怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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前回のあらすじ
ミルドレッドにエクストラの結晶を捧げたが、急遽約束が変更され戦うことになってしまった。
圧倒的な力の差に戦意を喪失してしまった青空寮のメンバーたち。
だが、一人の黒魔女と一人の泥棒は諦めていなかった。
はたして、どうなるのか…。


『紅き月』を頂きに参上する。・後編

~4月25日・黒の世界・黒枢城~

 

ミルドレッド「サプライズだと?笑わせてくれる。後ろの面々は、ソフィーナ以外は戦意を喪失しているように見えるが?」

 

ユーフィリア「くっ…。」

 

明日翔「あいつらはよく頑張ったよ、ここんとこ連戦続きで体が追い付いてないのさ。」「だからよ、今度は俺ががんばんなくっちゃなぁ?」

 

たばこの煙を吐く。

 

明日翔「さぁ、ショーのフィナーレと行こうか!」ゴキッ!ゴキッ!

 

首と肩の骨を鳴らす。

 

明日翔「あまり俺をなめんなよ?…ミルドレッド!」

 

シルト「…あれ?すごく知ってる気配がするような…。」

 

ジャキィィィィン!!!!!スポン!!!!!

 

何かが切れたような甲高い音がなると壁に四角形の穴が空く。

 

…ウウウウウウウウ…

 

ミルドレッド「なんだ!!!」

 

明日翔「来たのさ、『あいつら』が。」

 

ブウウウウウウウウン!!!!!!!!キキーーーッッッ!!!!!

 

 

【挿絵表示】

 

 

なんと飛行機のような羽がついている乗用車が中に突っ込んできて明日翔の背中を通り抜け、ドリフト音を鳴らしながら停車する。その車には人間が二人、一人は運転席でもう一人は車の上に乗っていた。

 

ガチャ…バタン

 

運転席に乗っていた男が表れる。

 

明日翔「よう。遅かったじゃねぇか?」

 

城琉「そいつぁこっちのセリフだ。俺達の墓にかける酒、買っちまうところだったぜ!」

 

セニア「城琉…!」

 

城琉「さすがの最新鋭アンドロイドでもお手上げってところか?」「手本を見せてやる、せいぜい見ておくんだな。」

 

歌右衛門「師匠!ご無事でありますか?」

 

シルト「松詠!松詠が来てくれたら、百人力だね!」「さっきまでは全然戦いに参加できなかったから、私も戦うよ!」

 

歌右衛門「師匠は私がお守りします

 

ソフィーナ「明日翔、私は貴方に返さないといけない恩がたくさんあるわ。絶対に生きて帰りましょう。」

 

明日翔「そうこなくっちゃな?」

 

俺の横には城琉、歌右衛門、シルト、ソフィーナと横に並ぶ。

 

明日翔「ミルドレッド!様々な世界の種族達が織り成すショーを特とご覧あれ!」ニヤリ

 

手に持っていた煙玉を床に投げ、視界をさえぎり姿を消す。

 

ミルドレッド「小癪な!吹き飛ばす!」カッ!!

 

威圧で吹き飛ばそうとしたが、煙はその場に漂っている。

 

ミルドレッド(吹き飛ばん…これは煙ではない、光の粒子か!)

 

ブウウウウウン!!!!

 

車が辺りを爆走し始めた、運転席には明日翔、シルトが乗っている。

 

明日翔「チキンレースの始まりだぜ!」カチッ!

 

ギアを変え、ミルドレッドの回りをドリフトで駆け回り撹乱している。

 

ミルドレッド「ちょこまかとしおって、大爆発させてやろう!」スッ

 

両手をかざして、隕石を産み出そうとする。

 

城琉「女に銃を向ける趣味はないが…許しな!」チャキッ!

 

新たなマグナム「コルト・キングコブラ」をミルドレッドに向け、発砲する。

 

バァァァン!

 

ミルドレット「!」パーン!!!「…今のは、少し痛かったぞ!」ギロリ

 

こめかみ辺りに着弾し、衝撃で頭は跳ねたが着弾したところが赤くなっている程度でとどまっている。

 

城琉「エクシードは慣れてても、銃弾には慣れてねぇってか?」「魔法や格闘技だけが武器だとは思わねぇことだ。」

 

ミルドレッド「ふん。隕石をひとつしか産み出せないとでも思ったか!かぁぁぁっ!!!」ギュイーーーーン!!!

 

両手を広げると後ろの広範囲に多数の隕石が産み出される。

 

ミルドレッド「メテオ・スワーム!!!」ズドドドドドドド!!!!

 

後ろの隕石が城琉を含め仲間たちを襲う。

 

城琉「歌右衛門!」

 

歌右衛門「合点。」ピョーーーン「でやあああああ!!!さぁああああああっっっ!!!!いぃいいいいやぁ!!!」ジャキィッ!!!ジョキイッッ!!!

 

空中に飛び隕石を次々と斬り倒し始める。

 

ソフィーナ「みんな、伏せなさい!」「でええいっ!」ボオオオッ

 

炎を出して隕石を燃やして灰にする。

 

空「ソフィーナさん!」

 

ソフィーナ「空、美海。見てなさい、彼らの姿を。」

 

美海「…ソフィーナちゃん?」

 

隕石の雨が斬られ、城琉がミルドレッドに攻撃を加えて気を引いてくれている中、車をドリフトして止めて上を見る。

 

明日翔「そろそろいけっかもな、俺にしっかり捕まってろよ?」

 

シルト「うん!」ガシッ

 

明日翔「じゃあ……行くぜ!」ガラッピシュッ!!

 

車の天井を開けて、腕時計をシャンデリアの方に向ける。スイッチを押してワイヤーを発射しシャンデリアに引っ掛ける。

 

明日翔「大成功!」ギュッ「ジェットコースターにごあんな~い!」ビューーン!!!

 

シルト「うわわわわわ!!!」

 

ワイヤーを引っ張って巻き取り機能を発動して車から脱出し、辺りをターザンロープのように飛び回る。

 

明日翔「きれいな眺めだぁ!まるで流星群だぜ!みんなの前に~?あらよっと!」ギュン!!

 

仲間たちの前をわざと飛び回る。

 

ユーフィリア「うわわっ!もう、危ない人ですね。」

 

ミコト「けれど…すごく楽しそう。」

 

セニア「理解できませんが…城琉、明日翔、歌右衛門…この三人はこの状況を楽しんでいるように思えます。」

 

明日翔「よぉ!ミルドレッド!俺たちのショーは楽しんでくれてるかな?俺たちのショーはまだまだ終わんないぜ!」ギュン!!!

 

ミルドレッドの前をターザンのように飛ぶ。

 

ミルドレッド「ええいちょこまかと…!シャンデリアごと吹き飛ばしてくれる!」

 

隕石をシャンデリアにぶつけようとする。

 

バァァァン!

 

ミルドレッド「!」パーーン!!!

 

横から銃弾が跳んできてこめかみに着弾、頭が跳ねる。

 

城琉「わりぃな、邪魔するぜ。」

 

ミルドレッド「お…おのれ…。」バリーン!!

 

展示されていた小銃をショーケースを割って手に持つ。

 

ミルドレッド「いいだろう、銃には銃だ!食らうがいい!」ドギューーン!!キーーン!!

 

持っていた小銃を城琉に向けて発砲する。

 

城琉「おっと!」バッ!「ありゃM1ガーランドか?第二次世界大戦かなんかで、くすねてきたやつがいるらしい。」

 

柱の影に隠れ、様子をうかがう。

 

ドギューーン!!キーーン!!ドギューーン!!キーーン!!

 

城琉「弾は4発、この4発であれを壊してやらねぇとな。」チュン!チュン!

 

ミルドレッド「ヒットマン!顔を出したらどうだ!?」ドギューーン!!キーーン!!

 

城琉「少し怒らせちまったみたいだな、これじゃあ顔が出せねぇ。」チュン!

 

ソフィーナ「そこのガンマン!合わせるわよ!」

 

城琉「おう!」

 

ソフィーナ「ミルドレッド!」ボン!!

 

火球を産み出しミルドレッドに投げまくる。

 

ミルドレッド「ふん!舐められたものだ。」「かぁぁっっ!」カッ!!

 

威圧だけで火球を吹き飛ばす。

 

ミルドレッド「どうしたソフィーナ。お前の魔法はこんなものではないだろう!?」

 

そうミルドレッドは言ったが、ソフィーナはこう返した。

 

ソフィーナ?「だって私はソフィーナじゃないもん!あんないっぱい火はだせないよ!」

 

ミルドレッド「何だと…?」

 

城琉「アテが外れちまったようだな、見せてやったらどうだ?」

 

ソフィーナ?「うん!」ベリベリッッ!!

 

顔をつかんで引っ張ると、その正体は変装のマスクでありソフィーナの変装をしたシルトだった。

 

シルト「ソフィーナの物真似はやりにくかったよ!」ピラッ

 

服の袖にはライターと燃えやすい素材が巻き付けられたボール、スピリタスが隠されていた。

 

ミルドレッド「…!まさか、あのときか!」

 

そう、光の煙幕で隠れたとき、シルトとソフィーナをそれぞれそっくりに変装させてシルトには魔法を偽造できるようにアルコールと燃えやすい素材を渡していたのだ。

 

ミルドレッド「…ということは!」バッ!

 

ミルドレッドは上を向いた、飛び回っていた明日翔の方を。

 

明日翔「バレちまっちゃあしょうがねぇな!」ベリリッ!

 

ソフィーナ「ふう…。あまりしゃべることがなくて助かったわね。」

 

顔をつかんで引っ張ると、シルトのマスクが剥がれソフィーナが姿を表す。

 

ソフィーナ「明日翔!!!エクシード・リンクよ!!!私たちの力を見せつけてやりましょう!!!」ビリリリッ!!

 

シルトの服を脱ぎ捨て、黒いドレスを着た次期魔女王の姿が現れた。

 

明日翔「俺たちのショーもクライマックスだぁ!ドデカイ一発ぶちあげようぜ!!!」ビリリリッ!!

 

ソフィーナ「エクシード・リンクッッッ!!!」「はぁぁぁぁぁぁぁ……!!!」ゴオオオオオオオ!!!!

 

ソフィーナの片手に巨大な爆炎が出現し、どんどん大きくなる。

 

ミルドレッド「撃ち落としてくれる!」チャキッ!

 

バァァァン!

 

ミルドレッド「ぐっ!」スパーーン!!!

 

明日翔を狙うも、持っていた小銃を弾かれて床に落とす。

 

城琉「標的を変えるなら、せいぜい物陰に隠れるこったな。」

 

ミルドレッド「お、おのれ…。」

 

城琉「うまく行かねぇ日はよ、浴びるぐらいの酒が飲みてぇよな?」カラッ「奢りだ!浴びるほど飲みな!」ポーイ!!!バァァァン!バァァァン!

 

ミルドレッド「!」ビシャァッ!!「なんだこれは…酒か?」

 

酒瓶をミルドレッドの頭上に投げて撃って割り、中身のお酒をミルドレッドにかける。

 

城琉「俺の仕事は終わった、あとはどうなるかな?」ドカッ

 

その場を座り、タバコを咥えて火をつけ煙を吸って吐きあとの光景を眺める。

 

明日翔「ソフィーナ!オオトリはお前だ、行ってこい!」パッ

 

ミルドレッドの頭上を通り、ソフィーナを離す。

 

ソフィーナ「我が炎に焼かれなさい!!」「スター・インフェルノッッッッ!!!!」

 

炎はメラメラと燃え、今にも辺り全てを焼き尽くすようなへ大爆炎と変貌。大爆炎をミルドレッドへ放り投げる。

 

ミルドレッド「くっ!」バッ!

 

両手を前に広げ、大爆炎を受け止めたがその瞬間ミルドレッドの体が燃え上がる。

 

ミルドレッド「なっ…!体が…!…まさか、あの酒も計算尽くか!」「お、押され…」

 

ミルドレッドがみるみる燃え上がり完全に火の中に閉じ込められる。炎に気を取られ大爆炎はミルドレッドをどんどん追い詰める。

 

ソフィーナ「ふぅ…。」シュタッ「…これは、魔女王様へのご献上品よ。」カラッ

 

乗ってきた車のトランクから酒瓶を一本取り出す。

 

ソフィーナ「…一滴も残さないわっ!味わいなさい!」ポイッ!

 

炎の中に酒瓶を投げる。その瞬間辺りがスローモーションのようになる。

 

ミルドレッド「ソフィーナ。天晴れ、強くなったな。これで、お前にこの世界を任せられる。」

 

ソフィーナ「ええ、次期魔女王の器ですもの。…ありがとうございました。」

 

ボカーーーン!!!!ズシャーーーン!!!パーーーーン!!!

 

酒瓶が爆発を引き起こした誘爆で大爆炎も大爆発を引き起こしミルドレッドの回りは炎にまみれる。

その光景を背中に次期魔女王にふさわしい姿で佇んだ。

 

ソフィーナ「…少々火薬が強すぎたかしら…?」

 

ソフィーナを見て青空寮の仲間たちは唖然とした。

 

美海「す、すごい…。」

 

空「あれが、ソフィーナさんの本気…。」

 

セニア「加えて、明日翔のリンクが加わった大魔法…計測不能の魔力でした。」

 

ユーフィリア「しかも可燃性の液体で威力のかさ増し…この場面になることを明日翔さんは全て計算してて…ソフィーナさんはそれを信じて…?」

 

ミコト「末恐ろしい二人だ…。」

 

空「というか、魔女王さん。これ…生きてるんですか?普通なら跡形もなく消し飛んでそうな気がするのですが…。」

 

ミコト「大丈夫だよ。多分…食らっても生きてると思ってやってるはずだから。」

 

明日翔「い~よいしょっと。」スタッ「…リハ無しにしちゃ100点の出来だったなぁ。」テクテク

 

辺りを燃やしていた炎が落ち着きを見せ始めたところで、着地。ミルドレッドがいたところまで歩く。

 

ソフィーナ「…。」ツカツカ

 

車の中から大きい毛布を引っ張り出し、同じくミルドレッドがいたところまで歩き出す。

 

明日翔「確か、ここだったな。」「どうだ?俺たちのショーは。最高だったろ?様々な種族が織り成した最高のショーだ。」「こんだけやってようやくあんたから一本とれたんだ。もう負けを認めてくれたっていいじゃない?」

 

ミルドレッドが居た瓦礫が積もっている場所に話しかけるが、返答は返ってこない。

 

ソフィーナ「この状態じゃ、返答は帰ってこないわよ。明日翔。」

 

明日翔「ソフィーナ。そいつは?」

 

ソフィーナ「貴方も紳士の心得がまだまだね…。」「あれだけ派手に燃やしたら、表に出られないことも出てくるでしょう。」「とりあえず隠せるものはあるわ!…ミルドレッド!」ポイ

 

ミルドレッドが居た場所に持っていた毛布を投げつけると、瓦礫から白い手が伸びて毛布をつかんだ。

 

ミルドレッド「…あー。」ガラガラガラ「全く、私の城で好き勝手しおって。見ごたえのあるショーだったが、もう少し回りへの影響は考えられなかったのか?」ボキッバキッ

 

瓦礫の中から毛布を体に巻いたミルドレッドが姿を表し、首や肩の骨をならす。あれだけの炎を食らったにも関わらず肌には火傷の痕跡がないどころか、城琉の弾丸が当たった跡もなくなっていた。むしろ、肌がきれいになったまである。

 

ミルドレッド「あぁ、私のドレスが…。このような辱しめを受けるなど、レオナルドに会わせる顔がない。」「私の負けだ。誇れ、お前たちでつかんだ勝利だ。」

 

明日翔「じゃあつまり?」

 

ミルドレッド「約束だ。ソフィーナ、日向美海。お前たちは自由の身だ。他の者たちも、黒の世界のために尽力してくれたこと、例を言うぞ。」

 

美海「や…。」「やったー!!!!」ビューン!!「ソフィーナちゃーん!!ありがとー!!」ムギューッ

 

ソフィーナ「ちょちょちょ!魔女王の前ではやめなさい!」

 

明日翔「相変わらずだなぁ…。」

 

ミルドレッド「ふはは、この光景が見れただけでもソフィーナを派遣した甲斐があった。」「それから…ヒメガミノミコト!お前には貸しができた、困ったことがあれば、一度だけ力を貸してやろう。」

 

ミコト「それはそれは…頼もしいね。」

 

城琉「じゃあ、お前ら車乗りな。帰るぞ。」

 

シルト「はーい!」

 

セニア「…普通自動車の免許は未成年はとれないはずですが。」

 

ユーフィリア「セニアさん、もう突っ込むべきではありません。」「せっかく足を用意してくれてるんです、乗りましょう。」

 

乗ってきた乗用車に乗り込む仲間たち。

 

美海「ソフィーナちゃんも帰ろう!」

 

ソフィーナ「美海、少し魔女王と話があるの。先に待っててくれないかしら?」

 

美海「…。」シュン

 

ソフィーナ「そんな顔しないで、明日翔が見てくれるもの。」

 

明日翔「あ、俺の役目なのね?」

 

美海「明日翔くん、絶対に帰ってきてね!変な話してたら全部報告してね!」「ソフィーナちゃん、青空寮で待ってるよ!」ニッコリ

 

笑顔で美海は車に乗る。

 

空「せ…狭い…。」ギュウギュウ

 

ミコト「これは…4人乗りだね…本来…。」ギュウギュウ

 

セニア「私は車の上に移動します。」

 

歌右衛門「ならば、トランクを開けて座らせてもらおう。」

 

シルト「じゃあわたし美海の膝の上にのろーっと!」チョコン

 

美海「わ~!かわちぃねぇ!」ナデナデ

 

シルト「えへへ~。」

ユーフィリア「皆さんシートベルトは大丈夫ですか?」

 

城琉「揺れるからな、気を付けろ。」ブロロロロロ!!!

 

みんなをのせた車は翼を広げて空いた壁の穴から出ていく。残されたのは俺、ミルドレッド、ソフィーナの三人だ。

 

明日翔「飛んでいっちまったなぁ、こ~ら帰るのが大変だぁ。」

 

飛んでいった車を眺める。

 

ミルドレッド「…で、ソフィーナ。どうした?仲間を帰らせて私と密談か?」

 

ソフィーナ「明日翔がそこにいるじゃない…。普通に挨拶よ、貴女にはずいぶん手間を掛けさせてしまったから。」「というか、わざわざ言わなくてと貴女ならわかる…いいえ、視えるんでしょ?」

 

ミルドレッド「視ようと思えば視える。だが、いちいちそんなことをしていたら人生つまらんだろう?私は万能ゆえ、その権能を行使する選択権も持っているのだ。」

 

ソフィーナ「あぁそう…なら、今回の結末はどうだったの?貴女の掌の上だった?」

 

ミルドレッド「ふん、もちろん…と言いたいところだが、この有り様だ。これはさすがに視えなかった。」

 

自分の今の背格好をみせる。素っ裸に毛布をくるんでいるだけの状態だ。

 

ソフィーナ「いや、そっちじゃなくて…貴女は『紅き月』がどうなるか分かっていたんでしょう?」

 

ミルドレッド「ああ、月の話か。」「当然、黒の世界の存亡に関わる問題だ。その未来は、千里眼で見通していた。だが…」「その結末は、お前が日向美海を捧げることに同意する、というものだった。」

 

ソフィーナ「?待って、貴女の千里眼は命中率100%でしょう?昔、私を召し上げた時に自慢してたじゃない。」

 

ミルドレッド「そうだ。予想でも予測でもなく、『そうなる』という結果を観測する…私の視る未来は絶対。」

 

ソフィーナ「それが今回は外れた…?そんなことがありえるの?」

 

ミルドレッド「どうやら、ありえたようだな。まったく、この世の全てを識ったつもりだったがわからんもんだ。」

 

ソフィーナ「ふぅん…。」

 

ミルドレッド「お前はこれまで、とてと優秀な私の右腕だった。いつだって私の期待に応えてくれた。だが、お前にできたのは答えるまでだ。」「その手腕は私の思い描く通りのものであり、それ以上にはならなかった。」

 

ソフィーナ「…。」

 

ミルドレッド「だが、お前が、自分を生贄にと言い出した辺りから…風向きが変わったようだ。お前を変えたのは、日向美海か…それともあの『人間』か…はたまたあの『泥棒』か。」チラ

 

ソフィーナ「泥棒…。」

 

ミルドレッドがチラリと見た方向を向くと外を見てタバコを吸っている明日翔がいた。

 

ミルドレッド「いずれにせよ、お前を青空寮に住まわせたことは、思わぬ収穫に繋がったようだ。」

 

ソフィーナはその言葉を聞いて複雑な表情を浮かべる。

 

ソフィーナ「…貴女の期待に応えれた…と思っていいのかしら?」

 

ミルドレッド「違うぞ、ソフィーナ。そうではない。私の期待や顔色など、気にすることはないのだ。」「お前は私の右腕だ。だが、私の一部ではない。お前は、お前の可能性に従って成長すればよい。」「お前の未来は視ない。だから、私の予想を超えていくがよい、ソフィーナ。」

 

話を聞いたソフィーナは笑みを浮かべる。

 

ソフィーナ「なんだが、貴女も少し変わったわね、ミルドレッド。」ニコリ「美海のせいか、明日翔のせいか……きっかけまでは分からないけれど。以前よりもずっと、外に興味を持っているように見えるわ。」「世界接続の前は、黒の世界の運営すら面倒だと、各種族の部族長に丸投げしていたのに。」

 

ミルドレッド「そうか?ふむ…間違いなく感じたのは人間の面白さを見直した。…あの絵描きの小童以外にも面白い人間がいるとは思わなかった。」チラ(…愛しのレオナルド、お前もそうは思わないか?)

 

玉座においてある本を見て少し、寂しそうな顔を浮かべる。

 

ソフィーナ「…?」

 

ミルドレッド「…まあ、なにせ未知を体験するのは久しぶりだったのでな。」「そうだな…いつか青蘭島にプログレスとして赴くのも、面白そうだ。」

 

ソフィーナ「…は?」ポカーン「ミルドレッドが?青蘭学園に?」

 

ミルドレッド「そうなったら、私はソフィーナの後輩と言うことになるな?」

 

ソフィーナ「…教師じゃなくて、学生として入学するつもり…!?」

 

驚愕した顔をソフィーナは浮かべる。

 

ミルドレッド「ははは、なんだその愉快な顔は。うむ、俄然そうした方がおもしろそうだな。」

 

ソフィーナ「…はぁ。」「冗談はそれくらいにして。」ヤレヤレ「それじゃあ、私は帰るから。」

 

明日翔「おっ!話は終わったみてぇだな。」ツカツカ

 

改めてソフィーナの横にたつ。

 

明日翔「じゃあ、改めて…『紅き月』ソフィーナは頂いていくぜ。」

 

ソフィーナ「頂くって貴方…何いって…。」

 

ミルドレッド「待て待て、ソフィーナを持っていく前に…せっかくだ、お前に最高のお見送りをしてやろう。」

 

明日翔&ソフィーナ「?」

 

ドタドタドタドタドタ……

 

よく聞くと、大量の足音が近づいてくる。

 

バーーーン!!!

 

オーク「魔女王様!!!ご無事ですか!?!?」

 

悪魔「ソフィーナ様をさらおうとしている賊め!許せん!」

 

謁見の間に体力の黒の世界の兵隊たちが乗り込んできた。

 

明日翔「えぇ、なんでぇ?」

 

ソフィーナ「ちょっと!どうなってるの!?これ!」

 

明日翔「ああ!そういえば予告状出してたんだっけ?あーっはっはっは!」

 

ソフィーナ「このバカ!なんてことしてるのよ!」プンプン

 

エルフ「はっ!魔女王様!何てお姿に!」

 

ミルドレッド「うぅ…しもべたちよ、私はやられて辱しめを受けてしまった…。」「次はソフィーナを狙おうとしている…どうか奪還してくれ…。」

 

気がついたらすすで体を汚していかにもやられたふりをしている。

 

明日翔「な~んでもってお前はノリノリなのさ?」

 

ミルドレッド「私のドレスを焼くような作戦を考えた罰だ。」

 

明日翔「あぁ…。」ガックリ

 

悪魔「魔女王様をもてあそんで…次はソフィーナ様だと?」ジリジリ

 

オーク「絶対に許せねぇ!」カンカン

 

明日翔「あらぁこ~らまずいことになっちゃったねぇ。」

 

ソフィーナ「どうすんのよこれ…!」

 

明日翔「帰るまでがショーだ、おもしれぇ。」「ソフィーナ、ついてこいよ?」

 

親指で穴の空いた壁を指差す。

ソフィーナ「…待って、冗談言わないでよね?」

 

明日翔「人生は冒険だぁ!」ガシッスタタタタ!!!

 

ソフィーナ「あっちょ!待って!心の準備が!」

 

ソフィーナの腕を引っ張り壁の穴まで走る。

 

明日翔「皆さん自慢のソフィーナ様は頂いてくぜ!またどうぞぉ~!!!」ピョン!ヒューーン

 

ソフィーナ「い、いやーーーっっ!!!」ヒューーーン

 

 

【挿絵表示】

 

 

壁の穴からソフィーナと飛び急降下する。

 

オーク「追えーっ!鐘を鳴らせーっ!」

 

ゴーン!!!ゴーン!!!

俺たちが逃げたことで、鐘が鳴る。黒の世界の兵隊全部が俺たちを追っているという合図だ。

 

明日翔「パラシュートなしのスカイダイビングだぁ!スリリングだろ?」

 

ソフィーナ「いやーーっっっ!どうすんのよ!こんなので死ぬぐらいなら同化の方がマシよ!」ギューー

 

明日翔の背中にしがみついて叫ぶ。

 

明日翔「ソフィーナ、振り落とされるなよ!」パシュッ!

 

腕時計のワイヤーを射出し城の時計塔の時針に引っかけて、ターザンロープのように飛ぶ。

 

ソフィーナ「ひ、ひーーーっ!」ギューーーン!!

 

明日翔「よいしょ!着地~。」ギューーーン!!スタッ

 

勢いを殺しながら飛んで屋根に着地する。

 

ソフィーナ「し、死ぬかと思った…。」ホッ

 

明日翔「へへっ、安心するにはまだはえぇんじゃねぇか?」

 

ソフィーナ「へ?」

 

悪魔「いたぞ!賊だ!捕まえろ!」

 

ソフィーナの奥から手下の声がする。

 

明日翔「あれまなんとも見つけるのが早いことで、走れぇ~い!」

 

ソフィーナ「んも~~!なんなのよー!」「少しは休憩させなさーい!!」

 

~一方その頃・車~

 

車は着地して陸路を走る。

 

ガーン!!ガーン!!

 

セニア「鐘が鳴り始めたました、音の中心地は黒枢城です。」

 

ミコト「これは…黒の世界に敵が侵入したときの鐘だ。まずいよ、帰れなくなるかも。」

 

城琉「あいつ、しくじりやがったな?世話の焼けるやろうめ。」「アンドロイドのお嬢ちゃん、免許はあるか?」

 

助手席に乗っているユーフィリアに問いかける。

 

ユーフィリア「私ですか?もちろん!」

 

城琉「MTは?」

 

ユーフィリア「取得済みです!」

 

城琉「ここをまっすぐ進めば貨物用の門だ、ハンドルは、任せた!」ガチャッピョーン!!

 

ユーフィリア「あっ!!ちょっと!!」

 

城琉はドアを開けてハンドルを離してその場を離脱した。

 

歌右衛門「師匠、私も行きます。ご無礼!」シュッ!

 

歌右衛門も城琉の後を追って離脱する。

 

シルト「あっ!松詠ー!」

 

ユーフィリア「まったく無茶苦茶な人たちですね…!」

 

ミコト「帰ってきたらお説教してやる…!」「とにかく、私たちだけでも戻ろう、きっと明日翔なら戻ってこれる。」

 

美海「…。」(ソフィーナちゃん…明日翔くん…。)

 

~明日翔視点~

 

あの後、城の中を逃げ回りどうにか外に出ることができた。城の外にでてとある洞窟まで逃げ込む。

 

オーク「ここらへんにいるぞー!探せー!」

 

エルフ「ここに逃げた痕跡はないわ!」

 

悪魔「出てこい!ソフィーナ様を返せ!」

 

ザワザワザワザワ…

 

ソフィーナ「ぜー…はー…ぜー…はー…。に、逃げ切れたかしら…。」

 

明日翔「撒くことはできたみてぇだな。」

 

ソフィーナ「…あとでじっくり話は聞くから覚悟しなさい!」プンプン!

 

明日翔「まぁそう怒るなって。こっからは、楽になっていくからよ。」ツカツカ

 

ソフィーナ「あ!待ちなさい!」

 

洞窟の奥に進むと、とある車がたたずむ。

 

ソフィーナ「…これって…。」

 

明日翔「…よう、一度お前に乗ってみたかったんだ。一発頼んだぜ?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

~~~~~~~

 

悪魔「ソフィーナ様~!近くにいらしたらお声をあげてください!」

 

エルフ「こっちは探した!いないわ。」

 

吸血鬼「ダメだ、空から探しても見つからない!」

 

オーク「ちっくしょう!賊め、何が狙いなんだ!」

 

…ロロロロロ…

 

悪魔「…?何か音がするような。」

 

…ロロロロロ…!

 

エルフ「近づいてくるような…。」

 

ブロロロロロロ…!

 

吸血鬼「ものすごいスピードで来ているような…。」

 

ブロロロロロロロロ!!!

 

オーク「避けろ!奴はそこの洞穴だ!」

 

ブロロロロロロロロ!!!ブーーーーーン!!!

 

手下たち「うわーっ!」ドサッ

 

手下たちはものすごいスピードで現れた物体を躱す。

 

明日翔「どいたどいたぁ!」

 

親父の車、メルセデス・ベンツ SSKをこっそりと隠していたのだ。俺たちはこれに乗り、脱出を目指す。

 

オーク「俺たちじゃ追い付けねぇ!吸血鬼部隊、エルフ部隊!頼んだ!」

 

吸血鬼「任せろ!」バサッバサッ!

 

~~~~~~~

 

明日翔「うっひょ~!こいつぁすげぇ!いっぺん乗ってみたかったんだよなぁ!」

 

ソフィーナ「脱出できる手だてはあるの?この状態だと貨物も移動の門は閉まってるわよ!」

 

明日翔「いーや、門はまだもうひとつ残ってるぜ!正面玄関に、搬入口があるってんなら裏口が用意されてるのが定石さ!」

 

ソフィーナ「!追ってくるわよ!」

 

吸血鬼や空を飛べるエルフが俺たちを追ってきている。

 

明日翔「しゃーねー!」ジャキッ!

 

懐から拳銃を取り出す。

 

明日翔「ちょっくらお休みしてな!」ドギューン!!ドギューン!!ドギューン!!

 

後ろの吸血鬼たちに発砲する。

 

吸血鬼A「ぐわっ!」ドシャーン!

 

ソフィーナ「う、本当に撃った…。どうなっても知らないわよ…。」

 

明日翔「銀箔塗りの弾丸さ、お前さんらにはちぃ~と痛ぇけどすぐ直るさ。」

 

しばらく応戦しながら脱出口まで車を猛スピードで走らせる。

 

明日翔「そろそろ、合流地点に来たぜ?」

 

ソフィーナ「?」

 

明日翔「上を見な。」

 

上を向くと大木の上に二人の人間がいた。その人間たちはタイミングを見計らって降りてきて後部座席に着地する。城琉と歌右衛門だ。

 

城琉「よっと。」ドスン「おい、何してやがる?しくじりやがって。」

 

明日翔「しくじっちゃいねぇよ、ミルドレッドに嵌められたのよ。してやられたぜ。」「後ろ頼むわ、殺すなよ!」

 

城琉「面倒な注文だな!」バァァァン!

 

エルフA「ぎゃぁっ!」ドサッ

 

城琉「ゴム弾だ、何日か寝れば起きる。」

 

明日翔「さっすが城琉!用意がいいねぇ。」

 

城琉「報酬は、いい酒で頼むぜ!」ニヤリ

 

バァァァン!バァァァン!

 

吸血鬼B「ぐえっ!」C「がああっ!」ドサドサッ

 

明日翔「ああ、とびっきりの酒ご馳走してやらぁ!」

 

ソフィーナ(な、なんなのよ。この二人…。)

 

魔法使いA「ここまでだ!つぶれよ!」キュィィィィン!

 

魔法使いが大岩を頭上に召喚してきた。

 

ソフィーナ「つ!つぶれる!」

 

城琉「歌右衛門。」

 

歌右衛門「合点。」ピョーン「でぇぇえぇや!!!」ジャキィッ!!!ジャキッ!!!

 

頭上に召喚された大岩は一瞬にしてサイコロになりパラパラと落ちる。

 

魔法使いA「う、嘘だ…。」ポカーン

 

バァァァン!

 

魔法使いA「ああっっ!」バタッ

 

歌右衛門「まだ来るぞ!」シュタッ

 

歌右衛門が車のフロントに着地する。

 

オークA「ゴブリン部隊!ボウガン構え!ってーっ!」

 

ピピピピピピピピュン!!!

 

高台からボウガンの矢の雨が降る。

 

歌右衛門「ここは我に、任せよ!」「でやぁ!かぁっ!ぜやぁぁっ!」キンガキンゴキンキン!!

 

降ってきた矢を的確に叩き落とす。

 

明日翔「サンキュー!」

 

ソフィーナ(この三人、本当になんなの!?もしあの事実が本当だったもここまでは…。)

 

車を走らせていたら、森林地帯を抜けて平野に突入する。

 

明日翔「見えてきたぜ!あれだ!」

 

向こう側に魔方陣のようなものが見える。

 

ソフィーナ「あれは…門!?何でこんなところに!?」

 

明日翔「いったろ?裏口があるのが相場ってよ!」「スピードをあげるぜ!お前らシートベルトつけて座れ!」ガチッガチャッ

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!

 

スピードギアをマックスまで上げ速度計が200km/hを越える。

 

ソフィーナ「ちょちょちょ速い速い速い!スピード出しすぎよ!普通の車はこんなスピードでないわよっ!!」

 

頭を抱えて身を屈めるソフィーナ。

 

明日翔「そらおまえ、でっけーエンジンくっつけてっからよ!300は出るぜ!」

 

ソフィーナ「出さなくていいからぁ!!!」ドカーン!

 

城琉「黒魔女さんよ、慣れろ。これがこいつだ。」

 

歌右衛門「明日の字は常識では計り知れない男、自然の摂理とは程遠い。」

 

ソフィーナ「慣れたくないわよこんなのっ!!!貴方たちがおかしいの!!!」ドドカーン!

 

明日翔「相変わらず鋭いキレとツッコミだな!やっぱ青空寮には必要ってもんよ、うひひひ!」

 

ソフィーナ「貴方は!運転に!集中しなさい!」ドドドカーン!

 

明日翔「言われなくたってわーってら!」

ゴーレム「ここは通さん!」

 

進路方向に大きなゴーレムが立ちふさがる。

 

城琉「参ったな、ありゃこいつじゃ無理だ。」

 

歌右衛門「斬れぬことはないが、あのゴーレムのいのちを奪いかねん。」

 

明日翔「そいつぁまずいな、ソフィーナ?」

 

ソフィーナ「…なによ?」

 

明日翔「あのデカブツ、どかせるのはお前だけだぜ?」

 

ソフィーナ「ぐぐぐ…。」ブルプル

 

明日翔「このままだと俺たち全員大爆発だぁ!てぇへんだてぇへんだ!」

 

ソフィーナ「んもーーー!!!」ドッカーン!!!「いいわよ、やってやるわよ!!どうなってもしらないから!!!こうなったらヤケよ!!!」ボオオオオオオ!!

 

車体に半身を乗り出し、凄まじい爆炎を産み出す。

 

ソフィーナ「ごめんなさい!!!避けて!!!」ボオオオオオッッ!!!

 

ゴーレム「ええぇ!!!うわああああ!!!」ドシンドシンドシンドシン!!!

 

チュドオオオオオオオオン!!!

 

ソフィーナの投げた凄まじい爆炎をゴーレムは避け、爆炎は大爆発を起こす。ゴーレムがいなくなりこれで道は開けた。

 

明日翔「ナァイスピッチ。」

 

ソフィーナ「ふん。」プイ

 

明日翔「さぁ、ラストスパート。黒の世界から脱出だぁ!」グッ

 

アクセルを深く踏み込み、燃え広がった地帯を抜け、速度は300km/hに到達する。

 

明日翔「よお黒の世界!楽しかったぜ、あ~ばよ~!」

 

去り際にそんな言葉を残し、門に車ごと突っ込む。

 

~~~~~~~

 

ゴウン…ゴウン…ゴウン…カッ!!!!

 

~~~~~~~

 

~夕方・青の世界・青の管理区・海辺~

 

ブウウウウン!!!キキーーーーーーーーーッッッッッッッッッッ!!!!

 

ブレーキを目一杯踏んで、車を止める。ここは、防波堤の空き地。

 

明日翔「思った通りだ、青の管理区直通便ってわけよ。」

 

ソフィーナ「…戻ってこれた、黒の世界の兵隊から逃げ切るなんて…。」

 

城琉「ま、このアホがしくじりはしたが逃げるのは簡単だったな。」

 

歌右衛門「左様、大勢で向かうだけでは我々は捕まらん。」

 

明日翔「あらあら皆さんボロクソに言ってくれちゃって、じゃあ目的地は青空寮!しゅっぱーつ!」「あ、もちろん常識的な速度でな?むふふふ。」

 

ブロロロロロ…

 

防波堤をただひたすら走る、夕焼けと海が俺たちを照らす。

 

明日翔「いやぁ~久々に疲れちまったぜ、こんな大がかりに仕事すんなぁいつ以来だぁ?」

 

城琉「言われてみれば、今年に入ってからはあまりないかもな。」

 

明日翔「ま、無事に生きて帰れた記念に一服…。」パク

 

城琉「…。」パク「…あっ!シルトにライター貸したまんまだ!」パンパン

 

タバコを加えたがスーツを探すが見当たらない。

 

明日翔「なぁにしてんのよ城琉、しゃーね。俺の火を…。」ジッジッジッ「あぁ?オイル切れか?」

 

ソフィーナ「はい。」

 

ソフィーナが横から指に小さな火を産み出して差し出した。

 

明日翔「サンキュー。魔法の火で吸ってみたかったんだよなぁ。」

 

城琉「悪いな、黒魔女さんよ。」

 

明日翔&城琉「ぷはぁ~…。」

 

明日翔「染みるぜ…。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

しばらく車を走らせているとソフィーナが問いかけてくる。

 

ソフィーナ「明日翔、そろそろ教えてくれないかしら?」

 

明日翔「何を?」

 

ソフィーナ「貴方の正体よ、ただのαドライバーなんかじゃなくて…泥棒なんでしょ?」

 

明日翔「ま、もう今から隠したってしょうがねぇか。」プハー…「その通り、俺達はこの青蘭島を生きる泥棒だ。ミルドレッドから聞いたんだろ?」

 

ソフィーナ「いや、知ってたわよ。自分でいってたじゃない。」

 

明日翔「えぇ!?一体いつの話よぉ?」

 

ソフィーナ「…一昨日…。」「貴方が、眠っていたみんなを置いて外に行ったときに聞こえたの。泥棒に休む暇はないって。」

 

明日翔「あ~…?」「あぁ、あちゃぁ~…聞こえちまってたってことかぁ。やっちまったなぁ。」

 

城琉「はっはっはっは!お前がとんだボロ出しちまったな!」

 

ソフィーナ「私以外は寝てたから…あの場で聞いたのは私だけ。だから、この事実は私の胸にしまっておくわ。」「青蘭のアルセーヌ・ルパンなんて、的はずれもいいところだと思ってたけど、あながち間違いじゃないのね。」

 

明日翔「その呼び方はよしてくれよ、ムズムズすらぁ。」

ソフィーナ「あら?褒めてるのよ?それとも恥ずかしいのかしら?」ニヤニヤ

 

明日翔「うるせぇ。」

 

ソフィーナ「じゃあ…改めて、教えてくれないかしら。」「貴方の夢の正体は、何?」

 

明日翔「俺の夢は…。」「この世界の全てを、盗むことさ。」

ブロロロロロロ…

 

~青空寮~

 

空「先輩たち…帰ってきませんね…。」

 

ミコト「黒の世界の兵隊たちから逃げるんだ、そうそうできることじゃないよ。」「…嫌な想像は、したくないけどね。」

 

美海「ソフィーナちゃん…。」

 

プップー!

 

ユーフィリア「?クラクションです。」

 

セニア「外から聞こえた気がしますが…。」

 

空が窓のカーテンを開ける。

 

空「あ…ああ…!」

 

美海「空ちゃん?…あ。」

 

青空寮のメンバーが窓を見ると、そこにはソフィーナを先頭に明日翔たちが手を振っている。心なしかソフィーナは恥ずかしそうにしており明日翔が背中を押す。

 

美海「ソ…ソフィーナちゃん!」ガラッ!「ソフィーナちゃーん!」タタタタタタピョーンギューッ!

 

ソフィーナ「美海…。ただいま。」ギュッ

 

美海「おかえり、ソフィーナちゃん!おかえり!グスッ」ギューッ

 

空「ソフィーナさぁ~ん!おかえりなさい!」ギューッ

 

ソフィーナ「空…。」「みんな、迷惑かけてごめんなさい。」ギュゥゥッ

 

ミコト「これで一件落着…かな?」ニコ

 

ユーフィリア「そうみたいですね…、日常が戻ってきて本当によかったです。」ニコッ

 

セニア「これでまた青空寮に活気がつきます。ソフィーナは必要不可欠です。」

 

シルト「よかったー!」

 

ワイワイ…

明日翔「…。」フッ

 

仲睦まじい光景をこの目で確認し、俺たちは車に乗って去る。

 

ブロロロロロ…

 

~~~~~~~~

 

城琉「混ざらなくてよかったのか?」

 

明日翔「馬鹿おっしゃい、あの空間に俺がいたら邪魔でしょうが。」「あいつらの空間に、俺は必要ないのさ。」

 

城琉「ふむ、そうか。」

 

明日翔「そんなことよりよぉ?久々に酒が飲みてぇよな?」

 

城琉「そうだな、浴びるぐらい飲みてぇ。」

 

歌右衛門「日本酒は、あるだろうな?」

 

明日翔「そらもうおまえ、バッチリよ?」

 

歌右衛門「乗った。」

 

明日翔「そうこなくっちゃなぁ!そう言ってくれると思ったぜ単純武士道さんよ。」

 

歌右衛門「その前に、今日の怪物も倒さねばなるまい。浮かれるのは早いぞ。」

 

明日翔「へぁ?」

 

城琉「はっはっは、ちげぇねぇ!」

 

歌右衛門「ふっふふふふ…。」

 

明日翔「…んふふふふふ!」

 

アハハハハハハハハ!!!オマエソレ…ハハハハハ!!!!…

 




ようやく日常が帰ってきた。クラスメイトは聞きたいことでいっぱい、今か今かと狙いをすまして俺たちを狙ってくんだなぁ!俺に聞きたいことがあんだったよ?俺を捕まえてみな。ところがこれが簡単につかまんねぇんだな?さて、どんな事件を起こしてやろうかな?

次回「愛すべき日常」

また会おうぜ?
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