怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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リーダーというもの

~5月20日~

 

ユーフィリア「明日翔さんと空さんのみが観測している、2度日の5月20日…これで、2度目ですね。」「『前』に起こったことが事実なのであれば今の状況は私たちにとって有利です。」「…お2人は、このタイムリープ前後で気になったことや覚えていることはありませんか?」

 

空「私は気がついたら5月20日の朝でした。先輩はどうですか?」

 

明日翔「俺は…夢を見た。」

 

空「夢…ですか?あの先輩が夢を?」

 

明日翔「いや…ありゃ夢と言うより…誰かの記憶か?わからねぇな。」

 

ユーフィリア「記憶に干渉されているということは、それを理解する存在による事象ということ?それを私が観測できていないということは、もしかして時間系の事象ではない…?」「明日翔さんはともかく、プログレスである空さんまで巻き込まれているのは一体…。いずれにせよ、情報が少なすぎる…ですが、警戒はしたほうがいいですね。」

 

明日翔「まぁでもわかってることはひとつあるぜ。」

 

ユーフィリア「というと?」

 

明日翔「今のところはそいつは、俺の味方ってことだ。でなけりゃ、ここまでやり直させる道理はねぇだろ。」

 

ユーフィリア「それは、確かに。」「…とにもかくにもまずは、上位個体の対策からですね。お話によると、私が上位個体を追跡したにもかかわらず、別の場所に本体がいたんですよね?」

 

空「はい。突然現れて、そのまま戦闘に入りました。4月みたいな特殊な行動はなかったと思います。」

 

ユーフィリア「相手が特殊能力を使うまでもないような、一方的な戦いだったわけではないんですよね?」

 

空「戦闘自体は劣勢ではありましたけど、一度は倒したと思うくらいのダメージは与えましたし…。」

 

ユーフィリア「特殊能力を持っているのなら、使ってもおかしくない状況なのに使わなかった…いえ、使えなかった?」

 

空「もしくはすでに能力を使ってた…。」

 

明日翔「あまり信じたくはねぇが、影分身かなんかが使えんだろ?それも分身体を動かせて、なおかつ擬態させられるぐらいの精度でさ。」

 

実際、ヤツは軍師の能力、特徴、匂いさえもコピーして俺を殺した。だが、擬態の状態はヤツが知っている情報をもとにコピーしていたようで、直近で変わったところまでの再現ができていなかった。実際にシャンプーの香りで気がつけたわけだしな。

 

ユーフィリア「ありえますね。分身のような能力を持っていて、それで斥候の私を別の場所に誘導した…そして、私はまんまとそれに引っかかりみなさんは不意打ちを受けたと。」

 

空「あの、ユフィさんに責任があるわけでは...。」

 

ユーフィリア「いいえ、この戦いにみなさんを引き入れたのは私です。みなさんを危険に晒したのなら、それは私の見通しが甘かったと言わざるを得ません。」「結果的になんとかなったとはいえ、紗夜さんたちにも申し訳ないことをしてしまいました。」

 

ユーフィリア「やはり、美海さんたちを呼び戻して、万全の体制で挑みましょう。」

 

明日翔「…なぁ、それなんだが俺に考えがあんだ。」

 

ユーフィリア「…どういうことですか?」

 

ユーフィリアに紗夜チームの置かれた状況と、上位個体の打倒が実績になることを伝えた。ぶっちゃけ気は進まないが四の五の言ってたら状況は変わらねぇ。

 

ユーフィリア「なるほど…それは厳しい状況ですね。」

 

空「難しいでしょうか…?」

 

ユーフィリア「潜在能力だけで言えば、紗夜さんたちのチームは新入生離れしています。ですが…聞いていると、紗夜さんのチームは最適ではない印象を受けますね。」

 

空「最適ではない…?」

 

ユーフィリア「プログラム参加前のチームは、確かに紗夜さんがまとめるしかない状況だったと思います。」「ですが、チーム全員が存続を望んでいる今、紗夜さんが背負いすぎているというのであれば…紗夜さんが背負っている重荷をどうするか、チーム単位で見直してみてもいいのではないでしょうか。」

 

明日翔「…ふ~む、なるほどねえ…。」

 

~5月21日~

 

ミコト「おはよう、今日来てもらったのは他でもない。キミたちから予告のあった20日深夜の破壊行為についてだ。 」「報告のあった遊園地、港湾施設、そして黒の管理区を重点的に風紀委員が警戒していたが…。」「残念ながら、事件は起こってしまった。スタジアムでね。ナイアの姿も目撃されている。」

 

空「そんなぁ!じゃあ、ナイアさんが容疑者には変わりないってことですか?」

 

明日翔「空、ここで決めるのは早計だぜ。ミコト、なんか手は打ってくれたんだろ?」

 

ミコト「もちろん。昨晩はナイア、およびチームのメンバーには監視をつけさせてもらった。全員にアリバイがある。だから、この事件は現段階で『ナイアに濡れ衣を着せようとした犯行』で捜査を進めてもらってるよ。」「真犯人が別にいる、という理屈自体はおかしくない。チームを解散させようと目諭む勢力がいるわけだし。」

 

空「じゃあ、やっぱりその人たちが犯人なんでしょうか?」

 

ミコト「可能性は高い。先に誰かを間引けば、『フルメンバーじゃなくなったし解散しろ』って迫るのは容易だし。この事件は、政治的な駆け引きの保険のプランB…というのは、動機としてはあり得る話だね。」

 

ウロボロスは分身ができると家庭するとウロボロスが犯人説が濃厚だが…当初の俺の考えだとやっぱりあいつら…か。

 

明日翔「緑が一枚噛んでそうなニオイがするぜ。」

 

ミコト「それはまだなんとも言えない。だけど、これはチャンスでもある。犯人が解散を目論む勢力の者なら、解散騒動自体が仕組まれたものであると言い張れるからね。」「相手は念を入れたつもりかもしれないけれど、逆に尻尾を出す羽目になったというわけ。真犯人を捕まえられれば、それを交渉材料にしてチームの解散を防ぐことができるかもしれない。」

 

空「なるほど…この事件の解決そのものが、『実績』だけではない、プランBになるってことですね。」

 

ミコト「そういうこと。この件は生徒会だけじゃなくて、風紀委員も協力する。連携して解決を図ろう。」

 

明日翔「わりぃな、見直したぜ。」

 

ミコト「ふふん。せっかくキミたちが示してくれた、世界混合チームという新たな可能性なんだ。 各世界の威厳を保つ、なんて名目でその芽を潰されるのは私も本望じゃないからね。」「それに『そっち』で解決してくれてもいいんだよ?」

 

ミコトは城琉が緑の世界に探りを入れてることを知っている、定期的に情報を聞きに来るらしい。

 

明日翔「『こっち』も色々事情があんのさ。情報は張り巡らせてっから、待ってろって。」

 

空「…?」

 

明日翔「とりあえず軍師の件はこれでカタがついたってことでいいだろ?話したいことはまだあるぜ、ウロボロスについてだ。」

 

ミコト「ふむ、聞こうか。」

 

~~~~~~~

 

ミコト「5月にも上位個体がいるってことか…潜伏しているのは23日だね?」

 

空「はい。まだどんな能力を持っているかも分かっていなくて…。」

 

ミコト「前に戦った上位個体は、霧になったり亜空間を移動する能力を持っていたよね。」「…そもそもなんだけど。上位個体にはプログレスみたいにそれぞれの固有能力があるものなの?亜空間を移動する能力を共通して持っていると考えれば、今回もそれで説明がつくんじゃない?ユーフィリアを別の場所に移動させてから、亜空間を移動してアリーナに戻ったとか。」

 

空「ユフィさんは、私たちの交戦中も上位個体を認識していたんです。ですから、同じ時間に2体存在していたことは問違いないんです。」

 

ミコト「なるほどね。それで『分身』なんて仮説が出てきてるというわけか…。」

 

明日翔「それにあいつらは変身能力を持ってやがる。俺でさえ、見破るのに時間がかかっちまった。」

 

ミコト「ふむ…最悪の場合、上位個体を2体倒さなければいけないわけだ。別々に相手できればまだいいけど、上位個体を同時に2体となるとあまりに危険だね。」「オマケに能力までコピーしてくるときた。」

 

上位個体は恐らく分身体を人形のウロボロスに変身させて森で大暴れし、木をなぎ倒した。その混乱に乗じて隙をつき、軍師を殺し能力ごとコピーした。

 

ミコト「…わかった。交戦時は私にも声をかけてくれる?」

 

明日翔「お前もやんのか?」

 

ミコト「戦闘は専門じゃないけど、足止めは得意分野だからね。仮に2体同時に戦うことになっても、片方を押し止めることくらいはできるだろう。」「まぁ、明日翔にはリンクで助力してもらいたいところだけど?」

 

明日翔「俺が二人いりゃ良かったな。」

 

ミコト「じゃ、23日には上位個体との戦いを。それまでに、紗夜たちとの縁も深めておいて欲しい。実力を高めることは、彼女たちが実績を示す上でも力になるはずだ。」

 

空「…あ、そうだ、ヒメ会長。その実績を示すことについてなんですけど…。」

 

ミコトに、紗夜たちが青蘭カップでの優勝を目指していることを相談する。ミルドに言質を取ったことも伝えた。

 

ミコト「…ミルドレッドの言う通りだね。優勝とまでいかなくても、上位に残れるなら十分な実績になる。」

 

空「ですって、先輩!」

 

明日翔「うし、やることはこれで確定したな。」

 

空「ですね。チームのために、もうひと踏ん張りしましょうっ!」

 

~数時間後・練習アリーナ~

 

ナイア「…足元注意!」ガスッ!

 

紗夜「うっ!」ガクッ

 

ナイア「ほーら、ポーイ!」ブンッ!

 

紗夜「うわぁっ!」ヒューンドサッ

 

アルマリア「きゃっ!」ドサッ

 

怯んだ紗夜を即座にアルマリアに投げつけた。

 

ナイア「紗夜、アルマリア、もっとお互いの射線を意識だ。これだと攻撃の隙にカウンター差し込めちゃうぜ~?」

 

紗夜「そうだね…ごめん、アルマリアの位置まで気が回ってなかった。」

 

アルマリア「いいえ、ワタシが後ろにいたんですから、射線を気にするのはこちらのほうです。…それから『アルマ』でいいですよ。

『アルマリア』だと長いでしょう?」

 

紗夜「え…?」

 

アルマリア「このチームのアタッカーはワタシたち2人です。連携が多いんですから、短く呼べる方がいいでしょう?」

 

紗夜「うん…じゃあ、アルマ。もう1本、お願いできる?」

 

アルマリア「ええ、もちろんです。」

 

ナイア「ちょいちょい~?攻撃を受ける役のアタシの確認も取ってくれよ~。」

 

青蘭カップへの参加を決めたチームのモチベーションは、今まで見てきた中で最も高まっている。自分たちの能力を全員が発揮しつつも、遠慮なく改善点を言い合える関係になってきているようだ。

 

空「いい感じの空気ですね、先輩っ。」

 

明日翔「まぁ変な喧嘩がねえのはこっちとしてはありがてぇや。」

 

天音「紗夜、ちょっと休憩しよ。そろそろみんな集中力が切れてきてるみたい。」

 

紗夜「うん、そうだね。自分じゃ気づかないから、助かる。それじゃ、少し休もっか。」

 

~休憩~

 

 

天音「ふぅ…やっぱりみんなすごいなぁ…わたし、ついていくのがやっとだよ。」

 

空「またまたご謙遜を。全員のフォローを考えて天音さんが立ち回ってるの、私は見逃してませんよっ。」

 

天音「それが『やっと』なんだよ。この戦いのテンポで、やりたい意図を読んで、合わせるのって大変。」「…ごめんね、空。バトルチームから外れてもらうことになっちゃって。」

 

空「いえいえ、今回は紗夜さんのチームの元々のメンバーで実力を示さないといけないわけですし。」

 

天音「うん。共通の日標ができて、チームの解散はイヤだって気持ちも同じで…張り切れてるみたい。」

 

空「天音さんが青蘭カップのことを、みなさんに持ち出してくれたおかげですね。」

 

天音「そんなことないよ。青蘭カップは元々、紗夜が持ってた目標だし。私はただ、後悔するくらいならみんなでやってみようって思っただけ。」

 

空「それでも、それを言い出したのが天音さんだったことには、意味があったと思います。」

 

天音「…そうかな。そうだったらいいな。少しでもこのチームのためになれたんなら。ふふ、面白いんだよ。ナイアなんて今日、一番最初に練習に来てたの。」

 

明日翔「あの軍師がか?そいつぁ珍しいな。」

 

天音「そのナイアなんだけど…聞いたよ、昨日の晩のこと。」

 

天音が言っているのは、昨晩発生した奴らのスタジアムの破壊行為のことだろう。『1度目』と同じように、SNSでもナイアが犯人という噂が流れかけたが、ナクルとミコトの力を借りて根回しを既に完了させていてこれにより、ナイアは容疑者ではなく被害者であるという諭調が主流になりつつある。

 

天音「そっか。ナイアが犯人じゃないって、生徒会長も風紀委員もわかってくれてるんだ。…よかった。」「これでわたしたちは、青蘭カップと、ウロボロスとの戦いだけに集中すればいいんだね。…でも。」

 

明日翔「どうした?」

 

天音「でも…どうして胸がざわざわするんだろう…。」

 

明日翔「なにか不安でもあるか?」

 

天音「不安なのかな。わたしも、きみも。紗夜がいるんだから、何も心配することないのに…。」(…なんか、過去の夢もたくさん見るし。)

 

空「そのウロボロスのことなんですけど…上位個体の話って、覚えてますか?」

 

天音「うん。昨日教えてくれた、明日翔先輩たち『執行部』が戦ってる相手だよね。」「夜に戦った相手よりもっと強い、上位個体っていうのがいるんだっけ?」

 

空はい。その上位個体との戦いがもうすぐありそうなんです。」

 

天音「そっか…もしかしてわたしのざわざわって、それを予感してたから…だったりして?」

 

明日翔「そいつ、お前たちでぶったおしてみねぇか?」

 

天音「えっ!?生徒会長でも苦戦したって言ってなかった?」

 

空「言いました。というか、戦ったのはヒメ会長だけじゃなくて、美海さんたち青空寮のチームです。」

 

天音「…あ!もしかしてE.V.E.の選抜戦の?…ん?ちょっと待って。それって青蘭学園の最強クラスのチームじゃない?」「それで苦戦した相手を、わたしたちが…?」

 

空「だからこそです。最強クラスのチームと同じことができれば、実績になるのでっ。」

 

天音「…でも…危ないんだよね?」

 

明日翔「ああ、しくじったら閻魔様とご対面だ。」

 

空「もちろん天音さんたちだけで戦わせませんよ!ヒメ会長や私たち執行部もいますっ。」

 

天音「…実績を作るチャンスが増えるのは、いいことなんだよね。」「うちのチームはみんなすごいけど、それでも青蘭カップは優勝を目指すのは難しい大会。もし上位にも残れなかったら、実績なしで

チーム解散ってことになっちゃう。それが、上位個体を倒して実績になるのなら…。」

 

空「そうなんです。保険にもなりますし、どっちもできればチャンス2倍ですっ。」

 

天音「…。」「…ちょっとだけ時間をもらえるかな?このチームのリーダーは紗夜だから、紗夜に聞いてみてもいい?」

 

明日翔「ああ、ゆっくり話し合って決めな。」

 

~数時間後・夜~

 

紗夜「ふー…今日もちゃんと倒せた…。ユーフィリアさん。私たち、ちゃんとできてますか?」

 

ユーフィリア「むしろ予想以上です。特にアルマリアさんとの連携は、目に見えて良くなっていますね。」

 

紗夜「…そう、よかった。練習の成果、出てるんだ…!」

 

ナイア「たいちょ一、ありがとね。」

 

明日翔「ん?軍師、なんの話だ?」

 

軍師が後ろから声をかけてくる。

 

ナイア「聞いたよ、スタジアムの事件でアタシが犯人扱いされないように、根回ししてくれたって。…ったく、陰湿なことするヤツもいたもんだね?助かったよ。」

 

明日翔「なに、お前とチームのためさ。来るってわかってるもんは止めるのが筋ってもんだろ。」

 

ナイア「あはは、さらっとそういうこと言えるなんてたいちょーらしいや。」「…なら、『チームのため』ついでにちょっとお願いがあるんだよね。」

 

明日翔「?なんだ改まって。」

 

ナイア「紗夜のこと、見てやっててくれない?」

 

明日翔「ほう、なんかワケアリって感じか?…話は聞いてやるよ。」

 

ナイア「あの子には才能がある。それもとびきりのやつが。でもその才能ってさ…チームを背負うタイプの、リーダーの才能ってわけじゃないとアタシは見てる。」

 

明日翔「ああ、俺もそう思う。同意見だ。」

 

ナイア「紗夜は真面目だからさ、向いてなくても頑張っちゃうところがある。…でも、それって紗夜が目指してる、美海先輩みたいな『すごいプログレス』になる足柳になりそうじゃん?」「それに、そういうヤツは潰れやすい。そういうヤツを、アタシは今までに見てきたからさ。…わかるだろ?」

 

城琉の言葉を借りるならば「前線を張った兵士が壊れた先に待つ末路はイカれて一生檻さら出てこなくなるか殺戮に走るか」ということだろう。

 

明日翔「ただ…別にそんなもんお前が言えばいいだろ?」

 

ナイア「えぇ、勘弁してよ?たいちょ一。考えてみてよ。アタシは今まで、このチームでテキトーやってたんだよ?そんなヤツが、ずっとリーダー頑張ってたヤツに『お前はリーダー向いてない』なんて言えないって。」

 

明日翔「そりゃ気持ちはわからんでもねぇけどよ。」

 

ナイア「せっかくいいチームになってきたのに、それで喧嘩になったら…いや、違うな。」「アタシが気にしてるのはそこじゃない。アタシは、 紗夜を傷つけたくないんだ。」

 

明日翔「俺だったらバッサリいっちまうけどな。」

 

ナイア「アンタはへんなところでデリカシーなさすぎなんだよ…。ー「アタシが言えば、紗夜は傷つく。だから、この件は『誰が言うか』が大事だと思ってる。」「アタシの見立てでは、たいちょー…アンタか、あるいはひな─。」

 

ナイアがその人物の名前をいい欠けた時、天音はこちらに駆け寄る

 

天音「ナイア、明日翔先輩。お話中だった?」

 

ナイア「い一や?アタシが言いたいこと言ってただけ。それも今、言い終わったところ。」

 

天音「ん、そうなんだ。じゃあ、明日翔先輩…少し相談があるんだけど、ちょっといい?」

 

明日翔「どうした?何でも言ってくれ。」

 

天音「今日の上位個体と戦う話…紗夜に相談するって待ってもらってたでしょ?」

 

明日翔「ああ、確かにそう言われたな。」

 

天音「あれから考えてみて…迷ってるの。」

 

明日翔「迷う?戦うことをか?」

 

天音「ううん。あのね…今のチームって、全部紗夜が決めてくれてるじゃない?」「最初からそうだったし、今はみんな意見を出してくれるようになったけど、最後の決断は紗夜がしてる。でも…今日の練習を見てて思ったの。」「紗夜って、自分のことに集中してる時の方がだんぜんいい動きするなって。…紗夜って、あんまり器用なタイプじゃないでしょ?」

 

明日翔「ああ、そうかもしれねぇな?」

 

天音「ふふ、きっとそうだよ。」「わたしが言いたいのは、そんな紗夜が、どっちも両立するのって、すごく大変なんだろうってこと。」「それに、チームが強くなって、上に行けば行くほど、決断の重さってどんどん重くなると思うんだ。…だから、 なにかしてあげたいの。」「でも、このチームは紗夜がまとめて、ここまで引っ張ってきたものだから、尊重したい。それにプログレスとしては、

わたしがこのチームで一番弱いから…そんなわたしが、できることってなんだろうって。」

 

明日翔「そりゃ簡単だろ、お前が後ろで支えてやりな。」

 

天音「一緒に…支える…?」

 

明日翔「難しいことは言ってねぇぜ?チームのことを一番理解してチーム全体を見渡せるのは…天音、お前くらいのもんだ。」

 

天音「…。」

 

明日翔「今まで紗夜の引っ張ってきたチームも尊重したい、ただ両立できるほどアイツは器用な生き方出来てねぇ。」「ならよ、尊重した相手を支えられるようになるのがひとつの方法になんじゃねぇのか?」

 

天音「…できるかな、わたしに?」

 

明日翔「紗夜に出来てたんだから、お前もできるさ。」

 

天音「…。」「…あ、ごめん。今のはやっぱり忘れて。」「これは、自分で決めてみる。今までずっと、紗夜に任せてきたことだから。」

 

明日翔「ああ、考えろよ。俺は止めねぇからよ。」

 

~~~~~~~

 

ステラ「…。」

 

ステラは自室にいる、何かを考えているようだ。

 

ステラ「…。」チラ

 

ステラは一枚の紙切れを見る、そこには「バレッジ機構男・バリス」と電話番号などが記載されている。これは…

 

~いつかの記憶~

 

明日翔「よお、時にお前飛んでるときに攻撃してぇとは思わねぇか?」サ「つれねぇなぁ、お前のその飛行ユニットによ…ドデカイミサイル積みたいとは思わねぇか?」「俺の紹介って言えばそれなりに安くしてくれんじゃねぇか?」

 

ステラ「…技術者の名前だけ教えてほしい。」

 

~回想終わり~

 

ステラ「…。」ピッピットゥルルルルルル…ガチャッ「明日翔、まだ起きてた。…頼みがある、あの時教えてくれた技術者…紹介してほしい。」

 

つづく




蒼月紗夜です。
最近、妙にみんなが優しくて落ち着かない…
気を遣われてるのかな?
ナイアとかステラは不気味なぐらい素直だし…どうして?
できていないところがあったのかな?

次回「私の憧れてる姿はどこ?」

もしかして、私…頼りないのかな?
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