怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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進めよ、未来ある者達へ。

~5月24日·夜中~

 

ブロロロロロロロロ…

 

天音「風が気持ちいい…。」

 

明日翔「今時オープンカーに乗ることなんてねぇだろうからな、貴重な経験だぜ。」

 

浜辺を走り、ちょうど良い潮風が吹き月か海を照らす。明日翔はたばこを加え、火をつける。

 

明日翔「…で。」「俺に話があんだろ?」

 

天音「え?」

 

明日翔「俺にただ話があるだけならあの場でいいわけよ、それどころか俺が一人になるところをみてわざわざついてきた。」「あいつらに聞かれたくないってことだろ?」

 

天音「さすが、明日翔先輩はなんでもお見通しだね。」「無人島で憧れてる人がいるって話したの、覚えてる?」

 

明日翔「ああ、覚えてるぜ。海外で悪い人たちの抗争に巻き込まれたって話だろ。」

 

天音「そう…ここ最近、ずっとその時の夢を見るの。」「でも、そのお陰で勇気をもらったの。」「『日和って怯えて後悔するぐらいなら、命懸けでやって失敗した方がいい。』って、今でも心のなかに残ってるんだ。」

 

明日翔「そうかい。」「いつ気がついたんだ?」

 

天音「…ウロボロスに捕まったあの日、重なったの。」「私のために、銃を撃ったあの日と。」「明日翔先輩は、あの人にそっくりだったから。」「…また、助けられちゃったね。」

 

明日翔「ああ、奇妙な縁だな。」「けど、俺も助けられちまったぜ。」

 

天音「え?」

 

明日翔「俺があの時しくじって撃たれたとき、おまえがいなきゃ危なかった。今の俺にはその力が巡ってるお陰かな。」

 

天音「そうなんだ…。」「じゃあ明日翔先輩は…あの時助けてくれた泥棒さんなんだね。」

 

明日翔「まぁ、ここまで言って嘘つく必要なんてねぇさ。」

 

天音「…ずっと言えなかったんだ。お父さんとお母さんと会えたときあなたはいつのまにか消えてしまった。」「…ありがとう、助けてくれて。」

 

明日翔「いいってことよ。」

 

天音「私のことはいつ気がついたの?」

 

明日翔「お前のエクシードの矢だよ。」「俺がウロボロスに殺される前…お前の矢を薄目で見てたんだ。あの時しくじって撃たれちまった時に使ってもらった超能力とそっくりだった。」

 

天音「ウロボロスに殺される…?」

 

明日翔「なんのこっちゃって話だよな?言葉の通りだよ。」「俺は既に一度死んでるのさ、生憎様あの世に俺の居場所はなくて現世に追い出されちまったけんどよ。」

 

天音「…そっか。」

 

明日翔「無人島であの話を聞いてから、もしやとは思ってたけどな。エクシードの矢を見て確証に変わったよ。」「大きくなったな、天音。」ポンポン

 

天音の頭をポンポンと撫でる。

 

天音「えへへ。」「…そういえば、その時のお話で聞きたいことがあるの。」

 

明日翔「いうほどあの仕事のことは覚えてねぇからな、答えられなかったらごめんな?」

 

天音「あの時、あなたは予告状は出してないっていってたけど…本当はどうしてたの?」

 

明日翔「あぁ、トラッシュファミリーの金か?」「抗争相手のお宝を盗んだらさっさと帰る予定だったんだが、どういうわけか抗争相手が俺の名前を使って抗争を激化させようとした。」「だからまぁ、ついでに金もいただいちまった!」

 

天音「じゃあ結局お金は明日翔先輩が盗んじゃったのは事実ってことなんだ…。」

 

明日翔「ま、そういうことね。」「幻滅したか?憧れてる人の正体がただの泥棒だってよ。」

 

天音「ううん、確かにちょっと複雑だけど…。」「あなたは私を助けてくれた、そして今私と私の友達を…この青蘭島を助けてくれた。」「あなたは…何があっても私のヒーローなの。」

 

明日翔「そうかい、あんまり期待すんなよ?俺はもとはといえば泥棒さ。」

 

天音「うふふ、青蘭カップでもよろしくね。」

 

夜は更ける…

 

~5月24日·朝~

 

紗夜と天音、そして空とともに、授業が始まる前に生徒会室を訪れる。現在のチームの置かれた状況を確認するためだ。

何やらミコトから話があるらしい。

 

ミコト「改めて、上位個体の討伐お疲れ様。これでキミたちのチームは、解散回避に向けて一歩大きく近づいた。」「…と言いたいところだが、 そうではなくなった。」

 

天音&紗夜「え…!?」

 

明日翔「ミコト、そりゃどういうことよ。話が二転三転しちまってるぜ?」

 

空「まさか…。」

 

ミコト「ああ、そのまさかだ。キミたちのチームは…。」「解散しないことが決定した。」

 

明日翔「へぁ?」

 

天音&紗夜&空「…。」

 

ミコトからの衝撃的な発言が飛び込んできて三人は驚愕する。かく言う俺もこの結果には驚きを隠せない。

 

明日翔「おいおい、わざわざ呼び出してこれがやりたかったのか?」「サプラーイズのつもりかもしれねっけどもよ、今の状況でやられるのは紛らわしすぎるぜ?」

 

ミコト「ご、ごめんって…。」

 

さすがの俺もミコトに苦言を呈する。

 

空「やっていいサプライズと悪いサプライズって、あると思います。」「ヒメ会長だって、ナクルさんが『生徒会辞めます』って言い出したらびっくりどころじゃないですよね?」

 

ミコト「うう、ごめんってば…。」シュン

 

明日翔「そういうのは、俺だけのときにしてくんな?状況が状況なんだからヨ。」

 

紗夜「それで…なんでそういうことに?上位個体討伐だけじゃ、実績には足りないって話でしたよね?」

 

明日翔「ミコト、きちっと説明してもらうぜ?ウロボロスとのバケモン退治は表に出せねぇ仕事だ。それ故にチーム存続の実績にはなりえねぇ。だから、表に出せる実績が必要だったはずだ。そのためにこいつらは青蘭カップのてっぺんめざして頑張ってんだ。今さらどんな風の吹きまわしでそうなんだよ?」

 

ミコト「う、言い方のトゲが鋭いね…。」「まず、上位個体の討伐という実績は、事情を知る者にとっては青蘭カップ上位に匹敵するものなの。」「明日翔、キミは魔女王と話した時に、

上位個体との戦いの話はしなかったでしょ?」

 

明日翔「あぁ?あーそういや…。」

 

~回想~

 

ミルドレッド「新米チームで青蘭カップの優勝か…。」「そんなもの出来るわけないだろう。」

 

そういえば青蘭カップの話しかしてなかったっけっかな。

 

~現実~

 

明日翔「ってことはよ?あいつが公式的に、上位個体の討伐を実績として認めたってぇ事か?」

 

ミコト「そうだね。5つの世界のうち、ウロボロスの存在を知っていると明言できる世界は2つある。」「1つはこの私、赤の世界のヒメガミノミコト…もう1つは黒の世界の魔女王。」

 

また俺はあの女に一杯食わされちまったわけだ。こりゃ、いずれとんでもねぇことを頼まれそうだ。

 

天音「…えっと…チームの解散は各世界の合意でしたよね?」

 

紗夜「多数決するにしても、それだと1つ足りないよね。」

 

ヒメガミノミコト「実は『チームの能力だけ』を判断してくれる世界がもう1つある。政治的要因を無視してね。」

 

空「政治的要因を無視…。そんなフラットな視点を持ってる世界なんて…。」

 

ミコト「明日翔、君ならわかるんじゃないかな?」

 

実力だけで判断する…政治の意向を無視できる…つまりデータで判断する…。

 

明日翔「…!おいミコト、それってよ。」

 

ミコト「じゃあここで、現場の人間に登場してもらおう。君のよく知る人物だ。」パンパン!

 

ミコトは手を叩くととある人物がドアを開け現れる。

 

城流「よう、明日翔。バケモン退治、手伝えなくて悪かったな、こういうことだ。」

 

明日翔「えぇ?城流ちゃんじゃないの、なんでここに。」

 

城流「なんでもなにも、俺がこれに一役買ってたってことさ。」

 

ミコト「そう…私は彼を白の世界に派遣した。」

 

城流「明日翔、S.W.Eって言葉に覚えはないか?」

 

明日翔「S.W.E?ソフトウェアエンジニアか?」

 

城流「ちげーよ!ちったぁ真面目に答えろ!」

 

ミコト「まぁまぁ。」「システム·ホワイト·エグマ。通称S.W.E。」「白の世界の管理者は、つまりAl。」

 

ミコト「解散を防ぐための『実績』とは『各世界の混合チーム』での戦闘力と将来性を示すこと」だった。」「ウロボロスの部分をカットして、キミたちの上位個体との戦いのデータから判断してもらった。」「それにプラスして城流には白の世界で色々やってもらった、別の世界の都合上言えないこともあるけど。それを参考資料としてもカウントさせた。」

 

明日翔「ミコト、でもそりゃおかしいぜ?城流ちゃんは天音のチームとはなーんも関係がないぜ。」

 

空「…あっ!先輩!ステラさん!ステラさんです!」

 

明日翔「ステラ?」

 

空「城流さんはステラさんと組んで新歓戦に出て準優勝としての経験があります!もしかしてそれの関係者として…!」

 

ミコト「正解、出来るかどうかはちょっと賭けだったけどね。」

 

城流「つまりチームの関係値としては薄いが俺がいることによってステラの伸び代=チームの伸び代って判断されたわけだな。」「そして、伸び代とプログラムを判断のベースにするようにAIに細工したんだ。Dr.ミハイルを使ってな。」

 

明日翔「プロンプトをゼロから作るより参考画像を読み込ませてそこに寄せるってことか、なるほどな。」

 

天音「その結果、わたしたちはS.W.E.のお眼鏡にかなった…っていうことですか?」

 

ミコト「うん。」「だけど、注意してほしいことがある。あくまでS.W.E.は、キミたちの将来性を、新入生交流プログラムからの成長率をベースに高く評価したんだ。城流くんのは更なる伸び代…という位置付けだ。」

 

天音「安心してサボったり、停滞したりしたら評価がひっくり返る場合があるってことですね。」

 

ミコト「そういうこと。…まぁ当面は大丈夫でしょう。」「そうなる前に、他の大会で成績を残していけば、今度こそ正面から実績を証明できるんだし。」「キミたちがリスクを背負って挑んだ上位個体との戦いは、無駄じゃなかったってこと。」「なにはともあれ、紗夜チーム…いや、今はチーム天音か。チームの解散は、阻止された。」「よって、執行部としての明日翔くんと空の任務も、ここで終了となる。」  

 

明日翔「俺の仕事はここまでか。たったの20日程度だったけどよ、長かったぜ。」

 

天音&紗夜「…!」

 

ミコト「もちろん、そのまま青蘭カップに参加するということなら、キミは付き合ってくれてもいい。」

 

明日翔「まぁもう俺の仕事範疇からは外れちまったかんな。どうしたもんかな?」

 

ミコト「全ては君と彼女の選択次第だ、ゆっくり決めるといいよ。ささ、帰った帰った。私はちょっと城流くんと話があるから。」

 

明日翔「お前が?珍しいな。」

 

空「じゃあ、先に戻ってますね!また会いましょう!」

 

ミコトは明日翔達を廊下に出す。

 

ミコト「ふむ…城流くんも急なお願いで、無事に終わらせてくれてありがとう。」

 

城流「お前からの依頼ってんだから、明日翔みたいに面倒押し付けられるかと思ったぜ。」

 

ミコト「なにかあったらよろしく頼むよ、こういうのは得意分野でしょ?」

 

城流「まぁな、報酬は美味い酒で頼むぜ。世界の頭でしかも女神様ならそれなりの酒、知ってんだろ?」

 

ミコト「…赤の世界から取り寄せておくよ。」「言っておくけど、未成年飲酒は犯罪だよ?」

 

城流「今さらの話だ、俺達を止めたきゃ風紀委員にでも言うんだな。」

 

ミコト「あら、風紀委員にでもなってくれればより治安が良くなって助かるんだけどな。」

 

城流「はっはっは、悪党が治安維持なんていい笑いもんだぜ。」「ご生憎様、俺は銃を撃つ以外の事ができないもんでね。他を当たるんだな。」「度々来る殺し屋の件は調べてる。近々またいい結果が報告できるはずだ。」「また頼むぜ。」

 

城流は生徒会室の扉を開けて部屋の外に出る。

 

ミコト「…全く…私としては更生して欲しいんだけど…強く言えないんだよなぁ。」「…風紀委員かぁ…もしかしたらあり…かも?」

 

~廊下~

 

城流「待たせたな。」

 

明日翔「な~に話してたのよ城流ちゃん、お前らしくもない。」

 

城流「報酬のはなしだ、仕事には報酬がつきもんだろ?」

 

明日翔「それもそうだな。ここ最近タダ働きばーっかりだからよ。」

 

学園の廊下を歩く。

 

空「まさか、青蘭カップの前に目標を達成しちゃうなんて…ことになるなんて思いませんでしたね。」

 

天音「張り切ってたから、 なんていうか、ちょっと肩透かしな気分だよね。」

 

紗夜「だね…。みんなにも伝えて、どうするか相談しよう。」

 

天音「それに、青空寮も出ていかないとね。美海先輩たちが帰ってきたんだし。」

 

紗夜「!そうだった。…明日翔、空。先に伝えておくね。」「短い間だけど、楽しかった。ありがとう。先輩も怪我、もう大丈夫?」

 

明日翔「おかげさまでな。元気ピンピーンってな?」

 

城流「こいつは頑丈なんだ、そっとやちょっとじゃ壊れねぇ日本製だぜ。」

 

明日翔「人をモノみてぇに言うなよ。」

 

紗夜「ふふ、ならよかった。…私たち、少しは役に立てたかな。」

 

明日翔「役には立ったさ、色々とな?」

 

話が落ち着くと空が口を開く。

 

空「あの…美海さんたちなら、落ち着くまで寮にいてくれていいって言うと思いますよ?」

 

空が提案する。

 

天音「あはは、それだと紗夜が緊張しちゃうと思うんだよね。それとアルマリアも。」

 

明日翔「アルマリア?…あぁ、ソフィーナが好きなんだっけかな。」

 

天音「あの子も、血が吸えるようになったから…。」「ソフィーナ先輩とひとつ屋根の下だと、なにが起こるかわからないでしょ?」

 

空「たしかに…解散を回避したのに、新たな不祥事を起こすわけにはいかないですね。」

 

明日翔「全くだ、今までの言葉をパァ!にしたくはねぇからな。」

 

放課後、チームの指定席になりつつあるカフェテリアの一角に集合する。チームの今後についてを話し合うためだ。

最初に天音が、朝にヒメガミノミコトから聞いた内容をみんなに伝えたのだが…。

 

天音「…っていうことで、チームは解散しなくて済むことになったんだ。」

 

アルマリア「は、はぁ…。」

 

ステラ「…。」

 

ナイア「えぇ…。」

 

エルエル「ほんとに!?やった一!やったね、みんな!」「…って、あれ?」

 

天音「…なんだかみんな、反応薄いね?」

 

ナイア「そりゃだって、ねぇ?」

 

アルマリア「憂いも晴れて、これから全力でバトルに集中しようという時に、『もう目標を達成しました』と言われましても…」

 

ステラ「レースでスパートをかけようとした時に、チェッカー振られた気分。」

 

天音が事前に懸念していたように、青蘭カップを視野に入れていたやつらは微妙な顔をしてやがる。まぁ無理もねぇよな?

解散を回避できた安心や嬉しさはあるよう反面、不完全燃焼なのかもしれないな。

紗夜任せだった意識を切り替えて、頑張ろうとしていただけに、そう感じるのも無理はねぇな。

 

紗夜「ならさ。やっぱり出ようよ、青蘭力ップ。」「上位個体との戦いで、チームは解散しなくてよくなったけど…会長にも言われたんだ。今回評価されたのは将来性。これからの大会で、成績を残すことも大事って。」「ってことはさ、それって別に今回でもいいわけでしょ?」

 

アルマリア「ふふ、そうですね。ワタシもそう思います。」

 

ナイア「だけどさ…もし『惨敗したらやっぱり解散ー』なんてことになりかねなくない?」

 

アルマリア「ナイアさん、リスクを気にしすぎです。今のワタシたちが、惨敗するとお思いなんですか?」

 

ナイア「う…そりゃそうは思ってないけど、もっと練習を積んでからでもいいんじゃないかってこと。」「リーダーも代わったばっかじゃん?上位個体との戦いはなんとかなったけどさ一。」

 

天音「あ、じゃあリーダーはやっぱり紗夜にやってもらおっか?それならどう?」「わたしがああしたのは、紗夜が大変そうだったからだし…連携のパターンとか練度もそのほうが…。」

 

紗夜「ううん。青蘭カップに出るんなら…天音にリーダーをやってほしい。上位個体との戦いで結果も出たし、あの感じを忘れないうちにブルーミングバトルで試したい。」「それに、私もそのほうが戦いやすかったし。」

 

アルマリア「実戦で新体制を試して定着させたい、ということですね。」

 

紗夜「うん。『チーム天音』として練習をいくらやっても、 しどこかで最初の実戦はあるわけでしょ?」「青蘭カップは非公式戦だし、予選のレベルはそこまで高いわけじゃないから…。」

 

ステラ「賛成。テストとしては適切な大会だと思う。」「それに、天音の指揮が未熟だとは思わない。よくできていた。」

 

エルエル「その場合って明日翔くんってどうなるの?解散を防くまでのお手伝いだったと思うけど…。」

 

明日翔「俺か?俺の仕事はもう終わっちまったからな、俺からなにか言うことはねぇ。」「決めていいぜ、俺を使うか使わねぇか。」「天音、お前が決めるんだぜ?」

 

手で拳銃の形をつくり天音に向ける。

 

天音「え、私!?」

 

明日翔「リーダーはお前なんだろ?俺はあくまでプレイヤー、雇うのはお前だ。」 

 

天音「…。」

 

天音は目をつむって考える。

 

天音「私は…後悔したくない、今回も。そしてこれからも。」「明日翔先輩、力を貸して欲しい。私たちにはあなたが必要…私のためにもみんなのためにも。」

 

明日翔「よく言えたじゃねぇか。」「安心しろよ、最後まで手伝ってやるさ。」「それに昨日言ってたじゃねぇか、『青蘭カップもよろしくね。』ってよ。」

 

天音「…!」「…うん!」

 

明日翔と天音は互いに握手をする。

 

エルエル「よかったー!」

 

アルマリア「それならなおのこと安心ですね。明日翔さんの指揮を盗む、ラストチャンスです!」

 

ナイア「ま、そーゆーことなら確かに…。」「それじゃ出ちゃうか!青蘭カップ。」

 

~放課後~

 

改めて青蘭カップへの参加を決めた天音たちは、その勢いでアリーナを予約して練習に繰り出した。もろもろの所用を片付けてから、空を伴ってそこに合流しようとしたがどうやら迎えが来たらしい。

 

ステラ「明日翔、もう準備できた?」

 

明日翔「よう、ステラ。俺の事迎えに来てくれたわけ?」

 

ステラ「明日翔に聞きたいことがあって、志願した。」

 

明日翔「俺にぃ?今さらの何よ、大体の事はしゃべったと思うぜ。」

 

ステラ「明日翔は、最初から自分たちのチームのために行動してくれている。」「それは、生徒会長から頼まれたから。ここまでは間違いない?」

 

明日翔「間違いないぜ、ミコトから頼まれた仕事だ。」

 

 

空「私たち執行部にとっても必要な任務でしたし。」

 

ステラ「組織に所属する人間が、組織の命令に従うのは自然なこと。それはわかる。」「じゃあ、どうして執行部に所属することになった?その動機が知りたい。」

 

明日翔「動機だぁ?」

 

ステラ「執行部は、ウロボロスを倒すための組織。…だけど、その功績は公にされることはない。」

 

空「ええ、そうですね。」

 

ステラ「なのに、危険性はとても高いと言われている。リスクとリターンが見合っていない。」「ウロボロスを倒した先に、なにか目標がないと、参加するのはおかしいと考える。」「自分は、それが知りたい。」

 

明日翔「んなもん、知ってどうすんだ?」

 

ステラ「教えてもらってから決める。」

 

明日翔「あっハイカシコマリマシタ…。」

 

ステラ「あなたはどうしてウロボロスを倒したい?どうして未来が来て欲しい?」

 

明日翔「そうだなぁ…。」「みんなの大切なもんがあるんだ。俺はそれを求めて戦ってる。」

 

ステラ「大切なのはわかってる。みんなにじゃなくて、あなたにとって何が大切?」

 

明日翔「俺自身ってことか?」

 

ステラ「自分が知りたいのは、あなた自身の願望。」「自身の願いでないものを、自身の願いとして認識しているなら、それは危険と考える。」

 

明日翔「そりゃまたどうしてよ。」

 

ステラ「アンドロイドも人間も、借り物の翼では飛べない。自身のものでなければ、故障した時にどうすればいいかわからなくなるから。」「ウロボロスの話を聞いた時からずっと気になっていた。自分や紗夜は、ウロボロスとの戦いにメリットがあった。」

 

空「いい実戦訓練になる、って言ってましたもんね。」

 

ステラ「そう。けど、明日翔や空からは、そういったものが感じられなかった。役割や仕事のような、義務感が見えていた。

それなのにあなたは…献身的すぎた。」

 

明日翔「まぁ俺の仕事だし俺の役割みてぇなもんだしな。ついでだよついで。」

 

空「先輩の場合、ただのお人好しというだけ…という説もありますけど。」

 

明日翔「んなことはねぇけどな。」

 

ステラ「お人好しなら、感謝されたい。いい人に見られたいという願いや自己像があるはず。」「それが見えないから、疑問だった、答えて欲しい。」「自分は、速さがあればそれでいい。あなたは、なにがあればいい?」

 

明日翔「そうだなぁ?ぶっちゃけ成り行きみてぇなもんだしな。成り行きって回答じゃだめか?」

 

ステラ「だめ。あなたはもっと別の理由があるはず。」

 

明日翔「お前意外と鋭かってんな?」「俺が大切にしてるもんはな、夢だよ。」

 

ステラ「夢?」

 

明日翔「そう、夢。でっかくて掴み所のない夢さ。」「ただ夢をみるにはみんなの未来がないと夢はつかめないだろ?」「俺は俺に期待してるからみんなの未来を守ってんのヨ。」

 

ステラ「あなたは、自分 だけでなく、みんなの未来を観測するために、そして夢のために戦っているということ?」

 

空「先輩は1人でじゃなくて、誰かとなにかをするのが好きみたいですから、自分だけじゃダメなんですね。」

 

明日翔「ああそうさ、せっかくなら誰かと夢を追っかけたいだろ?」

 

ステラ「なるほど。天音も似たようなことを言っていた。」「あるいは、レースが好きでも、自身で走るのではなく、観戦が好き、というようなもの?」

 

明日翔「ちょっとばかし違うな、面白いことならドライバーにもなれちゃうぜ。」

 

ステラ「…あなたと天音は、似ているところがある。少なくとも、ウロボロスとの戦いは、『やらされている』ものじゃない?」

 

明日翔「成り行きに近いもんもあっけどな、自分で選んで戦ってるよ。」

 

ステラ「そう…なら問題ない。」「あなたのウロボロスとの戦いが、他人の考えに従っているだけなのではと気になってた。」「『自分』がない人を、自分は信じられないから。あなたがそうじゃないってわかったのは、収穫。」

 

明日翔「俺ほど自分を開示してる男も珍しいと思うっけどもな?」

 

ステラ「あなたからは学ぶことが多い。自分だけなく、みんなもそう思っているはず。だから、青蘭カップまで、一緒に戦ってくれるとわかって、嬉しく思う。」「最後まで、よろしく。自分たちの未来の姿を、あなたに見せてあげたい。そしてそれが、夢を見るための要素の慣れるように。」

 

明日翔「ああ、俺に見せてみろよ。」

 

進め、明るい未来のために。




というわけで、仕事終わっちまったが最後までこいつらと付き合うことにしたぜ?
新体制発足でバタバタしてるが、まぁなんとかなるってもんじゃねぇってもんよ。
だけっど、天音がどうも不安で俺に助言を求めてくる。
さてさて、何て答えるのが正解かな?

次回「リーダーとはなにか。」
また会おうぜ?
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