怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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貴重な休息日

~5月15日・朝・青空寮~

 

ガチャ…

 

明日翔「あーいててて…おまえらおはよう。」

 

美海「おはよう、空ちゃん、明日翔くん。昨日はよく眠れた?」

 

空「はい、もうぐーっすりと。久しぶりのベッドの居心地は最高でしたっ!」

 

ソフィーナ「ふふふ、約10日も無人島にいたんでしょう?私だったら耐えられないわ。」

 

空「しかも、バトルロワイヤルでしたからね…ちょっぴりキャンプ気分も味わえましたけど…でも、やっぱり青空寮が一番です!」「…んん~!この感じ、落ち着きます~。」グググッ…

 

明日翔「もはや俺たちの家になっちまったなぁ。」

 

空「はい。入寮してからまだ1月ちょっとですが、すっかり我が家ですよ。」

 

シルト「空と明日翔がいない間、寂しかったよ~。これでやっと、いつも青空寮だね。」

 

セニア「そうですね、おかえりなさい。…ご無事でなかったのだけが残念ですか。」

 

空「うう、私がついていながら…申し訳ありません…。」シュン

 

明日翔「気ーにすんなって、こんなもんツバでもつけときゃ3日ぐらいで治るさ。」

 

ソフィーナ「さすがに3日じゃ治らないわよ…。」ジト

 

美海「なにか手伝えることが何でも言ってね!…って、言いたいところなんだけど。」

空「あれ?そういえば皆さん、何やら大荷物を用意されていますけど…どうしたんですか?」

 

見れば皆々、大荷物を抱えている。

 

ソフィーナ「言いにくいんだけど…実は私たち、これからしばらく寮を留守にするのよ。」

 

空「ええっ!?」

 

シルト「ミルドレッドがねー、世界交流のために短期留学しにいらっしゃいって招待してくれたの。」

 

明日翔「あいつがかぁ?そらまーた不思議なこともあるもんですな。」

 

ソフィーナ「どうも先月の一件以来、ミルドレッドがこの寮の面々を気に入ったらしいね。」

 

空「なんと!…って、あれ?それだと私たちはどうなるんでしょう?」

 

ソフィーナ「空は新入生で、必須カリキュラムが、あるからって、ヒメガミノミコトは断ったわ。明日翔は…『近いうちにディナーでも』ですって。」

 

空「ガーン!」ヨロヨロ…「私も短期留学…したかったです…うぅぅ…。」ショボーン

 

明日翔「こらまた面倒なことになりそうでんなぁ。」

 

ソフィーナ「正直なにするか私たちもまーったく聞いてないから、参加しなくてもいいと思うわよ。何されるかもわからないし。」

 

シルト「えっ!この留学ってそんなにデンジャーなの?」

 

美海「大丈夫だよ、シルトちゃん。何かあっても私たちがいるから。」ギューッ

 

シルト「頼もしいーっ。」ギューッ

 

セニア「ヒメガミノミコトが参加を断った一番の理由は、執行部としての任務に支障が出るからでしょう。」

 

空「…あ、そっか。黒の世界に行ったら、ウロボロス退治なできなくなっちゃいますもんね。」

 

美海「そうなんだよねー。そのお手伝いができなくなっちゃうのが、申し訳ないんだけど…。」

 

ソフィーナ「美海はミルドレッドから名指しだったものね…。明日翔もある意味名指しではあるけど。」

 

明日翔「…俺なんかあいつにしたかぁ?」

 

ソフィーナ「さぁ、ミルドレッドはその辺わからないところが多いから。流石に先月あんなことがあったばかりで、外交問題になるようなことはないと思うけれど。」

 

空「そういうことなら、寮の留守番はお任せください!せっかくですし、楽しんできてくださいね!」

 

シルト「ありがとー!二人に素敵なお土産、探してくるからね!」

 

セニア「そろそろ出発予定時刻です。黒の管理区の『門』に行きましょう。」

 

美海「ほんとだ。じゃあ、空ちゃん、明日翔くん。行ってくるね!」

 

空「はーい、いってらっしゃいませー!」ノシ

 

ガチャ…バタン!…シーーーーーン…

 

空「…戻ってきたばっかりなのに…静かになっちゃいましたね。」

 

明日翔「まー今日はのーんびりしようじゃないの、昨日まで俺たちは無人島にいたんだぜ?」

 

空「はいっ、プログラムの疲れもありますし…今日はお互いのんびり過ごしましょう。」

 

~商店街~

 

俺たちは今日1日を寮で過ごしたいと思い備えるべく、空と商店街に繰り出す。途中で城琉をたまたま見かけたので首根っこ捕まえて荷物持ちをさせる。

 

城琉「はーっはっはっはっは!こいつぁ傑作だぜ、今までの行いがアダになったんじゃあねぇか?」

 

明日翔「うるせぇ、妹を助けただけだ。」

 

城琉「千尋か、久々に聞いた名前だな。変わってなかったか?」

 

明日翔「ああ、頑固なところも詰めの甘いとこも変わってなかったさ。」

 

空「城琉さんは千尋さんと会ったことがあるんですか?」

 

城琉「その昔一回だけな、本人は覚えてないじゃあねぇか?」

 

明日翔「ああ、たぶんな。」

 

城琉「しかしまぁ、木の下敷きになってそんぐらいですんでんだ。運のいいやつだよ。」

 

明日翔「まぁな、俺は死なねぇってことだ。」

 

空「何かあったら、すぐにいってくださいね!」

 

テクテク…

 

空「…あれ?」

 

明日翔「どうした?空、なんか見つけたか?」

 

空「先輩、あそこにいるのって…。」ピシッ

 

空が指差した先を見る。

 

明日翔「お…?あいつは…。」

 

~~~~~~~

 

紗夜「ん…こっち…?それとも…やっぱりこっち…?」

 

紗夜が机に並んでいた物をみて悩んでいる。

 

明日翔「ばぁ!」ヒョッ

 

机の下から突然出てきて驚かす。

 

紗夜「わぁっ!!!…明日翔先輩…?びっくりさせないでよ、というかなんでそんなところに。」ジト「先輩、体は大丈夫なの?嘘でしょ、今日くらいずっと寝てると思ってた。」

 

城琉「こいつは見た目よりタフなんだ、心配する必要はねぇ。」

 

紗夜「本当ですか…?先輩、あまり無茶しないで。…この人は?」

 

空「この人は城琉さんと言って、明日翔さんの相棒さんなんですっ!αドライバーとしての実力もピカイチの方なんですよ!」

 

城琉「褒められるようなことはしてねぇさ。」ニヤリ

 

紗夜「あ…よろしくお願いします。」ペコリ

 

城琉「俺のことは覚えなくていいぜ。」

 

明日翔「んで?お前も買い物か?なーにをお悩みなんだい?」

 

紗夜「あ、うん…ちょっと。どうしようかなって思って。」

 

見ると、紗夜の前には数えきれないほどのヘアアクセサリーが並んでいた。

 

紗夜「この間のプログラムでひとつ壊れたから、新しいのを買い足そうとおもって。いつも同じのにしてるから、それにしようと思ったんだけど…。」「…同じのがないんだよね。別のにしようと思うと、決められなくて。決めてたものがないときって、どうするか迷うよね。」

 

明日翔「そいつぁお前、絶好のチャンスじゃんよ。新しいものに挑戦するまたとない機会だ。」

 

紗夜「そっか、そういう考えもあるね。明日翔先輩って、前向きだよね…いろんな意味で。」

 

城琉「ちげぇねぇ。」

 

紗夜「んー……。」「試しに聞いてみたいんだけど。…月のモチーフと花のモチーフ、どっちがいいとおもう?」

 

明日翔「そうだなー?紗夜のお顔スナーッチ。」

 

手をカメラと見立てて紗夜の顔とヘアアクセサリーを見比べる。

 

空(すごいご機嫌だなぁ…。)

 

城琉(こいつは女になるとすぐこれだ。)

 

明日翔「よーし、こいつが似合ってるんじゃないか?」

 

金と青の装飾が施された月のモチーフを差し出す。

 

紗夜「似合うって…私に?そう…そっか…。」

 

明日翔「なんだ、不満かぁ?」

 

紗夜「ううん、なんでもない。ありがと、月の方にする。」

 

チャリーンアリガトウゴザイマシター

 

紗夜「…ありがとう。」

 

明日翔「せっかくなら、ここで着けたらどうだ?」

 

紗夜「着けるって…ここで?うーん…やめとく、二人が見てる前だと、恥ずかしいし。」

 

明日翔「またまた~、俺たちはキャンプで夜を共にしただろ?今さらぁ~。」

 

紗夜「なに、その目。もうそういうこと気にする仲じゃないとか思ってる?」

 

明日翔「そらもちろん、俺たちマブダチぐらいには思ってるぜ?」

 

紗夜「…どうして先輩が言ってると胡散臭く感じるんだろう。」ジト

 

城琉「わかるぜ、こいつは常にいい加減で胡散臭いんだ。」

 

紗夜「言っておくけど…これでも自分が変わったことは自覚してるつもり。チームも問題が解決したから…かな?」「前はヘアアクセサリひとつ選ぶのだって、誰かに聞くなんて絶対にあり得なかったし。」「そういう意味では、私は先輩には感謝してる。…もちろん、空やチームのみんなにも。私が変われたのは、みんなのお陰だから。」

 

空「…。」ウンウン

 

明日翔「ああ、感謝してくれ?俺には特に。」

 

紗夜「…もう、台無し。」ジト「…ふふ…私、何でこんな話…。もう行くね。先輩も、ちゃんと休んで。」

 

明日翔「おう、じゃあな。」

 

紗夜「…本当に休むんだよ?」

 

明日翔「わーってるよ。」

 

紗夜「うん、それじゃあね。」スタスタ…

 

紗夜は去っていった。

 

空「…行ってしまいましたね。でもたしかに、紗夜さんの印象は前と変わった気がします。少し柔らかくなったって言うか…もしかしたら、今見せてくれている紗夜さんが、自然な紗夜さんなのかもしれませんね。」

 

明日翔「大なり小なり素を見せれるぐらいにはなったってことだ。」

 

城琉「しっかしまぁ、ピュアな女だ。このまま何も知らないでいてほしいもんだ。」

 

明日翔「まぁな。」

 

空「先輩。暗くなる前に、私たちもそもそも帰りましょうか。紗夜さんに言われた通り、体をゆっくり休めましょう!」「今日は、何食べましょう?」

 

明日翔「そうだなぁ、たまには豪勢にステーキでも焼くかぁ?」

 

空「いいですね、賛成ですっ!」

 

城琉「俺も混ぜてくれ。」

 

空「いいですよ!せっかくですし、一緒に食べましょう!」

 

3人は青空寮の帰路に立ち、帰っていった。

 

明日翔「ところでよ、歌右衛門はどこいったんだ?」

 

城琉「さぁな、ここんとこあいつ出払うことが増えたんだ。…まさか女か?」

 

明日翔「まっさかぁ、あいつ俺と違って訓練が足りてねぇからなぁ。」

 

城琉「お前は見境が無さすぎだ。」

 

空「なんの訓練なんですか、それ。」

 

明日翔「おっほほほほ!」

 

ツカツカツカ…

 

???「…。」ヒョコッ

 

会話を影から聞いていたものが、こっそりと顔を出す。

 

ナイア「ふーん…なるほどねぇ。どーやら、裏がありそうだ。」「後藤明日翔…たいちょーの正体、丸裸にしちゃうからね~。」

 

~数時間後・夜~

 

いつも通りウロボロスの連中を倒した、しかしメンツが少し異なる。

 

ミコト「美海を黒の世界に留学させちゃったからね。その分の穴は私が埋めさせてもらうよ。ごめんね、断りきれなくて。」

 

ユーフィリア「いいえ。あのミルドレッドさんの申し出なら、仕方ありません。あの方にどれだけの影響力があるかは、私でもよくわかってますから。」

 

明日翔「断ったらなにされっか、わっかんねぇからなぁ。」

 

空「あはは…それはそうですね…。」

 

明日翔「つってもよ、まさかまさかお前が来るとは思ってなかったけどな?」

 

ミコト「そんなに意外かい?私は青蘭学園を守るために、動いているだけだよ。知ってるでしょ?」

 

明日翔「そりゃもちろん。」

 

ミコト「ふふ、よろしい。」ニコ「…そうだ、私はユーフィリアとちょっと話があるから、2人は先に帰っていてくれるかな?」

 

空「あ、はい。わかりましたっ。」

 

明日翔「水くさいやっちゃぁ、俺も混ぜてくれよ~。」

 

空「先輩!」チョップピシーッ

 

明日翔「あてっ。」

 

空「先輩は怪我人なんですから、早く帰りますよ!」ガシッズルズルズル…

 

明日翔「オタスケーーー!!!!」

 

空に首を捕まれ、引き摺られて帰らされる。

 

ミコト「それじゃあ、学園でね~。」フリフリ「…さて、幸いというべきか…ミルドレッドはウロボロスについては何もいってきていない。少なくとも、干渉してくる気はなさそうだ。今のところはね。」

 

ユーフィリア「それは何よりです。…ふふ、干渉してくるならしてくるで、手伝っていただいてもいいんですけどね?」「まだ上位個体がどこにいるかもわかっていませんし、ミルドレッドさんの千里眼は役に立ちそうです。」

 

ミコト「役に立つって…先月アレと対峙しておいて、よくそんなことが気軽に言えるね。…明日翔の感覚が移ってきてないかい?」「まぁいいや。さっきもいった通り、美海たちがいない間は、私がサポートする。毎日のウロボロス退治に慣れてきてるとはいえ、その油断が命取りになることもあるからね。」「不測の事態というものは、いつどこで起こるかわからない。明日翔も、まさに今は不測の事態で負傷中だしね。」

 

ユーフィリア「そうですね…お休みしていただくわけにはいかないのが、心苦しいです。少しでも彼に負担がかからないように、努めるつもりです。」

 

ミコト「私も同じ思いだよ。だからいつでも頼って。これでも人一倍心配してるんだから。」「…守れたはずの生徒が目の前で殺されるのは、もうこりごりだよ。」

 

ユーフィリア「…はい、心中お察しします。」

 

ミコト「その一環で、今日ちょっとした頼まれごとを承認したところだ。」

 

ユーフィリア「頼まれごと?」

 

ミコト「うん。新入生交流プログラムで明日翔に面倒見てもらった、一年生たち。彼女達が恩を返したいってことでね。」

 

~5月16日・朝~

 

空「んー…よしっ。包帯が巻き終わりました!」

 

明日翔「さんきゅー。」

 

空「今日1日、ゆったりしましょうか。誰もいないわけですし…お昼寝でも。」

 

ピーンポーン

 

空「?お休みなのにお客さんでしょうか?私、見てきますねっ。」スタスタ

 

ハーイ…

 

空「ええっっ!?せ、先輩~!!ちょっと来てもらっていいですか~!?」

 

明日翔「?どうした、空。なんかでっけー荷物でも届いたか

?」ヒョコッ

 

玄関に顔を出す。

 

エルエル「えへへ~。」

 

一年生「おじゃましまーす!」

 

明日翔「えぇ、お前ら。」

 

~~~~~~~

 

一年生一同をリビングに通し事情を聴く。

 

エルエル「というわけで!今日からしばらく、青空寮でお世話になるよ~!」

 

空「それって、住み込みでってことですか!?」

 

紗夜「そう。明日翔先輩が怪我をした原因は、私たちのチームにいた時だから、責任がある。だから何かできないかなって思って。」

 

天音「みんなで相談したの。そうしたら、一番困るのは日常生活だろうって話になって。学年は違うけど、学園にいる間でお手伝いはできるでしょ?」「それで生徒会長にお願いしに行ったんだ。その時に、美海さんたちが留守にするって聞いて…。」

さ

エルエル「そしたら、それなら一緒に住んじゃえばって!部屋も空いてる部屋があるって。」

 

アルマリア「そうと決まれば善は急げですから、さっそく最低限の荷物をまとめてご挨拶に伺ったとというわけです。」

 

明日翔「あいつもとっぴょーしもねぇこと承諾するもんだぜ。暇だったから別にいいけっどもよ。」

 

空「なんだか、セニアさんがお引っ越ししてきた時を思い出しますね…あはは。」

 

アルマリア「あくまで一時的にですよ、ソフィーナ先輩の許可もとってあります。…決して、ソフィーナ先輩の住んでる寮に合法的に滞在できるからではないですよ。」「アナタがいなければ、ワタシたちはプログラムで一位にはなれませんでした。そして、そんな怪我をすることもなかった。受けたご恩をちゃんと返すのは、高貴なる吸血鬼として当然のことですから。」

 

ステラ「速い方がいいから、朝に来た。」

 

空「あはは、ステラさんは本当にブレなくて、なんだか安心しますっ。」

 

ナイア「ま、そういうことだから。短い間だけど、ひとつよろしく~。」

 

明日翔「軍師、お前がまさか来るなんてな?軍人らしく『怪我なんてつきものだ!』つってよ来ないもんかと思ったぜ。」

 

ナイア「たいちょーの怪我の原因はアタシのエクシード。それでさすがに仲間に任せっきりはないでしょー?」「あと、いつまで軍師って呼んでるのさ。」

 

空「えーっと…総括すると…。」「つまり先輩の怪我が治るまで、皆さんが青空寮の一員になるってことですね?」

 

エルエル「そう!でもでも、ただ一緒に住む訳じゃないよ。あたしたちはお手伝いなの!ちっちゃいことかはおっきなことまで、明日翔くんの生活はあたしたちが守っちゃうよ~。」

 

明日翔「お~、そいつは頼もしいなぁ~。」ナデナデ

 

エルエル「えへへ~。」ニコニコ

 

明日翔「まぁ、なるべく自立して動くように頑張るさ。なんてたって俺には空がいるしな。」ポンポン

 

空の頭をポンポンする。

 

空「えへへっ。」

 

紗夜「それでも、なんでもかんでも空に任せるわけにはいかないでしょ。人手はあった方がいいと思う。」

 

アルマリア「ワタシたちのわがままだと思って、観念してください?ふふ、悪いようにはしませんから。」

 

天音「よろしくね、2人とも。」

 

空「はい!寂しくなるかと思いましたけど、賑やかな青空寮になりそうですね、先輩っ!」

 

ナイア「んじゃ、お部屋に失礼しま~す。荷物部屋に上げさせてもらうからね。」

 

空「あ、それではご案内ついでに、寮のルールをご説明しますっ!」

 

~放課後~

 

退屈な授業が終わり、荷物をまとめる。

 

ルルーナ「じゃねー、明日翔くん。」

 

シンシア「美海しかいないからって、羽を伸ばしすぎちゃダメだよ。」

 

明日翔「こんなんじゃ、伸ばす羽も伸ばせねぇさ。」プラプラ

 

怪我をしている腕をふらつかせる。

 

シンシア「それもそっか。お大事にね、ちゃんと直すんだよ。」

 

明日翔「わーってるって。」

 

さーて、帰りますかっと。久々の一人で帰宅だ、ここはひとつ帰りにクレープでも…。

 

ガララ…

 

教室の扉を開けて帰ろうと廊下に出た。

 

ステラ「!明日翔、捕捉。」

 

明日翔「…うげ。」

 

ステラ「寮へ帰還する時間。今日の送迎は自分が担当する、だから迎えに来た。」

 

明日翔「厄介のに見つかっちまったぜ…。」

 

空「先輩~。お疲れ様で~…あれ?ステラさん?どうしたんですか?」

 

ステラ「明日翔を迎えに来た。」

 

空「もしかして、登下校のサポートですか?」

 

ステラ「うん。自分が送迎を任された以上、定刻から遅れることはない。安心してほしい。」「それで、校内での用事は終わり?なら、すぐにでも出発する。」

 

明日翔「いやぁ、別に走って帰る予定はねぇけどよ。」

 

ステラ「なら問題ない、飛行で運搬する。」

 

明日翔「飛行?おいおい、そりゃ別の問題があるぜ?」

 

空「許可のないエクシードの使用は、校則違反なんですけど…。」

 

ステラ「許可ならある、これ。」

 

空「エクシードの使用許可証?ヒメ会長の署名がありますね。どれどれ…?」

 

──明日翔くんのサポートに類する行動に限り 

      エクシードの使用を許可する──

 

明日翔「またあいつか…。」ガックリ

 

空「…先輩、特別待遇過ぎませんか?」

 

明日翔「俺が頼んだ覚えはねぇよ、はぁ~…。」ガックリ

 

空「…まぁそれだけ先輩のことを重要な人材だと思ってくださっているのかもですが。」

 

ステラ「問題ないことは理解してもらえた?そろそろ出発したい。自分たちのチームは、明日翔にできる限りのサポートをすると決めた。」「自分にできることは、最速であなたを寮に届けること。」

 

空「別に最速を求めなくてもいいのでは…!?」

 

ステラ「最速で帰宅できればその分、時間に猶予が生まれる。早さは全てを解決する。」

 

空「ああ、なんだかステラさんならそう言うだようなってそろそろ私わかってきました…。」

 

ステラ「他に要望はある?」「自分に何をしてほしい?何でも言って。」

 

明日翔「んなこといわれてもよー…まぁ気にせず運んでくれ。」

 

ステラ「それでは自分が派遣された意味がなくなる、何でもいい。」

 

明日翔「えぇ~…。」

 

空「うーん…それじゃ、先輩をゆっくり安全に、寮までお送りする、というのはどうでしょう?」

 

ステラ「ゆっくり安全に?それはどのような速度域で、どのような起動まで許される?」

 

空「そ、そこまで具体的にですか…。」

 

明日翔「じゃあよ、訓練もかねようか。ちょいまち。」

 

ステラ「?」

 

~~~~~~~

 

明日翔「お待たせ。」

 

ステラ「遅い、定刻をすぎている。」

 

明日翔「まーったくせっかちさんなんだからよ、そう焦るなって。」「ほら、こいつを持ちな。」

 

ステラに水の入った紙コップを渡す。

 

空「先輩、どうしたんですか?紙コップに水なんか汲んできて…。」「…はっ!アニメで見たことがあります!そのコップの水をこぼさずに飛ぶと言う練習ですね!」

 

ステラ「…なるほど、把握した。ヨー、ピッチ、ロールを制御する訓練。ラフな挙動を行えば、水がこぼれる。だから丁寧な非行が求められる…そういうこと?」

 

明日翔「ぴんぽーん、当たり~。」

 

空「速さに関しては理解が異常に早いですね!?」「…ですが、確かにこれであれば、先輩のお体に触らない形での飛行が可能そうですっ!」「ステラさんも、先輩をサポートするために迎えに来てくださったんですもんね。」

 

ステラ「自分にとって、速さが全て。それ以外のことは、あまりわからないから。」

 

空「ステラさんが、速さ以外のことに興味を持ってくださるなんて…!」

 

ステラ「ちょっと違う。プログラムでの体験で、速さを追求するだけが速さに繋がる訳じゃないと気付いた。今はそれがちょっと面白いと思ってる。だから、ちゃんといってほしい。」

 

明日翔「へいへいよー。」

 

ステラ「…はっ!そうだった、定刻から遅れていた。今日はゆっくり飛ばないといけないのに。行こう、明日翔。ゆっくり急ぐ。」

 

空「矛盾してますよ!?」

 

ステラ「問題ない。速いとゆっくり、そのギリギリを攻める。時間短縮のため、その窓から離陸する。しっかり捕まってて。」

 

明日翔「念のためゴーグルを装着っと。」スチャッ

 

空「用意がいいですね!?あと、もし見つかったら怒られま…。」

 

ステラ「捕捉されない速度で校外に出れば問題ない。それに、生徒会長の許可証もある。それじゃ、明日翔。今日は自分の飛行を、しっかり味わって欲しい。」「飛行準備完了、いつでもいける。」

 

明日翔「おーけー、いつでも行けるぜ。」ガチャガチャ

 

安全帯等をステラと連結する。

 

ステラ「エンジン、起動!」「…ステラヴァルキリー発進!」ギィィィィィィ!!!

 

ッッッパーーン!!!ギューーン!!

 

とても早い速度で窓から急発進して飛び去る。

 

空「き、気をつけて帰ってくださいね~!!」

 

~上空~

 

ギューーーン!

 

明日翔「速ぇ~、飛行船でも滅多にこんな速度は出ねぇよ。」

 

ステラ「…。」

 

無線を使わないと飛ぶときの風切り音などで聞こえないと聞いている。

 

明日翔「よお、時にお前飛んでるときに攻撃してぇとは思わねぇか?」ザザッ

 

ステラ「なんの話、余計な雑談は時間をかけてしまう。」ザザッ

 

明日翔「つれねぇなぁ、お前のその飛行ユニットによ…ドデカイミサイル積みたいとは思わねぇか?」

 

ステラ「思わない。攻撃力が上がっても、速さに直結しなければなにも意味がない。ミサイルを積むと、速度が下がる。」

 

明日翔「そう思うだろ?実は、いい技術持ってる技師しってんだわ。」「現行の装備とほぼ変わらない重量でかつ、ミサイルが搭載できるユニットを開発できるやつをさ。」

 

ステラ「…。」

 

明日翔「どうよ?悪い話じゃないぜ?俺の紹介って言えばそれなりに安くしてくれんじゃねぇか?」

 

ステラ「…技術者の名前だけ教えてほしい。」

 

明日翔「あいよ。」

 

一年生との生活、また始まる。

 




ウロボロス上位個体を見つける傍らで面倒を見られてる俺。全く自由にうごけないったらありゃしないぜ?怪我なんて実はとっくになおってるってのによ。

次回「隠密行動」

なーんかムズムズしちまうな?
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