怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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さらに降りかかるもの

~5月20日・生徒会室~

 

ミコト「…紗夜たちのチームに、解散の話が持ち上がってるの。」

 

明日翔「…はぁ?」

 

紗夜&空「ええっ!」

 

明日翔「ちょいまちちょいまち?その話はもう終わったはずだぜ、俺のケガ付きで。」

 

ミコト「新入生交流プログラムでキミたちは結果を出した。その事実は間違っていない。…出しすぎたんだよ。」「紗夜たちのチームが、各世界のエース級を集めた実験的なチームってことは話したよね?」

 

空「はい。世界混合チームの可能性を確認するためだって…。」

 

ミコト「うん。そしてその出自から、政治的な干渉がないとは言い切れないという話もしたと思う。」

 

明日翔「…お上が絡んでるやつか。…ったく、これまためんどくせぇやつだよ。」ガックリ

 

ナクル「残念ながらその通りー。各世界は、紗夜チームを解体して、自らのチームに彼女たちを迎え入れたいと考えているみたい一。」

 

空「え?待ってくださいっ。そもそも紗夜さんたちは、世界混合チームの力を確かめるために政治によって組まされたんですよね?」「それがどうして、いきなり世界単独のチームに入れたい、なんてお話になるんですか?」

 

ナクル「いい質問一。そしてその答えは簡単。彼女たちが、各世界にとって有用なプログレスであることを証明したから一。」

 

空「んん?だって、その有用性を証明するのが、紗夜さんたちのチームの目的で…。」

 

ミコト「昨日、紗夜たちが「各世界のエース級」って話はしたよね。これは事実。だけど…これには続きがある。」

 

ナクル「各世界は明日翔センパイによって示された世界混合チームの性能を確認したい。これは本当一。」「…なんだけど、そのために各世界のエースを投入するのは渋ったのだ一。 」

 

明日翔「見る目のねぇ連中だな。こいつらはまだまだ青っちいけどよ、優秀だぜ。」

 

紗夜「先輩…。」

 

ミコト「もちろん能力的にはね。だけど、各々になんらかの『難』があって、扱いづらいところがあったはずだ。」

 

明日翔「難がある、ねぇ?端から見りゃそうなのかもな。」

 

血の吸えない吸血鬼、協調性のないアンドロイド、サボり魔の軍人…たたきゃ埃は出てくる。

 

ナクル「各世界が世界混合チームの力を確認したかったのは本当。だけど本気ってわけじゃなかった一。」

 

明日翔「『こいつら』自体には各世界も大して乗り気じゃねぇ。ってことか?ったく、きったねぇこと考えやがるぜ。こいつらは実験体かよ?」

 

ナクル「あくまで優先するべきは自世界の利益ゆえー。」

 

空「本当のエースは自世界のチームで運用して、混合チームはそうでない人で組ませるってことですか?」

 

ナクル「まとめるとそうなるー。」

 

ミコト「その状況は新入生交流プログラムで大きく変わった。紗夜のチームは1位になって、加えて『難』がなくなったことを証明したでしょ。」「そうなると、優秀なプログレスを自世界で囲いたいと思ってる人たちは、どうすると思う?」

 

明日翔「目先のことしか考えてねぇやつは誘うな。」

 

ミコト「そういうこと。」

 

明日翔「…一応聞くけどよ。まさか赤の世界の決定権、お前じゃねぇよな?」ギロリ

 

ミコト「…まさか。」

 

明日翔「だよな。」

 

紗夜「…ひどい。うまくいったら儲けもの、くらいの気持ちで勝手に

チームを作らせて。うまくいったら解散?バカにしてる。みんな、そんな扱いをされていいプログレスじゃない。」「それにこのチームなら、もっと上に行けるのに…!」

 

空「ヒメ会長、 今の話を私たちにしてくれたってことは、 それを防ぐ方法があるってことですよね?」

 

ミコト「交渉の方向性を示すだけなら、ね。」「今回、紗夜のチームを解散させたがっている人々は、優秀なプログレスを自世界で保有したがっている。つまり…。」

 

明日翔「こいつらがもっと世に出ればいい。」

 

ナクル「その通りー。世界混合チームで成長を続けるなら、それは最終的に各世界の力になる一。」

 

紗夜「私たちの成長と実績を、もっともっと積めば、このチームを続けようってことになる?」

 

ナクル「うむ、おそらくー。」

 

紗夜「なら、やる。」「会長。明日翔先輩と空の力って、借りてもいい?」

 

ミコト「それは2人が決めることだ。各世界の政治に、生徒会は口を出せないからね。」

 

紗夜「明日翔先輩、空。私は、このチームを続けたい。そんな怪我をさせて、またこんなお願いをするのは勝手だと思うけど…私たちに、力を貸して欲しい。」

 

明日翔「乗りかかった船だ、最後までもちろん付き合うさ。ー

 

紗夜「ありがとう。2人が手伝ってくれるなら、何とかなりそう。」

 

空「お任せください!一緒にチームの危機を乗り越えましょう!」

 

明日翔「…。」

 

ミコト「…そうそう、明日翔には別件で用事があったんだった。三人は先に戻っててくれる?」

 

ナイク「え。ボクも?別に余計なことは聞かないけど、男女で二人きりはゴシップになるからきをつけー。」

 

空「あ、はい。じゃあ先輩、またあとでっ!」

 

紗夜「失礼します。」

 

ガチャ…バタン

 

ミコト「さて…。どうしようか、キミがケガしてまで守ってくれたのに。」

 

明日翔「各世界のお上ってことは、ミルドレッドも一枚噛んでやがるか?」

 

ミコト「噛んではいるけど、そこまでじゃない。…私だって赤の世界の代表として反対したかったんだけどね。」

 

明日翔「青空学園は中立…か?まったく、目の上のたんこぶみてぇなもんだ。邪魔くせぇ。」

 

ミコト「キミは特にそう思うだろうね。…立場があるって、辛いものだよ。」「…ここだけの話、キミは…。」ボソ

 

明日翔「あん?」

 

ミコト「…いや、何でもない。…くれぐれも、『他の世界に行こうなんて思わないでね?』」

 

明日翔「…ああ。」

 

ガチャ…バタン

 

~~~~~~~

 

全員「また解散一!?」

 

昼休み、学園の中庭に集まりミコトからの情報をチームに共有する。

 

明日翔「俺も今朝知ったばかりのニュースだ。驚くのも無理はないわな。」

 

天音「それは…困ったね。」

 

紗夜「まだ決まったわけじゃない。実績が作れれば大丈夫だって会長も言ってた。私たちがこのチームに居続けたほうがメリットがあるって示せれば、なんとかなるはず。」

 

ナイア「で、具体的にはどーすんのさ。」

 

紗夜「それは、まだ思いついてないけど…。」

 

アルマリア「とにかく実績を積めばいいんでしょう?学園ランキングの上位チームとどんどん戦って行くというのはどうです?」「私たちが評価されているのは戦闘力です。それが向上していることが示せれば文句はないでしょう?」

 

紗夜「うん、悪くないと思う。明日翔先輩たちも手伝ってくれるし…。」

 

ナイア「ちょいちょい、待った待った。」

 

明日翔「俺は、明確に反対するぜ。そいつぁ色々問題があるな。」

 

アルマリア「問題?実績を残すにはブルーミングバトルでの勝利が一番でしょう?」

 

ナイア「それはそう。でも、それがなんで学園上位と戦って『勝つ』前捉で組まれてるのさ。アタシたちは連携が取れるようになって日が浅い。かたや相手はシーズン通してチームを組んでる。」「戦うってことは、負けるリスクも含めて考えないと。勝ち前提で組む作戦は作戦じゃない。」

 

アルマリア「むむむ…それは…そうですね。」

 

ナイア「それに、一昨日ほんの一瞬だけでたいちょーたちに組伏せられたっしょ?」「たいちょーが勝ててるのは、メンバーそれぞれの連携力が長けてるんだ。それも、目配せひとつで。アタシらにはそれがない。」

 

ステラ「連戦による疲労も考慮に入れないと。 」

 

ステラ「毎日大会に出るような戦いをするなら、パフォーマンスは下がる。つまり勝率も下がる。」

 

天音「空が入って7人だから、ローテーションはできるけど…。」

 

ナイア「空はあくまで助っ人でしょ。チームの実績を残すってんなら、アタシたち主体じゃないと意味ないんじゃない?」

 

紗夜「ナイアたちは、このチームが解散になっていいの?」

 

ナイア「そんなことないって前言ったじゃん?焦りすぎなんだって。」

 

ステラ「まずはレギュレーションの確認が必要。「成長」や「実績」を明確化したほうがいい。」

 

ナイア「そーそー。今回口を出してきてるのは、各世界のお偉いさんなんでしょ?そういう人たちには「頑張りました」だけじゃ

納得してもらえなさそうだし。」

 

紗夜「それはそうだけど…でも、たぶんそんなに時間はないんだよ。」

 

ナイア「その『たぶん』で空回りしたら、それこそ時間の無駄だ。」「まー、こういう言い出すのって、まず『ウチ』も一枚噛んでるだろうし…アタシも調べてみるからさ、ちょっと作戦立てようよ。」

 

紗夜「…分かった。」

 

その場はいったん解散となり、各自が「実績作り」について考えることになった。さてさて、俺はどうしたもんかね…。

 

~数時間後・アジト~

 

明日翔「…と言うわけだ、なんかその辺の筋掴めてねぇか?」

 

城琉「生憎だが俺の情報網には引っ掛かってない、悪いな。」

 

明日翔「あぁそう…俺から起こせるアクションはねぇってことか。」

 

城琉「生徒会長から釘刺されちまってんだろ?あん時みたいに他世界に殴り込むことも出来ねぇ。俺たちにできることは、待つことだけだろうよ。」

 

明日翔「お偉いさんに話を聞くのが一番手っ取り早いもんなんだがなぁ。」

 

城琉「魔女王からなんか聞いてないのか?」

 

明日翔「特に口は出してないんだとよ。あんにゃろう、今頃美海にお熱って感じだしさ。」

 

城琉「厄介な相手が一人減ったって意味では、デカイ。」「問題はその他ってところか。赤の世界は特に情報が入ってこねぇ、あの辺は情報統制がキッチリしてやがる。」

 

明日翔「そりゃカミサマが住んでる世界だぜ?我々下界の人間にゃ入ってこねぇさ。…取りに行きゃ話は別なんだけどよ。」

 

城琉「あそこまでいくには、一苦労かかるだろうな。」「んで、どうする?実績つってもあまりにも範囲が広い。直近で明確なものを積み上げるのは難しいんじゃないか?」

 

明日翔「なーんもわからん、考えすらでてこねぇ。」

 

城琉「そのなんだ、青蘭カップってのか?そういう大会があるらしいぜ。そこで名前を売れば多少は変わるかもな。」

 

ピンポーン

 

明日翔「ピザでも頼んだか?」

 

城琉「まさか、まずいな。居場所が割れちまったか。」

 

城琉は取り付けた監視カメラのモニターをつける。

 

城琉「…いや?無害だな。ピザ屋じゃなかったが。明日翔、お前が出てやれ。」

 

明日翔「へぇ?よっこいせ。」スクッ「ったく、人払いぐらい自分でやってくれよな~?」スタスタ「はい、ただいま営業時間外です。営業時間を調べて二度と来るなバ─」ガチャ

 

天音「あっ…。先輩!」

 

明日翔「天音?な~んでお前、こんなところに。」

 

ナイア「アタシが案内した、尾けてたから場所は覚えてる。」

 

ナイアが突き当たりの階段から顔を出す。

 

ナイア「アタシは特段口出さないからさ、存分に話し合ってよ。他の誰もいないところでしゃべりたいこともあるだろうしさ。」

 

天音「ごめんね、いきなり押し掛けるようなことしちゃって。」

 

明日翔「まぁ、上がってけよ。家主が通ってくださいっていってら。」

 

天音とナイアを中にあげて、話を聞くことにする。

 

ナイア(うへぇ…たばこくさ…。灰皿とか見当たんないけど…やってるわ、これ。)

 

明日翔「どうした軍師、顔色が悪いな?」

 

ナイア「いやぁ、気のせい気のせい。アタシのことは気にすんな。」

 

明日翔「…んで?わざわざアジトまで来て、何の用だ?」

 

天音「えーっとね…。」ゴソゴソ「今、各世界のことについて調べててね。何か情報ないかなって。」

 

天音はカバンからノートを取り出し、机においた。

 

明日翔「こいつぁ?」パラパラ

 

ノートをパラパラとめくり城琉と読み進める。

 

城琉「各世界の文化や価値観、今ある現状の大会日程が纏まってるノートか。よくここまで調べたな、現存してる本から引っ張ってきたんだろ?」

 

天音「はい、図書館にある本を持ってきて一通り。」

 

明日翔「よくもまぁここまでまとめたもんだよ。んで?何をするんだ?」

 

天音「できることを全部考えてみようと思って。チームの実績だって、ブルーミングバトルだけが方法じゃないかもしれないでしょ?」「わたしたちのチームは、世界混合チームの可能性を探るために作られたチーム。それって、バトルだけじゃなくて、『5つの世界が手を取り合えば、 なにかが起こるかも』 って…」「そう思われていることもあるかもしれないじゃない?」

 

城琉「それだけでこれだけまとめたってことか、的確な情報がまとまっててかつ見やすい。」

 

明日翔「大したもんだぜ。」

 

天音「えへへ。」「…わたし、無人島でのプログラムで思ったんだ。」

 

明日翔「なにがだ?」

 

天音「わかってるつもりでも、わかってないこともあるんだって。」「言葉が通じたり、言った通りに動いてくれて『同じこと考えてる』って思っても…たまたまその時、似た結諭を出しただけで実は全然、考えが違ったりすることがある。」「違うことが悪いわけじゃないよ。だけど、「違い』をちゃんと理解しないとダメだなって思うの。」「だから、どの世界がなにをすれば認めてくれそうかをまとめようと思って。」

 

明日翔「文化ってのは時に混乱を生むからな。それは決して悪いことじゃねぇ、適合できなかったソイツが悪い。」ポスッ「んで、フルーミングバトルのほうはどうだ?」

 

天音「そっちは、やっぱりチームの結果を出すには一番分かりやすいから。青蘭学園のバトルのレギュレーションって、大会ごとに違うことが多いでしょ?在校生のわたしたちが把握しきれないくらいに。」

 

明日翔「確かにな、俺はなーんもわからん。その辺は空にまかせてっからよ。」

 

城琉「いろんな奴が活躍できるような大会がかなり用意されてるようだな。」

 

天音「だから近い日程で、わたしたちのチームに合ったレギュレーションの大会はないかなって。」

 

明日翔「あー…?だとしたらそりゃお前。」

 

城琉「青蘭カップだ。チームの編成制限がない大会で、本来のチームとは別のチームで出場した例がある。連携も即席で、経験の浅い奴らでもやりあえる可能性はあんじゃないか?」

 

天音「へぇ!お詳しいんですね。」

 

城琉「腐ってもこいつの相棒やってんだ、そんぐらいは調べられる。」「だが注意しろよ、別チームで組めるということは『青空寮全員集合!』みたいなバケモンが出来上がることだってあるってことだ。」

 

明日翔「おぉ、そいつぁおっかね。」

 

城琉「優勝一点狙いを目指したりするとなると、博打も絡むな。お前らの日頃の行いにかかる部分もあるだろう。」「まぁ、聞く限りじゃそこそこやるんだろ?いいとこまではいけんじゃねぇか。」

 

天音「なるほどなあ…ありがとうございます。」

 

城琉「いいってことだ。」

 

天音「チームの解散の危機だっていうのはわかってるんだけど、変に

チームを変えようとしすぎたくなくて…わたしたちのチームって今、やっといい感じに噛み合いはじめたところだと思うんだ。」「あと、なにかが上手くハマったら、一気にいけそうな気がして…。」

 

明日翔「ほーん。」

 

天音「んー…悠長すぎる考えかな?」

 

明日翔「どっちでもいいんじゃねぇか?目下すぐ解散って訳じゃねえんだしよ。自分の考えを突き通したっていいんだぜ。」

 

天音「ありがとう。できるなら、誰かが何かを諦めることのない、らしさを失わないチームになりたいんだ。」「うちのチームは、みーんなすごいから。」「みんながやりたいこと、得意なことをのびのびやれるようになれば、絶対すごいはずなの。みんなのために私ができること、全力でやらなきゃ。」「今は紗夜が思い詰めてるし、ナイアも大変だし…。」

 

ナイア「ぐさり。」

 

天音「こういうときこそ、わたしが頑張らないとね。」

 

明日翔「そうかぁ?十分だろ。お前がいなけりゃ、ガラガラと崩れちまう瞬間、何回もあったぜ。」

 

天音「あはは、ありがとう。…なら、なおさら頑張らないと。もし、どんな結果になっても…後悔だけは残したくないんだ。」「だって…憧れの人がいってたもん『今なにもしないで失敗するならやって失敗しろ、その方が人生楽しいだろ?』って。」「わたしがもっとああしてれば…皆離れ離れにならなかったのに、なんて思いたくない。だから、考えられること、思いつくこと。全部、確かめたいの。」「…私を助けてくれた、あの人みたいに!」

 

明日翔「ほーん、せいぜいその憧れの人にむかって頑張りな。」

 

城琉「…。」フッ

 

ナイア「…ふふ。」(喉乾いたな…冷蔵庫開けよ。)ガチャッ

 

カランカラン

 

ナイア(うへぇ、酒かよ。…マッカラン?いい趣味してら。)

 

~数時間後・夜~

 

ウロボロスをしばく時間。

 

ユーフィリア「紗夜さん、今日は気合が入ってましたね。なにかあったんですか?」

 

紗夜「別に。せっかくの実戦の機会だから、無駄にしたくないって思ってるだけ。」

 

ユーフィリア「なるほど、いい心がけです。」「それだけの力があるなら、上位個体との戦いも、美海さんたちなしでなんとかなるかもしれません。」

 

紗夜「その上位個体と戦うのって、私たちのチームの実績になる?」

 

ユーフィリア「そうですね。この任務は生徒会公認ですし。公にはできないとは思いますが…。」「『生徒会から依頼された極秘任務を達成した』くらいなら、言っても差し支えないでしょう。」

 

ナイア「ちょいちょいうぇーいと、それってヒメ会長も苦戦したって敵でしょ?まだアタシらには荷が重いって。」

 

紗夜「けど、倒せれば会長と同じくらいの力があるって証明になる。」

 

ナイア「そりゃそうかもだけど、勝つ前提で─」

 

紗夜「作戦は勝つ前提で立てるべきじゃない、でしょ。わかってる。それでも、戦って、勝って、証明しないと、みんなバラバラになっちゃうんだよ。」「ナイアはいいの?縁の世界の統合軍本部、戻りたくないんでしょ。」

 

ナイア「そりゃもちろん?けどさー、アタシはみんなに危ないこと─」

紗夜「なら…諫めるより、応援して欲しい。私は、みんなと一緒にいたい。」

 

明日翔「まぁまぁ、お前らそうカッカすんなって。」グイッ「動かなきゃ解散ルート一直線かもしんねぇけどよ?そんな目下すぐ解散ってわけでもねぇんだから。焦んなって。」

 

紗夜「…みんなと一緒ならもっと強くなれるって思ってる。ナイアは違うの?」

 

ナイア「…はぁ~…わかったよ、リーダーは紗夜だ。たいちょーもサポートしてくれるんだよね?」

 

明日翔「もちろんさ、最後まで付き合ってやるぜ。」

 

ナイア「ならまぁ…最悪のケースはないかぁ…。」

 

ユーフィリア「上位個体との戦いは、いつ起こるかわかりません…紗夜さんたちの協力が必要な相手かも不明です。必要になれば、準備をして挑みましょう。」

 

そしてみんなを先に帰し、俺は一人公園へ向かい海を見る。

 

明日翔「…。」シュボッ「…ふぅ~…。」

 

タバコを咥えて火をつけ、煙を深く吸って吐く。

 

ナイア「みーちゃった、みーちゃった。」

 

明日翔「?軍師、先に帰ったんじゃなかったのか。」

 

ナイア「アタシも海風に辺りに来たってとこかな。つかアンタ、未成年の癖にタバコ?感心しないねぇ。」「タバコなんて吸ってちゃああっという間に仏様だよ?」

 

明日翔「わりぃな、あの世には俺の受け入れ先はねぇってよ。」

 

ナイア「んまぁ、そんな性格じゃエンマ様も困るだろうよ。」「…今さらアンタを詮索することはしないよ、天音も紗夜もみんなアンタをヒーローだと思ってる。」「…少なくともみんなの前ではヒーローであってあげてよ。あんたの黒い部分はなんも言わないからさ。」

 

明日翔「わかってるさ、そんくらい。」

 

ナイア「…てか、海風がやけに温いなぁ。これじゃあスッキリするのもしないよ。」

 

鉄柵に寄りかかり、髪をかきあげる。

 

明日翔「…このまま、終わるとは思うか?」

 

ナイア「はぁ?」

 

明日翔「解散騒動だよ。俺はこのまま終わるとは思えねぇ。」

 

ナイア「終わるって…解散騒動が?そりゃ、しばらくは落ち着かないだろうけどさ…なんで?」

 

明日翔「別に、悪党の勘さ。」「…スーッ…はぁ~。」

 

煙を思い切りに吸って吐く。

 

ナイア「…嫌な勘だねぇ」

 

~~~~~~~

 

青の世界の遊園地。

 

???「…。」ゴウン!

 

ズシャーン!グシャーン!ドカーーーン!!!ガラガラガラガラ!!!!

 

???「…。」ニヤ

 

~翌日・5月21日~

 

明日翔「…Zzz…炎の記憶…むにゃ…。」

 

テッテレッテーテッテッテーテッテレッテーテッテレッテー

 

明日翔「…んあ。」ピッ

 

ミコト「おはよう明日翔、いきなりだけど─。」

 

明日翔「ただいま営業時間外となっております。営業時間をお確かめの上二度とかけるなバカ。」ピッ「…Zzz…。」

 

テッテレッテーテッテッテーテッテレッテーテッテレッテー

 

明日翔「…。」ピッ「ただいまえいぎょ」

 

ミコト「寝ぼけてないで起きなさい!」

 

明日翔「うわーっ!」ゴロゴロドーン!

 

ベッドの上から転げ落ちる。

 

ミコト「おはよう、起きた?」

 

明日翔「随分強引なモーニングコールじゃねぇか、朝っぱらからミコトの声が聞けるなんていいことがありそうだ。」

 

ミコト「今後もキミが望むならそれもやぶさかじゃないよ。ただ、今日はよくない話がある。悪いけど、空と紗夜を呼んできて貰っていいかな?」「場所は…他のチームメイトに見つからない場所がいい。」

 

明日翔「あいよ…空!」

 

~数分後~

 

俺の部屋に紗夜と空を呼び寄せ、携帯音声ををスピーカーに切り替える。

 

空「先輩、お願いします。」

 

明日翔「んで?こんな朝っぱらに何のようだ。眠くて頭が働かねぇぜ。」

 

ミコト「揃ったね。さっきも伝えたけど、キミたちにとって良くない…バッドニュースだ。」「画像を送る、これを見てほしい。」

 

ミコトとのチャットトーク画面に画像が何枚か送られる。

 

空「これは…青の管理区の遊園地ですか?」

 

紗夜「なんだか爆撃を受けたみたいになってるけど…これがどうかしたの?」

 

ミコト「これは今朝の光景なんだ。施設は昨晩、何者かによって攻撃を受けた。幸い、深夜の犯行ということもあって、怪我人なんかはいなかったんだけど…。」

 

明日翔「老朽化かぁ?もしくは、電気回路でもショートして爆発でもしたか?」

 

空「もしかして、ウロボロスの仕業でしょうか…?考えられるとすれば、上位個体?でも、ユフィさんは何も…。」

 

明日翔「いーや、ウロボロスのセンは薄いぜ。こんなことをする理由がねぇ、こんなことするぐらいだったら直で俺を狙うはずだ。」

 

ミコト「私もこの件にウロボロスは関係ないと見ている。 …ウロボロスならよかったんだけどね。次にキミたちに見てほしいのは、監視カメラの映像。送るね。」

 

ミコトから監視カメラの映像が共有される。

 

空「こ…この人は…!」

 

明日翔「…どうやら、俺の勘は当たっちまったらしい。」

「なぁ…軍師!」

 

非常にも映し出されたのはナイアの姿、紗夜たちにさらなる試練が降りかかる。

 




紗夜のチームの軍師、ナイアだ。な~んてね?
どうやらこの騒動、犯人はアタシってことになってるみたいだね?ここにきて日頃の行いがでちゃったかぁ、みんなアタシだとおもってやんの。
しゃーない、このツケはバケモノ退治で払うよ。

次回「堕ちた軍人」

このチームは、アタシが守る。
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