釈明はティータイムの後で
~4月1日·朝·青空寮~
空「先輩!起きてください!」
朝から空が俺を起こしてくる。
空「先輩!おはようございます!朝早くにすいません!」
明日翔「んあぁ…?むにゃむにゃ、まだ起きるには早いんじゃないのぉ?」
今は朝6時、あともう一時間眠れる。
空「起きてください!見てください!これ!」
慌てた様子で携帯端末を見せてきた。そこには4月1日と表記されていた。
空「1日です!私たち、4月にこれました!」「ユーフィリアさんのいっていた「時間のループ」を脱出できてるんです!」
昨日ユーフィリアと話をしていた、その時幾度となく3月31日を経験していて見ず知らずのうちにループしている話をしていたのだ。
空「よかったぁ~。これでようやく、私たちの青蘭学園生活が始められますね!」「毎日毎日入学式だったら、どうしようかと思いました…。」ホッ
空は胸に手を当ててそっと撫で下ろした。
明日翔「待てよ、入学式が終わったってことは…授業があるってことだ!」ポン
俺は手のひらをポンと叩いた。そうすると空は目を輝かせてこういった。
空「はい!初授業、楽しみですね!」「あ、美海さんからの連絡事項があります!」「今日の授業は全学年午前のみですが青蘭寮にご飯の用意はないそうです。」「なので、お昼ごはんは各自調達を!とのことですっ!」
明日翔「はいよ!」「さぁ~俺たちの新しい門出だ!やったろうぜ!」
空「おーっ!」
俺たちは拳を天井に掲げた。決意表明みたいなものよ。
~リビング~
テレビ「次のニュースです。昨夜午後未明裏山付近にて発砲音が数回なったことが確認されました。」「風紀委員の調査によりますと、6発の空薬莢が散乱しており地面の荒れ模様からも何らかの抗争があったものと見られております。この事態に風紀委員は…」
美海「あぶなっかしぃ~。何があったんだろうね?」
ソフィーナ「触らぬ神に祟りなしよ、しばらく裏山には近づかない方がいいかもね。」
まさか実行犯がここにいるとは思うまい。俺は黙って朝食を食べ、支度をしてみんなと学校に向かった。
~昼・青蘭学園~
キーンコーンカーンコーン
授業はあっという間に終わった。異世界の歴史・プログレス・エクシードなど普通の授業とは違い覚えがいがありそうだ。
さて、腹ごしらえもかねてこの島の情報収集でも。と思っていたがクラスメイトから声をかけられた。
ルルーナ「ねーねー。話題の編入生くん。きみがαドライバーっていうのはほんと?」「わたしαドライバーって始めてみるんだよね。」
シンシア「初めては言い過ぎでしょ。いるクラスには一応、いないこともないし。」
ルルーナ「あれー?そうだっけ?ー」
このマイペースなやつはルルーナ・ゼンディア、緑の世界出身。別名は守護神。縦を使い味方を守る緑の世界のダブルエースのひとり。まぁタンクってやつだな。
隣のやつはシンシア、赤の世界出身のヴァルキリー。七女神の護衛を務めている。神威シリーズの威力はけた違い。護衛を務めるには申し分ないだろう。
シンシア「ねぇ、美海と二人で魔女王の右腕と接戦だったって本当?」
シンシアはそう質問を投げ掛けてきた。
ルルーナ「な、マジそれー?スゴいね、キミ。」
明日翔「俺はなーんもしとらんよ。ただ後ろで指示出してただけさ。」「誉めるべきは美海さ。」
ルルーナ「はー。謙虚さも持ち合わせてるんだねー。話題にもなるわー。」
テオドーチェ「なーにー!?テオのライバル、ソフィーナと引き分けたのは本当か!?」
ルルーナ「テオはライバルでも何でもないっしょー?この前、秒札されてたじゃない。」
テオドーチェ「あ、あれはたまたまなのだ!それに、いずれライバルになるのだ!」
この小さいのはテオドーチェ、黒の世界出身の悪魔。威力技術ともに荒削りだがポテンシャルは高い。怖い存在になるのは間違いないな。
明日翔「しっかしこうも人が集まるとうごけやしねぇ、ちとどいちゃくれねぇかな?」
俺は手を会わせてお願いした。すると、彼女がやって来た。ソフィーナだ。
ソフィーナ「人気者ね、明日翔。」
ルルーナ「あ、噂の張本人登場ー。わざわざ違うクラスまできてどしたの?」
テオドーチェ「ライバルのテオに会いに来たに決まってるのだー!」
ソフィーナ「はいはい、それはまた今度ね。」
まるで姉妹だな。
テオドーチェ「また今度、了解なのだー!それじゃあ、何でテオのクラスに来たのだー?」
ソフィーナ「別に?ただ明日翔をお昼ご飯に誘おうとしただけよ。」「まだ友達もいないでしょうし、一緒に住んでいるものとして…。」
ピク
シンシア「……一緒に住んでる…?」「同棲ってこと?」
ソフィーナ「なにバカなこといってるのよ。同じ寮に住んでるってだけよ。」
ルルーナ「ふーん…怪しい。」
ルルーナは俺のそばに来て耳打ちした。
ルルーナ「明日翔、明日翔。本当のところどうなの?」
俺は考えたがこう答えた。
明日翔「そうだなー。俺のことを高く評価してくれていて大事にされてるぜ!うふふふふふふ」
ソフィーナ「あなた何言ってるの!?」ワナワナ
ルルーナ「なるほどなるほど…」「ソフィーナ、明日翔の方からは脈ありみたいよ。」
ソフィーナ「だから!あなたたちは!何をいってるの!」ボカーン
ソフィーナの爆弾が爆発したところで。
明日翔「じゃあ俺は彼女とおデートにいくので、さよならー!」
ソフィーナ「あ!ちょっと!」
ソフィーナの手を引いて教室を出る。
~中庭~
ソフィーナ「あーもう…。」「なんでランチに誘うだけでこんなに苦労しなくちゃいけないのよ…。」ガックリ
ベンチに座ってがっくりしているソフィーナに俺は言った。
明日翔「ご本人登場でみーんな盛り上がっちゃってんの。噂って怖いねぇ。」
ソフィーナ「半分は貴方の言い方のせいだからね!」ボカーン
「はぁ………まったくもう。」ガックリ「次は誤解されるような言い方にならないように気を付けなさいよ。」「貴方は今、注目されてるんだから。」
明日翔「そうねぇ。みーんな俺のこと見てる。影響力がすさまじいもんよ。」
ソフィーナ「当然でしょう。曲がりなりにも私と接戦を演じたのだから。」「この一年間、私がブルーミングバトルで負けたことなんて片手で数えられるぐらいしかないの。」「それがポッとでの新人と接戦になったら噂のひとつにもなるわよ。」
明日翔「実際のところ、やってたことは指示出してただけだもんよ。俺に実感はないんだけどもな!なんつて。」
ソフィーナ「そうだとしても、接戦になるよう美海をコントロールできた貴方の善戦でもあることはかわりない。」「だからちょっとした有名人なのよ。貴方は。」
明日翔「そーら面白いこった。誰かに注目されない人生なんて空虚さ。むしろ有名にしてくれてありがとうってかんじよ。」
ソフィーナ「あらそう?なら、私のためにひとつ時間をくれないかしら?」「今日は青空寮でお昼ご飯をご馳走するわ。お昼、まだでしょう?」
明日翔「そういえばなーんもたべてなかったな。思えばサシでしゃべる機会もなかったしこれを機にもっと話をしちゃおうなんてな?」
ソフィーナ「いいわよ。私も貴方に聞きたいこといっぱいあるんだから。そうだ、せっかくだし………」「紅茶もどうかしら?新しい茶葉を取り寄せたのよ。」
明日翔「お、いいねぇ。紅茶かぁ、昔よく飲んでたなぁ。」
俺たちは雑談をしつつ青空寮に戻った。
~一方その頃~
???「そこのお嬢さん。少し聞きたいんだが…」
女の子A「はい?なんでしょうか。」
???「この第二青の世界居住区ってところはどこにあるんだろうか。」「つい最近この島に来たから、さっぱりなんだ。」
女の子A「ああ、そこなら南口からここをでて左に…」
???「ありがとう、感謝する。」
???「ここが例の島か…、ずいぶん不思議な島だ。慣れるのに時間がかかりそうだ。」
~青空寮~
ソフィーナの昼食を食べ終え、彼女は立ち上がる。紅茶を淹れる時間のようだ。
ソフィーナ「それじゃあ、約束のティータイムね。ちょっとそこで待ってなさい。」
彼女はキッチンに向かう。ちょっとした興味でついていった。
ソフィーナ「あら、どうしたの?」
明日翔「いやぁ?ちょいと興味が湧いちゃってさぁ?紅茶淹れるところみたいなぁなんてさ。もしよかったらやり方なんて教えて暮れならいいなぁなんて。」
ソフィーナ「ふふふ、いいけど失敗は許されないわよ?この茶葉一缶でお仕事一年分のお金になるんだから。」
明日翔「そーら大変おっかない。慎重におそわりましょうね。」
ソフィーナ「まずは水道水を沸かすわ。美味しく入れるためにミネラルウォーターである必要はないの。大事なのはお水の質。ここの水道水は軟水だからミネラルウォーターより適してるの。」「次に、沸かした水でティーポットを予め暖めて…。」パタパタ
パタパタと手際よく紅茶の準備を整えていく。見てると楽しそうで気を張り詰めてる彼女からは笑みがこぼれている。それを見ていたら顔を見てるのがばれた。
ソフィーナ「……なによ、私の顔をじっと見て。」
明日翔「お前さんの顔見てたら見惚れちまった。楽しそうだなぁ。」
ソフィーナ「な!なにを馬鹿なこと言ってるのよ!?」「べ、別に全然楽しくなんかないんだから!むしろ退屈なくらいなのだけど!?」フルフル
明日翔「うはははは。退屈だったかぁ…そりゃぁ残念だなぁ…」
ソフィーナ「あ………う………」「…………退屈は………言い過ぎたかもだけど………」「あぁ!もう!今日は一人で淹れるわ!」「貴方はあっちで待ってなさい!」
俺はキッチンから追い出され自分の席に座った。
明日翔「目に見えるぐらい動揺してやんの。さては、褒められなれてないんだな。」
そっとキッチンを覗く。
ソフィーナ「………まったくもう。私に見惚れるなんて。」「事実だとしても、そういうことを言うのは慎みを持つべきよね。」「紳士の振る舞いを教育してあげなくちゃ。これも同じ寮に住む者の務めよね。」「………でも、言ってくれて嬉しい気持ちもあるのはなぜなのかしら。」「~~♪」
鼻唄歌って上機嫌。これはおいしく飲めそうだ。
~数分後~
ソフィーナ「終わったわよ。今、淹れるわね。」
ティーカップに紅茶が注がれる。
ソフィーナ「さぁ、召し上がれ。」
明日翔「では、頂きます。」ゴク…
上品な味だ。ダージリンティーのような味を水の素材や蒸らしの加減で最大限引き立てている。まさしく美味しい紅茶とはこの事だろう。
明日翔「うまい…」
ソフィーナ「誉め上手のあなたも、紅茶の美味しさに語彙力を失ったようね。」 ドヤ
明日翔「ああ…。心なしかしてやったりって顔だな。」
ソフィーナ「そう?さっき突拍子もなく変なこと言われたからかしらね。」
~数十分後~
ソフィーナ「…ねえ、おしえてくれないかしら。」
紅茶を楽しんでいるとき、彼女は語りかけてきた。
明日翔「なにを?」
ソフィーナ「あなたが青蘭学園に来た本当の目的はなんなの?」「αドライバーとしてあなたの実力は申し分ない。今戦っても遅くないといって差し支えない。…でも、才能だけの素人にしてはおかしいほど強かった。」「すぐに私や美海の癖を見抜いた観察眼。弱点を補う的確な指示。極めつけはあの短時間で能力を応用する応用力…。」「貴方、何者なの?」
明日翔「目的か…。」
ティーカップに写る自分の顔を見て考えた。紅茶を飲み干しそしてひとつの答えを出した。
明日翔「夢を見たんだよ。」
ソフィーナ「夢…?」
明日翔「そう、夢さ。」
俺は立ち上がって窓の外を見て喋った。
明日翔「男って生き物はさ、夢を見る生き物なんだ。金がほしい・偉くなりたい・いい女を抱きたい。誰しもが見る夢だ。」「でもその夢をつかんだやつはごくわずか…いや、いないといってもいいんじゃねぇかな。」
ソフィーナ「…」
彼女は黙って俺の話を聞いてくれた。
明日翔「俺にはいろんな縁があったんだ。いろんな経験していろんなことを考えていろんなことを失敗して成功した。そして気がついたら俺はこの島に来ていた。」「そしてここで夢を見たんだ。」
ソフィーナ「じゃあその夢のために、いるってこと?」
明日翔「ああそうさ…でもその夢はきっと叶わない。」
ソフィーナ「じゃあなんで…」
明日翔「…これは一人の男としての考えなんだけどよ?」「夢ってのは求め続けるものだと俺は思ってる。どんなに困難でもつかめてしまう夢は夢じゃない。」「夢ってのはつかんじゃいけないのさ」「追いかけても追いかけても掴めない。近付いたら遠くなっていく。それが俺の夢なのさ。」「夢ってのはそれでいいんだよ。」
明日翔「俺は何者でもない。ただ夢を見た男ってだけさ。夢を追い続けた結果、今の俺ができた。それだけさ。」
ソフィーナ「そう…」カチャ
彼女は俺の独白を黙って聞いてくれていた。持っていたティーカップを置く。
ソフィーナ「きっと今その夢の内容を聞いても、私には教えてくれないと思う。だから…。」「もし、私の存在がその夢に近付けれることがあるのなら、教えてね。」
明日翔「ああ、ありがとな。」「辛気臭い空気にして悪かったな、紅茶美味しかったぜ。今度お返しするよ。」ガチャ…バタン
そうして俺はリビングを出て、再び外に出ることにした。
~一方その頃、リビング横の和室~
空「先輩、すごい人ですね…。」
美海「うん…私には想像できないくらいの人生観をもってる。」「…また聞けるといいね。明日翔くんについて。」
今日も今日とてウロボロス退治に出掛ける俺たちご一行!しかし事前調査の割には数が少なく終わってしまった。翌日もウロボロス退治に出掛けたらあらたいへん!ほとんどが虫の息なんだなこりゃ。
こんなことをできるやつは一人しかいねぇ。
次回「夜を彩る弾丸の雨」
また会おうぜ。