~4月25日・昼・生徒会長室~
今、生徒会長室ではエクストラの所有権についての問題が浮上していた。
ユーフィリア「………問題は、ズバリ。」
明日翔「エクストラをめぐる各世界の所有権絡みの問題ってことだぁ。」フラーン
エクストラ「そう。『青蘭島で発生したエクストラは、青蘭学園が保有する。』というルールがあるんだ。ウロボロスは青蘭島で撃破した。つまり、そこで得られたエクストラは、青蘭学園のものになる。」「そして、青蘭学園は、全ての世界にたいし、中立であることが求められる。」
ユーフィリア「『エクストラ』は、各世界固有のエネルギーの源になる重要なものです。だから、足りないといって、黒の世界だけ特別扱いするわけにはいかない…ということですね。」
ソフィーナ「黒の世界にエクストラを渡すなら、他の世界にも渡せ、という話になる。だけど、その結晶に含まれてるエクストラは3世界分しかない。」
明日翔「割り食った世界からのクレームはヤバいもんになっちまうだろうなぁ?」フラーン
シルト「ヒメは生徒会長だよね?なんとかできないの?」
ミコトはニヤリと笑った。
ミコト「ふふふ、出来るとも。」
ソフィーナ「無茶を言わないで、シルト。これは政治の話よ。ヒメは生徒会長だからこそ、最も公平に─え?」
明日翔「…?…!な~るほど?そいつぁおもしれぇ考えだ。」
ミコト「察してくれたようだね、明日翔。」「今まで私が事態に振り回されてばかりで、なんちゃって生徒会長…とか思っていたかもしれないけど!」
空「ヒメ会長、誰もそこまでは思ってません。」
ミコト「これでも私は、赤の世界を預かる七女神の一柱。、そひて、誰よりも学園生の味方である自負がある。だから、何があろうとも、キミたちを犠牲にする選択は行わない。」
美海「ヒメ会長…。」
ソフィーナ「だったら、どうするの?その決勝を分割して支給したとしても、2世界分足りないでしょう?」
ミコト「いや、実は足りないのは一世界分だけなの。上位個体を倒したあとに漂ってた光を覚えてる?」
シルト「覚えてるよー。キレイだったよね!」
ミコト「解析の結果、あれでほぼ一世界分を賄える量のエクストラがあったんだ。」
ユーフィリア「…残滓だけで、それだけのエクストラを内包していたというわけですか。強力なわけです。」
ソフィーナ「解析にやたら時間がかかると思ったらそういうわけ。でも、丸々一世界分は足りてないんでしょ?」
ミコト「うん。だからその残る一世界分のエクストラは、キミたちに生み出してもらう。」
美海「エクストラを………。」
空「生み出す………?」
セニア「ヒメガミノミコト。もっと情報を開示してください。断片的な情報だけでは、正しい判断ができません。」
ミコト「ごめんごめん、ちゃんと説明するから。」「じゃあ…明日翔、説明してくれるかな?」
ソフィーナ(この流れ、なんか前にも…)ジト
明日翔「?俺に聞かれたってわかんねぇよ?」
ミコト「え。」
………………………………。
ソフィーナ以外ズコーーーーッ!!!!
ソフィーナ「やれやれ…。」ガックリ
ミコト「明日翔!知ってるんじゃなかったの!?」ガバッ!
明日翔「いやぁお前が何を言うかはわかってっけどもよ?エクストラ回りのことはなーんもしらねぇ!」
ミコト「はぁ…。」ガックリ「気を取り直して…まずはブルーミングバトルが行われている理由から話そうか。」「ブルーミングバトルは、プログレスの育成プログラム。これは真実。」
空「ですよね?学園の入学パンフレットにも、そう書いてありました。」
ミコト「だけど、青蘭学園の創立に関わった、ごく一部の人しか知らない、もうひとつの目的があるの。それがエクストラを産み出すこと。エクシードをぶつけ合うことによって、ね。」
空「じゃあ、ブルーミングバトルで、よくキラキラしてたりしてるあの光って…。」
ミコト「うん、エクストラの輝きだね。そして、強力なエクシードであればあるほど、この発生量は増加する。」
ソフィーナ「話が見えてきたわ。一世界に支給する分のエクストラを、私たちにブルーミングバトルで産み出せと言うことね?」
ユーフィリア「ですが、時間がかかるのでは?一世界だけ、エクストラを受け取るのが遅れることになります。」
明日翔「ユーフィ、最初の話を忘れたか?今目の前にいるのは生徒会長であり七女神の一人、ヒメガミノミコト様だぜ?…赤の世界を統括してるな。」
ミコト「…明日翔にそういわれると、なんかぞわっとするね。」ブルッ
明日翔「もちあげてやったんだからいいだろ。」
ソフィーナ「…貴女、もしかして…。」
ミコト「こほん。」
「赤の世界は、あなたたちの成長に期待して、エクストラの受け取りが未来になることに同意する。赤の世界を預かる七女神の一柱」「ヒメガミコミコトの名に於いて、これは決定事項とする。」
「…キミが読んでたのは、こっちだね?」チラ
明日翔「そゆこと。」
美海「ヒ………ヒメ会長ーー!!すごーい!!」
ミコト「はは!そうだろうそうだろう!もっと褒めてくれていいんだよ!?」ニコニコ
ソフィーナ「……貴女には、大きな借りができたみたいね。」
ミコト「私は有望な学園生を守っただけ。気になるようなら、エクストラに利子でもつけて返してよ。」
シルト「えーっと。これで、ソフィーナは助けられるの?」
空「はい!そのとおりです!」
シルト「やったね!あんなに強い敵も倒したし、選抜戦も頑張ったし………。みんなすっごく頑張った!えらいっ!」「あとは明日エクストラを持っていけば、全部解決だよー!」
美海「だね!ヒメ会長のおかげで、エクストラもなんとかなりそうだし。」
ソフィーナ「あとは魔女王が変なことを言い出さないかだけど…それも、会ってみないとなんとも言えないわね。」
セニア「全ては明日、ということですね。」
ミコト「うん。連日で悪いけれど、みんな明日は黒の世界に向かってもらうよ。私はあくまで立会人だ。最後の交渉は、キミたちの手で解決してほしい。」
ユーフィリア「わかりました、お任せください!」
ミコト「頼もしい答えだ。それじゃ…。」チラッ
俺の方を見て、糸をほどいてくれるかと思ったら。
ミコト「…また明日ね。」
美海「うん!ヒメ会長!ありがとう!」
ゾロゾロと青空寮のメンバーは帰っていく。
明日翔「おーい!降ろしてくれぇ~!!俺が何したってんだぁ!!!」
バタン
明日翔「はぁ…。」ガックリ「なぁ、俺がお前に何したってんだ?」
ミコト「話がこじれるからだよ。所有権云々の話は明日翔の『得意分野』じゃない?ある意味。」
明日翔「そいつぁもちろん、俺の『得意分野』さ。」
ミコト「そりゃ権利も何もない泥棒だからね…。」パチン!
明日翔「ぐえーっ!!」ドシーーーン!!!
糸が急に消えて床に落ちる。
明日翔「いってぇ~。おいおい、糸消すときぐらい言ってくれよ。」サスサス「にしても、たいした覚悟じゃねぇか。独断か?」
ミコト「独断といえばその通り、だけど私はトップの一人だからね?ある程度融通は聞くからね。何か言われても説得するよ。」「というか、そうしないとキミたち一味が独断でいきかねないし。」
明日翔「おほほほほ、よくわかってらっしゃる。」
ミコト「…リュウセンの歯は大丈夫なの?」
明日翔「ああ、歯医者に押し込んでやったからな。しばらくゼリーしか食えねぇって嘆いてたよ。」
ミコト「歯磨きを怠ると大変だね…。」
明日翔「なに、持病みたいなもんさ。」
………………。
ミコト「…一応確認だけど、交渉が決裂したときのことは考えてるの?」
明日翔「もちろん。ま、明日のお楽しみといこうや?ネタバラシしたところで面白かねぇしよ。」
ミコト「ふふ、それはそうだね。」
明日翔「…お前さんも、柔らかくなったな?」
ミコト「?」
明日翔「この間まではよ?会長の責務だー平等だーなんつってお固ーいこといってたのにさ?今じゃ1生徒のために政治まで動かしちまうんだぜ?」
ミコト「ははは。もしかしたら誰かさんに影響されたのかな。」「…っていう冗談は置いといて、私はこの青蘭学園を、全生徒を守る義務がある。そこは変わってないよ、全世界に平等であるべきという考えも変わらない。」「ただまぁ…ユーフィリアや明日翔がいなければ何も知らずに生徒が犠牲になっていた、それが悔しくてね…。」「生徒会長として、七女神の意地が私を突き動かした。そんなところかな?」
明日翔「女神様の意地ねぇ、神様に意地って概念はないもんだと思ってたよ。」
ジャケットの内ポケに手を入れると
ミコト「ここは禁煙だよ?いや、青蘭島自体禁煙のはずなんだけど。」
明日翔「おっとっと。お前としゃべってっと、手が延びていけねぇや。」
ミコト「あえてキミらしく言うなら…。」
「目の前で泣いてる生徒達がいる、それだけじゃダメかな?」
明日翔「い~やぁ?ご立派よぉ。ケチのつけようもない、大変ご立派な理由だ。」
!
ミコト「ふふふ。でしょ?」「じゃあ…明日、また黒の世界で。…お互い生きて帰ろう。」
明日翔「わりぃな。俺は、死んでも盗むぜ?…じゃあな。」
ガチャッ…バタン
~数時間後・夜・公園~
数時間がたち、ウロボロス退治を終えて帰る途中のことだった。
空「ふ~。先輩、今日もお疲れさまでした!上位存在を倒しても、一日を封鎖しているウロボロスはいつも通りでしたね。」
明日翔「ボスを倒したところでパニックになるような生き物じゃあねぇってことだ、面倒な連中ですこと。」
空「でも、このまま何もなく毎日が続けばいいんですけど…。」
明日翔「まぁ、当面は何も起こらねぇだろ。…多分な?」
その道中見ていると…。
空「あれ?あそこにいるの…美海さんとソフィーナさんじゃないですか?こんな時間に何してるんでしょう?」
ちょっと近くに隠れ、盗み聞きをする。
ソフィーナ「……いよいよ明日、ね。美海、貴女は大丈夫と言っていたけど…エクストラが『紅き月』の修復に使えると判明しない限り、状況に変わりはないわ。」「それにもし使えたとしても、魔女王が満足する結果になるとは限らない…その時が近づくほど、嫌でも緊張してくるわ。」「もし魔女王が本当に貴女や明日翔を生贄にしようとしたら、私……。」ブルブル
美海「大丈夫だよ、ソフィーナちゃん。絶対に大丈夫だから、心配しないで。よしよし。」サスサス
震えるソフィーナの背中をさする。
美海「だって、私が尊敬するソフィーナちゃんが尊敬する魔女王様だもん。私はソフィーナちゃんを信じてる。だから魔女王さんも信じるよ。」ムギュ
ソフィーナ「むぅ。」「……いつのまにか強くなったのね、貴女も。」「もしどうにもならなかったり、魔女王が約束を反故にしたら、どうするの?貴女も私も…みんな生贄にされてしまう可能性だってあるのよ?」
美海「うーん、少なくとも私が生贄になるのはそういう約束だからいいけど…。もしソフィーナちゃんを生贄にするっていうなら、私は全力で戦ってソフィーナちゃんを取り戻すよ!」
ソフィーナは非常に驚いた顔をする。
ソフィーナ「魔女王と、戦うですって…!?」
美海「うん!友達を助けるためなら私は戦う!やらやきゃきっと後悔すると思うし!」
ソフィーナ「美海、貴女…。」
この話を聞いていると空が飛び出した。
明日翔「あっおい!」
空「そ、その時は私も加勢しますからっ!」
明日翔「おいおい、二人の空間には入らない方がいいっての。」ヤレヤレ
美海「わわ、空ちゃん!?明日翔くん!?」
ソフィーナ「貴方たち……いつからいたのよ!?」
明日翔「ついさっき、お前たちの姿が見えたもんでな?」
空「すみません、立ち聞きしてました!お話聞いてたら…いてもたってもいられず…。」
明日翔「明日がそんなに不安かぁ?まぁ当事者からしたら気が気じゃねぇだろうな。」
ソフィーナ「貴方だって…魔女王の前で啖呵を切った上に命まで差し出したじゃない。…どうしてそんな余裕綽々なのよ?」
明日翔「何度もいってるだろ?俺は不可能を可能に出来る男だってよ。つまり、お前たちをいつもの日常に戻すことが出来るのは俺にとっちゃ造作もないってことよ。」「お前らの手は、これ以上汚させないからよ?俺に任せなって。」
美海「明日翔くん…。」「私も戦うよ。私だってソフィーナちゃんのために命を掛けた一人だもん!明日翔くんたちだけが戦う必要なんてないから!」
明日翔「へへっ。そうか、そいつぁ頼もしいなぁ。」「何度もいってっけどよ、俺はこの一ヶ月、お前に返しきれねぇ恩を作っちまった。俺はその恩を少しでも返してぇのよ。」ガシッ
ソフィーナの両肩をガシッとつかみ見つめる。
明日翔「まぁ何が言いたいってよ?俺たちはお前のためならいくらでも命かけれるってことだ。」
空「そうです!この一ヶ月、ソフィーナさんがいなければここにいなかった未来もありました。だから、今度は私たちがソフィーナさんを繋ぎ止める番です!」
ソフィーナ「明日翔…美海…空…。」「…。」フルフル
ソフィーナは目を閉じて下を向いた。少し体が震えた気がした。
ソフィーナ「…はぁ…まったく、貴方たちときたら…皆、おせっかいもいいところだわ。」「いいわ。もしそうなったら、私も戦ってあげる。こうなったら、とことん付き合ってあげるわよ。」
美海「うんっ!よろしくね!ソフィーナちゃん!」ムギュ
ソフィーナ「むぅ…。」
美海「明日のこともあるし!今日も一緒に寝よー?」スリスリ
ソフィーナ「んもう!いくらでも一緒に寝てあげるから、頬を擦り合わせるのはやめなさい!」
美海「えへへー、いいじゃーん。」
ソフィーナ「せめて寮に戻ってからにしなさいよ…。」
美海「はーい。じゃあ、帰ろっか!」
空「はいっ!明日に備えましょう!」
帰るが、俺は別の用事がある。
明日翔「おー、すまん。実はちとこの時間じゃないとできない別の用事があんだ。先に帰っててくんねぇか?」
ソフィーナ「?そう、日を跨ぐ前には帰ってくるのよ。」
明日翔「はいはいよー。ほんじゃ、また明日な。」
ここで俺たちは別れ、俺はある方向へと向かう。
~1時間後・夜中・黒の世界~
俺はとある用事があり、こっそりと黒の世界に忍び込んだ。とある計画の進行もかねてだ。
明日翔「おっす、城琉!例の計画は進んでるか?」
城琉「明日翔、いいタイミングだな。必要なものはほとんど運び込んで、隠してある。お前、鍵は持ってるか?数ヵ月前に渡したはずだ。」
明日翔「鍵?ああ!…こいつだな?ちゃーんと肌身離さず持ってるぜ。」ジャラ
数ヵ月前に城琉にもらった鍵を取り出す。
城琉「とうとう、その鍵の本体をお披露目するときが来たわけだ。使わなかったら使わなかったらで、こっそり回収すればいいが…まぁ念には念を、だ。」
明日翔「よ~し、次は脱出経路の確認だ。」バサッ…スチャ
紙を広げ、モノクル型の機械を目に装着しペンで地図を書き出す。
明日翔「まず…貨物用の門がここ、移動用の門がここ、あともうひとつ、あるはずなんだよな。それがまだ、見つけられてねぇ状態だ。」
城琉「この近辺はほぼ探し尽くしたはずだが…それっぽいものは見つけられなかったな。どうする?」
明日翔「使わねぇのが一番丸いってぇもんだけっどもよ?門が全部封じられちまったら俺たちの計画がパアになっちまう。見つけといって損はねぇ。」ジロジロ
地図をまじまじと見つめる。
明日翔「この手のものは法則が…。」「…いやぁ、まさかなぁ?」
城琉「何かわかったか?」
明日翔「完全にあてずっぽうなんだけっどもよ?」
描いた地図ととある地図を重ねて見てみると…。
明日翔「うふふふふ、あたりぃ~。」
城琉「なるほど、そういう仕組みか…。よし、一度青の世界にかえって確認してくる。そのまま俺は青の世界で準備があるから、また明日ってところだな。」
明日翔「おう、頼んだぜ。」「さてさて、肝心な中の構造も改めて下調べが必要だよな?」
相棒と別れ俺はある場所に潜入する。
~黒枢城・謁見の間~
リゼリッタ「…本日、ソフィーナがエクストラを届けに来ると連絡が入りました。」
ミルドレッド「うむ。遅い時間の報告すまんな、今日はもう休め。」
リゼリッタ「…。」
ミルドレッド「明日が不安か?安心しろ。やつは私の右腕だ、必ず成し遂げる。私が信じているのだからお前も友人を信じろ。」
リゼリッタ「はい…では、失礼いたします。」スタスタスタ…
ミルドレッド「…。」パラパラパラ
部下が立ち去りとある本を開く。
題名は『魔術の世界 著者・レオナルド・ダ・ヴィンチ』
これは地球ではただの創作物として扱われているが、これは黒の世界での生活をしたためた日記である。
ミルドレッド「レオナルド…この絵描きの小童め、私に隠れてこんなものを。こんなもの、地球の人間が見たところでわからんだろうが。」「…ふっ、つくづく地球に返すのに惜しい男だったな。」「お前がいたら、今ごろこの問題も解決していたのだろうか?そこまでは、私でも視えぬ。」パタン
本を閉じて、一呼吸おいて問いかける。
ミルドレッド「…出てきたらどうだ?そこに隠れている人間。いや…」「泥棒。」
明日翔「…気付いていたか、バレちまったんじゃあしょうがねぇな。」
隠れていた柱の影から泥棒出てくる。
明日翔「かつての愛人との思い出に耽るってか、よくもまぁ覚えてるもんだな?」
ミルドレッド「当たり前だ、この私に愛を表明した唯一の人間だ。…泥棒、独り言を聞くなどあまり好ましい性格ではないな?」「お前が、コソコソと黒の世界で何かをしているのは知っている。いったい、何を企んでいる?」
明日翔「簡単な話さ、泥棒ってのは盗みのために二重三重にも保険をかけとくもんだ。」
ミルドレッド「ふん、まあよい。」「…例のエクストラは、あるんだろうな?」
明日翔「もちのろんよ、あんたのお眼鏡に合う逸品をご用意したぜ。」「時間まで楽しみにしてろって。」
ミルドレッド「期待はしている、せいぜい応えることだな。」「で…それだけではないだろう?なにか聞きたいことでもあるんじゃないか?」
明日翔「そいつぁ察しがいいな。…あんた、最初っから俺を知ってただろ?」
ミルドレット「…。」ピクッ「…なぜそう思う?」
明日翔「おやおやぁ?どうやらその反応は図星かぁ?」「千年も自分の城に引きこもってるような箱入り女王様が他世界の新聞なんて見てるわけないだろ?」
ミルドレッド「ずいぶんと失礼な偏見だな。聞いているだろう、青空寮の運営には黒の世界が携わっていると。寮に住む一人であれば把握している。」「…他に根拠は?」
明日翔「まぁしらばっくれちゃって。あんた、俺の事一度『泥棒』って呼んだよな?…そんとき泥棒なんて一言も言ってねぇのにな?」
ミルドレッド「!」
明日翔「それに、俺の予告状。普通だったら人間のお遊びとして破り捨てそうなものをあんたは一目見て一発で理解した。それは『4月20日にもう一度、俺がここに来ることをわかっていた』からじゃないかと思ってな。」
ミルドレッド「…思った通りだ。お前はやはり、その辺のコソ泥とは違うらしい。」「結論から言うと…半分正解で半分不正解といったところか。お前と話した記憶はない。だが以前、お前と話をしていたあるはずのない場面は視ていた。経歴上は初対面のはずなんだがな。」「…お前の仕業か?」
明日翔「俺の仕業…ってぇのはちょっと違うなぁ、って言うのも誰がどうしてこれをできたのかは俺もわかんねぇのよ。」
ミルドレッド「そうか、泥棒にしては面白い話を聞けた。褒美にこの魔女王の領域に無断で侵入した罪は不問としてやろう、早々に立ち去るがいい。」
明日翔「そいつぁありがてぇや。今度は正式に許可をもらった状態で参上するぜ?魔女王、ミルドレッドさんよ。」
ガチャ…ギィーーー…バタァ-ン
ミルドレッド「ふん…。つくづく面白い人間だ、ここまで生きてまだ未知に遭遇できる…このような高揚する気分は久しぶりだ。」「…だどうやらこの世で生きる理由ができたらしい。せいぜい、私の絵でも描いてて待っておくんだな。…レオナルド。」
~翌日・4月25日・昼・青空寮~
起きて身支度を整えて、みんなの集まるリビングに向かう。
美海「明日翔くん!おはようっ!」
空「今日が…運命の日なんですね。」
ソフィーナ「覚悟は、決まったわ。どんなことがあっても貴女たちを信じる。」
シルト「大丈夫だよ!みんな今日までずーっと頑張ってきたんだから!」
セニア「私たちは運命共同体です。みんなで、乗りきりましょう。」
ユーフィリア「青蘭学園の未来のために。」
ミコト「生徒の命を…誰一人失わないために。」
明日翔「じゃあ、乗り込むぜ!黒枢城に!」
この後、どうなるか俺にもわからねぇ。
とうとうこの日がやってきた。ミルドレッドの前に参上しエクストラの結晶を捧げる、どうやら『紅き月』を直すには十分らしい。これでひと安心…と思いきや、な~んか風向きがおかしくなってきたな?
次回「『紅き月』を頂きに参上する。・前編」
こいつらは死なせねぇよ?