怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

21 / 56
予告状。紅き月を頂きに参上する。

~4月19日·朝·青空寮~

 

ミコト「はっ…はっ…はっ…。」

 

バン!

 

青空寮の扉を勢い良く開けたのはミコト、血相を変えて必死に走ってきたようだ。

 

美海「ヒメ会長!?急にどうしたの!?」

 

ミコト「ごめんね!お邪魔するよ!」

 

ミコトは階段を駆け上がり2階のとある部屋へ、2階に駆け上がると空と遭遇する。

 

空「ヒメ会長!?」

 

ミコト「空!?」「…良かった、無事だったんだね…。」

 

真剣な顔が安堵の顔に変わる。

 

空「もしかして…ヒメ会長も…ですか?」

 

ミコト「…色々情報が交錯しすぎてて私も混乱してるの。けど…まず彼の安否が…。」

 

空「そうだ…明日翔さんが…。私も確認するところでしたっ、いきましょう!」

 

ミコト「…彼の部屋は隣なんだよね?」

 

再び真剣な顔へと変わる。

 

空「はいっ…。先輩!起きてますか!?」ガチャ

 

明日翔の部屋の扉を明け中を確認する、本人はベッドの上で横たわっていた。

 

空「せん…ぱい…?」

 

ミコト「明日翔ッ!…明日翔ッ!」ユサユサ

 

本人を声をかけ肩を揺さぶり必死に生きてるかどうかを確認する。

 

明日翔「う……うーん…。」パチッ「……んん?あらおはようお二人さん、そんな血相変えてどうしちまったんだ?せっかくの美人が台無しだぜ?」

 

寝ぼけながらもいつもと変わらぬ返答、完全に彼は生きていた。

 

空「あっ………あ………せ、先輩………。」ウルウル「先輩ぃぃぃぃぃ……。」ポロポロ

 

明日翔「おいおい空。泣くなよ、俺はこの通りピンピンしてるぜ?」ナデナデ

 

空「ふぐっ………うっ………ううぅぅ……。よ、よがっだでずぅ…先輩ぃぃ…。」シクシク

 

明日翔「お前が無事でよかった、どうやら九死に一生を得たって訳だ。」ナデナデ

 

ミコト「………本当に。」ギュッ

 

ミコトの安堵の顔に変わると空と明日翔、二人を抱き締める。

 

空「うぅ…会長…?」

 

ミコト「二人が…無事で…本当に良かった…。」

 

明日翔「ミコト…。ありがとな、わざわざ心配して俺と空んところ駆けつけて来てくれたんだろ?」

 

ミコト「そりゃあ、生徒会長だもの。生徒を守る責務が私にはあるんだから…。」ギュゥゥッ

 

しばしお互いの生存が確認できた安心に浸る。

 

空「あれは……一体なんだったんでしょうか?」

 

ミコト「ものすごくリアリティのある夢と言うか…、まるで現実で起こったかのような…。」

 

明日翔「いいや、あれは夢なんかじゃあないぜ。すべて現実で起こったことだ。」「空、今日は何日だ?」

 

空「はいっ、今日は4月19日です。…認識が正しければ私たちは三日分時間が戻ったことになります。」

 

明日翔「そう、俺たちは間違いなく4月22日でウロボロスと戦い敗北、俺と空は死んだ。だが…どういうわけか戻った。」

 

空「変ですよね、三日だけ時間が巻き戻るなんて。」「それに私、もうダメかもって思いはしましたけど、ウロボロスにやられた記憶がないんです。」「まるで、誰かが助けてくれたみたいな…。」

 

ミコト「私は…その…明日翔が私を庇って殺されて…その瞬間に目が覚めた。叶うなら、もうみたくない夢だね。」

 

明日翔「まぁ何はどうあれ、俺たちはもう一回やり直すチャンスをもらえたって訳だ。ここはひとつ、起こりうる未来を変えてやろうぜ?」

 

空「……そうですね。みんなを助けるチャンスがあることが全てですっ。やりましょう、先輩!」

 

明日翔「じゃあまずは…情報整理から始めようぜ?まず、俺たちの敗北の原因は戦力が足りなかったといういたってシンプルなものだ。セニアがシステムエラーを起こしたりと他にも要因があるが…それは他でカバーできるからおいておく。」

「主に必要なものは二つ。アイツにドデカイダメージを与えられるヤツ、もう一人は誰かがピンチになっても守れるやつヤツ。これができるのは…現状二人しかいねぇ。」

 

空「シルトさんに…ソフィーナさん。」「確かに!ソフィーナさんが加わってくれれば百人力です!ソフィーナさんはこのところ浮かない顔ですごく忙しそうにしてましたけど…。ソフィーナさんは黒の世界で外せない仕事があるって言ってましたよね?ヒメ会長は何か知らないですか?」

 

ミコト「うーん…口止めをされてるんだ、言ってもいいものか…。」

 

明日翔「言い辛いなら俺が言うぜ?いずれは話さなくちゃいけない時はきちまうけどな。」

 

ミコト「そうか、それも…そうだね。」「こほん…ソフィーナは、青蘭学園を退学する。」

 

空「た、退学!?なんでですか!?」

 

ミコト「黒の世界の存亡に関わる、重要なプロジェクトに長期参加するために、とだけは聞いてる。それ以上のことは…きっと彼が知ってる。」

 

空「先輩、本当ですか!?」

 

明日翔「ああ、俺はあいつが何故いなくなるかを知ってる。なんてったてよ?本人に聞きに行ったからな。」

 

ミコト「…つくづくよくやるよね、キミとおぼしき門の入退記録は一切残っていなかった。キミの『実績』が本物である理由が、よくわかるよ。」

 

明日翔「あらまぁお褒めいただき誠にどうも。」

 

ミコト「褒めてないよ…。;」

 

明日翔「それで、アイツがいなくなる理由だが…。その前に黒の世界の事情についてちょいと話とかなきゃならねぇ。」

 

ミコト「ふむ…込み入った事情がありそうだね?」

 

明日翔「『紅き月』って聞いたことはないか?黒の世界の魔力の流れを司るいわば黒の世界の大本丸だ。」「その月ってのが今、ありえん調子が悪いらしい。」

 

空「『紅き月』…文献で見たことがありますっ。その月の調子が悪い…。」

 

明日翔「その月を治す方法はそんじょそこらで見つかるようなシロモンじゃねぇ。それ相応の代償がかかるってもんだ。」「大丈夫はズバリ、ものすご~い力を持っているプログレス、ソフィーナの力がありゃあ当分は必要なくなりそうだよなぁ?」

 

空「そんな…ソフィーナさんが死んじゃうってことですか…?」

 

明日翔「当初は別の人間を捧げるつもりだった、だがどういうことか失敗した。あいつは自分の命を捧げるしかなかった、あいつはお国のために死ぬんだよ。」「あいつはどうしようもない馬鹿だぜ。」

 

ミコト「『紅き月』の機能異常…なるほど、それは黒の世界にとっては重大な問題だ。だけど、その修復に強力なプログレスが必要だなんて…まるで生贄じゃない。」

 

明日翔「だから、どうにかしないといけねぇ。あいつに匹敵するような膨大なエネルギー…俺には原子炉ぐらいしか思い付かねぇがありゃ危険すぎる。」

 

うーん……………。

 

空「先輩。不肖久遠空、ここはひとつ…寮の皆様の知恵をお借りした方がよろしいのでは?」

 

明日翔「まぁそれもそうか…この件は俺サイドで解決したかったが…背に腹、変えられないらしいな。これが解決しなきゃ俺も空もソフィーナも一緒に御陀仏だ。」「ミコト、今日は19日、ってことはよ?まだE.V.E.の話がまだ決まってない段階だ。今日中に話つけっから学園で待っててくんねぇか。」

 

ミコト「わかった。…実は手だてが無いわけでもないんだけど…。」

 

明日翔「あ?そいつぁどういうことだ?」

 

ミコト「青蘭学園は中立機関、他の世界に肩入れするってことはできない。全てにおいて公平でなきゃいけないんだ。」

 

明日翔「ああ、まぁそれはそれでいいさ。そのへんは俺にも考えってやつがあるってもんよ。」「ミコト、お前はいつものように振る舞っててくれ、…目の前で生徒が二人も死んでいくのをみて多少なりとも心に傷負っちまったかもしれないが…。」

 

ミコト「それは…大丈夫。だって、今この場では生きてるもの。」

 

明日翔「いい切り替えだ。お前泥棒の才能あるぜ?」

 

空「先輩、ヒメ会長は生徒会長ですよ。何いってるんですか。;」

 

明日翔「んふふふふ。冗談よ、ほんじゃ早速行動開始といこうかぁ!」

 

~昼・青空寮~

 

ソフィーナが黒の世界に戻った数時間後、時間を見計らいみんなを召集しまず『E.V.E.』の選抜戦について話し合う。

 

セニア「なるほど。わたしたちに、チームメンバーになってほしいのですね。」

 

美海「面白そう!やってみようよ!シルトちゃんも一緒にやってみる?」

 

シルト「んー…ブルーミングバトルの?明日翔は?」

 

空「もちろん、先輩にはαドライバーとして、私たちを指揮してもらいますっ。」

 

セニア「なるほど。それでしたら、私たちは迷う必要はありません。私も参加させてください。」

 

明日翔「お前たちすまねぇな、恩に着るぜ。」

 

セニア「喜んでもらえるなら、私も嬉しいです。あなたとのリンクはかけがえのないものですから。あなたと選抜戦で戦えること、とても楽しみです。」

 

シルト「んー…………。」「わたしも、参加していい?」を

 

明日翔「おほ?シルトっちゃん、そいつぁ本当か?けどお前d0

よ?人前に出ちまうがその辺は大丈夫か?」

 

シルト「それはまだ、ちょっと怖いけど…でも、明日翔とみんなが一緒なんだよね?」

 

明日翔「そりゃそうだ。」

 

シルト「なら、わたしもチームに入りたいな。最初に組むなら、みんながいい。それに、万が一のことがあってみんながいなくてもわたしには松詠がいるしね!」

 

空「あ…………ありがとうこざいますっ!」

 

こいつぁ願ったりかなったりの展開だ、わざわざ説得する手間が省けた。

 

美海「わーい、シルトちゃん。頑張ろうね!」

 

シルト「うん!ソフィーナも、参加できたらよかったのにね。」

 

美海「黒の世界のお仕事ならしょうがないよ~。チームを組む機会なら、これからもあると思うし。その時はまた一緒にみんなで組もうよ!」

 

明日翔「…その機会がもう二度と訪れない…なんていったらどうする?」

 

美海「明日翔くん?その冗談は流石にしんどいものがあるよ?」

 

明日翔「今から伝える事は100%の嘘偽りない真実だ。秘密にしてほしいと共に心して聞いてくれ。」

 

朝、俺と空とミコトで話したことを全て伝えた。黒の世界の『紅き月』で異常が発生していること。解決のために強力なプログレスが必要なこと、そしてソフィーナが自らを選んだこと。

 

美海「そ………そんな………ソフィーナちゃん………。」

 

みんなすぐに事情を理解してくれたが、そのショックは大きいようだった。付き合いが長い分、美海のショックは特に大きく暫く机に突っ伏したままだった。

 

セニア「美海、しっかりしてください。ソフィーナが黒の世界に発ったのは先ほどです。明日翔、その話をしたということは、それを止めたいと思っているのですよね?」

 

空「はい。私たちは、黒の世界にソフィーナさんを助けにいくつもりです。」

 

セニア「そうですね、それがいいでしょう。あちらの情報が不足している今、必要なのは行動です。『紅き月』の異常が重大な問題とはいえ、今すぐ致命的な状況になることはないと予想できます。」

「で、あればまずは『ソフィーナが失われる』という事態を回避することが最優先事項です。」

 

美海「私も行く。ソフィーナちゃんを、止めなきゃ。」

 

空「ただ、そのためには『紅き月』をどうにかする方法を考えなきゃ行けません。」

 

セニア「紅き月のシステムは、黒の世界固有のものです。専門家の見解を聞かないことには…。」

 

シルト「うーんと、ソフィーナはあかきつき?と同化しちゃうんだよね?なら、詳しいじゃないの?」

 

美海「そっか、ソフィーナちゃん本人に聞けば…!」

 

シルト「そうだよ。ソフィーナに直接聞きに行こうよ!そのために手伝いが必要なら、私たちが手伝えばいいでしょ?だよね?」

 

空「はい!名案だと思います!行きましょう!ソフィーナさんに話を聞きに、黒の世界へ!」

 

美海「うん……!皆でソフィーナちゃんを助けよう!」

一同「おーっ!」

 

一同結束し夜に再集合の約束をした、俺は外に出る。

 

明日翔「よ~し。あとは─」

 

城琉「おい。」ジャキッ

 

左から銃を突きつけられる。

 

歌右衛門「我らの質問に答えろ。」シュッ

 

右からは刀の刀身が首を横切る。

 

明日翔「おいおい、お前ら。一日の歓迎にこいつぁ冗談きついんじゃねぇか?」

 

城琉「…本物か?」

 

明日翔「俺を疑ってるのか?城琉?俺たち仲間だろ?」

 

歌右衛門「少しでも偽物の素振りを見せたら、貴様の命を奪う。」

 

明日翔「まったくおバカ自然道さんよ、ちったぁ俗世もみろって。」

 

城琉「…俺たちが大西洋ど真ん中で何をきっかけ何を見つけて何を盗んだ?」

 

明日翔「インターポールのガセ情報を掴まされて大西洋の海底に潜ったらかの伝説のアトランティスの遺跡を見つけた。そこで見つけた重力を操れるような装置を見つけたが先人たちが自爆装置をつけていてまるごと吹っ飛んで盗めなかった。」

 

城琉「ああ、こいつは本物で間違いねぇな。こんなことを知ってるのは俺らぐらいのもんだ。」

 

各々武器を納める。

 

明日翔「なんでぇお前たち、心配してきてくれたのか?」

 

歌右衛門「何てことはない。自然からのお導きだ。」

 

城琉「ああ、嫌な夢を見たからな…化けて出られても困る。」「で、お前また妙なことに巻き込まれちまったみてぇだな。」

 

明日翔「どうやらそうなのよねぇ~。ってことでよお前ら、話は聞かれてたわけだ、お前たちもこの船に乗ってもらうぜ?」

 

城琉「まったく、心配してくるんじゃなかったぜ。」

 

さて、仲間は誘った。青空寮のメンツも誘った。あとは…あの女だ。

 

~夜・裏山~

 

いつも通りウロボロスを退治する。どうやらこいつらを倒したことすらなかったことになったらしい。ユーフィにも昼の話と『前の』時間軸の話をする。

 

ユーフィリア「同感です。ここでソフィーナさんを失うわけにはいきません。私も同行します。」

 

明日翔「よしきた!」

 

城琉「こいつぁ百人力だな?」

 

明日翔「寮でみんなが待ってる、とっととミコトのところへいこうぜ。」

 

~生徒会長室~

 

ウロボロス退治のあと、青空寮のメンバーを拾い生徒会長室へ向かった。

 

ミコト「みんなようこそ。用件は聞いてる、ソフィーナの件だね?…一応聞くけどキミたちはどうするつもりなの?」

 

明日翔「そりゃもちろん黒の世界に行くのさ。お前の許可をもらって正式にな?」

 

ミコト「…行ってどうするの?黒の世界において、魔女王の決定は絶対。彼女が決めた事柄が覆ることはないんだよ?」

 

美海「うん。だからヒメ会長にもついてきてほしいの。」

 

ミコト「…どういうことかな?」

 

ユーフィリア「黒の世界で魔女王の決定に逆らえる人はいません。…でも他の世界なら対等に話せる存在がいます。たとえば、赤の世界の頂点である七女神であり、青蘭学園の生徒会長なんか、ぴったりですね。」

 

ミコト「ユーフィリア…キミが学園側の問題に干渉してくるとは思わなかったな。」

 

ユーフィリア「そうですか?私はいつでもこの学園と、その未来のために行動しているつもりなんですけれど。」

 

ミコト「そういうことなら、なおさら許可できない。」

 

明日翔「青蘭学園は5つの世界の中心、常に公平であり干渉することは許されない、ってか?」

 

ミコト「そういうこと、それを代表する生徒会ならなおさら。」

 

ユーフィリア「青蘭学園は、あくまで5つの世界のために存在すると?」

 

ミコト「その通り。だから、どこかの世界の不利益になるような行動に、手を貸すわけにはいかない。」

 

明日翔「じゃ、俺がなんとかすりゃあいいだけだな。帰るぞー。」

 

空「ちょちょちょ先輩!」

 

スルッと踵をかえして帰ろうとしたとき、糸に左腕を引っ張られる。

 

ミコト「待って。」グググググ……

 

明日翔「…どうした?ミコト、離してくれよ。干渉しないんじゃあなかったのか?」ニヤリ

 

無意識に出た『悪党』としての笑み。

 

ミコト「…いくらキミでも目の前で犯行予告をされたら、黙っているわけにはいかない。」

 

美海「ちょっと明日翔くん、怖いよ…。」

 

明日翔「俺が規則を守ると思うか?俺は根っからの『悪党』だ、言ったろ?不可能を可能にするためなら何でも使う男だ。」「誰に言われたっけな?自分の物を奪われたときどうするかってさ…。」「奪われたものは奪い返す、それだけだ。」

 

シルト「うわうわ…!このままじゃ喧嘩になっちゃうよ!」

 

このまま争いに発展しそうなところで止が入る。

 

城琉「そこまでだ。」チャキッ

 

歌右衛門「懐はとった。少しでも動けば…斬る。」

 

城琉は明日翔のこめかみに銃を押し当て、歌右衛門は明日翔を拘束していた糸を斬りミコトの首に刀を寸止めする。

 

明日翔「おう、『相棒』。銃を向ける相手を間違えてねぇか?」

 

城琉「いーや、間違えてねぇな。少し熱くなりすぎだ、ちったぁ冷静になれよ。『相棒』。」「会長、あんたもだ。言いてぇことはわかるが頭が堅すぎだ。もう少し楽に考えようぜ?このアンドロイドの嬢ちゃんの話はまだ終わってねぇしな。」

 

明日翔「確かに、俺は冷静さを失っちまってたかもしれねぇ。ごめんな、ミコト。」

 

ミコト「…ごめん、私も少し熱くなってしまった。…これまで色々なことがあっていっぱいいっぱいになってて、結論を急ぎすぎてしまった。」

 

お互い謝罪し城琉と歌右衛門は武器を降ろす。

 

城琉「お前ら二人はまず人の話を聞け。そう急ぐんじゃあねぇ。」

 

歌右衛門「左様。自然の流れは一定、順序があるものだ。」

 

セニア「とりあえず、収まったようですね。」

 

ユーフィリア「まったく…一時はどうなるかと。なにもヒメさんに交渉の矢面にたってくれ、何て言いませんよ。」「逆に利益になるような行動をすればいいんです。」

 

ミコト「まさか…キミたちは…。」

 

美海「そうだよ。黒の世界の問題解決をみんなで考えるの!青蘭学園はそのために…5つの世界を繋ぐためにあるんでしょ?」

 

ミコト「!」

 

ユーフィリア「私たちを、ソフィーナさんと、そして魔女王に会わせてさえくれれば十分です。」

 

ミコト「…わかった。」

 

美海「それじゃあ…!」

 

ミコト「もちろん、私もついてくよ。というか…この調子だと喧嘩しかねないし。」

 

空「先輩、言われてますよ。」ボソ

 

明日翔「うるせぇ。」

 

シルト「…ヒメも、ソフィーナことが心配なんだよね?」

 

ミコト「さぁ、どうかな…?これは独り言だけど…。ソフィーナを助けられる可能性があるのなら、生徒会長のイスは掛け金には安いと思ってるよ。」「そして…二度とあんなことが起きないためにも…。」ボソ

 

シルト「?」

 

ミコト「明日翔たちの『用事』はもう終わってるんだよね?それじゃあ、今晩中に準備は済ませておく。明日の朝、ここに来てくれる?」

 

美海「ヒメ会長…ありがとう!」

 

ミコト「いいや、私こそ。意地悪な言い方してごめんね。……それじゃ、また明日。」

 

美海「やった!じゃあ、かえって明日に備えようか!」

 

明日翔「そうだな。」

 

城琉「待ちな!」ドカッ

 

みんなに混じって帰ろうとするが城琉に突き飛ばされ尻餅をつく。

 

明日翔「いてっ!何すんだよ!」

 

城琉「どうしたもこうしたもねーだろ!お前はその女と仲直りしてからこい!」

 

バタン!!!

 

2人取り残されてしまい、静寂が流れた。ミコトは椅子に座り机に突っ伏し、明日翔はしぶしぶ対角に座る。

 

明日翔「…。」

 

ミコト「…。」

 

シーーーーーーン…

 

明日翔「…なんかしゃべってくれよ、気まずいだろ。」

 

ミコト「…さっきは怒ってごめんなさい。」

 

明日翔「別にいいさ、吹っ掛けた俺も謝らなくちゃならねぇ。…ごめんな。」

 

ミコトは顔を上げて語った。

 

ミコト「いいの。…この数日だけで色々起こりすぎていっぱいいっぱいになってた、私は生徒会長として生徒のみんなを守れるように努めてきた。けど…現実は知らぬうちに生徒が生贄になってて…『今日』を迎えられるように必死に戦っていた生徒が目の前で殺されて…。」「何かの奇跡で生きてたと思ったら今度は魔女王の元に行くと言っている…。」「…今までの記憶を見てしまうと、とても許可はできない。」「…私だってソフィーナを失いたくない、でも…苦しみながら死んでいった空の顔…私を庇って殺された時のキミの顔が脳裏に焼き付いて離れない。…私はどうすればよかったのかな?」

 

表情は暗く自暴自棄になってしまったような顔で問いかける。

 

明日翔「…今のままで、いいと思うぜ。元はと言やぁよ、俺の詰めの甘さが原因だ。空は完全に俺が巻き込んじまったしソフィーナに関しちゃ俺がもっと早くに気づいてやれりゃ助かる未来もあった。」

 

ミコト「…それ、自分が入ってないじゃない。」

 

明日翔「俺の事ァいい、本来あいつらの輪に入るような人間じゃない。俺は『悪党』だ、あいつらにはできねぇことも出来る。そこには命を賭けたこともやらなくちゃならねぇ、そういうもんさ。悪党って生き方は。」

 

ミコト「…もう、悲しいこと言わないで。私はキミも彼女たちも守りたい。例え明日翔がどんな悪人だったとしても。全てを一人で背負う必要はない。…少しでいいから背負ってるもの、肩代わりさせてよ。もっと私を頼ってほしい。」

 

明日翔「『俺ら』が背負ってるものは、デカイぜ?正攻法じゃあとても攻略できるようなもんじゃあない。…それでも『俺ら』に協力するか?」

 

ミコト「明らかな規則違反には荷担はできない、けど…協力できることなら協力する。」キリッ

 

暗く顔から覚悟を決めたキリッとした顔になり見つめる。

 

明日翔「そっか、じゃあここはひとつ。仲直りってことでいいか?」

 

ミコト「ふふ、そうだね。」「私個人として、明日翔に頼られたら嬉しい。これからは私のこと、頼ってね。」

 

明日翔「おん。ほんじゃあ早速頼みたいことがあるんだ。」

 

ミコト「ん?何かな?」

 

明日翔「生徒会周りしか入れない機密資料室あるだろ?あそこで調べたいものがあるんだ。」

 

ミコト「機密資料室…?まあ、些細なことだし大丈夫かな。因みに要件はどんなもの?」

 

明日翔「ま、明日のためにちょちょちょーっと下調べをな。主に…『紅き月』とか魔女王のレポートとか、あるだろ?多分。」

 

ミコト「ふむ…いいよ、行こっか。不審なことが出来ないようにそばについてるから。」

 

明日翔「お好きに。」

 

二人は生徒会長室から出て機密資料室へ歩き出す。

 

~4月20日・朝・黒の管理区~

 

俺たちは準備をしてミコトと合流し黒の管理区に向かった、話によれば迎えが来ているらしいが…。

 

リゼリッタ「…なんだ、魔女王に謁見したいなんて変わり種は誰かと思ったら…アンタたちだったのね。」

 

明日翔「お前が、案内人か?」

 

リゼリッタ「そう、黒の世界に着いて魔女王のところに道案内する命令を受けた、私はリゼリッタ。よろしくね。」「…それで、どうしてその人まで一緒にいるのよ。」

 

明日翔「?あぁ、ミコトのことか?」

 

リゼリッタ「ミ、ミコト…?」

 

明日翔「そう不思議がんなって、アイツはただの付き添いってやつよ。」

 

ミコト「許可をとったのは私だし、なにせ黒の世界の最高権力者にお目通り願うんだからね。明日翔の言う通り保護者兼監視とでも思ってよ。」

 

リゼリッタ「ふーん…生徒会長を動かせるなんて、アンタ…デキるね?…ソフィーナ、ちゃんと連れて帰ってよね。」

 

明日翔「任せな?俺は不可能を可能にできる男だ。俺がしっかりソフィーナを連れて帰ってくるぜ。」

 

ミコト「それじゃ、おさらいするよ?私たちはこれから黒の世界に向かい、魔女王に謁見する。目的は、ソフィーナの『紅き月』との同化の阻止。それから『紅き月』の以上を修復する協力の提案だ。」「立場上、私はこの交渉を主導できない。だから──」

 

明日翔「俺たちがやらなくちゃならねえってことだ。」

 

空「が、頑張りますっ…!」

ミコト「うん、頼りにしてるよ。それじゃあ、向かおうか。」

 

美海「行こう!黒の世界へ!」

 

ゴウン…ゴウン…ゴウン…カッ!!!!

 

~黒の世界~

 

明日翔「よぉ、今は『初めて』だったよな?…黒の世界ちゃん」

 

真っ暗、『紅き月』が紅く輝き異様な雰囲気を見せている。

 

空「ここが黒の世界ですか。建物は似ているのに、管理区とは、なんだか雰囲気が違いますね。」

 

美海「昼間がなくてずっと夜なんだって。」

 

リゼリッタ「常夜なのがこの世界の特徴よ。初めて青の世界に行ったときは、眩しくてしょうがなかったわ。慣れるまでは見え辛いと思うけど、我慢して。」

 

シルト「…うー。」モジモジ

 

シルトがモジモジしてどこか調子が悪そうな素振りを見せる。

 

歌右衛門「師匠、お疲れですか?私の手が必要ですか?」

 

シルト「ううん、ちょっとざわざわするだけ。変なの……これ、なんだろう?」

 

ミコト「シルトは世界の質感に敏感なんだね。」

ユーフィリア「もしかしたら、この世界に起きている異変を感じ取れているのかもしれませんね。」

 

しばらく歩いていると『紅き月』がよくみえる位置まで来た。

 

美海「あれが…『紅き月』?」

 

セニア「青の世界の月よりは非常に明るいですね。光学データでは、異常があるように見えません。」

 

城琉「ま、そりゃそうだ。俺たちは悪い状態の月しかみてねンだからよ。」

 

空「そもそも、同化ってどうやるんでしょうか?」

 

リゼリッタ「黒枢城で魔女王による儀式が必要みたい。秘術扱いだから、詳しいことは知らないけど…。」

 

空「黒枢城?」

 

明日翔「魔女王の根城ってやつさ、あそこに城が見えるだろ?」ビシ

 

向こう側を指差す。

 

リゼリッタ「黒の世界の中枢で、魔女王はあそこから千年は出たことがないっ言われてるのよ。」

 

空「せ、千年!?」

 

明日翔「てこたぁ、千年前から女王名乗ってんだろ?恐れ入ったよ。」

 

ユーフィリア「筋金入りの引きこもりですね。」

 

リゼリッタ「アンタ、すごいこと言うわね…。」

 

ユーフィリア「ふふ、私はこの世界の住民ではありませんから。」

 

リゼリッタ「ここからしばらく歩くから。待ってなさい。」

 

そしてまたしばらく歩くいた後、城門前に到着した。

 

~黒枢城・城門前~

 

美海「ついたぁ~。大きいねぇ~。」

 

空「物語に出てくるようなお城って感じですっ!」

 

ミコト「それでは、魔女王の元へ向かうとしましょうか。たしか関係者がいないと通れないところがあるんだよね?」

 

リゼリッタ「ええ。関係者がいないと通れない仕掛けが施された場所があるから。説明聞いても理解ができなかったわ。」

 

明日翔「そんじゃあ…いっちょ道案内頼むわ。」スチャッ

 

モノクル形の機械を左目につけ、電源を起動する。

 

リゼリッタ「…なに、それ?」

 

明日翔「片目の暗視ゴーグルとでも思ってくれりゃ説明がしやすいや。」

 

リゼリッタ「そう…。…ソフィーナのこと、頼んだわよ。」

 

明日翔「任せな、必ず連れて帰るぜ。」

 

ミコト「それじゃ、リゼリッタ。よろしくね。」

 

一同は魔女王のところへと向かう。

 

~謁見の間~

 

魔女王「では、儀式は二日後だ。改めて確認するが…その選択に後悔はないな?」

 

ソフィーナ「ええ、後悔しないために選んだのよ。これで黒の世界も救われるでしょう?」

 

魔女王「当面の間は、な。…お前にはいずれ、この世界を任せたかったのだが。」

 

ソフィーナ「それに他の世界を巻き込むのは私の主義じゃないの。……それじゃ、少し休ませてもらうから。」

 

魔女王「しばしまて…ソフィーナ。客人が到着した、お前と同席してくれ。」

 

ソフィーナ「客人?貴女に?いったい誰が──」

 

扉の向こうからはなにか話し声が聞こえる。

 

ねぇねぇこういうときって………違いますよ!………どのみち………ザワザワ…

 

こういうのはよぉ!これでいいんだよ!

 

バゴーン!

 

扉を蹴破って表れたのは青空寮のメンバーと明日翔一味だ。

 

明日翔「へへっ。ご挨拶だ。」ニヤリ

 

美海「ソフィーナちゃん!!」

 

ソフィーナ「え?──っ!?どうして貴女たちがここにいるのよ!?」

 

明日翔「よぉソフィーナ、言ったろ?俺は諦めの悪い男なんだ。…って言っても覚えてねぇか。」

 

魔女王「よく来たな。茶の用意などはないが、歓迎しよう。」「…む?お前は…。」

 

魔女王は明日翔を見つめる。

 

明日翔「…?もしかして…俺を知ってるかぁ?有名人は辛いねぇ。」

 

魔女王「…いや、新聞で見たことがあるような気がしただけだ。人間。…赤の世界の女神もお揃いだ。」

 

ミコト「忙しいところ、時間をとってもらってすまない。……こうして直接会うのは初めてだね。」

 

魔女王「ふ、気にすることはない。あいにく出不精なものでな。だが、人と会うのが嫌いなわけではないぞ?それが各世界の粒ぞろいのプログレスともなれば、なおさらだ。」

 

明日翔「おいおい、ちっぽけな人間三人は頭数にゃ入ってないのか?」

 

城琉「ぜひ、加えてもらいたいもんだ。」

 

歌右衛門「同じく。」

 

魔女王「ほう、ちっぽけとほざく割には大層な口を叩く人間たちだ。自信過剰は身を滅ぼすぞ?」

 

明日翔「常に自信に満ち溢れてる人間たちさ?この三人がいればなんでもできる。」

 

明日翔と魔女王が話をしている。

 

空「あれが魔女王さん…ただそこにいるだけなのに、ものすごいプレッシャー…っ!なのに普段通りの軽口が出てくる先輩がすごいです…!」

 

ソフィーナ「魔女王。これはどういうこと?まさか彼女たちを…。」

 

魔女王「そう急ぐなソフィーナ。気が短いのはお前のよくないところだ。私が読んだのではない、あちら側からやってきたのだ。」「

お前に今まで知らせなかったのは…まぁ、その方が面白いとおもったからだが。」「では…そこの人間。お前に問う。お前たちはわざわざこの魔女王に会いに参った、その理由はなんだ?」

 

明日翔「そこにいる理深き黒魔女を連れ戻しにな?ちいーとばかしそいつが必要なんだわ。」

 

ソフィーナ「は?…ばっ馬鹿じゃないの!?そのためにこんなところまで来たっいうの!?」

 

美海「そうだよ。ソフィーナちゃんと一緒に、青空学園に帰る。それが私たちの来た理由。」

 

明日翔「ってわけだ。俺たちの仲間、返してくんねぇかな?」

 

魔女王「ふむ…黒の世界の置かれている状況を理解した上での発言と言うことでよいのだな?ヒメガミノミコト。これは青蘭学園からの、黒の世界の政治干渉ではないのか?」「各世界との立ち位置を取り決めてからこれまで、このようなことは一度としてなかったことだ。」

 

ミコト「私は彼女たちが内政干渉しないようについてきただけだよ。だからこれは、青蘭学園としての交渉じゃない。ソフィーナの、各世界の友人たちによるお願いだ。」「これをどの世界からの干渉と言うべきかは…私の視点からは判断しかねるなぁ?」

 

明日翔「ついでに言えば人間三人がが勝手に来て勝手にほざいてるだけってことでもある。ただのちっぽけな人間の言うことでお前らの政治が動くわけじゃあねぇだろ?」

 

魔女王「ふはは!詭弁だな、やはり貴様は面白いな。人間。」「で、どうしたいのだ?お前たち誰かが代わりになると言うのなら、私はいっこうに構わんが?」

 

ソフィーナ「それは…!」

 

魔女王「あぁ、ソフィーナ。それは避けたいことだろう。お前が自らを選んだ理由がなくなるからな。」

 

美海「……?どういうこと?」

 

魔女王「『紅き月』と同化させるのは、なにも黒の世界の魔女でなくてもよい。極めて強い力を持った者…プログレスであれば、誰でも構わないのだ。故…。」ビシッ

 

魔女王は美海を指差す。

 

魔女王「最初に候補に挙がっていたのは、日向美海。お前だ。」

 

空「美海先輩が…?」

 

魔女王「だが、お前を使うことをソフィーナは拒否した……というのが現在の状況だ。」

 

空「じゃあソフィーナさんは、美海さんを助けるために…?」

 

美海「ソフィーナちゃん!なんで!?何で黙ってそんなことしたの!?」ツカツカ

 

ソフィーナに駆け寄る。

 

美海「せめて…せめて私にいってくれたら…。」

 

スパーーン!!!!

 

頬を叩いた甲高い音が聞こえる。

 

美海「…っ!」

 

美海は頬を押さえる。

 

ソフィーナ「言えるわけないでしょう!?!?言えば美海はそれを認めない…!でも…私は…」「私は貴女を犠牲になんて…したくなかったのよ…。」

 

スパーーーーン!!!!

 

再び頬を叩くかんだかいおとがきこえる。

 

ソフィーナ「……っ!」

 

ソフィーナは頬を押さえる。

 

美海「そんなの!!私だって同じだよ!!」「ソフィーナちゃんが私の代わりになるなんて…っ!絶対に、絶対に嫌に決まってるでしょ!?!?」

 

魔女王「ははは、実に仲睦まじい。ソフィーナに親しい友人ができただけでも、学園に派遣した意義はあったな。」

 

魔女王「さて、改めて確認しよう。お前たちの要求は、ソフィーナの解放。そのことに相違はないな?」

 

美海「相違…ありません。」

 

魔女王「よかろう。私が対価として望むのは、ソフィーナに匹敵するプログレスを寄越すことだ。お前たちが対価を払えば、ソフィーナは自由の身をすることを約束しよう。」「対価は…宣言通り。日向美海、お前とする。」

 

美海「………わかりました。それで構いません。」

 

ソフィーナ「美海!?」

 

空「美海さん!?」

 

魔女王「約束したとはいえ当事者の口約束ほど宛にならんもんのはない。そうだな…ヒメガミノミコト。お前にはこの約束の立会人になってもらおう。黒の世界の事情に首を突っ込んできたのは不問としてやる。そのぐらいは引き受けてくれるだろう?」

 

ミコト「…わかっ──」

 

明日翔「ちょっと待ってくれ!」

 

この場を制止した。

 

明日翔「全くお前さんたち、俺を置いてかないでくれよ。」「魔女王さんよ、いったろ?俺たちは赤いお月さまの修復のお手伝いにきたってよ。」

 

魔女王「はっ、ずいぶんとお気楽に考えているな、人間。こちらは世界の存亡がかかっている問題だ、ままごとで終わるようなものではない。」

 

明日翔「んなこたぁ言われなくたってわーってるよ。その材料ってのはよ、本当にプログレスじゃあダメなのか?」

 

魔女王「…何が言いたい、人間。そうだといったはずだが?」

 

明日翔「あらまぁしらばっくれちゃって。月を治すための材料は『誰を生け贄にするか』じゃなくて『生け贄に相当するエネルギーの物質』でもいいわけだろ?」

 

魔女王「なんだと?」

 

明日翔「千年以上も生きてんだ、代わりのものぐらいはあんたも見つけてるだろ?それによ、あんたはちと男を甘く見すぎちまったようだ。」バッ

 

とある書物の見開きページを差し出す。

 

明日翔「知らぬうちにダ・ヴィンチが研究して全部書記に書き記してたよ。…魔女王ミルドレッドさんよ。」

 

ミルドレッド「!それは…あの小童の字だ…。あやつめ、いつの間にこんなものを…。」

 

明日翔「地球じゃあ架空の存在として扱われてきた書物、ダ・ヴィンチの妄想であると。だけっどもよ、こいつはこの世界では現実として記されたものだったみてぇだな。」「そりゃそうだよな?『紅き月』なんてものは地球にゃねえんだからよ。」

 

ミルドレッド「くくく…ははは!面白い、実に面白いぞ!人間!」「『紅き月』が修復できれば何も問題はない。一番手っ取り早いく正確なのがプログレスの同化だ。別にプログレスである必要はない、では問うぞ?人間。別のエネルギーの出所を答えろ。」

 

明日翔「その話は…俺よりもっと詳しいやつがいるんだ。そいつに、バトンタッチするぜ?」「ユーフィ!いっちょ説明してやってくれ?」

 

ユーフィリア「ええっ!?全部説明してくれる流れじゃないんですか!?」

 

明日翔「その辺はお前の方が詳しいだろ?てか、俺知らねぇし。」

 

ユーフィリア「えぇ…。魔女王の前に立つぐらいなら勉強しているものだと。」

 

明日翔「まぁまぁ、説明しなさいって!」グイグイ

 

ユーフィリア「ちょちょちょ!」

 

ユーフィリアの背中をぐいぐい押して前に出す。

 

ユーフィリア「はぁ…キラーパスもいいところですよ、明日翔さん…。」

「こほん、実は今…私たちはとある敵と戦っています。この敵は大量の魔力を内包しています。おそらく、ソフィーナさんを超えるほどの。この魔力を活用できれば、『紅き月』の修復に必要なエネルギーを賄うことができると言うわけです。」

 

ミルドレッド「なるほどなるほど、それであれば理屈は通る。そんな都合のいい話が本当にあるのならな。まぁいいだろう、仮にその敵とやらが膨大な魔力を秘めていたとしてもだ。」「ソフィーナに匹敵するだけの力が、果たしてどれ程のものか、お前はわかっていると言うのか?」

 

ユーフィリア「はい。その敵は、半永久的に、すべての世界の時間を巻き戻すだけの力をとっていますので。」

 

ミコト「まって、ユーフィリア。もしかしてその敵って…。」

 

明日翔「ウロボロス、さしずめはそこ上位個体ってこった。これ程あと腐れなく材料に出来るものはねぇな?」

 

ミルドレッド「それほどの魔力を持った存在が、青の世界にいると?」

 

ユーフィリア「はい。正確には、魔力ではなく、その前段階…『エクストラ』の状態で、ですが。」

 

ミコト「なるほど、そういうこと…。魔女王…いやミルドレッド、彼女の言っていることは恐らく本当だよ。」

 

明日翔「…。」

 

エクストラってなんだ?知らねぇなぁ…、まぁ話は会わせておくか。

 

適当に話を合わせようとするとシルトが口を開いた。

 

シルト「うん。魔法もエクシードも、全ての世界の力は、エクストラを元にしているものだから。『紅き月』にも、ちゃんと馴染むと思うよ。」

 

エルドレッド「ふ、外の世界のものが、知ったような口を開くものだ。一体、何を根拠に……ん?」

 

ミルドレッドはシルトをみて少し驚いた表情を見せた。

 

シルト「…ん?」

 

ミルドレッド「お前は…まさか…なぜ、こんなところに?」

 

ミコト「ミルドレッド?」

 

ミルドレッド「…いいだろう、お前の顔に免じてその話、乗ってやる。その大量のエクストラを抱えた駅とやらを倒し、我が下に力を持て。」「それで問題が解決できるのなら、こちらとしても右腕を失わずにすむ。」

 

明日翔「決まりだな?俺たちはエクストラをあんたに届ける。俺はソフィーナを頂く。」

 

ミルドレッド「早まるな、人間。制限時間を設けよう、5日間だ。5日間のうちに持ってこい。よい結果を期待しているぞ、間に合わなければ宣言通り日向美海を─」

 

明日翔「まってくれってミルドレッドさんよ。あんたはさっき女の熱い友情が見えなかったか?俺には美しく見えたぜ。俺があんたの立場なら引き裂きたくねぇなぁ…。」

 

魔女王「人間。まわりくどいぞ、何が言いたい?」

 

明日翔「時に青の世界には、誰とでもリンクが出来て誰の力も増幅できて計り知れない力を持ってるとされるαドライバーが一人、いるらしいぜ?誰だろうなぁ…?」

 

明後日の方向を向いてわざとらしく考える素振りを見せる。

 

青空寮のメンバー一同「!?」

 

ソフィーナ「あ、貴方…もしかして…。」

 

空「ダメです、先輩!そんなこと…っ!」

 

城琉、歌右衛門は無言で明日翔のところへ歩く。

 

城琉「ほらよ。」シュッ

 

明日翔「おっ、サンキュー。」

 

シュボッ

 

タバコを差し出されたので口に咥え火をつけて煙を吸う。

 

ふぅ~…。

 

明日翔「この交渉の賭け金は、俺だ。」

 

美海「あ、明日翔くん…。」

 

ミルドレッド「なんだと?人間。命が惜しくないのか?」

 

明日翔「命?そんなもんただのスリルの賭け金にしかならねぇよ。俺は盗むの決めたものは死んでも盗むぜ?」

 

ミコト「ちょっと…!何考えてるの!?」

 

明日翔の腕を引っ張り必死に訴えかける。

 

明日翔「ミコト、いったろ?俺は不可能を可能にする男、明日翔様だ。…お前がいちばんわかってんだろ?」

 

ミコト「…。」

 

ミコトは無言で手を離した。

 

城琉「ふぅ~…おもしれぇ。俺たち三人の死に様、この世界の月に刻んでやろうじゃねえか。」

 

歌右衛門「自然の道とは、星になると見つけたり。」

 

明日翔「へへっ…お前たち、やっぱり馬鹿だぜ。」

 

城琉「馬鹿はお互い様さ。」

 

 

 

明日翔「てことだからよ?交渉の賭け金は、俺たちの命で払わしてもらうぜ。ま、俺たちの命がかかってるからにはブツは─」

 

美海「待って!」

 

美海が後ろから制止する。

 

美海「明日翔くん、私の命も賭けるよ。やらせてほしい。」

 

城琉「何ィ!?」

 

明日翔「えぇ~!?なんでさ美海、俺たちがカッコつけた意味がなくなっちゃうじゃないの。」

 

美海「ずっと私の知らないところで…ただ守られてるなんて、嫌だよ。だって…」

 

ソフィーナの方を見つめてから口を開く。

 

美海「ソフィーナちゃんは、ずっと私を守ってくれていたんでしょ?だから今度は、私が頑張る番だと思うの。みんなが救える方法があるんなら…どんなに大変でも、どんなに危険でも、私はその方法をやってみたい。」「明日翔くん、私の命も預けるよ。」

 

明日翔「…。」

 

真剣な眼差しで見つめる。曇りひとつない瞳で。

 

明日翔「はぁ~…こうなるとな~んも聞かねぇからなぁ…、カッコつけて損したぜ。」ガックリ「お前の覚悟は伝わった。…お前の命、預かるぜ。全員生きて青空寮に帰してやる。」

 

美海「明日翔くん!みんなで帰ろう!」

 

ミルドレッド「ふはははは!人間、やはりお前は違う何かを持っているな。実に面白い…では決まりだ。」「ソフィーナ、お前もここに留まる必要はない。共に青嵐島にもどり力を貸してやれ。」

 

ソフィーナ「……わかりました、ありがとうございます。」

 

ミルドレッド「礼を言うのは早い。すべては5日後の結果次第だ、存分にあがいてくるがいい。期待しているぞ。」

 

美海「よしじゃあ…かえろっか!」

 

青空寮のメンバーたちが立ち去るとき、みんなが去るまでこの場にとどまった。

 

ミルドレッド「…?まだ何か用か、人間。」

 

明日翔「久々の仕事だ、少し気合いを入れたくてな。」カキカキ…ヒュッ

 

何かを書いた後ミルドレッドに向かってカードを投げる。

 

ミルドレッド「む…どれどれ、…ふむ、成る程。やはり面白いな、人間。」

 

明日翔「そういうことだ、また来るぜ。」スタスタ

 

今度こそ立ち去ろうとしたその時、呼び止められる。

 

ミルドレッド「待て、人間。」「今さらだが名を聞いていなかった。名はなんと言う?人間…いや」「泥棒。」

 

明日翔「俺の名前か?」「俺は明日翔、青蘭学園の泥棒だ。」

 

去り際にそういい残し、この部屋を去る。

 

ガチャ…ギィーーー…バタァ-ン

 

ミルドレッド「実に面白い男だ、泥棒。せいぜい盗んで見せろ、我が元からな。」

 

────────────────────────────────────

 

 4月25日

 『紅き月』ソフィーナを

 頂きに参上する    

         怪盗明日翔

 

────────────────────────────────────




ってことでよ、無事にソフィーナを取り戻すことに成功した。あとはウロボロスの野郎をとっちめるだけだな?とっちめるにあたってセニアやユーフィリアのシステムエラーについてもな~んか考えねぇといけねぇよなぁ?やることたくさんだぜ。
そして、再びウロボロスと合間見える。

次回「残せた者たちの未来」

さて、リベンジマッチといこうじゃねぇか!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定