウターに腕捲りをしたジャケットを纏っており、心配そうにあたふたしている女性と比べて男性の表情は穏やかであり、何処か少し寂し気にも見えた。

 

「アンタね…表向きとはいえアンタの息子って事になっているんだから、少しは心配しなさいよ。」

 

「いや、心配はしているさ。だがコイツなら何処でも馴染むだろうし、下手に気を裂くのは返って悪いだろ。」

 

 不満そうに述べる女性、だが男性は特に素振りを変える事もなく、静かに少年の頭に振れてサラサラとした髪をくしゃくしゃと撫でる。少年はそれをくすぐったく思うのか軽く身じろぎするが、男性はそれを見て優しく微笑んでいた。

 

「多くは言わない、ただしっかり学校で学んで来い。勉強だけじゃなくて、人間の事も、人生の事も。」

 

「‥‥うん、二人とも、今まで色々ありがと。本当に。」

 

 男性に頭を撫でられながら二人に感謝を述べ一礼する少年、それを聞いた女性は辛抱たまらないと言った様子で勢いよく少年に抱き着いた。

 

「もー! 3年間しっかりやって来るのよ! 色々心配だけど、皆で帰るの待っているから!」

 

「あははは、ただ3年間全寮制の高校に行くだけなのに‥‥」

 

 笑いながら別れの寂しさを噛みしめる少年。だが時間とは非常なもので、いつの間にか時刻は電車が出発する間近となっていた。それを知らせる為か男性は女性の肩を叩く。だが女性寂しさを堪え切れないのか、涙を瞼に浮かべながら少年から体を離す。

 

「ほら香。もうそろそろ時間だし、行くぞ。」

 

「……ええ。」

 

 駅のホームにまもなく電車が来る事を伝えるアナウンスが流れ、3人は別れが近い事を悟る。そして男性は少年に最後に伝えるべき事を言う為に、静かに口を開いた。

 

「それじゃあ最後に……綺麗な女の先生が居たらボキに教えて~! リョウちゃんが一発会いに―――ボグッウ!」

 

「別れの場で何やっとんじゃー!」

 

 直後男性の頭に振り下ろされる『入学おめでとう!』と筆で書かれた大型ハンマー。男性は女性の見事なスイングにぶっ飛ばされ、地面に倒れピクピクと痙攣している。

 

「い、いや‥‥しんみりしちゃ悪いと思って…」

 

「全くホントに締まらないわね……とにかく! 高校生活なんて人生に1回だけなんだから、しっかり楽しんで学んできなさい! いいわね!」

 

「うん、本当に二人共今までありがとう。じゃ、いってきます!」

 

「ええ、行ってらっしゃい。」

 

 そして電車が駅のホームに停車し、扉が開く。少年はキャリアケースを引き摺りながらホームに居る二人を一瞥すると電車に乗り始める。だが電車が発車する直前、自動ドアが閉まる前に男性が少年を呼び掛けた。

 

「困ったことが有ったらすぐに連絡しろ! XYZの3文字で直ぐに駆け付ける!」

 

 直後聞える男性の声。少年は電車の窓から手を振り続け、二人も少年との別れを惜しみつつも、窓に向かって手を挙げ、互いの姿が見えなくなるまで別れの挨拶を続けているのだった。

 

 

 某日、とあるバスの車内。

 

 ガタンゴトンとバスに揺らされながら、俺は席に座り、窓から外の景色を眺めて居た。こうしてバスに乗った事は初めてではないが、窓から流れる景色は自分の知って居る景色とは随分と違っており、改めてここが新宿とは違う事場所だと感じ取れる。

 

 だがその後暫く、新宿と今見える光景を重ねて違いを楽しんでいたら、今度は一人の老婆がバスに乗車して来た。だが酷く腰が曲がっている。様子からして相当痛めている様だ、正直見るに堪えない、それほど乗車して来た老婆は痛々しく見えた。流石にこのまま放っておけない。

 

「お婆さん、こっち空いてるよ。」

 

「あら、ありがとねぇ‥‥」

 

 老婆に席を譲り、しっかりと腰を下ろせるようにこちらまで誘導してやる。老婆の方は無事に席に座ると、笑顔で礼を言ってくれた。こうした心からの感謝と言うのはやはり嬉しい。

 

 でも『ありがとう』か‥‥こんな些細な事で礼を言われて嬉しいと思ったのは何時ぶりだろうか。ユニオンに居た頃は色々有ったからな…‥‥

 

 「ねぇ、そこの君。」

 

 すると隣で合っていた女子生徒に突如話し掛けられる。視線を移してみれば其処には自分と同じ学校の制服を身に纏った一人の女子生徒がそこに居た。

 

「――――ッ!」

 

 思わず体が固まり、ビクッと体が反応する。そりゃそうだ、周りの視線を見れば解かるが、なんせその女子生徒は思わず目を惹かれてしまう程の美少女だったのだから。こんな美少女新宿の店にも中々居ない筈だ。

 

「あ、ごめんね、急に話し掛けて。吃驚しちゃったかな?」

 

「い、いや……何か御用で?」

 

「ああ、あのお婆さん。腰痛めていそうだったから、席譲ってくれてありがとうって言いたくて。」

 

「いや……大した事では無いさ。」

 

 何とか動揺を隠しながら、彼女に返答する。何という美少女、こんな上玉中々出会えない、全力でカッコつけないと‥‥でも実際間近で見て解った事だけど、この子結構胸デカいな‥‥Ⅽ‥‥いや、Ⅾか?

 

「あ、あの……ちょっと離れて貰えないかな?」

 

「はぇ?」

 

 困った様に笑う女子生徒の顔を見て思わず我に返る。気が付けば俺は彼女の胸をガン見しており、距離が5㎝程度の顔を埋める寸前にまで近づけていた。アカンアカン、思わず()()()()してしまう所だった……

 

「ああ、ゴメンゴメン。」

 

「あははは、君って面白いんだね。それにその制服、私と同じ高度育成のでしょ?」

 

「ああ、そうだけど‥‥」

 

 周りからゴミを見る様な視線を受けながら彼女の胸から顔を話す。お願いだから通報しないでネ。無意識だった事だから、ボクは悪い事してないので。

 

「私、櫛田桔梗。君は何て言うの?」

 

「ああ、俺か、俺は(リュウ)、冴羽隆だよ。」

 

「冴羽君か、宜しく。」

 

「ああ、こっちこそ、ぜひよろしく。学校同じだしよかったら一緒に行かない? 遠くから来たから友達居なくてさ。」

 

「勿論、いいよ。」

 

 自己紹介を終え、互いに微笑み会う。一段と周りからの視線が痛くなったけど、ボキはナンパしてないから許して。

 

 でも同年代の女の子と会うのって何かと初めてじゃないか? 昔の記憶は曖昧だから何とも言えないけど、覚えている限りじゃ初めてだぞ。でもなんか良いな、こういった同じくらいの年齢の女の子と話すの、新鮮だし。

 

『次は高度育成高等学校前、お降りの方はお知らせ下さい』

 

 すると車内放送が鳴り響き、目的地が近い事を知る。

 

 高度育成高等学校―――国が設立した教育機関であり、東京の埋立地にある日本政府が作り上げた、未来を支える人材を育成する全国屈指の名門校。希望する進学、就職先にほぼ100%応える学校。3年間外部との連絡は断たれる上、学校の敷地内から出るのは禁止された寮生活になるが、広大な敷地内は小さな街になっており、不自由なく過ごす事のできる楽園のような学園。

 

「あっ、冴羽君! 着いたよ!」

 

「そうだな、降りようか。」

 

 バスを降りると、櫛田と共に学校へと向かう。ここが高度育成高等学校……これから3年間過ごす場所か‥‥

 

  周りの光景を見渡しながら、前を歩く櫛田についていく。周りには多くの人がクラス分けが張り出させてる屋外提示板に集まっていた。

 

「これは……クラス分けか。」

 

「うん、AクラスからDクラスまで有るみたいだね。」

 

 掲示板を見つめる櫛田を尻目に、Aクラスから順に自分の名前を探す。どうやら櫛田が先に名前を見つけた様であり、俺が自分の名を見つけるより先に声を上げた。

 

「あっ! 私と冴羽君、同じDクラスだって!」

 

「そうか、これからよろしくな。」

 

「うんっ!」

 

 飛び跳ねながら喜ぶ桔梗を見て、思わず揺れる二つの果実を眼で追ってしまう。あー、ヤバイ。また()()()()しそう。でもまぁ共学の学校って事は櫛田以外にも沢山女の子居るんだよな‥‥…これから、いやーだとしたら本当に楽しみだ、これなら夢にまで見た彼女片手の学園生活も夢じゃないかもしれない。

 

「じゃあ教室に行こっか、冴羽君。」

 

 新しい未知の出逢いと、夢にまで見た酒池肉林の夢を胸に溢れさせ、櫛田に続く形で校内へと入り、自分が今生の知識を学ぶ事になるだろう1-Dの教室へと向かっていくのだった。

 

 

 数日前、高度育成高等学校、理事長室にて。

 

「来てくれたかい。」

 

「ええ、お呼びですか。理事長。」

 

 初老の男性が一人の女教師を出迎える。だが男性の表情は何処か深刻そうであり、女教師は入室した時点で自分が呼ばれたのは只事ではない事を察した。大方何の話なのかは分かっている。

 

「新入生のお話でしょうか?」

 

「ああ、その通りとも。まずこの資料を見てくれ。」

 

 初老の男性はそう言うと、資料を取り出しデスクの上に置いて見せる。女教師はその資料に目を通せば、その表情は徐々に驚愕の色に染まっていった。

 

「これは……」

 

そこに書かれていたのは一人の新入生のデータ、入学試験の際に学校側が審査した結果だ。

 

冴羽隆

 

学力 A

 

知能 A+

 

身体能力 A+

 

判断力 A+

 

協調性 B

 

面接試験でも模範的な対応を行い、見事な成績を修めている。どれも平均以上の能力を持っており、非常に優秀とも言える一人の生徒。だが目が向いたのは下記された備考、及び経歴の欄。

 

「気が付いたかね?」

 

「ええ、彼の出身地、学歴、経歴が全て抹消されている。彼は何者です?」

 

 「わからない。理事会では彼の入学に反対する者も多かった、だが……」

 

 女教師は額に汗を浮かべながら男にそう尋ねるが、男は静かに首を横に振る。すると再びデスクの中から一枚の封筒を取り出した。

 

「これは……総務省?」

 

「開けて見てくれ。」

 

 封筒に記されていた送り先は、日本の行政を担う国家機関の名前。女教師は目を細めつつ、何故そこから送られて来た物が有るのか不審に思いながらも封筒を開き中に入っていた1枚の書類へと目を移した。

 

「これは…彼の推薦状?」

 

 「日本政府が彼を入学する様に話を進めている。話しによれば総理すらもこの話に関わっていると言う噂だ。わが校が国立である以上国の決定には従わざるをえない。」

 

 眼を閉じながらそうな話す男性は上手く暈しているが、女教師には事実は伝わっていた。それはこの学校が国から直々に圧力を受けていると言う事。否、もしかしたら日本そのものが何かしらの圧力を受けているのかもしれない。

 

「入学はさせる。だが経歴が消されている以上君のクラスで預かって貰う、その意味は解るね?」

 

 男の言葉に女教師は無言で頷く。ここは国立高度育成高等学校。普通の学校とは違う、実力の優劣でクラスを分け、お互いに競い合わせる実力至上主義の学校。一斉一台の決断をした二人の表情とは裏腹に、机に広げられた資料には、この話題の元凶ともいえる存在が満面の笑みを浮かべてダブルピースしている写真が上に重ねされていた。

 




 この作品の主人公の冴羽隆君だけど、リョウではなくリュウです。次回から漢字で書こうかな。


感想は作者のモチベに直結しますので、じゃんじゃん書いてください。お待ちしています。

ハンマーで殴られるなら誰が良い

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