怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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第二章「黒魔女の夜明曲~紅き月を奪え~」
魔女王、降臨


~4月20日・朝・青空寮~

 

空「せんぱ~い、おはようございま~す…。」ガチャ

 

空「あれ…?いない…。あ、何か書いてある。『本日一日不在、何かあれば今日の夜。』」「え、えぇ…。」

 

~ユーフィリアの部屋~

 

ユーフィリア「ふあぁ~。…むにゃむにゃ…。あれ?メモが貼ってある…。『時間跳躍の準備をしておいてくれ、すぐに使えるよう頼む。明日翔』…。」「…?」

 

~黒の世界~

 

ブロロロロロ…

 

門番「次!そこの乗用車!用件を伝えろ!。」

 

老人運転手「あーこの世界にいる娘に青の世界のお土産を…そこにいるのは息子たち。」

 

門番「よし!通るがいい!おい老人!『門』は19時に閉まる!それまでに戻るように!」

 

老人運転手「すまんのぉ。」

 

ブロロロロロロ…

 

同乗者?「どうやら、無事に潜入できたみてぇだな。」バリッ

 

城琉「こんな古典的な変装に引っ掛かるなんてな。あのエルフの門番もいるだけってか。」

 

顔をつかんでマスクを剥がすと城琉の顔が出てくる。

 

バリッバリッ

 

各々変装マスクを剥がす。

 

明日翔「まぁこんなところに行こうなんてやつはいないさ。」

 

歌右衛門「ここが本当に地球なのか…。いささか信じられん。」

 

明日翔「歌右衛門、ここでは地球こ常識は通用しねんだ。いわばファンタジーのそれだぜ。」

 

城琉「しっかし暗いな、今の時間帯は朝だぜ。白夜は経験したが黒朝は経験したことがない。」

 

明日翔「黒の世界に太陽はねぇからな、厳密に言えばあるのかもな。」

 

歌右衛門は空を見て呟く。

 

歌右衛門「…大きく赤い月だ…。あまり直視はしたくないな。」

 

明日翔「この世界の名物みたいなもんさ。紅い月、噂によればこの世界の『魔力』ってやつがあふれでてる姿があの紅さの理由らしいぜ。」

 

歌右衛門「魔法…ますます信じられんが、魔法を使う種族たちを見てきた。信じるほかあるまい。」

 

城琉「んで?潜入できたはいいが、こっからどうすんだ?」

 

明日翔「ここでこいつの出番だ。」

 

モソモソとジャケットの内ポケットを探ると、小さくなった白い生命体が出てきた。

 

眷属「むきゅ」ボン

 

ソフィーナの眷属を小さくしてポケットの中に入れていた。元の顔の大きさぐらいのサイズに戻る。

 

明日翔「苦しかったか?ごめんな。」ナデナデ

 

眷属「むきゅきゅ」

 

明日翔「さぁて、道案内頼むぜ。お前のご主人様に会いに行くぜ!」

 

眷属「むきゅ!」

 

眷属のナビゲートに従い車を走らせる。一服挟みつつ途中で車を止め、歩きで目的地まで向かう。

 

~黒枢城~

 

城をとうとう見つけた。そびえ立っている。

 

城琉「ついたぞ、でけぇ城だ。それなりに世界を回った自信があるがこれほどの規模は見たことがない。」

 

明日翔「サグラダ・ファミリアぐらいはあるんじゃねぇか?それ以上も全然ある。」

 

歌右衛門「日本の城とは全く違う作りだ。それに…とてつもなく強大な気配を感じる。」

 

明日翔「こういう城にはボスがいるのが定番だぁ。」

 

城琉「そして倒した先のお宝も定番だ。」

 

眷属「むきゅきゅ」

 

明日翔「よ~し、ほんじゃ潜入開始といくかぁ!道案内よろしくな?」

 

眷属「むきゅっ!」

 

~黒枢城の中~

 

モブサキュバス「ねぇ、あの男何かしら…。」ヒソヒソ

 

モブエルフ「見たことないゴブリンだわ。」ヒソヒソ

 

モブ女オーク「それにあの鎧見て!この時代に鎧に召喚されたおバカさんがいるわ!」ヒソヒソ

 

モブエルフ「それにあの後ろにいる籠被った変人は何?」ヒソヒソ

 

モブサキュバス「青の世界で言うコムソウっていう妖怪よ、きっと生きてるときに無駄なことして診断だわ…。」ヒソヒソ

 

モブ女オーク「あー恥ずかしい恥ずかしい…。」ヒソヒソ

 

ペタ…ペタ…ペタ…ガシャン…ガシャン…ガシャン…

 

鎧「勝手にいってろ、バカ女。」ガシャンガシャン

 

虚無僧「これも、自然の道を極める修行だ…。妖怪なのではない。」

 

コブリン「さんざんな言われようだな、お前ら。」ペタペタ

 

鎧「あー!動き辛ぇ!おい、明日翔。何で鎧なんだ。」

 

明日翔「しょうがねぇだろ?サイズが合いそうなのがそれぐらいしかなかったのさ。」

 

明日翔→コブリンの変装・城琉→鎧・歌右衛門→虚無僧

 

明日翔「この世界に人間はほぼいない、てことは魔物だらけってことだ。そんな中に人間がポツーンといたら違和感でしかねぇのよ。」

 

眷属「むきゅ」

 

明日翔「そうか、お前もそう思うか!あははははは!」

 

城琉「けっ!なんも面白くねぇよ。」

 

しばらく迷路のような通路を眷属のガイドに従い歩く。

 

城琉「…で、道はあってんか?ガイドなしじゃなんにもわからねぇ。」

 

眷属「むきゅきゅ」

 

明日翔「あってるらしいぜ。この先の連絡通路を渡ると本丸らしいぞ。」

 

歌右衛門「途方もなく広い城だ、この命のガイドが無ければ文字通り真っ暗闇に迷うのみ…。」

 

絵画や彫刻、様々な芸術作品が並んでいる通路をしばらく歩いていると大きな扉が現れる。

 

明日翔「なんだぁ?これ。『モナ・リザ』か?」

 

扉全体に『モナ・リザ』が描かれていてどこか俺たちを見てきている感覚がする。

 

城琉「『モナ・リザ』の扉だ。人間と言うよりは、巨人用のサイズだかな。」

 

明日翔「ここの主はどうやら芸術家のソレがあるらしいな。ダ・ヴィンチに始まりゴッホ、ピカソ…まさかに城にぴったりな芸術だ。」

 

回りの芸術作品を見ていると眷属が懐から顔を出してきた。

 

眷属「むきゅ…?」

 

明日翔「おー?…普段は開いてるのか?そいつぁこまったな。」

 

城琉「参ったぜ、今日に限ってセキュリティは万全といったところか。」

 

歌右衛門「…斬るか?」

 

明日翔「いやぁ、そりゃ最終手段だよ。今足つけんのはまずい。」「とはいったものの、どうすっかなぁ?」

 

立ち往生していると後ろから声をかけられた。

 

悪魔衛兵「まて!そこのご一行!」

 

明日翔「んぁ?」

 

悪魔衛兵「お前たち、この城を知らないのか?この先は魔女王様の城だ。」

 

明日翔「魔女王?」

 

悪魔衛兵「魔女王様のことも知らないのか?」「この黒の世界の全てを統べる女王様だ、ここから先は魔女王様の城になる。すまないが戻ってくれ。」「城門までなら、送ってやる。」キィィィィン

 

明日翔「へぁ?」

 

歌右衛門「なんだこれは!?」

 

足元に魔方陣が出現した。

 

悪魔衛兵「安心するんだ、痛みはない」「リーブ!」パチン

 

明日翔「あらぁぁぁぁぁぁぁ…」

 

ギューン!

 

~城門~

 

ギューン!

 

明日翔「…ぁぁぁぁぁぁ、へぁ?」

 

後ろを向くと城門だ。

 

城琉「ああ、戻されちまったようだぜ。これで振り出しだ。」

 

歌右衛門「無情だ…、努力が水の泡だ。」

 

明日翔「さすが黒の世界の本丸がいやがる城だ、セキュリティは万全らしい。…が、なんとなく入る方法が見えてきたぜ。」ゴソゴソ「コイツの出番だな。」スチャッピッ

 

セニアからもらったモノクル型の機械を目につける。

 

城琉「なんだぁそりゃ?」

 

明日翔「もらったんだよ、こいつぁマッピング能力がついててな。歩いてきた道を記憶してくれるすぐれもんだ。」「ついつい忘れちまうが俺たちは泥棒だぜ?閉じてる道は開けるんだよ。」

 

モノクルの機能を使いすぐにあの扉の前に戻ってきた。

 

城琉「あー!まったく動き辛ぇよこの鎧!」ガシャ

 

明日翔「我慢してくれよ、城琉。」

 

歌右衛門「さて明日の字、この扉。どう開く?」

 

明日翔「そうだなー。まずは叩いてみる。」ゴンゴン!

 

重く鈍い音が鳴る。まるで壁みたいに。

 

明日翔「…?」ピタ…ゴンゴン!「…向こうには続いてる。だけど音が鈍いと言うか…この扉、体温みたいに暑いな。」

 

この扉に耳を当ててまた叩いたが奥に反響するような音は一切聞こえなかった。

 

歌右衛門「まさか、これが壁だとでも言うのか。」

 

明日翔「扉を模した壁か、幻影を見せられてるかの二択ってことだ。」

 

城琉「てことは行き止まりってことか?」

 

明日翔「いや、まだ何かあるはずだ…回りの壁に何か…。」ゴンゴン!ゴンゴン!

 

回りの壁を叩き続けると眷属が懐から出てきた。

 

眷属「むきゅきゅ!」

 

明日翔「おう、どした?なんか気がついたことでもあるか?」

 

眷属「むきゅーむきゅきゅ」ヒュー

 

眷属がピューとなんの変哲もない通路の壁に誘導してきた。

 

眷属「むきゅーきゅ」

 

明日翔「お~し!この壁に何かあるんだな?」

 

城琉「だがなんも変哲もない壁だ。まさか見えないところに道があるって言うんじゃねぇんだろうな?」

 

歌右衛門「あり得ん話ではない。非常に見えにくいがこの壁、違和感がある。」「よく見ろ、ホコリのつき具合が特定の場所だけ違う。」

 

城琉「あぁ?そんなもん俺には見え…。」カチッピカー「…確かに、この壁だけホコリが少ないな。」

 

ライトで壁を照らし見てみると絵画がかかってたであろう場所のホコリが少なかった。つまりここには元々絵画がかかってたということだ。

 

明日翔「ゲームみたいな仕掛けだな、てことはよ?こいつら絵画に秘密があるってことだ。こういうのは決まって法則性がある。」

 

城琉「どれどれ…。そういえば気がつかなかったが天井には『最後の晩餐』が描かれてるな。て、ことはこの辺いったいはダヴィンチの作品と考えていいな。」

 

明日翔「えーっと?作品は全部で19個、上には『最後の晩餐』…左から『受胎告知』『カーネーションの聖母』…12個目は扉の『モナ・リザ』…ここに絵画がかかってなくて最後は『アンギアーリの戦い』…。」

「あ!わかったぁ!!!」ピコーン「ぐふふふふふ、面白い仕掛けしやがって。」

 

城琉「本当か?俺にはさっぱりだ。」

 

歌右衛門「うむ、聞かせてもらおう。」

 

明日翔「まぁまぁ、そう焦んなって。実際に解きながら説明するぜ?」

 

~解説タイム~

 

まずこの絵画たちはダ・ヴィンチが描いたとされる時系列順に並んでる。

 

左の最初にある『受胎告知』は最初期にかかれたとされたものだ。

 

そして扉に写るのは13個目の『モナ・リザ』、上に『最後の晩餐』は『モナ・リザ』の前に描かれてるから実質12個目ってところか?

 

右にあるのは『キリストの洗礼』『糸車の聖母』ひとつ飛ばして『アンギリーゼの戦い』。ところがこの絵画、時系列としては少しおかしいものがあるんだ。

 

左から5番目の絵画、本来ならここには『荒野の聖ヒエロニムス』がかかってるはずなんだがあら不思議、あるのは『レダの白鳥』だ。『レダの白鳥』が描かれたとされるのは16世紀、本来のこの時系列とは全く違う。

 

~解説終わり~

 

明日翔「この『レダの白鳥』をここに立て掛けると…。」

 

ガコン!

 

右の空いたところに『レダの白鳥』を立て掛けると扉が空いた音が聞こえる。

 

明日翔「開く仕組みってわけだ。」

 

眷属「むきゅー!」

 

城琉「へっ、こいつぁ大したからくりだぜ。」

 

歌右衛門「しかしなぜこの『レダの白鳥』が鍵だと?」

 

明日翔「上の『最後の晩餐』だよ。」

 

~解説タイム~

 

そもそも時系列で掛けるなら最後の晩餐も絵画として掛ければよかった、だがそれを上に書いた。

 

それってよ、何かのヒントなんじゃないかと俺は思ったんだ。

 

この『最後の晩餐は』左から右へ見る形になっている、つまりこの通路で言うモナリザに向かって流れてみる感じだな。

 

そう見てきたとき、ちょうどとある人物がいた。

 

キリストの裏切り者とされているユダだ、ユダはキリストを銀貨で売ったとされる人物で描れているのは左から五番目。『レダの白鳥』が掛かっていたのも左から5番目。

 

~解説終わり~

 

 

明日翔「…っていうロジックさ。ついでにいうと『レダの白鳥』はダ・ヴィンチが描いたかどうかわからない、下絵はあったらしいけどな。」「隣の『アンギリーゼの戦い』もそう、ダ・ヴィンチ自身は描こうとしたが当時の手法じゃ描けなくてやめちまった。だからそこに掛かってるのは模造品…のはずだ。」「でもなん~んかやけに本物臭いんだよなぁ…。」ジロジロ

 

絵画たちをまじまじと見つめる。

 

城琉「さぁ仕掛けは解いたんだ、とっととこの扉を開けようぜ。」

 

明日翔「いや、仕掛けを解いただけじゃこの扉は開かねぇ。開くには『開けゴマ』する必要がある。」

 

歌右衛門「開けゴマ…?」

 

俺は『モナ・リザ』の巨大な扉の前に立った。

 

明日翔「リザ・デル・ ジョコンダ!アプリレー・ラ・ポルタ!」

(リザ奥さん!扉を開けてくれないか?)

 

城琉「…今のは?」

 

明日翔「『モナ・リザ』の本名だよ、今リザ奥さんにこの扉を開けるように頼んだのさ。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

眷属「むきゅ!」

 

モナ・リザの扉「久々に…私の名前を聞いたな…。」「よく仕掛けを解いた、お主は魔女王に会う資格がある、通りたまえ。」

 

扉が開き魔女王の領域へ踏み入れる道ができた。

 

明日翔「芸術家か筋金入りの泥棒じゃねぇとわかんねぇよ、こんなもん。」

 

城琉「魔女王とやらの趣味ってことか、よくもまあ泥棒でもねぇのによく集めたもんだ。」

 

歌右衛門「しかし…質感、経過年数を見てもこの絵この扉。リアル過ぎないか?」

 

明日翔「俺も引っ掛かってんだよ、地球にある本物のダ・ヴィンチ作品と比べてもまったく違いが見当たらない。」「この世にダ・ヴィンチ作品は二枚あった…?いや、黒の世界にダ・ヴィンチが来ていた…?」

 

歌右衛門「いずれにせよ、憶測の域を出ない。進むぞ。」

 

作品たちの謎をとりあえず後回しにし、魔女王の領域へ踏み入れる。因みにもう変装は邪魔なので剥がした。

 

~とある視点~

 

???「…。」「…面白い…来客だ…。」ニヤリ

 

~明日翔視点~

 

魔女王の領域に入り眷属のガイドに従い暗い道を進んでいく。

 

明日翔「しっかし暗ぇなぁここは、ここに住んでる魔女王とやら。相当目ェ悪いんじゃねぇか?」

 

歌右衛門「風すら吹かん。空気が悪い。」

 

城琉「全くだ。フラッシュなんて炊かれた日にゃお目目がオダブツだ。」

 

しばらく進んでいると部屋がポツポツと見え始めた。

 

明日翔「おっ…ようやく居住エリアってところか?ってこたぁ本丸は近いってことだ。」

 

歌右衛門「近付けば近付くほどよからぬ気迫を感じる。今回の仕事は、簡単ではない。」

 

明日翔「そんなもん百も承知さ。俺はあいつが学園をやめる理由、それが知りてぇんだ。」

 

城琉「なんだ、未練でもあんのか?」

 

明日翔「未練タラタラよおめぇ、貰った恩もロクに返せてねンだ。俺をこの学園で最初に受け入れてくれたのはソフィーナだ。だったらあいつの最後を見届けるのら俺の役目だ。」

 

眷属「むきゅ…。」ショボーン

 

明日翔「あー!しょげんなって!絶対会わせてやっから!な?」

 

こうしていると部屋の奥にキラリとしたものを目の端でとらえた。

 

明日翔「おあ!?」スタタタタタタタ「お宝だぁ!」

 

高速でドアの隙間から中を見るとお宝がたくさんあった。

 

明日翔「ふぅ~!!」カチャカチャガチャ「うわぁ~!!!ツイてるぜ!!!」

 

城琉「やれやれ…。最後を見届けるんじゃなかったのかよ?」

 

歌右衛門「あきれた男だ…。」

 

眷属「むきゅ….。」

 

明日翔「おい忘れたか?俺たちは泥棒だぜ?こ~んなオイシイもの、貰わなきゃそんよ。」「おっ…この青い珠、隕鉄でできてるぜ!貰っとこ。」ゴソゴソ

 

城琉「おい、先にいくぞ!」

 

明日翔「あ?…お~い!置いてかないでくれぇ~!」

 

お宝漁りもほどほどに俺たちは目的地へ進む。

 

~数十分後~

 

明日翔「ますます暗くなってきやがった…。ここに住んでるやつ、光を知らねぇんじゃねえのか?」

 

歌右衛門「あるのはろうそくの火と紫色の光のみ…、自然の太陽が恋しい。」

城琉「これじゃあ時期の遅い冬眠しちまうぜ、全く…。」

 

眷属「!むきゅっ!」ビックリ「む、むきゅ…」ブルブル

 

とある部屋を通ったとき眷属が突然驚いた様に跳ねて震え始める。

 

明日翔「どうした!もっちー(眷属のこと)!」

 

歌右衛門「明日翔…どうやら本丸はここにいるらしい、この部屋からただならぬ気配を感じる。この気配は相手にしたことがない。」

 

城琉「俺でも感じるぜ…こいつぁただもんじゃねぇぞ、一国の王なんて舐めねぇほうがいい。」

 

目の前にある扉は禍々しく、そこの空間そのものに威圧されるような感覚に陥る。

 

明日翔「だが、入るしかねぇ…。」「開けるぜ?」

 

ガチャ…ギィーーー…バタァ-ン

 

お互い会釈を交わして中に入る。

 

明日翔「…真っ暗だ、一ミリも光がねぇ。」

 

歌右衛門「まさに暗黒…。光すら通さないと感じさせるような暗さだ。」

 

城琉「だが意外と、中の雰囲気は普通だな?息苦しい感じはしねぇ。」

 

???「よく来た。人間よ。」

 

暗闇から声が聞こえた。

 

歌右衛門「何奴!?」

 

???「貴様らの目の前だ。」

 

バッ!!!

 

一斉にライトが照り光る。

 

明日翔「ぐっ!」

 

城琉「畜生!ライトがあるなら最初からつけろ!」

 

???「悪いな、来客の連絡は来ていなかったから照明はつけていなかった。」

 

ようやく目がなれてきた頃、目の前には黒いドレスを着た女が玉座に座っていた。

 

明日翔「ようやく面拝めたな…、お前が魔女王ってやつか。」

 

魔女王「いかにも、私は魔女王である。まずは、人間がよくここまでたどり着いた、褒めて使わす。」

 

明日翔「お褒めに預かり光栄と言うべきか?良くできた仕掛けだったよ。ありゃ誰にもとけねぇセキュリティだ。」「俺たちを除けば、な。」

 

魔女王「普段ならば開けているがこちらにも事情があってな、一時閉めていたのだ。」「あの『リザ』が扉を開ける相手だ、それなりにもてなせればよかったが、生憎と準備ができていない。」

 

明日翔「あの絵画はあんたの趣味か?いい趣味してやがんぜ。そのお陰でからくりが手に取るようにわかったぜ。」「で…誰に描いて貰ったんだ?」

 

魔女王「絵画か?名はなんと言ったか…大分昔のことだから思い出すのに時間がかかる。だが面白いやつだった、話していて飽きぬ男だった。」「…そうだ思い出した、貴様らの世界の男だ。確か─」

 

魔女王&明日翔「─レオナルド・ダ・ヴィンチ。」

 

明日翔「やっぱりか…。」

 

城琉「信じられねぇ、あれは本物だったってのか…。」

 

魔女王「聞けば貴様らの世界では偉人だと、あのお絵描きの小童が大そうな名前をつけられたものだ。」「面白い男だった、私を口説いてきた唯一の人間だ。愛の証とかのたまい絵画を送るぐらいには。」

 

明日翔「ダ・ヴィンチに恋人はいなかった。その事から同性愛者とささやかれていたが…実のところは義理を通してたのかもな。」

 

魔女王「はっはっは!実に面白い男だ、嫌いではないぞ。」「さて…次は私が問う番だ、人間。」

 

グッと威圧感が放たれる。

 

魔女王「人間よ、貴様に問う。お前がこの玉座の前に来た理由は…私の首をとりこの世界の転覆をねらうか?それとも…この城に隠された黒の世界の財宝か?答えよ。」

 

明日翔「俺はもちろん…財宝。」

 

城琉「おい!いってることが──」

 

魔女王「…。」ニヤァ…

 

明日翔「…って言いてぇとこだが今日の目的はそれじゃねぇ、財宝はまた今度だ。」

 

魔女王「ほう、この玉座の前まで来て命も財宝もとらぬと?変わった男だ。」

 

明日翔「おいおい、何も要らねぇ何て言ってねぇよ?俺がほしいものは…『理深き黒魔女』ソフィーナについてだ。」

 

魔女王「ソフィーナ…?」「人間、再び問う。お前はソフィーナのなんだ?」

 

明日翔「そうだな…言うなれば、迷惑かけてばかりでお節介の同居人だ。」

 

魔女王「同居人…?…ああ、そうか。」

 

明日翔「よ~し、今度は俺が質問する番だぜ。それも二回だ。」「なぜ、ソフィーナを退学させた?」

 

魔女王「それはソフィーナがこれから起こる出来事において必要だからだ。聞いているだろう、ソフィーナは私の右腕だと。」

 

明日翔「これから何が起こるってんだ?教えてくれよ、学園の授業で出てきたら我が物顔で教えられる。」

 

魔女王「残念だがこの話は世界レベルの機密事項だ。貴様らに教えるわけはいかん。」「これで貴様の権利は使い切った、私が問う。」「お前がそこまでソフィーナに執着する理由は何だ?ソフィーナはお前のなんだ?」「友人か?恋人か?それとも…踏み台か?答えよ。」

 

明日翔「…恩人だ。あいつは最初の出会いが最悪だった俺のことを黙って受け入れてくれた。その後、新歓戦でがけっぷちに追い込まれた時もあいつは俺に手を差し伸べてくれた。」「あいつだけは俺に変わらず接してくれた、だから俺は今ここにいれる。」「その恩を俺は何も返せてねぇ、ならよ?あいつの最後くらい見届けてやんのがせめてもの感謝ってもんだろ?」

 

魔女王「…なるほど、ソフィーナはいい友人を持ったようだ。たった一人ために他の世界に乗り込みすべてを統べる女王と話をしているのだから。」「…最後の質問だ、心して聞け。…もしお前がソフィーナの伴侶だったら…どうする?」

 

明日翔「考えたくねぇなぁ、お国や政治のために生きるなんて。」「奪われたものは奪い返す、それだけだ。」

 

魔女王「…なるほど、お前の事は良くわかった。」「貴様の最後の質問を受け付けよう、久々に人間と会話をして面白かった。もう少し答える範囲を広げてやる。」

 

明日翔「…ソフィーナはこれからどうなるんだ?」

 

魔女王「…これも機密事項だ、だが特別に結末だけ教えてやる。…ソフィーナは生贄になる、少なくとも蘇生することも奇跡が起こることもない。」「…私も残念に思う、稀代の天才を失うことになるのだから。しかし、こうするほかなかったのだ。」

 

明日翔「…そうか。」「…今あいつはどこにいる?」

 

魔女王「自室にいるだろう。…この部屋を出て少し歩けばソフィーナの部屋がある。」「最後の面会に行くといい、私が許可する。最後に知り合いと話せば少しは落ち着くだろう。」

 

明日翔「…こいつもあいつの元に返してやらねぇといけねぇんだ。」

 

懐に隠れていた眷属をちらりと見せる。

 

魔女王「ソフィーナの眷属か…いいだろう、貴様一人のみでいけ。ほか二人は廊下で待て。」

 

明日翔「…行くぜ。」

 

二人を連れて引き上げるとき、声をかけられた。

 

魔女王「人間!肝心なことを聞き忘れた、貴様の名前を聞こう。」

 

明日翔「俺の名前?…もう二度と会うことはないと思うっけどな。」「俺は明日翔、泥棒だ。」

 

ガチャ…ギィーーー…バタァ-ン

 

魔女王「明日翔とその一味…覚えたぞ。また必ず出会うことになる、それが『今日』であってもな…」

 

~ソフィーナ視点~

 

ソフィーナ「…ふぅ。」

 

ソフィーナ(慣れているのに…今日の一人は寂しいわね。楽しかったこと、やり残したこと、思い返せばたくさんあったわ。)

 

ソフィーナ「今ならあなたの言っていたことがわかる気がするわ。明日翔…。」

 

明日翔「呼んだか?」

 

ソフィーナ「えっ!!!!????」

 

明日翔「よぉソフィーナ、最後のあいさつに来てやったぜ。」

 

眷属「むきゅきゅ~~!!!」

 

ドアを開けてソフィーナの部屋に入る。

 

ソフィーナ「いつからここに、というかなんで入れたのよ!?」「眷属まで!」

 

明日翔「いったろ?ソフィーナ。俺ってばよ?あきらめが悪いんだ。」「だから話を聞きに、ここまで来ちまったよ。」

 

ソフィーナ「はぁ…、ここまでくると褒めるしかないわね。貴方に何の得もないでしょうに。」

 

明日翔「俺は損得で考えてねぇよ?お前が恩があるから来たんだ。」「…いなくなるんだろ?この世から。」

 

ソフィーナ「…誰から来たの?」

 

明日翔「魔女王ってやつから。」

 

ソフィーナ「魔女王様から聞いた!?謁見してきたとでもいうの!?」

 

明日翔「ノーアポイントでな、面白れぇ女だよ。」

 

ソフィーナ「不敬もここまでくると尊敬になるのかしら…、貴方の知り合いを変人といったけど貴方も大概だったわね。」

 

明日翔「…もう、話せなくなるぜ?お前はなんでいなくならなきゃいけないんだ?」

 

ソフィーナ「…はぁ。」「…この黒の世界には紅い月があるわね?」

 

明日翔「真っ赤できれいな月だ。」

 

ソフィーナ「あの月からは黒の世界に重要な『魔力』が流れてる…」「しかし日がたつたびに『魔力』が減っていっている。『魔力』がなくなれば黒の世界は滅ぶ、それは何としてでも避けないといけない。」

 

明日翔「…それでお前が…。」

 

ソフィーナ「生贄には強大な力を持つプログレスが必要なの。当初は別にプログレスを用意する予定だった…でもできなかった。差し出せるわけなかった。…もう私以外いなかった。」「…私だって生きて貴方や美海の事を見ていたかった。けれど、もう後に引けない状態なの。」

 

明日翔「…もう変わりは、いねぇんだな…?」

 

ソフィーナ「…ええ、いないわ。」「…貴方は変わらないわね、私のためだけに黒の世界に来て、魔女王と話をしたうえでここまで来てしまった。…そんな馬鹿になりたかったわ。」

 

明日翔「馬鹿も大変だぜ?馬鹿に選択肢はすくねぇんだ。」

 

ソフィーナ「ふふ…そう返すのも貴方らしい。」「…お別れは22日の予定よ。」

 

明日翔「覚えとくよ。22日、見届けるさ。」

 

ソフィーナ「…それじゃあ、元気でね。眷属も、私についていくことはないわ。彼と行きなさい」

 

眷属「むきゅ…むきゅ…」ウルウル

 

明日翔「こいつはお前の元にいたいらしい、最後までな。だからおいてくぜ。」

 

ドアまで歩きドアノブを手にかけると呼び止められる。

 

ソフィーナ「待って!最後に一つ聞かせて!」「貴方は夢を追い続けるものだといった。じゃあなたの夢は、いったい何の?」

 

明日翔「俺の夢?そうだな…」「世界を、俺の手で盗み出すことさ。」「達者でな。」

 

ガチャ…バタン…

 

ソフィーナ「明日翔…ありがとう、美海の事…青空寮の事…よろしくね。」

 

眷属「むきゅ…」

 

ソフィーナ「貴方もありがとう、ずっと一緒よ」ナデナデ

 

~明日翔視点~

 

車に戻り帰路につく。

 

ブロロロロロロ…

 

城琉「…本当にこれで、よかったのか?」

 

明日翔「ああ、あいつの覚悟を踏みにじる方が失礼だ。」シュボッ「…ふぅ~。」

「なんでかなぁ、今日は一段とタバコがうめぇや。」

 

城琉「…好きなだけ吸うといい。門に近くなったら知らせてやる。」「今日一日は、休養だ。」

 




ソフィーナと別れを告げ、日常は続く。みんなが何も知らぬまま、それが一番いい。E.V.Eの練習をしている最中にユーフィリアから連絡が、どうやらウロボロスのボスみたいなのがいるらしいぜ?退治してやる!

 
次回「残った者たちの未来。」

また会おうぜ。
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