怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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エクストラは誰の手に

~4月23日・朝・中央アリーナ~

 

キン!キン!ズシャーーーン!!!

 

選抜戦、当日。俺たちと優勝チームとの戦いは俺たちが優位に進んでいた。

 

αドライバー「くそっ…!」

 

明日翔「まだやるかい?坊主。」

 

αドライバー「青蘭のアルセーヌ・ルパン…っ!ここまでとは…っ!俺の攻撃が通じねぇ…っ!」

 

明日翔「こっちはそんじょそこらのやつより命のやり取りしてんだ、お前の攻撃なんざ当たらねぇよ。」

 

αドライバー「俺にだってプライドがあるんだ!うおおおお!!!!」グオオオオ

 

明日翔「おっとっと。」ヒュッ

 

目一杯振りかぶったパンチをスルリと躱す。

 

明日翔「ほらよ!」ガスッ!!

 

αドライバー「ぐあっ!」ドサッ

 

振り向き様に顎にトーキックをお見舞いする。

 

明日翔「おーし、火力元は片付いたぞ~。セニアー?そっちはどんなもんでしょ?」

 

セニア「後衛の制圧は完了しました。あとは、美海が1v1を終わらせるだけです。」

 

明日翔「ってことだ美海!ばばばっとやってくれい!」

 

美海「うん、任せて!…いくよ、葵ちゃん!私、負けないから!」

 

葵「くっ…日向美海!どうやってこの短期間で…ここまで!?」「ぬんっ!」ブンッ!!

 

キン!キン!

 

美海「ぶっとべ~!!!」パーン!!!

 

葵「ぐぅっ!?ぐあっっ!」ドサッ

 

目の前で瞬間的に風を起こして吹っ飛ばす。

 

美海「これでとどめだよ!」チャキッ

 

倒れた葵の喉元に剣を突きつける。

 

葵「ぐっ………参った…降参だ。よく強くなったな、日向美海。」

 

美海「へへーん。やったー!!!!」

 

アナウンサー「本日のメインイベント、E.V.E.選抜エキシビションマッチ!!勝者は、青蘭のアルセーヌ・ルパン率いる、生徒会長チームの勝利です!!!!」

 

ワーワーキャーキャー!!!

 

空「やりましたね、先輩!私たち、選抜戦で勝っちゃいました!」

 

明日翔「ま、俺がちぃーと本気になればこんなもんさ。」

 

ミコト「いやぁ、まったくもって見事だったよ。」パチパチ「E.V.E.は連携が肝の大会だ。強力なプログレスを揃えても、個々の力強いだけでは越えられない壁がある。」「即席チームの連携不足を、αドライバーでどう揃えるかを、私は見てみたかったんだけど…。」

 

美海「えへへ、連携もバッチリだったね!」

 

ソフィーナ「ふん。昨日、命のかかったバトルを経験したあとなんだから、このくらい当然のことね。」

 

セニア「それでも、相手はE.V.E.の優勝チームです。この勝利は、誇ってよいものではないでしょうか。」

 

明日翔「その通り。明日翔は期待通り………いや、それ以上の結果を残してくれた。これで、キミの能力にケチをつけるような者は、この学園にはいないだろう。」「………色々面倒を押し付けてしまってすまない。」

 

明日翔「今更かぁ?大変だったぜ?なんせ一ヶ月の間に起こったことだからぁよ?」

 

ミコト「まぁ、だよねぇ。明日翔くんが巻き込まれたのって、他にもあるんだし。編入早々に裏口入学疑惑を吹っ掛けられて退学勧告。新歓戦で優勝してそれをはね除ける傍らで、毎晩時間を封鎖する化け物と戦い、青蘭島の未来を守った。」

「そして、昨日は化け物を統括する上位個体を撃破。自分が先頭に立って魔女王と交渉、黒の世界の存続に関わる大問題の解決の糸口をつかみ、犠牲になるはずだった少女たちを救った。」

「これをたったの一ヶ月で?ははは、口にすると笑えてくるよ。とんでもない編入生だ、不可能を可能にする男というのは間違ってないのかもね。」

 

明日翔「おほほほ、濃密。でもわかったろ?俺様に出来ないことはねぇってことだ。」

 

空「あ!先輩!あそこ見てください!ユーフィリアさんですよ!」フリフリ

 

手を振ると手を振り返してきた。

 

シルト「応援してくれてたんだー!おーい、みんなで勝ったよ~!」

 

ソフィーナ「あの子がチームにいれば、もっと楽に勝てたと思うけど…目立ちたくないってことなんでしょうね。」

 

空「けどユフィさん。陰ですっごく頑張ってるから、もっと褒めてもらってもいいとおもうんですけど…。」

 

美海「そうだ!今日この後、みんなでお祝いパーティーしようよ!」

 

空「えっ、でもその、まだ魔女王さんとの約束が終わっていないのでは…?」

 

ミコト「魔女王が示した期限まであと2日ある。もう目算は立ってるんだから、今日くらいはいいんじゃない?」

 

シルト「わーい!ずっとバトルばっかりだったから、今日は楽しいことしようよー!」

 

美海「選抜戦の勝利記念パーティだね!ヒメ会長もあとで青空寮に来てよ!」

 

ミコト「む、そういうことならお招きに預かろうかな。」

 

セニア「そういうことでしたら、昨日の戦闘の戦勝会も兼ねてはどうでしょうか。」

 

ソフィーナ「あら、いいこと言うじゃない。だったら、参加者はもう一人追加ね…。ユーフィリア!」

 

ミコト「当然の招待だね。彼女がいなければ、私たちは時間のループにさえ気づけなかったんだから。」

 

空「ユフィさんも含めて、仲間ってことですもんねっ。」

 

報道部「お取り込み中失礼します。報道部の者です!」「この後控え室にて日向美海様、会長様、後藤明日翔様にインタビューの方させていただければと思うのですがお時間よろしいでしょうか?」

 

ミコト「はいはい、対応するよ。」

 

明日翔「ほんじゃ、一旦別行動といこうか。」

 

空「それでは後程、青空寮で!」

 

~数十分後・アジト~

 

テレビ音声「本日のメインイベント、無事勝利した3名にお越しいただきました!生徒会長チームの生徒会長ヒメガミノミコト様、新歓戦での覚醒、日向美海様、そしてメンバーを率いた"青蘭のアルセーヌ・ルパン"後藤明日翔さまにおこし」ブツッ

 

歌右衛門「明日の字の勝利か。当然の結果といったところだろう。」

 

城琉「お相手さんも悪かぁなかったが、こいつばっかりは相手が悪かったとしかいえねぇな。経験が足りなかったってところか?」

 

歌右衛門「うむ、命のやり取りをしていない分の差が出た。相手が悪かったという言葉で間違いないだろう。」

 

ピーンポーン

 

セニア「私です、いますか?入ります。」ガチャッ

 

シルト「松詠~!見た見た~?勝ったよー!」

 

セニアとシルトが部屋に入ってくる。

 

歌右衛門「師匠!師匠のお姿、映像越しではありますが見届けました。」

 

シルト「へへーん!ウロボロスの時も教えられた通りにできたよ!」「こう…ビューンって!」

 

歌右衛門「流石は師匠。ご指南させていただいた時間は短かったですが、お役に立てたようでなによりです。」

 

シルト「教え方がよかったんだよー!松詠ちゃんは偉い!」

 

歌右衛門「もったいないお言葉です。」

 

ワイワイ

 

セニア「…歯の状態はいかがですか?」

 

城琉「なんとか収まった、抜いたあとの痛みの鎮痛剤さえありゃあ戦える。」

 

セニア「そうですか。…ならば、お返しします。これがなければどうしようもないでしょうから。」スッ

 

借りていた銃を返す。

 

城琉「…。」

 

セニア「どうしました?…どこか破損してますか?」

 

城琉「いや、俺が貸した状態のままだ。…そいつはお前が持ってろ。」

 

セニア「どうしてですか?」

 

城琉「俺は今までいろんな銃を使っては別れを繰り返したが、どれも俺からの別れが多かった。だがそいつはどうやら、お前を気に入っちまったらしい。」「初めて銃にフラれたな、持っててやってくれ。」

 

セニア「…分かりました。これは時期がくるまで、お借りします。」「…城琉は、どうするんですか?」

 

城琉「ちょうど、面白いじゃじゃ馬が来そうなんだ。」

 

セニア「そうですか。…前も言いましたが、貴方にも興味があります。」「是非、今までのお話を聞かせてほしいです。」

 

城琉「暇が、出来たらな。」

 

セニア「はい。…ちょうどこの後昨日の戦いの勝利も兼ねたパーティを開くのですが…いかがですか?」

 

城琉「悪ぃな。行きたい気持ちはあるんだが、医者からゼリーとか以外食うなと言われてるんだ。」

 

セニア「そうですか。…人間の歯は替えがききませんから、お大事に。」

 

城琉「お前さんも、体のパーツぶっ壊さないようにな。」

 

セニア「ふふ。」「シルト、帰りますよ。」

 

シルト「はーい!松詠、またねー!」

 

歌右衛門「師匠、お疲れさまでした。」

 

ガチャ……バタン

 

~数時間後・青空寮・リビング~

 

しばらく時間が経って青空寮には、仲間たちが勢揃いしていた。リビングのテーブルには、料理やお菓子、飲み物が所狭しと置かれている。

 

美海「それでは!選抜戦の勝利と、ウロボロスの撃破を祝って!かんぱーい!」

 

一同「乾杯っ!」

 

ソフィーナ「美海、最初に言っておくわ。貴女はこのあたりのお菓子を食べるのは禁止ね。」

 

美海「えー、なんでー!?食べちゃいけない理由があるの?」

 

ソフィーナ「貴女に前科があるからよ!明日翔の歓迎会の出来事を忘れたとは言わせないわよ。」

 

美海「うーん…。」「なにかあったっけ?」

 

ソフィーナズコーーーッ!!

 

空「美海さん、覚えてないタイプなんですね…。」

 

美海「え、ほんとになに!?私、明日翔くんに何かしてた!?」

 

明日翔「ああ、そりゃもう『あ~~ん』ってしてくれちゃったりしてな!うひひひひ。」

 

美海「えーっ!嘘ーっ!///」

 

ソフィーナ「いてて…嘘じゃないわ。その後、私にベタベタしてきた。」

 

美海「えーっ!///むー…私って酔うと大胆になるタイプなのかな…?」

 

シルト「美海美海!わたしになら、いつでもくっついていいからね!」

 

美海「もう、シルトちゃんは可愛いなぁ!」ムギュー

 

シルト「むにゅー。」

 

空「シルトさんをおってた人たち…結局、姿を見せませんでしたね。」

 

明日翔「公式大会であんだけ暴れたんだ。バカじゃあなけりゃ、そう簡単に手ェ出せねぇだろ。」

 

ソフィーナ「狙いどおりよ。慎重を期してたら機会を失うなんて、間抜けもいいところだわ。」

 

ミコト「青蘭島には風紀委員もいる。ウロボロスのような特殊な相手でない限り、表だって手は出せないはずだよ。」

 

空「一人になるような事態を避ければ、大丈夫でしょうか?」

 

ミコト「そうだね。万が一、私たちが見れなくても…彼女の弟子が見てくれるもんね?」

 

明日翔「ま、そういうことだ。俺たちの中にいれば、手ェ出されてもすぐに撃退できるってことだ。」

 

ミコト「何かあったら、いつでも生徒会に相談してよ。」

 

ユーフィリア「それでは、早速ご相談なのですが…。」ヒョコッ

 

ひょっこりとユーフィリアが顔を出す。

 

ミコト「ユーフィリアか。キミもお疲れさま、戦いをはじめて見せてもらったけど…キミは異常だね。明日翔くんのリンクがあったとはいえ、あの戦闘力。そして、未来が見えてるような動き。」「正直、この学園に在籍してるどのプログレスよりも、抜きん出てるように見えるけど?」

 

セニア「同感です。わたしも、その話を聞きたいと思っていました。」「私は、白の世界の最新鋭アンドロイドです。ですがあなたには、私よりも先の世代の技術が使われていますね?しかも、私と同系列の技術が。」

 

ミコト「セニアと同系列…キミは、Dr.ミハイルのラボ出身なの?」

 

ユーフィリア「いいえ。私を作ったのは、アンドロイドです。その人が作ったのは私一機だけですし、アンドロイドの開発者として知られていないのも当然でしょう。」

 

セニア「答えになっていません、ユーフィリア。あなたに使われている技術はどうやって…。」

 

ユーフィリア「簡単なことですよ。セニアさん、私は─」

 

明日翔「未来で作られたアンドロイド、ってこったな?」

 

ユーフィリア「あら、明日翔さん。いつのまに。」

 

ユーフィリアの後ろに立っていた。

 

セニア「………理解しました。あなたの力は、時間に干渉するのですね。あなたに使われている技術。そして、時折見せる異常な予測精度は、それが理由ということですか。」

 

ミコト「…ん??んん?それってつまり…ユーフィリアは、未来が見えるんじゃなくて…時間を越えられるの?」

 

ユーフィリア「はい。私はその力を使って、壊された未来を取り戻すために、時を渡ってきたんです。」

 

明日翔「因みにその能力に最初に気がついたのは俺~。」

 

ユーフィリア「初対面のアンドロイドの事情を数時間で理解する貴方が怖いです。」ジト

 

ミコト「…その原因になってるのが、ウロボロスということか。なるほど、キミの行動に納得がいったよ。」「それで、さっきいってた相談って言うのは?」

 

ユーフィリア「ウロボロスに関してです。もう少し私たちに、学園内での権力をいただけないかと。」

 

ミコト「ウロボロスは先日の上位個体を倒して終わり…ではないんだね?」

 

ユーフィリア「その通りです。敵の戦力は未知数。時間に隠れているので、普通のプログレスでは対応できません。かといって、周知しても混乱を招きますし、知ったところでαドライバーがいなければ交戦不可能。」

 

ミコト「風紀委員を派遣しても無駄…なら自分で迅速に対応できるようにしてほしい……ということ?…考えておくよ、前向きにね。」

 

話をしているとフラフラしている美海が割ってはいってきた。

 

美海「ねえー、なにむずかしそうなはなししてるのー?」

 

明日翔「あららら、このバーカ。食べちゃったのね。」

 

ソフィーナ「ごめんなさい。ちょっと目を離した隙に…。」

 

空「なんと!ソフィーナさんとあろうものが付いていながらっ!」

 

美海「せっかくのおいわいなんだし、みんなでおはなししようよー!」

 

シルト「そーだそーだー!」ムギュ

 

美海「わー!シルトちゃんはかわちいねぇ。」スリスリ

 

シフト「えへへー。」

 

美海「それより!明日翔くんは、まんなかっ!」グイ

 

明日翔「うおっ!ちょいちょい!」

 

俺の服の袖を引っ張り真ん中に座らせる。

 

美海「いちばんがんばったし、みんなのαドライバーなんだから!」

 

ユーフィリア「……それもそうですね。今日のところは、楽しむことに集中しましょうか。」

 

美海「えへへー。明日翔くん!」「これからも、青空寮の一員として…私たちのαドライバーでいてね!」

 

明日翔「そいつぁ大変そうだな?でも、退屈しなさそうだ。」

 

美海「あはは、いろいろあったもんね。けど、みんなで力を合わせたら、どんなことでもなんとかなるって、キミが教えてくれたから。」

 

ソフィーナ「そうね。実際、なんとかなってきたんだし。」「今日のところは、少し羽を休めてちょうだい。今までずっと、走ってきたんだから。」

 

ミコト「…!そうだ。エクストラの決勝の解析は、明日に終わるよ。」

 

ソフィーナはその言葉を聞くと不安そうな顔をする。

 

ミコト「……そんな顔しなくていいよ、きっと大丈夫だから。その後の事は、それから考えればいい。キミたちがあれだけ頑張ったんだ。」「それに報いないと、全ての学園生の味方たる、生徒会長の名が廃るというものだよ。」

 

明日翔「まぁ、ミコトもこう言ってるわけだ?今日はいろんなことを忘れて楽しもうじゃないの!」ドンドン!

 

ソフィーナの背中をドンドンと叩く。

 

ソフィーナ「きゃっ!」「…あなたの距離感は相変わらずね、でも今回はそれに助けられてるんですもの。今日だけは、楽しもうかしら」

 

明日翔「お~!楽しめ楽しめ!」

 

 

ハハハハハ!!!!キャッキャ!!!

 

そしてパーティを楽しんだ。

 

~夜~

 

美海「えへへー…明日翔くーん…ソフィーナちゃーん…空ちゃーん…ずっと一緒にいようねぇ…むにゃむにゃ。」ムギューZzz

 

ソフィーナ「当たり前じゃない…すやすや。」Zzz

 

空「美海さぁん…すぴー。」Zzz

 

シルト「美海ー…私も入れてー…ぐぅぐぅ。」ギューZzz

 

ミコト&ユーフィリア&セニア「…。」Zzz

 

明日翔「…。」パチッ「みんな寝てるな。久々に騒いだからお眠だ、よいしょっと。」ソローリ

 

気がつかないように抜け出し、脱いでいたジャケットを着る。

 

明日翔「お前たちは疲れてるだろうし、今日はゆっくり寝てくれよな。」「悪いな、一抜けさせてもらうぜ。泥棒に休んでる暇はないのよ。じゃ、お休み。」ガチャ…パタン

 

みんなを起こさぬようにドアを閉めて外に出る。

 

ソフィーナ「…。」パチッ「…明日翔…?」

 

~裏山~

 

明日翔「…。」テクテク「よぉ~城琉ちゃんに歌右衛門っちゃん。やっぱり来てたみてぇだな。」

 

城琉「ずいぶん女とお楽しみだったじゃねぇか?置いていって、大丈夫なのか?」

 

明日翔「そ~りゃワイワイ騒いでぐーっすりよ、男だけでしかできなこともあんのよ。」

 

歌右衛門「師匠に、手を出していないだろうな?」チャキッ

 

明日翔「おーいおいおい、出してねぇって。ったく、歌右衛門ちゃんは気が早いんだから。」「それより、例の計画は進んでるか?」

 

城琉「今のところ、順調だ。予定通りいけば明後日の朝までにはおわるはずだ。」

 

明日翔「お~し、全ての決着は明後日だ。やばくなったら、助けに来てくれよな。」

 

歌右衛門「合点。」

 

城琉「しかし、俺たちにも休みがほしいな。ここんところ、働き詰めじゃないか?」

 

明日翔「バカ言え、休むのは盗みが終わってからよ。ソフィーナ盗むついでに、あの世界の酒も盗んできちゃえばいいのよ。」

 

城琉「そいつぁおもしれえ。異世界の酒はどんな味がするのかな?」

 

歌右衛門「うーむ、想像もつかんな。」

 

明日翔「ま、どれもこれも明日を迎えないと話になんねぇや。てかおい、城琉。お前銃はどしたの?セニアが持ってたけんど。」

 

城琉「ああ、フラれちまってな。代わりといっちゃ癪だが…面白いもんが手に入ったんだ。」チャキッ

 

その面白いものを見る。

 

明日翔「わぁ~お。こりゃまた面白いもの、これこそマグナムってやつだよな。」

 

城琉「試し撃ちがしたかったんだ。もうすぐにでも『的』が用意できるんだろ?」

 

明日翔「ああ、好きなだけ撃ってくれればいいさ。じゃあ、いくぜ!」チャキッ

 

ドギューン!!ドギューン!!バゴォォォン!!!ジャキイッ!!

 

~数十分後・公園~

 

ウロボロスをかるーくひねり、公園にきた。もちろん、海沿いの柵でタバコだ。

 

明日翔「これで、明日を迎えられるな。」

 

城琉「ドデカイ山を超えたんだ。赤子の手を捻るぐらい簡単だろ?」

 

明日翔「おほほほ、まぁな。欲を言っちまえば、俺一人でも処理できればいいんだけどさぁ?」

 

歌右衛門「こういうのは我々の仕事だ。明日の字がやるのならば、我々もやらねばならん。」

 

明日翔「ま、汚れ仕事はお得意様か。」

 

スーッ…ふぅ~。

一服してリラックスしていると、後ろから声をかけられる。

 

ソフィーナ「ちょっと?三人そろって何をしてるわけ?」

 

明日翔「?ソフィーナ。どしたぁ、寝てたんじゃなかったか?」

 

ソフィーナ「流石に起きたわよ…。」ツカツカツカ「明日翔、なんでもかんでも一人でやろうとしすぎよ。」

 

明日翔「ソフィーナ…。そいつぁ違ぇ、こう言う仕事はお前たちがやる必要はねぇんだ。」

 

ソフィーナ「…あのね、貴方たちがここに来る前から『何か』をしてて、3人だけで解決できるのはわかる。」「けど、この青蘭島で起こる問題は貴方たちだけじゃなくて、私たちの問題でもあるのよ?」

 

明日翔「言っちまえばこんなもん、誰にもなーんにも評価されねぇ汚れ仕事だ。こんなのはお前らのやるべき仕事じゃあねぇ、命のかかるような事は、巻き込みたくねぇんだ。」

 

ソフィーナ「…はぁ~…り」ガックリ「貴方はとんだお馬鹿さんね。巻き込みたくない…というよりか私たちには日の当たるところにいてほしいってところかしら?」

 

三人「…。」

 

ソフィーナ「あら、三人とも図星って顔ね?まったく、三人揃ってロマンチストというのかなんと言うのか…。」「…今さら水くさいじゃない、たった昨日一緒に命を張ったばかりじゃないの。」

 

明日翔「ソフィーナ。そいつは俺が…。」

 

ソフィーナ「…本当の動機は、聞く気はないわ。」「貴方たちは、私のためだけに命を賭けてくれた。 私はそれだけで、嬉しかったの。」「…私は、そんな貴方に報いたいのよ。」

 

明日翔「お前…。」

 

ソフィーナ「私たちのことを大事にしてくれているのは嫌と言うほど伝わる、それを無駄にはしないわ。」「だからといってすべて一人でやるのは違うわ。…少しくらい、協力させてくれたっていいじゃない?」

「評価なんてされなくていい、それを知ってる人はいるじゃない。少なくともここにね。貴方たちが命を張って私たちを守ってくれるなら私も貴方たちを助けるために命を張るわ。」

「それが貴方たちの『美学』なんでしょ?」

 

明日翔「…はぁ~。」ガックリ「こうなるとな~んにも聞かねえんだから、こういうとこ美海とそっくりだぜ?」

 

ソフィーナ「ふふ、一緒に過ごしてたうちに移ったのかしらね。」

 

明日翔「…命を張るってんなら、この先は相当な修羅場になるぜ。酷ぇ現実も受け入れねぇと前には進めねぇ、その覚悟はできてんだろうな?」

 

ソフィーナ「…私は友人を守るために命をかけて月と同化すると決めたのよ?…とっくに、できてるわ。」キリッ

 

真剣な顔で答える。

 

明日翔「それもそうだな。じゃあ、心配いらねーや。」

 

城琉「はっはっは!お前とあろうもんが、女に押されちまったな?」

 

明日翔「うるせぇ。」

 

歌右衛門「次期魔女様、面目ない。師匠…ひいては、皆の人生のため戦ってほしい。」

 

ソフィーナ「もちろん、一緒に戦うわ。」「…この話は終わりとして、 貴方たち何でタバコなんて吸ってるわけ?色々突っ込む気もなかったけれど。」「手荷物検査をするわねっ!」パンパン!!!

 

明日翔「あ!ちょいちょい!」ガシャガシャガシャ!!

 

武器やタバコの箱、モノクル型機械などがポロポロと床に落ちるがひとつの青い珠にソフィーナは目を付けた。

 

ソフィーナ「あら?重力石じゃない、それも純度が高い。どこで手に入れたのかしら?」

 

明日翔「あ?なんだこれ、どっかで拾ったか…?」

 

ソフィーナ「これは、重力魔法の効果が込められてる黒の世界特有の石よ。主に重力を発生させて敵の足止めだったり時には空間を圧縮してありとあらゆる物体物資を消滅させたりする使い方ができるわ。」「この純度だと…私の大魔法も消滅させたりできそうね。」

 

明日翔「はえ~。何でそんなおっかねえもんが俺のポケットに…。」「あぁ!」

 

そういえば前の時間軸で盗んできたんだっけか?思い出したぜ。

 

明日翔「拾ったんだ。そうそう、黒の世界でな?」

 

ソフィーナ「まぁこれは観賞用の宝石としても価値があるし魔法に触れたりしなければ起動するわけでもないから、持っていても損はないんじゃないかしら?」「…まさか盗んだとか言わないでしょうね?貴方たちならいいそうよ。」ジト

 

明日翔「いやぁ~?まっさかそんなことがあるわけねーでしょうよ、なぁ?」

 

城琉「そうだな、決してあり得ないことだ。」

 

歌右衛門「右に、同じ。」

 

ソフィーナ「あらそう。」ジトー「まぁいいわ、今日はもう遅いから戻りましょ?寝ないと体に毒よ。」

 

明日翔「ほいほい、ほんじゃお前ら、明日な?」

 

城琉「おう、またな。」

 

歌右衛門「さらば。」

 

こうしてしばしの休息の日は終わりを告げた。

 

~4月24日・朝・青空寮~

 

明日翔「ふぁ~ぁ…。眠てぇ…。」

 

空「あはは、私たちだけ寝てしまって申し訳ないです。」

 

ガチャ

 

リビンクの扉を開けると…。

 

ソフィーナ「あら、おはよう。二人とも早いわね。今日ぐらい、とっと寝ててもよかったのに。他のみんなは、まだ寝てるわよ?」

 

明日翔「お前さんこそ早いじゃねか。まさか、昼寝しすぎて寝られなかったか?」

 

ソフィーナ「いや…単純に、眠れなかったの。」

 

空「……今日はヒメ会長から、エクストラの解析が出る日ですもんね。」

 

ソフィーナ「ええ。私や美海、明日翔の未来が決まる日。……だっていうのに、本人はまだ寝てるのよね。」

 

明日翔「おほほほ、あいつらしいや。」

 

ソフィーナ「そう思うわ。それに、あの子が自然体でいてくれるときって、安心するのよね。」「『なんとかなる大丈夫だよ』って言われてるみたいで。」

 

空「あはは、ちょっとわかります。」

 

ガチャ

 

セニア「おはようございます。他の皆さんは、まだ眠っているのですね。」

 

ソフィーナ「おはよう、セニア。いつもはやいわね。」

 

セニア「わたしの覚醒時刻は固定されています。緊急時以外は、それを変更する理由はありません。」

 

ソフィーナ「誰かさんに聞かせてあげたいセリフね…貴方もたまには二度寝でもしてみたら?」

 

セニア「二度寝…ですか。データベースにはある言葉ですが、どのような欲求によるものなのでしょうか?」

 

明日翔「ん~?そうだな!こう…まだねむ~い!Zzz」カクッ「みたいな?」

 

空「あとは何より、気持ちいいんですよね。あのふわふわとした眠りに落ちそうで落ちない感覚…。」

 

セニア「なるほど、脳の休息メカニズムによるものですか。そうであれば、私が理解するのは難しそうです。」

 

ソフィーナ「…もしかして、本当に二度寝してみようとおもったの?」

 

セニア「はい。みなさんと同じ体験を共有すると、充足と高揚を感じることを発見しました。」「これが戦闘のような非日常だけでなく、日常でも経験できるのであれば、それは喜ばしいことです。」

 

空「セニアさんも、私たちと一緒に楽しいことしたい、って思ってるってことですか?」

 

セニア「はい。ですので、その欲求の招待を知りたかったのです。」

 

空「セニアさん…!であれば一緒に寝ましょう!」

 

セニア「はい。体内の設定を変えておくよう設定します。」

 

ソフィーナ「…なんだか、どんどん人間らしくなるわね?貴女…。」

 

明日翔「おほほほ。どんどん回りに影響されるってな?」

 

~数時間後・青蘭学園・生徒会室~

 

ガチャ

 

ミコト「やあ、待ってたよ。休みの日にわざわざ来てもらってごめんね。」

 

 

明日翔「ああ、いい報告になるように頼むぜ?」

 

ユーフィリア「こんにちは、今日は私も同席させていただきます。」

 

ミコト「もちろん構わないよ。エクストラのことはキミが焚き付けたんだし、むしろいてもらわないとね。」「あと、念のため部屋の外はナクルに見張らせてる。外に話が漏れる心配はないから、安心して。」

 

~外~

 

ナクル「せっかくの休暇がつぶされたー。訴えてやるー。…ふぁ。」ブツブツ

 

~中~

 

ソフィーナ「お気遣い感謝するわ。それじゃ、早速話を聞かせてもらえるかしら?」

 

ミコト「うん。でもその前に…ふっ!」グイッ!!

 

明日翔「なんだぁ!?いやぁあああああ!!!!」ビヨーーーン!!!

 

空「せんぱいっ!?」

 

美海「明日翔くん!?」

 

両足を糸でぐるぐる巻きにされて吊るされてしまった。

 

明日翔「おーい!こいつぁどういう了見だぁ!?」

 

ミコト「キミがこの話に参加すると話がこじれる。だから先に対策をたてたの。」ジト

 

明日翔「おいおい、腫れ物を扱うみたいな。俺が話をこじらせたことがあるか?」

 

ミコト「この前喧嘩したじゃない…。」ガックリ

 

明日翔「ああ、そいえばそんな日もありましたね、ええ。」フラーンフラーン

 

降ろせーーーッ!!!!

 

ミコト「…で、本題のエクストラなだけども…。予想通り、あの決勝はエクストラが凝縮されたものだった。ただし、総力は桁外れ。魔力に変換しても、魔女王が必要とする3倍はある。」

 

シルト「じゃあ、その結晶を魔女王に渡せば!」

 

空「これで問題は万事解決ってことですね?」

 

明日翔「いーや、ところがそう簡単にゃいかねんだなぁ?」

 

空「え?どういうことですか?」

 

セニア「『紅き月』を修復するエネルギーさえ確保できれば、美海とソフィーナも解放されるのでは?」

 

ユーフィリア「………問題は、ズバリ。」

 

明日翔「エクストラをめぐる各世界の所有権絡みの問題ってことだぁ。」フラーン

 

エクストラは、誰の手に?

俺が盗んじまった方が早いんだけどなぁ。




てエクストラの所有権の問題、俺がかっぱらっちまった方が楽なんだがそうもいかねぇってんでよ?どうしたもんかと頭を悩ませているとミコトが高らかに宣言した!

次回「七女神の意地」

また会おうぜ?
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