怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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軍師達、策に溺れる。

~5月23日~

 

ウロボロス上位個体が確認された今日、俺たちは偵察のつもりでいたが…急に現れた奴らに不意を突かれた。軍師とナイアになんとか助けられ、戦闘に持ち込んだ。

 

ジャキッ!カーン!キン!キン!キン!ズシャーン!!!

 

鎌型「ゲゲェッ!」ドサッズサーッ…

 

上位個体自体の戦闘力はあまりなく、戦闘事態は優位に進んでいた。

 

紗夜「倒した…?」

 

明日翔「いーや?んなわきゃねぇだろ。」

 

鎌型「カーッ!!!!」ムクリ「カカカカカカカカカカッッッッ!!!」ヒュッ!

 

瞬時に起き上がり、ナイアに鎌を振り下ろす。

 

ナイア「うわっしょい!」バシッ!「おいおい、聞いてたよりも全然やベーじゃん…!」「おりゃっ!」ポーイ

 

鎌型「カーッカカッカカ!」クルン

 

ナイア「はぁ~…さっきっからアタシしか狙わないじゃん。そんなにアタシのタマ(命)が欲しいの?」

 

明日翔「軍師、ここは撤退だ。」

 

狙われ続けてバテ気味のナイアに声をかける。

 

明日翔「なぜ獲物の俺をガン無視してお前が狙われてるかわかんねぇけど、必要なもんは手に入った。」

 

ナイア「…だぁ~ね。プランとは違ったけど、目的は果たした。今のデータを後で解析したら、次は優位に戦える。」

 

天音「でも…問題は…。」

 

鎌型に目を向ける。

 

鎌型「カーッカカッカーカカッカー!!!」ヒュッヒュッヒュッ

 

鎌型は辺りを瞬時に移動して撹乱しようとしている。

 

明日翔「こいつが想像の8倍は速ぇって事だ。」

 

ステラ「そんなことない、自分のほうが速い。 」

 

アルマリア「ステラさん、今は対抗意識を燃やすところじゃないですよ。」

 

紗夜「…ユーフィリアさんが来るまで、時間を稼ごう。」

 

ナイア「考えがあるの?今のバトルをもっかいやるのは、ちっとばかりハードだぜ?」

 

明日翔「俺が、時間を稼ぐ。おまえら、今のうちに逃げろ。」

 

ナイア「はぁ?アンタなにいってんのさ、このバケモン退治の要が。」

 

明日翔「安心しろ、俺はこんな修羅場何度も潜ってきてんだ。」「イチかバチかの大博打、これでダメならこいつも道連れにしてあの世にいくだけさ。」

 

ナイア「はぁ~、アンタバカだよやっぱり。」

 

明日翔「お前らが巻き込まれるこたぁねぇ。ここは俺に任せて、行くんだ!」

 

紗夜「…なら、私が時間を稼ぐ。」

 

明日翔「何?お前さん、気は確かか?」

 

ナイア「はあ~?なに紗夜もバカ言ってんの、移った?」

 

エルエル「そんなのダメだよ、紗夜ちゃん!」

 

紗夜「注意を引くだけだから。」「ステラ、全員は無理でも私だけなら速度を落とさず運べるよね。」

 

ステラ「可能、明日翔の運搬で実証済み。」

 

ナイア「それならなおさら、アタシの方が適任─」

 

紗夜「私にやらせて!!!」

 

ナイア「!」ビクッ

 

紗夜「私が、何とかするから!!特別になるためには、このくらい…!!!」

 

明日翔「おい、紗夜。」

 

紗夜「…何。」

 

明日翔「その選択に後悔はねぇんだよな?後から言ったっておせぇぞ。」

 

紗夜「…。」コクリ

 

明日翔「ダメだ。」「…っつって下がるお前じゃねぇよな。」「俺とお前で殿をする、あいつの鎌を弾きながら少しずつ後ろに下がれ。」チャキッ

 

紗夜「うん!あなたの信頼に、応えてみせるから!」(美海先輩なら、こんな状況だってなんとかするはず…!)

 

ナイア「…はぁ~、わかったわかった。ここでケンカしてる場合じゃないしね。他のみんなは先に逃げて、アタシとたいちょ一がリンク可能距離ギリギリで紗夜の支援。」「紗夜とステラが離脱態勢に入ったら、アタシらも全カダッシュだ。それならいいだろ?」

 

紗夜「うん。ごめん、ワガママ言って。」「それじゃ…やろう!」

 

ドギューン!ドギューン!キン!キン!キン!ドギューン!

 

拳銃で牽制しつつ、鎌型の攻撃を弾き続ける。これを少し繰り返していたら、他のメンバーは逃げ切れたようだ。

 

ステラ「他のメンバーの逃走は完了、紗夜を拾いに行く。」ザーッ

 

ナイア「了解、なるはやで。」ザッ「たいちょー!紗夜!ステラが拾いに来る、逃げる準備!」

 

紗夜「わかった!」

 

明日翔「あとは俺に任せろ、油断すんなよ!」ドギューン!ドギューン!

 

鎌型「カカカッ!」ブンッ

 

明日翔「けっ!」ヒュッ

 

鎌型「カカカカ」ヒュン!

 

鎌型は俺の目の前から姿を消す。

 

鎌型「カーァッ!」ビュン!

 

紗夜「あ…。」

 

紗夜の目の前に現れて、認識をしている瞬時に鎌を振り下ろす。

 

ナイア「…紗夜に手ェ出すな!」ボカァッ!

 

鎌型「ガエーッッッ!!!」ドサッ!ゴロゴロゴロ

 

明日翔「お返しくれてやるよ!」ドギューン!

 

鎌型「ゲゲェ!」

 

ナイアが全力で鎌型に拳を入れて吹き飛ばし、倒れているところに弾をお見舞いした。

 

ナイア「…ステラ!」

 

ステラ「…紗夜を、回収する!」ギューーーーーン!!!パシッ!ッパーーーン!!!

 

ステラが唖然としていた紗夜を回収して飛んでいった。

 

ナイア「たいちょー、走れ!」スタタタタタタ!!

 

明日翔「言われるまでもねぇ!」スタタタタタタタ!!!

 

鎌型「ゲェーッッッ!!!」ムクリ

 

明日翔「起き上がるんじゃあねぇ!」ドキューン!ドキューン!

 

逃げながら拳銃を撃ち続け撒くことに成功する。

 

~~~~~~~

 

明日翔「…残り2発、ここで出られたらジリ貧だな。」

 

他のメンバー含め、裏山まで走り逃げ切った。弾をほぼ撃ちきってしまい、最後のマガジンの弾を確認する。

 

ナイア「はぁ~…マジで死ぬかと思った。…紗夜が。」

 

エルエル「ステラちゃん、ナイスだったよ!」

 

ステラ「えへん、自分でも納得のマニューバだった。」

 

空「途中で破裂音みたいなの聞こえましたけど、あれってもしかしてソニックブームってやつですか…?」

 

天音「紗夜、明日翔先輩。あんなやり方もう2度としないで。紗夜は自分でなんとかしようとしすぎだよ。先輩も、作戦があるとはいえ先輩がいないとそもそも勝てる見込みもなくなるんだから。」

 

紗夜「だって…私はリーダーだし。ウロボロスとの戦いを決めたのも、私だし…。」

 

アルマリア「ですが、その方針にはワタシたちも納得の上で同意したんです。ですから。紗夜さん一人でリスクを抱え込む必要はないんですよ。」「明日翔さんも、ワタシたちを巻き込みたくないと口酸っぱく言ってたので気持ちはわかりますが…多少の怪我ぐらい、なおるんですからもっと任せてくれてもいいですよ。」

 

明日翔「わりぃな、心配かけた。」

 

ナイア「まぁでも、生きて帰れてよかったよ。たいちょーも、ヤバいポジション全うしてくれてありがとね。」

 

明日翔「なぁに。こんぐらいの修羅場は、何回も潜り抜けてきたさ。」

 

ナイア「たいちょーは経験からか、当たり前のラインがバグってるんだよなぁ…。」

 

空「ともあれ、データは取れましたし、ユーフィリアさんと合流しましょう。ユーフィリアさんが監視していたのに、どうして違う場所に現れたのかとか、調べることはいっぱいです。」「作戦と休制を立て直しましょう。」

 

空「美海さんたちが戻ってくれば、合同作戦だってできるんですから!」

 

天音「うん、そうだね。」

 

紗夜「…。」

 

~数時間後・夜~

 

上位個体との交戦後、安全と思われる区域でユーフィリアの到着を待つ。

上位個体が潜むアリーナは、ミコトに連絡して立入禁止にした。

何故、遊園地に向かったはずの敵がアリーナに現れた?今回の上位個体はどんな能力だ?擬態?透明?それをどうやって倒すか?

 

明日翔「わからねぇことだらけだ、一回集まって情報を整理しねぇと八方塞がりだぜ。」

AUTO

ユーフィリア「一度、態勢を立て直すべきです。今回の上位個体の能力が不明な以上、継戦は得策ではありません。」

 

明日翔「同感だ、何もわからねぇ状態で戦うのはちぃーっと骨が折れる。こいつらのリソース考えたらここは一旦─」

 

紗夜「その能力を調べるのが、私たちの役割だ ったはずですよね。」

 

明日翔「へぇぁ?」

 

紗夜「ウロボロスは潜伏場所から動けないはずなのに、あの上位個体は移動してた…能力がわからないんならなおさら、情報を引き出すためにもう一度、戦ったほうがいいと思います。」

 

明日翔「おいおい、俺の話聞いてたか?朝の段階では偵察って段階のはずだろ?」

 

ナイア「アタシは反対だ、相手はまだ警戒してる。さっきの交戦データも解析して、時間をかけて─」

 

紗夜「その時間が、私たちにはないの。…みんなも、わかってるでしょ?ここで役に立てなきゃ、実績にならない。」「チームがバラバラになってもいいの?…私は…。」「…私は、なりたくない。」

 

天音「うん。リーダーの紗夜が決めたんなら、わたしは従うよ。一緒に頑張ろう。」

 

ユーフィリア「…!待ってください、ウロボロスの気配を検知しました!…場所は…!」

 

明日翔「…!」ガバッ

 

ユーフィリア「貴 女 た ち の 上 です ! ! ! !」

 

人型「ギュオーーーン!!!!」ドシーーン!!

 

ズシャーン!!!!

 

人型が上から攻撃を仕掛ける。

 

エルエル「うわぁっ!」

 

空「皆さん、離れてください!」

 

人型「ギュオーーーーン!!!」ブンッ

 

グシャグシャグシャ!!!!ドササササササ!!!

 

人型は拳を振り回し、辺りの木々をなぎ倒す。

 

ナイア「うわうわ、めちゃくちゃしてんな。…うわっ!」

 

ズシャーーーン!!!

 

アルマリア「一旦皆さん逃げましょう!…わっ!」

 

なぎ倒された木がアルマリアの目の前に倒れる。

 

紗夜「…!天音は!?」

 

天音「私はここだよ!」

 

倒れた木々の向こう側に逃げたことを知らせる。

 

ステラ「これは一度別れて逃げた方がいい…すぐに合流しないと。」

 

ナイア、明日翔、天音が分断されてしまった。

 

明日翔「お前ら!!!ユーフィんとこまで逃げろ!!!すぐ追っかけっからよ!!!」

 

分断されてしまった三人は奥まで逃げていった。

 

紗夜「逃げろって言われたって…。」

 

空「先輩たちを置いて逃げられませんよ…!」

 

散々木を荒らした人型が3体たたすんでいる。

 

人型「ギュオーーーン!!!」

 

アルマリア「上位個体は、いないようですね。」

 

紗夜「…こいつらを倒して、すぐに合流しよう!」「…いくよ!」

 

~~~~~~~

 

一方俺たちは、奥まで逃げ込み様子をうかがう。

 

明日翔「…どうやら、追ってはきてねぇようだ。」「頃合いを見て合流しねぇとな。」

 

ナイア「あー最悪だ…、今日はとことんツイてない日だ。」

 

ナイアは髪をわしゃわしゃと掻いて頭を抱える。

 

天音「ナイア…。」

 

明日翔「とりあえず、ユーフィリアに連絡しなくっちゃな。今の報告をしねぇと救助もできねぇだろうしよ。」ゴソゴソ「…あら?」

 

ジャケットのありとあらゆるところを探すが、スマホが見つからない。

 

明日翔「しくじった、あの混乱でスマホ落としちまったらしい。」

 

天音「私、連絡するよ。」「…でも、私のスマホの調子も悪いな…ちょっと、待っててね。」

 

天音が少し離れた場所で連絡をために、席をはずした。

 

ナイア「あー…こればっかりは万策つきたって感じかなー…。」

 

明日翔「珍しく弱音ばっかりじゃねぇか、軍師。」

 

ナイア「そりゃそーもなるよ、めっちゃ狙われるし…何か逃げた先がバレてるし…。」

 

明日翔「ああ、なんでだろうな。」

 

ナイア「…偉く冷静じゃん、たいちょー。」

 

明日翔「焦ったってしゃーねーからよ。」「ところでよ、軍師…お前さん、香水つける趣味あったか?」

 

ナイア「はぁ?行きなり何聞くのさ。」

 

明日翔「いやぁよ、お前からラベンダーの香りがすんげーすんだわ。いい香りのな。」

 

ナイア「…?」

 

~~~~~~~

 

トゥルルルルルル…トゥルルルルル…ピッ

 

ユーフィリア「天音さん!?ご無事ですか!?」

 

天音「ユーフィリアさん、私は無事です。…けど、紗夜とはぐれてしまいました。ウロボロスも3体も襲ってきたし…。」

 

ユーフィリア「…3体ですか?」

 

天音「はい、人形が3体…。」

 

ユーフィリア「…それは本当の情報ですか?」

 

天音「はい、この目で見ました。間違いないです。」

 

ユーフィリア「…私が感知したウロボロスは…。」

「上 位 個 体 一 体 だ け の は ず で す。」

 

天音「…え?」

 

ドギューン!!

 

天音「!?銃声!?」

 

ユーフィリア「電話越しでも聞こえました、…明日翔さんのです!」

 

~~~~~~~

 

明日翔「お前シャンプー変えたろ?金木犀とミモザのするシャンプーによ。」

 

ナイア「…。」

 

明日翔「それが何でだってラベンダーの香りがするようになっちまったのかわからねぇな。」

 

ナイア「…そりゃ、つい最近変えたんだから少しくらい匂いが残ってたって不思議じゃないだろ~?」

 

明日翔「ああ、そうかもしれねぇな。」「でも不思議だよな?ついさっきまではラベンダーの香りなんて一欠片もなかったんだぜ?」

 

ナイア「…。」

 

明日翔「なぁ、教えてくれよ。軍師は一体どこいっちまったんだ?…いや。」「ど こ に や っ た ん だ ?」

 

ナイア?「…。」ガバッ!!!

 

明日翔「!!!」スチャッ

 

ドギューン!

 

~~~~~~~

 

ガイン!ズバーン!

 

紗夜「はぁっ…!はぁっ…!」

 

人形「ギギギ…ギュオーーン!!!」

 

人形の一体が雄叫びをあげる。人形3体はズシンズシンと距離を詰めてくる。

 

アルマリア「天音と明日翔さんのサポートがないと、こんなに苦戦するんですね…!」

 

エルエル「うぅ…いつも前に出てくれるナイアもいない…。」

 

空「皆さん、ここは…逃げるしかないです。明日翔さんたちなら、きっと生きて帰ってくるはずです。」

 

紗夜「そう…だね…。」

 

ステラ「幸いあのウロボロスに私に対する攻撃手段がない、私が引き付けるから…その間に。」

 

空「万が一に備えて、私がサポートします!」

 

紗夜「ごめん、二人とも…。」

 

ステラ「お礼はまだいい、まだ戦闘は終わってない。」「…。」キッ

 

ステラはウロボロス三体に向き直る。

 

ステラ「…来る!」

 

人形「ギュオーーーーン!!!」ドシン!ドシン!ドシン!

 

人形が雄叫びを上げて突進してくるその瞬間。

 

ドギューン!

 

人形「ギュオーーー」ヒュッ!!

 

奥から聞こえた銃声と共にウロボロスたちは突然消えてしまった。

 

紗夜「…消えた?」

 

アルマリア「…どこかにワープしたわけでもなさそうです。」

 

ステラ「確認してくる。」

 

ギィィィィィ!パーーーン!!…スチャッ

 

ステラは上空に飛んで辺りを確認し、戻ってきた。

 

ステラ「…周辺にはいない、本当に消えた。」

 

空「ふぅ、とりあえず目の前の危機は去りました。」

 

エルエル「でもナイアたち…どこにいっちゃったんだろう。」

 

アルマリア「…ウロボロス達が消える直前、銃声のような音が向こうの奥から聞こえました。」「もしかしたら、あの奥にいるかもしれません。」

 

銃声が鳴ったであろう方向を指差す。

 

紗夜「助けにいこう、もしあの3体があっち側にいったんだとしたら今度は天音たちが危険だよ。」

 

アルマリア「そうですね、逃げるのは3人の救助に行ってからでも良さそうです。」

 

空「わかりました、助けに向かいましょう!」

 

残ったメンバーはナイアたちを助けに向かおうと、倒れた木々を乗り越えながら奥に向かう。その時だった。

 

エルエル「痛っ!」ステン

 

エルエルが何かに引っ掛かって転んでしまった。

 

ステラ「大丈夫?」スッ

 

ステラがエルエルに手を差し出す。

 

エルエル「ステラちゃんありがと~!」「…んもー、なに~私を転ばせたものは~…。」「…え?」

 

エルエルは下を見て、何に引っ掛かったかを確認した。

 

エルエル「…嘘、そんな…。」ガクガク

 

紗夜「…エルエル?」

 

エルエルはそれを見て震え、青ざめる。何故ならそれは人間の腕であり、ついているアームカバーのデザインが緑と赤のものであり、白い手袋をつけていたよく見たことがありじゃれてくれていた腕だったのだから。

 

エルエル「そんな…嘘っていってよ…。そんな…そんな…!」ウルウル

 

アルマリア「…まさか…そんなこと…。」

 

見覚えのある腕の近くの木々をどかす。そして、『それ』を見つけてしまった。

 

空「あ…。」

 

空はそれを見て言葉を失う。

 

紗夜「…。」「…ねぇどうしてよ、協力してくれるって…チーム解散したくないんじゃ無かったの?ねぇ…。」ウルウル

 

ステラ「…。」

 

アルマリア「…現実は…こうも…非情なんですね…。」

 

驚愕するもの、嘆くもの、悲しむもの、黙するもの。『それ』を見た反応は様々だった。

 

エルエル「…うぇ~~ん!!!ナイア~~!!!」

 

『それ』の正体は胸に大きな穴が開いて血を流し、片腕が欠損して事切れているナイアの死体がそこには転がっていた。

エルエルはその事実に耐えきれず、大泣きしてしまう。

 

紗夜「…うっ…うう…なんでよ…。」ポロポロ

 

紗夜は涙がこぼれる。

 

空「さ…紗夜さん…。」

 

ステラ「…待って。ということは今、明日翔と天音のところにいるナイアは…。」

 

ドギューン!ドギューン!

 

~~~~~~~

 

明日翔「…ごふっ。」カランカラン

 

持っていた銃を落とす。

 

ナイア?「さっきのお返しだヨォ…!」

 

今目の前にいるナイアが偽物ということに気がつい瞬間に銃を抜いたが、偽物ナイアのアヴェンジェリアによる貫手が胸を貫いた。

 

ナイア?「匂いで気が付くなんてサスガ変装の達人ダァ、勉強になナッタヨ。」ズシャッ

 

明日翔「げほっ…やられたよ、もうちょい早く気がつけたらな…!」ドサッ

 

貫いた腕を体から抜き、明日翔はその場に倒れこむ。辺り一面は血だらけだ。

 

ナイア?「カカカ、アンタを始末できれば後はザントーショリ。」ヒョイッ

 

明日翔が落とした拳銃を偽物は拾う。

 

ナイア?「こんなオモチャで何回も撃ってクレチャッテ。」カチャッチャキッ「さっきいっぱい撃たれチャッタカラ弾ナイジャン。」

 

手慣れた手付きでマガジンの中の弾を確認する。

 

ガサガサガサッ…

 

天音「…明日翔先輩!ナイア!」「…!う、嘘…っ。」

 

ナイア?「ザントーハッケーン。」スチャッ

 

ドギューン!ドギューン!

 

天音「きゃぁぁっ!」ドサッ!

 

天音に容赦なく拳銃を発砲、天音の脇腹と胸に命中しその場に倒れる。

 

ナイア?「…アリャ。」カチッカチッ「なんだ、もうオワリダ。」ポイッ

 

拳銃をその場に捨てる。

 

ナイア?「さー残りはザントーヲカタヅケヨウ、あのアンドロイドもブチコワサナイト。」ザッザッザッ

 

偽物ナイアはその場を去る。

 

天音「…げほっ…。」(血が止まらない…私…死んじゃうんだ…。)「ごめん、紗夜…みんな…。私、あの人みたいになれなかった。」

 

天音の視界はボヤ~ッとし始め、焦点が合わなくなる。

 

天音「…あ…。」ザザ…ザザ…

 

無意識に床を這って、倒れた明日翔の元へ向かう。

 

天音「…。」ピトッ

 

ドグン………………ドグン………………

 

天音「まだ…息が…ある…。」(今、私にできること…。)ゴォォォォォ

 

力を振り絞って青白い光を放つ矢を召喚する。

 

天音「お願い…生きて…!」ドスッ!!

 

明日翔に矢を突き刺し、吸収されるように矢は消滅する。

 

天音「はぁ……はぁ……。」

 

天音はだんだん生気を失くしていく。

 

天音「…紗夜…ごめんね…。」ガクッ

 

天音は明日翔に突っ伏して事切れてしまった。

 

~~~~~~~

 

ザザザザザザザ!!!

 

アルマリア「この方向です!銃声が二発!」

 

空「間違いなく先輩の銃声です、こっちに必ず…!」

 

ギューーン!…スタッ

 

ステラ「…見つけた…そこにいる…。」

 

エルエル「ステラちゃん…?」

 

ステラ「…自分の目で確かめてほしい…私はからは…何も言えない。」

 

紗夜「天音!無事なの!?」ガサガサガサッッッ!!!「…嘘、そんなの嘘だよ。」ワナワナ

 

アルマリア「…そんな…。」

 

空「せ…先輩…。」

 

紗夜「天音…?先輩…?冗談、やめてよ…。」ワナワナ「先輩!!こんな時に冗談やめてよ!!天音も!!」ガクガク

 

明日翔と天音の体を揺らす。しかし、目は開かず返事は返ってこない。

 

紗夜「ねぇ…どうしてよ…返事…してよ…。」ポロポロ「先輩だって…からかってるだけなんでしょ?…ねぇってば…。」

 

紗夜からは涙が溢れ出す。

 

エルエル「天音…なんでよぉ…明日翔くんまで…。」

 

アルマリア「…。」ギリッ

 

アルマリアはただ無言で拳を握りしめ歯を食い縛る。

 

ステラ「…私からは何も…言えない。」

 

紗夜「うぅ…うぅ…。」ポロポロ「天音ぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!」

 

一年生チーム、惨敗。犠牲者3名。

 

~???~

 

明日翔「…。」パチッ「またここか、どうやらまたすくわれちまったらしいな。」「いるんだろ?そこによ。」

 

少女の声「気がついたね。」「キミが死ぬ前にここに飛ばした。もう少し命は大事に…ってあの場面だったらしょうがないか。」

 

明日翔「いつの間にか軍師と入れ替わられちまったからな。俺にはどうしようもなかったよ。」

 

少女の声「キミの命の重さはこの世界に等しいんだ、今までみたいに賭けのコインみたいに使えないからもう少し命を大事にして。」

 

明日翔「言われちまったな。」

 

少女の声「キミには前に『自分が良かれと思う道を選んで』とは言ったけど…。」「『自分を犠牲になにかをする』って選択だけは避けて欲しい。それは、キミに広がる、キミが広げる可能性を閉じることにほかならないから。」

 

明日翔「へいへい。」

 

少女の声「…といって言うこと素直に聞くようなキミじゃないのもわかってる。でも、キミが死ぬと世界が終わると言うことは認識しておいて。」「…お説教はここまで。キミにはまた、やり直すチャンスがある。ほんの数日だけど、キミには十分な時間のはずだ。もう気づいてるよね?今回、 鍵になるのは…。」

 

明日翔「紗夜か?」

 

少女の声「彼女は、キミとの交流を通じて大きく成長した。…でも、キミも気づいているよね。あの子はそんな器用な子じゃないってこと。」

 

明日翔「ああ、知ってる。努力はしてんだけどな?…まだまだ青い。」

 

少女の声「…でも、彼女の願いの本質は、果たして憧れに同化することなのかな?」

 

明日翔「聞いてる限りじゃな、違うってことか?」

 

少女の声「狼が空を飛べないように、鷲が地を駆けられないように。可能性を持つ者には、ふさわしいフィールドがあるんだ。」「キミと同じく、彼女たちにも。だからどうか、導いてあげて。」

 

明日翔「ああ、わかった。次はしくじらねぇぜ。」

 

少女の声「うん、確かに聞いたよ。」「時を戻そう。…ご希望は?」

 

明日翔「5月20日に戻してくれ、手を打つならここだ。」

 

少女の声「じゃあ…戻すよ」「明日翔…キミにしか、できないことだから。」

 

時よ、戻れ。




次章「輝けよ、仲間を照らせ。」
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