怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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後悔しない選択を

~4月11日·朝·青空寮~

 

いつもより早く起きた朝。自分の部屋で支度を終え洗面台に向かい顔を洗う。

 

明日翔「ついに本番…か。」ニヤリ

 

歯磨きうがいを行いリビングへ。すると既に先客がいたようだ。

 

空「先輩。お、お、おひようございた、ます。」

 

明日翔「おひようごさいたますー。」「な~んだ空、緊張してるのか?声も口もブルブル震えちまってるぜ。」

 

空「それはもう…今日のことを考えたら………息切れが………ふぅ………」ゼーハーゼーハー

 

明日翔「おいおい、過呼吸みたいになってるぜ。」ホトントン

空の背中をトントンと優しく叩いて呼吸を促す。

 

美海「空ちゃん、大丈夫だから慌てないで。ホラ、深呼吸、深呼吸。」「ゆっくりと息を吸って~?大きくはいて~。ね、落ち着いてきたでしょ?」

 

空「はぁ………少し落ち着いてきました。見るのと出るのじゃ、全然気持ち違いますね。」

 

美海「誰だって最初の試合は緊張するんから、気にしない気にしない。」

 

ソフィーナ「あら、3人とも早いのね。気合い十分といったところかしら?」

 

ソフィーナが降りてきた。

 

美海「ソフィーナちゃんこそ、もう出掛けるの?」

 

ソフィーナ「ちょっと用事でね。黒の管理区に行ってくるわ。試合の組み合わせ発表までには戻る予定よ。」

 

美海「そうなんだ…大変だね。お腹がすかないように、ご飯は食べていけば?」

 

ソフィーナ「そうね。でも時間がないから、少しでいいわ。」

 

イッテラッシャイー

 

朝食後、戦いの最終確認を行う。役割・流れを打ち合わせる。

 

美海「わたしは攻撃に専念するから、後ろは空ちゃん。よろしくね。」「明日翔くんは、敵の作戦を見破って打開策を考えて。隙を見てリンク。考え事はまかせたよ。」「私は前でラインをキープするけどもし相手に接近された時は…って、あれ?」

 

机においてあるファイルに目がいった。

 

美海「そこに置いてあるの、さっきソフィーナちゃんが持ってたファイルじゃない?」

 

空「本当ですね。忘れ物でしょうか?」

 

美海「もしかしたらソフィーナちゃん。困ってるかも。私、ちょっと届けてくるね。」

 

空「あっ、じゃあ私が行ってきますよ。まだ試合までは時間がありますし。」「それに、少し動いて緊張をほぐしたいので。」

 

明日翔「そっか。俺も試合まではやることないし、ウォームアップがてらついていくか。」

 

美海「じゃあ、悪いけど二人にお願いしていい?」

 

空「はいっ。この時間だと…返りはそのまま会場に向かった方がいいですよね?」

 

美海「だね。それじゃ、会場で!頑張ろうね!」

 

明日翔「おん。またな。」

 

俺たちは一度別れ、黒の管理区に向かうことにした。

 

~黒の管理区~

 

空「うわぁ~、ここが黒の管理区ですか。すごい……まるで童話の中みたいですっ!」

 

明日翔「しっかし、真っ暗な場所だなぁ。月も紅いし…まるで血の色だ。」

 

黒の管理区を歩いているとソフィーナを見つけた。

 

ソフィーナ「あら?どうして貴方たちがここにいるの?」

 

明日翔「おお、ソフィーナ。探したぜ、忘れもんよっ。」ヒョイ

 

ファイルを渡す。

 

ソフィーナ「わざわざ持ってきてくれたの?ちょうど、取りに戻るところだったのよ。」

 

空「入れ違いにならずに済んで、よかったです。」

 

ソフィーナ「大事な日なのにごめんなさい。…でも、これがなかったら仕事にならないから、本当に助かったわ。」

 

明日翔「こ~んなときでも仕事熱心だなぁ。なんの仕事だ?」

 

ソフィーナ「仕事というか、私の使命みたいなものよ。」「私が青の世界にいるのは、このためでもあるんだから。」

 

空「なんだか凄そうです…!ソフィーナさんのお仕事って、どんなことなんですか?」

 

ソフィーナ「『世界接続』の原因の特定と、解決法の調査よ。」

 

─世界接続─

青、黒、赤、白、緑。五つの世界が文字通り繋がってしまった事件。今でこそ『世界接続』そのものは当たり前となっているが、その影響は未知のままだ。そして青嵐学園は、その『世界接続』を研究する場でもある。

 

明日翔「…ってどっかで聞いたことがあったかなぁ?」

 

空「き、聞いておいてなんですが…そんな大事なことを私たちに話して大丈夫なんですか!?」

 

ソフィーナ「別に隠してないから平気よ。それに、責任者は私だし。」

 

空「そ、そうなんですか…!」

 

ソフィーナ「あぁ、ごめんなさい。もう行かなきゃ。二人とも、本当にありがとう。」

 

空「いえいえ。お仕事頑張ってくださいね。それでは、また後程!」

 

ソフィーナ「ええ、試合会場で会いましょう。」

 

俺達は青の世界に戻り試合会場に向かった。

 

~青の管理区・中央アリーナ~

 

試合の順番が発表されウォームアップをする。俺たちはなんと本番第一試合を任されることとなった。

 

アナウンサー「これより、第一試合。新歓戦第一回戦Aブロック公式戦。時間無制限一本勝負を行います!」「赤コーナー、在校生『風の支配者』日向美海!」ワァァァァァァ「新入生『果てなき蒼』久遠空!」パチパチパチパチパチ「さぁ皆さんお待ちかね!このチームを率いるαドライバー は!?」「編入生『超新星』後藤~明日~翔~!!!」ウォォォォォォォォ

 

俺たちはフィールドに足を踏み入れコーナーにたつ。地震が起きんばかりの大歓声に思わず武者震いした。

 

明日翔「まったく大した歓声だぜ。びっくりだよ、体が震えちまった。」ブルブル

 

美海「さぁ、最初は私たちだよ!頑張ろうね!」

 

空「はいっ。不肖、久遠空、先輩のために微力を尽くさせていただきます!」

 

アナウンサー「青コーナー、新入生『緑の世界の獣人』ナクル・クルルシファー!」パチパチパチ「そして、この新入生とコンビを組んだプログレスは!?」「在校生『双盾の不沈要塞』ルルーナ!!!ゼンティア!!!!」ワァァァァァァァ

 

ナクル「ボクのことはエクシード名を言ってくれないのねー。」ガックリ「やれやれー。初戦から先輩が相手とは、ついてないですなー。」

 

ルルーナ「ナクルー?最初から諦めるのやめてー?」

 

ナクル「そう言われてもー。見てー、あのやる気に満ちた3人の瞳ー。」「かたやボクは事務員なのに、引っ張り出されて過労ぎみー。」

 

ルルーナ「まーまー、頑張ったら何でも言うこと聞いてあげるからさー。」

 

ナクル「なんでも…?」キラーン「むー、まー、そう言うことならちょっとだけ頑張るとしますかー。」「そーゆーことなので、胸を貸してもらうよ。センパイ-。」

 

アナウンサー「両者セットポジションへ!」「ブルーミングバトル!開始!!!」

 

明日翔「さぁ~て、がっかりさせんなよ!ナクル!ルルーナ!」「いくぜ!空!美海!」

 

俺はセットポジションからダッシュでフィールドを走り状況を確認する。

 

ルルーナ「そっちこそ。ナクルにあっさりやられないでよ!」「盾を張る!」ズドン!「ナクル、行ってきな!」

 

ナクル「あいあいさー。」ビュンッ

 

ルルーナ、グリューネシルトの守護神。あのデカイ盾で前線を守るエースのうちの一人。

恐らく相手の作戦はナクル筆頭のヒットアンドアウェイ。だが、前回と違うのは難攻不落の盾が存在すること。美海の風があっても前線に盾がいれば風を防ぐことができ、距離を詰めることができない。仮に距離を詰めたとしてもシールドバッシュで離される。つまり前回の作戦は通じない。

 

~観客席~

 

ミコト「さぁどうする?明日翔くん。」

 

城琉「そんなことを考えないあいつでは、ないがな。」

 

ミコト「リュウセン・ジョウルくん。」「試合の打ち合わせはいいの?」

 

城琉「あいつの試合は、テレビじゃなくこの目で見るときめてんだ。」「あいつは重箱の隅をつつくような男だ。一見追い詰められてるように見えてそれは罠だったりすることもある。」「いまあいつが考えていることと言えば…。」

 

~フィールド~

 

明日翔「逆にナクルを捕まえてルルーナを孤立させちまえ。」「そのための道筋も…見えた!」ズサッ

 

走り回るのをやめ指示を出す。

 

明日翔「美海。ナクルの攻撃をただひたすら避けて弾け。空は美海の援護を頼むぜ。」「今は期を待つ時間だ。」

 

美海「ルルーナちゃんを攻略する作戦ができたんだね?」

 

空「はい!先輩の指示に従います!」

 

ガキン!ヒュッ,キン!ブーン、ボン!

 

バリアや剣技を駆使しナクルの攻撃を弾き続ける。

 

ルルーナ「ちょっとー?攻撃が当たってないよー?」

 

ナクル「相手の防御が固いー。私の攻撃よく弾いてくるー。」ヒュッ

 

ガキン!

 

またしても攻撃を弾く。

 

ナクル「何を考えてるのかー?センパイ、教えておくれー。」「じゃあ…こっちを先にねらうー!。」ビュン

 

美海をスルーし空を襲おうとするナクル。かかった!

 

空「バリアフォール!」ビビビビビビビビ

ナクル「あっ!」ビックリ

 

バリアフォールで自陣のフィールドを覆い、ナクルを閉じ込めて孤立させることに成功した。

 

ナクル「うーん。今度は誘い込まれたー。」「でも、たたかうぞー。」「えいっ。」ビュ

 

美海「ひゃっ!」

 

ナクル「隙あり」ガスッ

 

何かを美海に投げて隙を作り攻撃し退かせる。

 

ナクル「にひひ、これで一本とりかえしたー。」キラーン

 

ルルーナ「ナクルー?もどれそー?」

 

ナクル「もうすぐバリアが切れるー。お待ちをー。」「はい逃げー。」ビュン

 

逃げられちまった。なるほど、砂かけか。ずいぶん古い攻撃だな…と思ったが野生の本能ってやつか。

 

明日翔「よーし、プランBに変更だ!。」「今度は俺たちから攻めるぜ。」「作戦を伝えるぜ。」

 

コソコソ…

 

ナクル「えーいじれったいー。ボクからいってきまー」バシッ

 

ルルーナ「ダメー。いったら捕まっちゃうでしょー。」

 

美海「おっけー。じゃあ、行ってくるね!」ビューン!!!

 

美海は風の力を使い高速でルルーナの元へ攻撃をしに行く。

 

美海「エアリアル・チャージ!」シュバッ!

 

ルルーナ「おっと!」ガキン!

 

美海の攻撃をルルーナの盾はいとも簡単には防ぐ。しかし、攻撃をしたことにより美海の剣には風が渦巻き始めた。

 

美海「流石ルルーナちゃんの盾!何でも防いじゃうね!」

 

ルルーナ「褒めても勝ちは譲らないよー?ナクル、行ってきな!」

 

ナクル「あいあいさー。」ビューン!!!

 

ルルーナの後ろからナクルが空の方向へ一直線に飛んでくる。

 

ナクル「まずは一人!」ビュオオオオ!!!

 

ナクルは爪を振り下ろす。でも、俺たちはこれも待っていた。

 

空「先輩!リンクです!」ビリリッ

 

明日翔「空!お前さんの力みせてやりな!」ビリリッ

 

空「私のリンクしたエクシード!アクセルショット!」ビュン!!!!!

 

バコン!

 

ナクル「ぎにゃ!!!!!」

 

ルルーナ「ナクル!!!」

 

見事にナクルに空の攻撃が直撃した。ナクルが一人になる時、美海に攻撃させる気はハナからなく空に攻撃させる予定だった。そこに…

 

美海「じゃあルルーナちゃん!またあとでね!」ビューン!!!

 

ルルーナ「あっ!ちょ!」

 

美海は風の力を使い超高速でこっちに戻り、追撃を浴びせる。

 

美海「ナクルちゃん、ごめんね!エアリアル・チャージ!」ザシュッ!!!

 

ナクル「ぎにぇ!!!!」

 

美海「止めだよ!エアリアル・セイバー!」ズシャァン!!

 

ナクル「ぐわー!!!」ドサッ「ばたんきゅー。やられたー。センパイにギャフンと言わせられるのはもっと先かもー…。」バタンピヨピヨピヨ…

 

美海は見事、ナクルを撃破してくれた。さらに攻撃をしたことによってさらに剣に風がほとばしる。

 

ルルーナ「ナクルー…ごめんねー、そこまでいったら守れないよー。」シュン

 

美海「明日翔くん!エクシード・リンクするよ!」ビリリッ

 

明日翔「おーけー!お前の本気を見せてやりな!」ビリリッ

 

美海「ルルーナちゃん!いくよ!」ドギューン!!!!

 

先程よりも超高速でルルーナの元へ行き。

 

美海「ふっとべー!!!!」ギュン!!!!

 

ルルーナの盾の前で剣を振り抜いた。そう、振り抜いただけ。当ててない。

 

ルルーナ「…?外してくれた?」

そう誰もが思った瞬間振り抜いたその場から爆風が生まれだし

 

ルルーナ「うわわっ!!!!!下から風が!!!!」ビュオオオオオ!!!!「あー!私の盾が!」

 

爆風にルルーナの腕が耐えきれず盾が吹き飛ばされてしまった。

 

ルルーナ「これまっずいね…。あはは…。」

 

美海「ルルーナちゃん!私の本気受け取って!」キィィィィィン「ウィンド・スラーッシュ!!!!」ビュゥゥゥゥズシャァァァン!!!!

 

ルルーナ「うわぁっっ!!!!」ドタン「…ホントに容赦しないじゃん。降参ー。まいったー。」ガクッピヨピヨピヨ…

 

アナウンサー「そこまで!!!!!」「新歓戦第一回戦Aブロック、美海チームの勝利です!!!」

 

空「やりましたね!先輩!第一回戦。突破です!」

 

明日翔「おう。ま、ざっとこんなもんよ。少し想定外の動きもあったけどなぁ。大方うまく行ったかな。」

 

美海「うん!空ちゃんのサポートも、明日翔くんの作戦もバッチリハマったね!」

 

~控え室~

 

空「はあぁ~…私、緊張で手がまだ震えてますよっ。」ガタガタブルブル

 

控え室に戻るとミコトが待っていた。

 

ミコト「やぁ、初戦の勝利おめでとう。見ごたえのある、いい戦いだったよ。」

 

明日翔「ヒメガミ。ありがとな、まぁざっと俺たちにかかればこんなもんさ。」

 

空「会長はどうしてこちらに?もしかして、新歓戦に緊急参戦ですか!?」

 

ミコト「あはは、まさか。ただの視察だよ。というか、キミたちの様子が気になってね。」

 

美海「私たちの?」

 

ミコト「明日翔くんに厳しい条件を出したのは私なんだから、それくらい当然でしょ?」「贔屓するつもりはないけど。様子を見に来るくらいには気にかけてるよ。」「思ったよりいいチームを仕上げてきたみたい。心配する必要はなかったみたいね。」「この調子で、キミたちが勝ち進めることを祈ってるよ。」

 

美海「ヒメ会長、ほんとに明日翔くんの応援のためだけに来てくれたんだ?」

 

ミコト「そうだよ、言ったでしょ?私はキミたちの味方だって。」「ちゃんもαドライバーの能力を証明して、学園に残ってくれたら、結果的に私も楽になるからね。」

 

明日翔「というと………先に目を付けたっていう実績がほしいって訳だな。お前さんも考えるねぇ。」

 

ミコト「ふふ、自分が思ってる以上にαドライバーは貴重な存在なんだよ。優秀なものであればなおさら、ね。」

「もしキミたちが新歓戦で優勝して注目を集めれば、キミにチャンスを与えた私の発言力も強まる。」「私は生徒の代表でもあり、赤の世界を支える柱、七女神の一人でもあるからね。」「私の判断には厳正な学園運営が求められるし、その責任も軽くはないんだ。」「学園を他の世界の横やりから守るため。私個人の力も重要、ということだね。」

「…まぁ、政治の話はほどほどにしておこう。」「とにかく、キミたちが勝てば勝つほど私の仕事が少し楽になっていくってこと。」「そういう意味では私はキミに大きくベット(賭ける)してるんだ。キミだけにリスクを背負わせている訳じゃない。」

 

そう言うとミコトは俺に近付いて緩めていたネクタイを締めてこういった。

 

ミコト「キミには期待してるんだから、がんばって。」キュッ「じゃあ、この後の試合も上で見させてもらうよ。3人とも頑張ってね。」

 

そういい残し、ミコトは戻っていった。俺たちは二回戦、三回戦を勝ち抜き準決勝決定戦まで駒を進めた。

 

美海「やったぁ!これでベスト8だよ!」

 

明日翔「とりあえずは今日の区切りだな。楽しかったぜ。」

 

空「はい!お二人ともすごいです!本当に優勝が見えてきました…!」

 

美海「明日の準決勝は、最初の試合でソフィーナちゃんのチームと当たるね。」「それから決勝はセニアちゃんとも戦うことになるかも。」

 

空「うぅ…まだまだ道は険しいですね…。でも、ここまで来たら負けたくありません!」「美海さん。帰ったらもう一度、連携の確認をさせてくださいっ!」

 

美海「うん!もちろんだよ!そして明日は三人で!優勝しよう!」

 

明日翔「ああ、優勝は俺たちでいただく。」

 

空「はいっ!」

 

決勝は城琉のチーム…今大会にして最大の鬼門であり決勝にふさわしい相手……あいつを倒せるのは俺だけだし俺を倒せるのもあいつだけだ。引き分けはない、覚悟を決めよう。

 

~夜・生徒会長室~

 

ミコト「…本当にいいの?一度手続きをしたら、もう取り消せないよ?」「キミはこの学園に所属するプログレスだ。」「協定では、キミの世界の都合よりも学園を優先してもいいことになっているんだよ。」「もう一度聞くけど、本当にいいんだね?」「…そう。わかった、受理しよう。」「ああ、そのことは気にしないで。彼らのためにわざとやったなんて思わないから。」「キミの複雑な立場は理解しているからね。でもキミもつらいだろう。」「…ふふ、わかってるよ。ちゃんと受理しておくから、安心して。」「それじゃ。」

 

ガチャ

 

ミコト「…ふぅ~。ナクル、この書類をお願いできる?明日朝までの急ぎなんだ。」

 

ナクル「うー。昼のダメージが残っててつらいなりー。でも畏まりー。」「…おや?会長、この内容は…。」

 

ミコト「いいんだ、彼女自身がきめたことだから望むとおりにしてあげて。」

 

ナクル「…あいあい。それでは…」

「ソフィーナの欠場申請を処理しまするー。」

 

~4月12日・朝・青空寮~

 

空「先輩、美海さん、おはようございますっ。今日も頑張りましょうね!」

 

美海「おはよう、空ちゃん。…ふふっ、やっぱりだ。」

 

空「え?何がですか?」

 

美海「ほら、昨日の朝は全身ガチガチだったでしょ?今日はすごくリラックスしてていい表情してる。」

 

空「えっ?そ、そうだったでしょうか?うぅ、お恥ずかしい…」

 

明日翔「ああ、ものすご~く緊張してたぜ?昨日、俺にあいさつした時なんて言った覚えてるか?」「お、お、おひようございたます~。ってよ、うひひひひ。」

 

空「むむむ」ジト目&ホッペプクー

 

美海「ふふ、その感じなら調子もよさそうだね。」

 

空「はいっ、昨日の疲れも残ってないですし、ソフィーナさんとの戦いに向けて万全ですよ!」「…ってあれ?ソフィーナさんはまだ寝てらっしゃるんですか?」

 

明日翔「ああ、確かに珍しいな。あいつが…」キョロキョロ

 

美海「それが、朝から姿が見えないんだよね。もう試合会場に向かったのかも。」

 

空「さすがソフィーナさん。きっと早起きして入念に準備されてるに違いありません!」メイアンノキラーン「私たちも負けていられません!後でもう一度連携の確認をしましょう!」

 

~中央アリーナ・控室~

 

俺たちは連携の確認を行い中央アリーナの控室にむかった。その時事件は起こった。

 

会場アナウンス「本日の新入生歓迎ブルーミングバトル二日目の対戦カードに変更がございます。」「本日予定されていた第一試合の美海チームVSソフィーナチームですがソフィーナ選手の黒の世界の都合により欠場となりました。よってソフィーナチームは棄権となり代替チームの出場が予定されております。」「急なアナウンスになってしまい大変申し訳ございませんでした。チケット代金の返金対応につきましては───」

 

空「えーーーっ!!??」「ソフィーナさんのチーム、決勝トーナメントを辞退しちゃったんですか!?」

 

美海「うん、さっき会長から聞いたんだけどね。黒の世界からの急な仕事で呼び出されたんだって…」

 

空「そんな…だから朝、寮にいなかったんですね。」「うぅ、残念です…ソフィーナさんに特訓の成果を見ていただきたかったのにっ。」ウルウル

 

美海「…ソフィーナちゃんがいないなら、何が何でも絶対に優勝しなきゃね。」メラメラ

 

???「ソフィーナのチームが欠場しても優勝できると決まったわけではありません。」

 

美海「…セニアちゃん。」

 

セニアが控室に入ってきた。」

 

セニア「お互いに勝ち進めば、決勝で私たちは戦うことになります。」「昨日までの戦闘データを検証した結果…明日翔さんの勝率は3%です。」

 

美海「ふふ、それならよかった。」

 

セニア「…よかった、とは?美海は負けるつもりなんですか?」

 

美海「セニアちゃんの計算でも、私たちは勝てる可能性があるんでしょ?」「それなら、私たちはできる!ぜーったい!」

 

セニア「では、ぜひその意気で勝ち上がってきてください。」

 

セニアは一呼吸置いたあと、淡々とこう告げた。

 

セニア「…私には、今の美海たちには足りないものがあるように見えますが。」

 

空「…え?足りないものって…。」

 

明日翔「いっちまったな…。」

 

空「私たちに足りないものとは、いったい、何のことでしょう?」

 

明日翔「…俺たちは練習のほかに、やり残したことがあるのかもしれないな。」

 

美海「うん、私もそう思うかな。でも今考えてもすぐに答えが出るわけじゃないと思うし…」「決勝戦トーナメントの中で答えも見つける…で、いいんじゃないかな?」

 

空「そうですね、まずは一戦一戦を大事に!行きましょう!先輩!美海さん!」

 

俺たちに足りないもの…それは何だ…。分からねぇな、この俺としたことがこいつらを勝たせるって約束したのに。

 

美海「明日翔く~ん?顔が怖いよ!リラックスリラックス♪」

 

空「そうですよ!先輩の作戦があれば勝てます!」

 

明日翔「おぉお、そうだな?俺たちの強さ、あいつらに見せつけてやろうぜ。」

 

俺たちは準決勝を勝ち抜き決勝へコマを進めた。しかし問題が生じた。

先ほどの準決勝戦で美海とリンクした際、乱れが生じてしまった。

 

空「美海さん、次のセニアさんとの決勝戦なのですが…」

 

美海「…」

 

空「あの、美海さん?」

 

美海「え…!?えっと、どうしたのかな?」

 

空「決勝戦での戦い方を再確認したかったのですが…」

 

気丈にふるまっちゃいるが試合が終わった後もぼーっとしていることも多く、顔色も悪い。ソフィーナに見られていたらチリ一つのこっちゃいなかったろう。

そりゃそうだ。経験の浅い空や無茶苦茶な指示を出す俺を介護しながら戦っているんだ。負担が軽いはずがない。だからこそ、俺が勝たせる必要がある。

 

美海「ほらほら、心配しないで!」「絶対、勝ってみせるから!」「さぁ、次はいよいよ決勝だよ!」

 

俺は悩んだ末、絞り出した答えが

 

明日翔「本当に、大丈夫なんだな?」

 

美海「うん!いっぱい練習してきたもん!」「ここで練習の成果みせようね!」

 

???「やっぱり、お前らが決勝に来たか。明日翔、空の嬢ちゃん。」

 

空「城琉さん。」

 

明日翔「城琉!なんだ、戦の前のあいさつってか?」

 

城琉「ああ、そんなとこだ」「…ほら、お前さんの銃。返すぜ。」

 

明日翔「おん。俺も忘れずに、持ってきたぜ。」

 

お互いの武器を返しあう。

 

城琉「すこし、話そうか。」「すぐ終わるぜ。」

 

明日翔「おう。お前らは、少し休んでてくれ。」

 

~廊下~

 

城琉「…今回組んだあいつらには俺の技をちょいと叩き込んである。動画で見るようなあいつらではない、と思っといたほうがいい。」「あいつらは、お前らが決勝に来ると見越して、俺に頼んできた。」「勝利の執念はそんじょそこらのやつとは大違いだぜ。」

 

明日翔「へぇ~、そらまたえらい目ェつけられちゃってんね。」

 

城琉「味方より敵として興味が出たらしい、それでどっからか俺がお前と仕事してるって情報を見て俺に声をかけたって話だ。」「それに、個人的にお前とは一つやりあってみたかったんだ。」

 

明日翔「確かにな、喧嘩して撃ち合ったのも随分前か。」

 

城琉「よし、明日翔。ここは一つ賭けをしないか、俺たちに引き分けはねぇ。勝つか負けるかだ。」

 

明日翔「面白れぇ、乗ってやろうじゃんの。望みは?」ニヤリ

 

城琉「そうだな…高いウイスキーが飲みてぇな。お前は?」

 

明日翔「数日間俺のウロボロス退治代行、簡単だろ?」

 

城琉「…成立だな。」ニヤリ

 

~中央アリーナ~

 

アナウンサー「これよりメインイベント新歓戦決勝戦!時間無制限一本勝負を行います!」ワアアアアアアアア

 

美海は疲労を顔に出さず、悠然と決勝戦の舞台へと足を踏み出した。

 

美海「いこう!明日翔くんを退学になんてさせないんだから!」

 

空「はい、私も頑張ります!」

 

美海「……」

 

やはり、美海は100%の状態ではない。ほかにも何か…

 

美海「明日翔くん!また顔が怖くなってるよ?頑張ろうね!」

 

俺は考えを振り絞ってこの答えしか出てこなかった。

 

明日翔「…無理はするなよ。」

 

美海「もー!明日翔くんは心配性なんだから!」「大丈夫、私が何とかするし頼りにもしてるから!」

 

アナウンサー「泣いても笑っても!この試合が最後です!新入生歓迎ブルーミングバトル決勝戦!」「ブルーミングバトル!!!開始!!!」

 

俺達は二手に分かれ敵の特徴を見つけ出すことから始める…が、美海がどれだけ耐えられるかわからない以上、この勝負、さっさとケリをつけたほうがいい。セニアの事は空や美海に任せよう。俺が見るべきは空を飛ぶあのアンドロイド。ステラだ。

 

~城琉視点~

 

城琉「あいつ、何か動きがおかしいな…。」「まるで勝負を急いでいるように見える。」ガチャッ「約束通り弾は一発も使ってないな。」ガチャッ

「となれば、一つ仕掛けをしてみるか。」「さて、あいつらは作戦を覚えているかな?」スチャ

 

バゴォォォォォン!バゴォォォォォン!

 

~数時間前~

 

城琉「いいか、今からお前たちに作戦を伝える。」「まずはステラ、お前さんはあいつらをビビらせろ、俺が合図を送るまでは攻撃をするな。」

 

ステラ「なぜ、攻撃してはいけない?」

 

城琉「あいつは見るのが上手いんだ。会話や動きで相手の癖を読み取るのが異様にうまい。事実その能力に俺は何度も助けられたし仕事を成功に導くことができた。」「まだ情報がないお前さんの能力をむざむざさらすのはもったいない。」「だからお前さんの仕事の一つとして『情報の誤認をさせること』を頭に入れておいてくれ。」

 

ステラ「了解。記憶した。」

 

城琉「次にセニア、お前は美海の嬢ちゃんだけを狙え。状況によって戦闘を引き延ばすか詰めるかそれは自己判断にしてくれていい。」「そして戦うとき、常に明日翔を視界にマークしろ。」

 

セニア「城琉、ここまでして明日翔さんをマークする理由を求めます。」

 

城琉「さっきも言った通り『見させない』ためだ。そしてなによりあいつらはあいつの頭で動いているといっても過言じゃない。常にお前さんたちが監視することによって相手の頭の機能を停止させる。あいてのまともなアタッカーは美海の嬢ちゃんくらいのもんだ。空の姉ちゃんも攻撃するときはあったが…リンクと作戦ありきのものだろう。」「あとあいつはルールの隅を突きまくる男だ、このくらい用心しないとまともに勝てる気がしねぇ。」

 

セニア「わかりました。話に上がった空さんはどうしますか?」

 

城琉「空の姉ちゃんはステラ、お前に任せた。しかし空の姉ちゃんには厄介なバリアがある。それを出させないためにお前さんたちに『ある技術』を仕込んだ。」「これが俺なりのあいつに勝つための必勝

術だ。あとはお天道様に祈るだけ、といったところか。」

 

ステラ「ジョウル、肝心なことを忘れている。攻撃の合図を教えて。」

 

城琉「おっと…物がねぇと忘れちまっていけねぇな。今手元にないが俺は普段リボルバーを使っている。」「今からいうことを覚えておいてくれ。」「二発撃ったら攻撃準備。」「三発撃ったら攻撃開始だ。」

 

~そして現実に戻る~

 

セニア(後方から銃声二発、攻撃準備。)「ブルム・エクス・マキナ展開」

 

ステラ(ニトロブースター用意、いつでも点火可能)

 

~明日翔視点~

 

くそ!マークが厳しすぎる!ろくに作戦も考えれやしねえ。ステラも俺の威嚇をしてくるばかりで何もしてこない。情報がなさすぎる。空も美海も後手後手だ。ただ今の状況で戦闘を引き延ばすとやべぇ!

 

バゴォォォォォン!バゴォォォォォン!                                                                                                                                        

 

今のは城琉の銃の音だ。さては何かの合図に使いやがったな。いずれにせよでかいのが来る前に決めちまおう。

 

美海「…」チラ

 

美海も同じ考えのようだ、エクシード・リンクの構えをとる。

 

美海「明日翔くん、これで決めよう!エクシード・リンク!」ビリリッ

 

明日翔「あ…?」

 

ブルムエクスマキナの機体が一機すくねぇ…まさか城琉!

 

~城琉視点~

 

城琉「そろそろ決着か…。」スチャ

 

バゴォォォォォン!バゴォォォォォン!バゴォォォォォン!

 

セニア「後方より銃声三発、大技が来ます。ステラ。貴方は空さんを。」

 

美海「私の練習の成果、見せてあげる!」「ウィンド・スラ─」

 

明日翔「美海!!!!よけろ!!!!!」

 

美海「うっ!!!!」ビリビリビリビリ!!!!バタン「…なんで…どうして…」

 

セニア「ブルム・エクス・マキナ展開の際、機体を一体懐に忍ばせていました。機体からの早撃ち精度0.6秒、城琉にはまだ及ばないようです。」

 

空「美海さん!ヒールプロテ」

 

ステラ「ニトロ…ブースター!」ギュイイイイイイイイ!!!!!「ゲイルストライク!!!」グシャァッ

 

空「うっ」ギュウウウウウバゴォォォォォン…パラパラ…

 

空はステラの勢いの乗った攻撃をまともに食らい、戦闘不能に。

 

城琉「勝負ありだな…賭けは俺の勝ちだな、明日翔。最後に負けって酒の味を楽しむといい…」「エクシード・リンクだ。」ビリリッ

 

セニア「リンク完了。ブルム・エクス・マキナ出力最大。ターゲットロックオン。命中率100%」「終わりです。」

 

白い光とともに明日翔らは包まれ爆風とともに倒れた。

 

アナウンサー「そこまで!!!!!新入生歓迎ブルーミングバトル優勝は!!!セニアチーム!!!!!」

 

ワアアアアアアアア!!!!!セニア!!!セニア!!!セニア!!!

 

城琉「…」ザッザッザッ

 

大歓声の中、俺はゆっくりとフィールドを歩き3人の倒れた現場に向かう。

 

城琉「弾は、あと一発残ってる。」

 

明日翔「う…ぐぐぐ…」

 

あれだけの攻撃を食らってまだ意識があった、さすがだよコイツは。

 

セニア「3人の生存を確認。すぐに病院に搬送すれば命は助かります。」

 

城琉「だとさ、賭けは俺の勝ちだ。」ジャキッ

 

俺は銃を明日翔にむける。

 

明日翔「…なるほど、これが敗者の定めか。負けたよ、完全に。」

 

城琉「安心しろ、最後の一発はゴム弾だ。お前が一発でも使っていたら命はなかった。」

 

明日翔「うひひひ…そりゃどうも。」

 

バゴォォォォォン!…ドサッ…

 

 




気が付いたら青空寮にいた俺、そうか負けたんだな…。これも年貢も納め時ってやつかな。空、美海、ありがとう。ソフィーナ、恩を返せなくてごめんな。ユーフィリア、俺の使命もどうやら果たせそうにない。代わりにも…えええ!?時を戻せる!?

次回「希望に満ちた選択に」

また会おうぜ。
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