~4月25日・朝・黒の管理区~
『皆で』前回の訪問と同じように、黒の世界へは黒の管理区へは黒の管理区にある門から向かうことになる。
黒の管理区にを照らす、偽物の紅き月。黒の世界と同じく、明けることがない夜の世界。その夜空の元で『紅き月』の友人が待っていた。
リゼリッタ「…来たわね。」
ソフィーナ「あら、リゼリッタ。こんなところでどうしたの?」
リゼリッタ「」ピキピキ「あのねぇ…アナタたちの黒の世界回りの手続き、誰がしてると思ってるの?」
「ぜ!ん!ぶ!アタシがやってるの!!もしかしたらアナタの顔!今日で見納めかもしれないでしょ!?」ムキーッ!!「だから最後に、よ~く見ておいてあげようと思っただけよ。」
美海「安心して、リゼリッタちゃん。そんなことにはならないから。ソフィーナちゃんは、ちゃーんと学園に戻ってこれるし、リゼリッタちゃんもまた研究を手伝えるよ!」
リゼリッタ「なっ!……別にアタシはソフィーナの研究を手伝いたくてやってるわけじゃ………。」
ソフィーナ「美海の言う通りよ。ちゃんと役者は揃ってるわ。あとは、フィナーレを迎える(決着をつける)だけよ。」
リゼリッタ「…ふぅーん…。」ジーッ
ソフィーナ「なによ、言いたいことがあるなら言いなさい?最後かもしれないんでしょ?聞いてあげるわ。」
リゼリッタ「やめとくわ。その顔なら、言う必要はなさそうだもの。へんな事いって、後でネチネチ言われるなんてゴメンだわ。」「だからさっさと話を終わらせて、今度こそちゃんと正式に、帰ってきなさいよ。」
ソフィーナ「ええ。そのつもりよ。」
ミコト「それじゃ、案内してもらおうか。黒の世界を統べる、魔女王の下へ。」
~黒の世界・黒枢城~
また、この城に来た。真っ暗で何も見えないが、道は全部覚えてる。なんせ何回も来てっからよ?それでも、決定的に違うのは気配が違う。この時を待ちわびたってところか。
空「なんだか、ここに来るまでにお城全体がざわついていた気がするんですけど…なにかあったんですか?」
リゼリッタ「はぁああ?アナタたちのせいに決まってるでしょ?」ヤレヤレ「魔女王様がこんな立て続けに人と会うなんて、滅多にないことだもの。レアイベント扱いよ。」「さ、着いたわよ。準備はいいかしら?」
明日翔「いつでも、開けてくれ。」
リゼリッタ「ソフィーナを…連れ戻して来なさいよ!」
ガチャ…ギィーーー…バタァ-ン
ミルドレッド「よく来た。待っていたぞ。」
ミコト「大げさだね。キミにとっては数日なんて瞬きみたいなものでしょ。」
ミルドレッド「そんなことはない。黒の世界と、私の右腕の命運がかかっているのだぞ?たった数日をこれほどまでに待ちわびたのは実に久しい体験だった。面白いモノも見つけたしな?」「…そこの、前に出ろ。」
明日翔「やれやれ、魔女王様直々にご指名かい?緊張するなぁ。」
呼ばれたのでミルドレッドの前にたつ。
ミルドレッド「冗談を言うでない。今さら私の前にたつなど何もないだろう。」「問うぞ、お前のところの役者が足りんようだが?」
明日翔「ああ、あいつらはちと用事があってな、後から参上するぜ?」
ミルドレッド「不服ではあるが、本命はいるからよしとしよう。…もうひとつ、今のお前は『人間』か?」
明日翔「さぁ、どっちだろうなぁ?ご想像にお任せするよ。」
ミルドレッド「ならば…ここではこう呼ばせてもらおう、『人間』」
空「…明日翔さんと魔女王さん、いったいなんの話を?」ヒソヒソ
ソフィーナ「わからない…けど、魔女王様が何か感じ取ったのかしらね。」ヒソヒソ
ミコト「…ふむふむ。」(なるほど、彼女は明日翔がワケアリであることを知ってるのか。ということは…彼女と明日翔はどこかで会ってるわけね。…前の時間軸の話か。)
ミルドレッド「…それで?大見得を切ったその結果を聞かせてもらおう。人間。」「命乞いにきたと言うわけではあるまい?内容次第では考えてやらんこともないが?」
明日翔「おいおい、そいつぁ気が早いぜ魔女王さんよ。あんたの求めるものは既にここにある。」「美海、お宝を。」
美海「うん。」ゴソゴソ「あなたが求めるものは、ここにあります!」
美海が持っていた結晶化したエクストラを受け取り、ミルドレッドに手渡す。この時、値踏みをするような視線を俺と美海に送ってきたが、美海は動じていない。
ミルドレッド「ほう…?これは…。」ジーッ
明日翔「じ~っくりと確かめてくれて構わんぜ?」
結晶を受け取った魔女王は、それを透かすようにしげしげと眺め、検分するような動きをする。
ミルドレッド「結晶化したエクストラか。このようなものを直で目にする機械があるとはな。」
明日翔「話に聞きゃあよ、世にも珍しいお宝って話じゃねぇか?生憎俺にはただの石っころにしかみえねぇっけどもよ?」
ミルドレッド「確かに、珍しいシロモノだ。決してただの石ころなどではない。」「…お宝と言うのはお前の癖だろうが…。」
ミコト「我々の世界では、姿を変えてしまうからね。私も始めてみたときは驚いたよ。」
ミルドレッド「そして、黒の世界に持ち込んでなお、エクストラの形を維持できるほどの密度…なるほどな。」
明日翔「こいつをお月様と同化すればこいつらとおんなじ結果を得られる寸法さ。…ダ・ヴィンチの日記を見る限りな?」
ミルドレッド「そうだ。所詮はレオナルドの研究の仮説に過ぎん。黒の世界を救えるかはまだわからん。」「わからん以上、まだソフィーナの解放はできんな。」
明日翔「ダ・ヴィンチ本人がここにいてくれりゃ済んだ話なんだがなぁ?本人はとっくに墓の下ってわけだ。」
シルト「むむ?つまり、黒の世界が大丈夫って証明されたら、ソフィーナを解放してもらえるんだよね?」ヒョコッ
シルトが後ろから話しかけてきた。
明日翔「そういうことだ。ダメだったら…無理やり奪うしかないさ。」
シルト「ダメだよ!せっかくここまで来たんだから、ちゃんと話し合いで解決できるはずだよー!めっ!」ピシッ
明日翔「冗談だよ。」
ミルドレッド「まぁ、そんなことはよい。…レオナルドを信じることとする。」「それにしても…これほどのエクストラを内包した敵を倒すとはな。相当な、難敵だっただろう。」「どうだ?一回くらい死んだりしなかったのか?」
空「……!」(もしかして、この人も時間を…。)
明日翔「いやぁ~これ以上相手したくないようなバケモンだったぜ?10回は死んじまったかもなぁ?」
ミルドレッド「下らん冗談を言うな、人間。」
明日翔「ピリピリしちゃって、アイスブレイクはここまでといこうじゃないの。」「あんたは右腕を失うこともなく、自分の世界を守ることができた。加えて、他の世界の人間を拉致って外交問題になることもない。あんたの…引いてはこの黒の世界にとって得でしかない取引だ。これ以上欲張られるとこまっちまうせ?」
ミルドレッド「確かに、この取引は私たち黒の世界の独り勝ちだ。これ以上は追求はせん。だが、どうしても欲張りたいものがあるものだ。」「そこのアンドロイド!前に出ろ。」
ユーフィリアを指差して前に出ろと指示する。
ユーフィリア「私ですか?私が言おうとしたことも言われてしまったので黙っていましたが。」ツカツカ
ユーフィリアは俺と同じように前に出る。
ミルドレッド「思えば、この代案を持ち出したのはアンドロイド。お前だったな?」「…私が知覚できなかった因果の書き換えは、お前が原因か?」
ユーフィリア「さぁ、どうでしょうか?ここには不可能を可能にできる男がここにいるんですよ?もしかしたら…あなたの千里眼が衰えただけかもしれませんね?」「自分の世界のものをまともに制御できないのであれば…後進に道を譲っては?」
明日翔「ユーフィ、おめぇさんそこまで言う?」
ユーフィリア「いいじゃないですか、言うだけならタダですし。
ソフィーナ「ばっ…ばばばばば馬鹿!!!!」スタタタタタタタタタキキーッ!
言うだけ言ったソフィーナの元にソフィーナが走って近づく。
ソフィーナ「このお馬鹿!!あんぽんたん!!!ユーフィリア!!!貴女誰に喧嘩を売ってるかわかってるの!?!?いっておくけど!!魔女王様は私があと100年修行しても歯が立たないバケモノなのよ!!!」プンプン
ミルドレッド「ふはは、謙遜するなソフィーナ。あの敵を倒せるのであれば、今ならコゲ一つぐらいならつけられるだろう。」「…!」ピコーン「そうだ、いいことを思い付いたぞ。」「先ほど、『紅き月』の修復がなるまで、ソフィーナは解放しないと言ったが…撤回しよう。」スッ
玉座から立ち上がりゆっくりと俺たちのもとへ降りてくる。
ソフィーナ「…まずいわよ、この展開」
ミルドレッド「その敵とやらを倒した力、私に示せ。」ゴゴゴゴゴ「私を満足させてみよ!!!私を満足させれば約束は履行したと見なしてやる!!!」
シルト「結局力付くになっちゃったー!?」
ミルドレッド「我が力、刮目せよ!!!」ゴゴゴゴゴ「メテオライトッッッ!!!」ボーーーン!!!
ミルドレッドが両手に力を込めると黒い業火を纏った隕石のような岩を産み出し、ものすごい勢いで射出する。
明日翔「あぶねぇ!!伏せろ!!!」ガシッ
ソフィーナ「きゃっ!?」ガバッ
ユーフィリア「わわっ!!」ガバッ
ユーフィリアとソフィーナを掴んでジャンプして伏せ、隕石を間一髪躱す。
明日翔「あ、あぶねぇ~。とんだご挨拶しやがって。」
ソフィーナ「どーすんのよ!!戦う羽目になったじゃない!!」
明日翔「んなこといわれったって。」
ユーフィリア「この展開は想像がついてました、戦いましょう!」
俺たちは立ち上がり、一度距離をとる。
ミルドレッド「これぐらい避けてもらわないと困るぞ、人間ども。」「さぁ、かかってこい。」ゴゴゴゴ
空「うっ…威圧感だけで体が…。」ガクガク
セニア「空、戦う前に怯んでしまっては元も子もありません。全員でソフィーナを連れて帰りましょう、支援をお願いします。。」
空「は、はいっ!」
美海「明日翔くん、作戦はある?」
明日翔「わりぃ、考えてねぇ!作戦で倒すより俺達の力であいつをぶっ倒してやろうぜ!」
美海「おっけー…!セニアちゃんの言う通り、みんなでソフィーナちゃんを連れて帰るよ!リンク、よろしくね!」ビュウウウウウ
風を剣と体に纏い、臨戦態勢を作る。
美海「ユフィちゃん、私の後に続いて!!!」ビューーーン!!!!
風の力で跳躍しミルドレッドの元まで跳ぶ。
ユーフィリア「はいっ!」ビュン!!!
時間跳躍の力を利用してものすごい速さで美海の後を追う。
ミルドレッド「日向美海…私が認知しているよりも強い力を持っているな。アンドロイドも相当の力を秘めている。」
美海「エアロ・ウィング!!」ギューーン!!!
風の刃の翼と剣の横凪一閃を繰り出す。
ミルドレッド「ほう、聞いていた技とは違う技だ。だが…遅い。」バシッ!!!
美海「えっ!?!?」
美海の素早い橫凪一閃をミルドレッドは見切り意図も簡単に受け止めた。
ミルドレッド「流石は日向美海、思った以上の力を持っているようだ。」ギギギギギギッ
美海「…!全然動かない!」
離れようとしても掴まれて芯を食われているのか離れない。
ユーフィリア「余所見は、命取りです!」バッ「セラフ・ストライク!」
ミルドレッドの死角からものすごい速さのハイキックを繰り出す。
ミルドレッド「ふん。」バスッ!!
ユーフィリア「!」
ユーフィリアの蹴りにあわせて片ひざを上げてあっさりと受け止めた。
ミルドレッド「二人とも、なかなかの速さと威力だ。褒めて遣わす。」「ふんっ!」バフッ!!
美海とユーフィリアをその場の圧力だけで振り払う。
美海「むむむ…、明日翔くんとリンクした攻撃をあんなにあっさり…。」
ユーフィリア「これは…ウロボロスの時みたいにはいかなそうですね。」「ソフィーナさん!セニアさん!一緒に攻撃を仕掛けます!空さんは私たちの攻撃力の底上げを!シルトさんは防衛支援を!」
ソフィーナ「言われなくてもわかってるわよ!美海、怯まずに攻撃しなさい!」ゴオオオオ
セニア「了解、ブルム・エクス・マキナ展開。」ギュギュギュギュ
空「わかりましたっ!」
シルト「おまかせあれ!」
明日翔「ミコト、おめえはどうする?おめえさんには立場もあるだろうし参加しない手だってある。」
ミコト「…本来ならば、この戦いに参加することは許されない。でも…」「目の前で生徒たちが命の危機に瀕しているのに、この場を眺めるだけにはいかない。」「覚悟は決まった、私も戦うよ。」
覚悟を決めた真剣な顔をする。
明日翔「…そうこなくっちゃなぁ、指揮は頼んだぜ。」
ミコトは首を縦に振った。
ミルドレッド「ヒメガミノミコト…、なるほど、より一層面白い。」
明日翔「さぁ魔女王ミルドレッドさんよ!俺たちの奏でる八重奏、とくと聞きやがれ!」
ミルドレッド「ふはははは!!!来い!!!」ゴゴゴゴゴゴ
戦いの火蓋は切って落とされた。
ユーフィリア「私が先陣を切ります!セニアさん、後ろから掩護射撃を!」ビュン!
ユーフィリアはミルドレッドの元に跳んでいき、攻撃を仕掛ける。
ユーフィリア「ふっ!」シュッ!シュッ!
ミルドレッド「おっと、速いな。」ヒュッ「当たったら痛そうだ。」バシン!
ユーフィリアのパンチや蹴りを見切り避けたり弾き攻撃を受け流す。
ユーフィリア「筋金入りの引きこもりの割には、対応してきますね…!」
ミルドレッド「白の世界では珍しい、体術タイプのアンドロイドか。それに、運動は嫌いじゃないぞ。」「ぬん!」ガツッ!
ユーフィリアのボディーブローに合わせて、肘鉄を入れて防ぐ。
ユーフィリア「私ばかり、気を取られてて大丈夫ですか?私の仲間は他にいるんですよ?」
ミルドレッド「なに?…む!」
ミルドレッドが横を向くとセニアがリンクした状態で待ち構えていた。
セニア「対象を補足しました、ブルム・エクス・マキナ全砲門…発射。」ビィーーーボン!!
ミルドレッド一直線に高威力の電磁砲が放たれ真っ直ぐ飛んでいく。
ミルドレッド「コードΩ46セニア…なるほど、噂とは段違いの威力を持っている。」「少々卑怯な手を使わせてもらおう。…グレートウォール!」
ミルドレッドの周囲に真っ黒な何かが出現し、電磁砲を飲み込んだ。
ミルドレッド「お返ししよう。」
セニアの放った電磁砲を真っ黒な何かでそっくり作り出し、そのままセニアに向けて撃ち返した。
セニア「!」シュッバゴォォォォン!!!!
セニアはとっさに避け電磁砲はセニアの後ろに飛んでいく。
ミルドレッド「お前も少し、おとなしくしててもらおう。」「ふっ!」ゴッ!
ユーフィリア「ぐっ!」ボコッ!
ミルドレッドの掌底がユーフィリアの前胸部めがけて炸裂する。
ミルドレッド「ぬん!」シュッ!
ユーフィリア「ぎいぃっ!」ガスッ!
そのあと間髪入れず脛にインサイドキックを入れ怯ませる。
ミルドレッド「せいっ!」ビシュッ!
ユーフィリア「ぐぁっ!」ドゴォォン!!ドサァッ!
黒いドレスに見合わぬような後ろ回し蹴りをユーフィリアに当て、吹き飛ばす。
セニア「ユーフィリア、無事ですか?」
ユーフィリア「いたたたた…。筋金入りの引きこもりの癖には、武術に長けているようで。まさかドレス姿で蹴ってくるとは…。淑女の姿とは程遠いです。」
ミルドレッド「武術を覚えるのは、嫌いではないのでな?サバットというやつだ。知らないか?」「紳士淑女の武術であるならば、覚えない理由はあるまい。」
サバット
フランス中世での革命のあと、治安の荒れたパリで生まれた喧嘩術。それをステッキなどの武器を取り入れ、紳士たちの護身術として広まったとされている。
掌底や平手打ち等で間合いを取り、脛やみぞおちなどに刺すように蹴りを打ち、怯んだ相手に強い蹴りを打つ格闘技。
ミルドレッド「履いているのが、ヒールなだけありがたく思ってほしいがな。本場は底の堅いブーツを履いて蹴る、それはそれは痛いぞ?」「さぁ、まだまだこれだけではないだろう?まだ満足できていないぞ、かかってこい。」
ユーフィリア「くっ…!」
ミコト「ユーフィリア、ここは引いて!」
美海「今度は私の番!」ビューーーン!!!
ソフィーナ「美海!好きに攻撃しなさい!合わせるわ!」
ミルドレッド「こい!」
美海「エアリアル・チャージ!」シュッ!!!
美海は様々な剣技を繰り出し攻撃するが、見切られ躱される。
ミルドレッド(攻撃自体は見切れる…が、風が少々強くなってきたか?)
ソフィーナ「フレイム・ブレイズッッ!!!」ゴオオオオオ!!!ボウン!!!!
巨大な火球を数発放り投げるがミルドレッドの方向とは違うところに飛んでいく。
ミルドレッド「ソフィーナ、投げる方向が違うぞ。そんなミスをするお前では…。」
ソフィーナ「美海を舐めないで!」カッ!
ミルドレッド「!」
美海「えいっ!」ブンッ!!
美海は風を操り風向きを今の向きから逆方向に変え、巨大な火球の起動を変え全てミルドレッドの方向に戻す。
ミルドレッド「何だと!?」
美海「空ちゃん!サポートよろしく!」ズサーッ
空のいるところまで下がり、剣を掲げる。
空「はいっ!」「ストライク・アクセル!」ビビビッ
美海「台風よ、姿を表せーっ!!!」
美海の風の力を強化し、美海を中心に強力な台風の渦を作り出す。
美海「いっけー!」ギュン!!!!
かなりの勢いの台風をミルドレッドに投げつける。
ミルドレッド「なるほど、狙いはこれか!」(前には巨大な火球、後ろには台風か!)
美海「まだまだ!」「エアリアル・バーストーーッッッ!!!!」ビュオオオオ!!!!
ソフィーナ「ブレイズ・インフェルノッッ!!!!」ゴオオオオ!!!
豪炎を纏った疾風の渦、巨大な火球、台風が三方向にミルドレッドを襲う。
ミルドレッド(これはまずい。魔力を使えば月の寿命を縮めかねん、…ここは受けるしかない!)
バゴォーーーン!!!!ゴオオオオオオ!!!!…プスプスプス…
ソフィーナ「…さあどうかしら、ちょっとはダメージを受けてくれるといいけど…。」
ミルドレッド「…あー。」パラパラパラ…「…少し、熱かったな。」パンパン
少し肌が焦げて汚れているが、本人はとくにダメージを受けた様子はない。
ソフィーナ「なっ…!」
美海「う、嘘だ…。」
空「ただ少し…焦げただけ…。」
ミルドレッド「やられっぱなしでは、少々癪だな…。」「少し、私の能力を見せてやろう。」バッ…フワフワ…
ミルドレッドは両手を広げ、なんと宙に浮き始めた。
シルト「う、うわぁ~…」
ミコト「…浮いて…いる…。」(これは…重力魔法の一つ、となれば次に来るのは…!)
ミルドレッド「ふはははは!宇宙が、歌いかけてくる!!!」グググググッッッ!!!
両手をぐっと上げると、俺たちの体が宙に浮き、身動きがとれなくなる。
美海「うわわ!!!!私たちも宙に浮いてる!!!風でも動かない!!!」
空「どうなってるんですかこれ!?!?」
ソフィーナ「重力魔法の一つよ!!!でも、こんなの聞いたこともないわ!!!」
ミルドレッド「グラビティーズ・メロディー!!!」ギュッッ!!!!
ミルドレッドは拳を深く握りしめる。すると、体が押しつぶれるような圧迫と痛みが走り、キィーーーンと耳なりが鳴る。
ユーフィリア「ぐっ…かはっ!」
セニア「正体不明の音を確認…!」
シルト「苦しくて…耳鳴りがすごいよー…!」
ミコト「ぐうぅ…!重力を一点に集中するように操作して、圧力をかけてるんだ…!」
ミルドレッド「潰れろ!!!」ブンッ!!!
拳を一気に振り下ろし、俺たちを地面に叩き落とす。
明日翔「ぐええっっ!」グチャァン!!!
ミルドレッド「ふぅ~。久しく使ってなかったが、うまくいったようだ。」ゴキッゴキッ
首や肩の骨を鳴らし、一仕事終わった風な姿を見せつける。
美海「はぁ…はぁ…はぁ…。」
空「つ、強すぎますっ…さっきの攻撃も、リンクがなかったらひとたまりも…。」
セニア「魔力の最大値、測定不可能。戦闘の続行は…推奨できません。」
みな先の攻撃で、肩で息をして疲れ果て、戦意を喪失してしまったような雰囲気を出している。
ソフィーナ「気を抜かないで!あっちは微塵も本気なんて出してないわよ!」
ミルドレッド「お前たちの力は、よくわかった。あの結晶化したほどの敵を倒せる力があるのもわかった。やはりお前たち個々の力はすばらしい。しかし、これを足しただけでは、あの敵は倒せないはずだ。」チラ
ミルドレッドは俺の方を見た。
ミルドレッド「戦ってわかった…人間、お前が要因だろう。お前がソフィーナたちの力を、あり得ぬほど増幅させている。」「加えて…戦術の捻り方もお前から教わったように見える。」
ミコト「そりゃあ…明日翔は学園切っての優秀なαドライバー…そしてまだ見ぬ価値を秘めた男だからね。」
ミルドレッド「優秀、そんな言葉では片付かん。お前とあろうものが、この人間の価値をわかっておらんようだ。」「少なくとも、そこのアンドロイドはわかっているようだからな。」
ユーフィリア「……。」
ミルドレッド「で、もう終わりか?私はまだまだ、満足しておらん。」「その男がいながら、この程度では…興醒めだ。」
ソフィーナ「ぐっ…。」
ミルドレッド「しかし…このような男がいたら、万が一黒の世界に攻めこまれるようなことがあったら、撃退できるか怪しいな…。」
明日翔「おいおい、何考えてやがる?」
ミルドレッド「月の寿命を縮めかねんが、未来のためだ。貴様をここで消し飛ばす!」バッ
ミルドレッドは両手を前にかざし、力を込める。
ソフィーナ「みんな危ない!逃げて!」
ソフィーナが次に起こることに気付き、倒れていたみんなを逃がす。
ミルドレッド「ブラックホール!!!」ゴゴゴゴゴ!!!!「吸い込まれて消えろ!!!」
ミルドレッドは黒い球体を生み出し辺りの空間をものすごい勢いで吸い飲み始める。
明日翔「うおおおおお!あっ」ツルッ「いやだああああああ!!!!」ブンブン!!
ミコト「捕まって!」ビシュッ!!
ミコトが糸を出して助け船を出してくれた。
明日翔「サンキュー!!」ガシッ!!!
ミコト「ぐっ…!!!あの球体の重力が激しくて逆に引っ張られる…!!!!」グググググッ…ズリ…ズリズリ…
美海「ヒメ会長…!」ズズズズ…
空「び、びくともしませんっ…!」ズズズズ…
糸を懸命に引っ張るものの重力に勝てず、逆に引っ張られてしまう。
ミルドレッド「ふははは!果たして、ブラックホールの重力に勝てるか?」
そろそろ握力無くなってきたぜ…!このままじゃこいつらも巻き込んじまう、考えろ考えろ…!
明日翔「お…?」
ふと、ポケットを見ると青く光る何かがあった。そして、思い出した。
~過去の回想~
ソフィーナ「あら?重力石じゃない。」
「これは、重力魔法の効果が込められてる黒の世界特有の石よ。」「主に重力を発生させて敵の足止めだったり時には空間を圧縮してありとあらゆる物体物質を消滅させたりする使い方ができるわ。」
「この純度だと…私の大魔法も消滅させたりできそうね。」
~現実~
明日翔「…いけっかもな!」パッ
ミコト「あっ!!!明日翔!!!」
俺はあえて糸を離し、ブラックホールに向かう。
ミルドレッド「何を考えている!自分から消える気か!」
明日翔「一か八かの大博打さ!これで消えてくれ!!!」ポイッ
ブラックホールに向かってポケットに入っていた重力石を投げつけた。
キィーーーーーン!!!!ボカーーーン!!!
重力石は青く光輝きブラックホールの重力と重力石の重力でエネルギーの大爆発を引き起こした
明日翔「うわーーーっ!!!ぐえっ!!!」ドサッ
ミルドレッド「何だ!?」
大爆発で砂ぼこりが舞う、俺は爆風に吹き飛ばされる。
ソフィーナ「明日翔!生きてるかしら!?」タタタタタ
ソフィーナが駆け寄る。
明日翔「いちちちち…なんとかな。あの石が役に立ってくれたよ。」
ソフィーナ「石…?まさか、あの重力石が…?」
後ろを向くと、辺りを吸い込んでいたブラックホールが完全に消滅していた。
ミルドレッド「ありえぬ。ブラックホールを消滅させるほどの重力石だと?そんなものは数えられるほどしかないはず。持っているとは運のいい男だ。」
明日翔「さぁ~て。」パンパン「決着つけにいくかぁ。」ツカツカ
体の砂埃を払い、改めてミルドレッドの前に歩き出す。
ソフィーナ「明日翔!」
ソフィーナが俺に声をかける。俺はピタッと止まる
明日翔「お前たち、勇気を出してよく戦ってくれた。後は、俺に任せてくれよな。」ニヤリ
みんなの方向を向き、不敵な笑顔を向け、再び歩き出す。
美海「明日翔くん…。」
空「せ、先輩…。」
ミルドレッドの前に立つ。
明日翔「どうだ?俺はそう簡単には殺せねぇだろ?」
ミルドレッド「ふん。運のいい男だ、だが次はない。」
明日翔「次?次なんて出しちまったら上のお月様が危ないだろ?ブラックホールなんて物騒なもん作れちまうような魔法。相当な魔力を使うんだろうなぁ?」
ミルドレッド「何が言いたい、人間。」
明日翔「俺の口から言わないといけないのか?」カチッシュボッ「ふぅ~。」
タバコを咥えて火をつけ、煙を吸って吐く。
ミルドレッド「…呆れたな、この状況で嗜好品か。」
明日翔「いいじゃないの、これが最後の一服になるかもしれないだろ?」「あれほどのヤバイ代物を作る魔法ならそれ相応の魔力が必要だぁ、お月様の寿命が縮まるぐらいに。ってことはよ?あの魔法に賭けてたとこあったろ?」
ミルドレッド「…。」
明日翔「あんたは強ぇえよ、普通にやったら間違いなく俺は死んでた。」「だけっどもよ、あんたは強すぎた。強すぎる故に魔力のコスパが悪すぎて、使えば使うたびに月の寿命はどんどん減っていく。それはあんたが一番わかってんだろ?」「もう、あんたは自慢の魔法を使えない。もうそろそろ降りてくれたっていいんじゃねぇの?」
ミルドレッド「…くっくっく…ふははははは!!!!!はーっはっはっは!!!」「最高に面白いぞ!!!今までの人生にないぐらい最高の瞬間だ!!!」
ミルドレッドは高らかに笑った。
ミルドレッド「まだだ、まだ満足できておらんぞ。確かに、魔法はもう使えない…だが、私が魔法だけの女だとは思わないことだ。」ゴゴゴゴゴゴ
明日翔「えぇ~?まだやる気?こまっちまうなぁ…。」「じゃあ、しょうがねぇかぁ…ふぅ~。」
タバコの煙を吐き、腕時計を見る
明日翔「俺たちの八重奏はこれで終わりだ、だけっどもよ。ショーはまだ終わっちゃいねぇんだな?」
ミルドレッド「?なんの話だ。」
明日翔「もうじき到着するぜ?最高の『サプライズ』ってやつがよ。」
『理深き黒魔女』ソフィーナよ。
ブラックホールを切り抜け、明日翔の仲間が到着した。魔女王ミルドレッドとの戦いは終盤を迎える、魔女王ミルドレッドを満足させることは出来るのか、そしてこの黒の世界から脱出することはできるのか。
次回「『紅き月』を頂きに参上する。・後編」
みんなで帰りましょう、青空寮に…!