~5月25日·昼~
上位個体との戦いを終え、青蘭カップを控えた紗夜たちを、寮の庭で見送る。
といっても、彼女たちは一足先に登校するだけだ。
部屋に持ち込んだ荷物は、後で宅急便でGO、なんてな。
天音「お世話になりました。青空寮、とっても住心地が良かったです。」
美海「またいつでも遊びに来てね!部屋も空いてるし。」「…でもいいの?青蘭カップに出るなら、まだいていいんだよ。」
ソフィーナ「そうね。チームー緒のほうがミーティングとか何かと都合はいいと思うけれど。」
紗夜「いえ、私たちは明日翔先輩の不自由をサポートをするために押しかけただけなので。それに、美海先輩たちの生活の邪魔をするわけにはいきません。」
空はコソコソと俺に喋りかける。
空「紗夜さん、平静を取り繕ってますね…。」コソコソ
明日翔「ま、でしょうね。まだいたいのが本音だろうよ。」コソコソ
ナイア「ま、そのたいちょーも大丈夫そうってんなら…ここいらがいいタイミングかなぁって。」
エルエル「うん。青蘭カップまでは一緒でも、そこから先はあたしたちだけだし…。」「明日翔くんに頼りっぱなしじゃなくて、チームでなんとかできるようにしたいもんね。」
ステラ「同意。このチームはずっと続くから、早々にそうできる体制を確立した方がいい。」「依存しがちな対象とは、ー定の物理的距離を取ることは有効策。」
空「…。」ジーッ
空はステラをジーッと見つめる。
ステラ「…?なに?」
空「いえいえ、ステラさんはもうこのチームがずっと続くと思ってるんだなあって。」シミジミ
ステラ「んっ。」ポッ「そのために青蘭カッブで優秀な成績を収める。なにもおかしなことはないはず。なにか問題が?」
図星をつかれて赤面する。
ナイア「まぁまぁステラ、図星つかれて照れるなって。」「このチームでずっとやりたいってのはみんな一緒だろ。だから青蘭カップに挑むんだからさ。」
美海「頑張ってね。紗夜ちゃんたちなら、きっと大丈夫だよ。」
シルト「観客席からいっちばん大きな声で応援するからねー!」
天音「…あれ。」「もしかして、美海先輩たちは青蘭カップに出ないんですか?」
美海「うん。青蘭カップは公式戦じゃないし、最近バトルばっかりだったから今回はお休みしようかなって。」
明日翔「バトル?」
空「バトルばっかり…?あれ、でも黒の世界に短期留学してたんじゃ?」
ソフィーナ「ええ、魔女王直々の誘いでね。」コク「…その時点で警戒するべきだったのよね。」ジト
セニア「そうですね。初対面の時から薄々感じてはいましたが、あそこまで無茶苦茶な人だとは…。」
明日翔「参ったもんだぜ、俺は飛んでもねぇ女に借り作っちまったなぁ。」
空「い、一体なにが…。」
一同「…。」ゲッソリ
一同の顔色が心無しか悪くなる。
美海「何度『明日翔くんにも来てもらえば良かった。』って思ったことか…。」ゲッソリ
空「本当に一体なにがあったんですかー!?」
ソフィーナ「…けど、なんか…まだ終わらない気がするのよね。」
明日翔「何をだ?」
ソフィーナ「魔女王のきまぐれよ、まだなにかありそうな気がするわ。」
明日翔「そいつぁ…魔女の勘ってやつか。」
ソフィーナ「ええ、勘よ。当たらないことを祈りなさい。」
明日翔「ほほほ、ちげぇねぇな。」
~放課後·空き教室~
放課後、青蘭カップの作戦会議を行うこととする。どこで誰が聞いているかわかんねぇからよ?カフェテリアじゃなくて空き教室でやることにした。
天音「それじゃ、出場も決まったし…青蘭カップのおさらいからね。空、お願いしてもいい?」
空「はい、ブルーミングバトルのことであれば、お任せくださいっ。」「青蘭カップは予選と本戦に分かれている非公式戦です。参加条件がないので、仲良し同士で組む人たちも多くて、参加チームがとにかく多いのが特徴ですね。」
ナイア「てなると…予選が長丁場になりそうだなぁ。ふーむ、日程は一週間くらい?」
空「いえ、2日です。本戦を含めて。」
ナイア「ふつかぁ!?」ビックリ「参加チームがめっちゃくちゃ多いんだろ?どーやって絞るのさ?」
紗夜「ナイア、レギュレーション読んでないんだね…。」ガックリ
ナイア「いやぁ~…空だけじゃなくてどうせ天音とか紗夜が読み込んでるだろうなって思って。」
紗夜「ああ…。」「…予選はバトルロワイヤル。各ブロックで クで残ったチームだけが、本戦に進めるの。」
エルエル「え~またバトルロワイヤル~?]
紗夜「エルエルも読んでなかったんだね…。」ガックリ
エルエル「え、えへへ…バトルの練習ばっかりしてたから。」
ナイア「でもさ、どこでやるの?それだけの数のバトルをするなら、アリーナだけじゃ足りないだろ?」
空「予選の会場は、新入生交流プログラムを行ったあの無人島です。」
ナイア「おっ、マジ?ラッキーじゃーん、地の利もあるし、またコソコソ隠れて漁夫を狙えば…。」
空「実は、そうは問屋が卸さない…ってやつです。」「バトルロワイヤルと言っても、フィールドは島全域じゃなくて、ほんの一角なんですよ。」バサリ
そう言って空は、青蘭カップの資料の中にある無人島の地図をばさりと広げた。そこには、各予選会場となるフィールドの範囲が赤枠で表示されている。
紗夜「最初は見えなくても少し移動したらすぐバッタリ会っちゃうくらいの距離だよね…これ。
アルマリア「ということは、乱戦になる可能性が高いですね。」
空「はい。新入生交流プログラムと違う点は、チームの誰かが最後まで生き残ればいい、というところですね。」
天音「んー、ということは複数チームに狙われてピンチになったら、誰かを逃がすのも手かな?」
空「そうですね。このチームはエルエルさんとステラさんが飛行できますし、ありだと思います。」
空「特にステラさんなら、逃げに徹すれば捕捉できる人はまずいないです。」
ステラ「当然だね。じゃあ、ずっと自分が飛んでいたらいい?」
紗夜「よくない。ステラがいなかったらチームの戦力自体が下がっちゃうでしょ。あくまでピンチの時だって。」
ステラ「今のリーダーは天音、もうリーダーじゃない紗夜の指示には従えない。」
紗夜「むぅっ!…こういうときだけ…!」
明日翔「まぁまぁ落ち着きなさんなって。」「天音、お前は大丈夫か?」
天音「ほえっ?」
アルマリア「初の実戦がバトルロワイヤルなんて変則的な戦いになってしまいますけど。」
天音「…うーんと…正直に言うとね、緊張してる。紗夜みたいにバシバシ決めたりって、多分できないし…今のステラを逃がす判断だって、とっさにできるか、自信ないんだ。」「それだけじゃなくて、本番はみんなにいっぱい助けてもらうかも。」「こんなリーダーだけど…それでもいいかな?」
天音は自信がなさそうだ。
紗夜「いいんじゃないかな。私とは違うやり方でも。このチームはみんな自分で考えられるし。」
ナイア「そうそう、こっちでイイ感じに判断するから…全体だけちゃんと見てくれればオッケーでしょ。」
アルマリア「天音さんがサポートしてくれて、ワタシたちもサポートする。そういう形というわけですね。」
ステラ「同意。そもそもチーム天音の体制を試すために、自分たちは青蘭カップに参加している。」
ナイア「ま、最悪たいちょーがなんとかできるし。肩の力抜けばいいさ。」
明日翔「んぁ?出番ねぇと思ったら俺かい。」
天音「明日翔先輩も、頼むね。」
エルエル「うん!天音ちゃんも自分のやってみたいこと、やってみてよ!楽しんでこー!」
~その後~
アルマリア「明日翔さん、ありがとうございました。」
対策会議の後、アルマリアに呼び止められ、いきなりお礼を言われた。
明日翔「んぁ?何の話だ?」
アルマリア「む…その顔、ピンと来ていませんね?」
明日翔「ご生憎様な、こまけぇことが最近よく覚えらんねぇんだ。」
アルマリア「上位個体との戦いの時、血を吸わせてもらったでしょう?それなのにワタシ、ちゃんとアナタにお礼も言っていなくて…。」
明日翔「血ィ?…あぁ!思い出したぜ。」
そういやそうだった、しれーっと血を抜かれたようなそうでないような。
アルマリア「アナタがいたから、ワタシたちは誰も失わずに、ここまでやってこれたんです。」「5月になってすぐの解散騒動…なんとかなったと思ったらまた解散の危機…大変なことばかりでした。自分のことだけなら、なんとかなりますのに…。」「チームの事でこんなにヤキモキする日がくるなんて、思いもしませんでして。」
明日翔「ま、濃密な数週間で距離も縮まったんじゃねぇか?」「大なり小なり自分の意識が変わってったって事ヨ、ただのチームメンバーから少なくとも友達以上にな。」
アルマリア「ふふ、チームのみんなが大事な存在だと気づけたのは、きっとアナタがいたからでしょうね。」
明日翔「ま、俺様も仕事するときは人を使うからな。あいつらとはなげぇ付き合いになるといいな。」
アルマリア「アナタがいてくれたから、このチームはこれからも続くことができる。」「アナタがいなければ、このチームはずっとバラバラのままだったでしょう。みんな自分が正しい、自分の考えをわかってほしい…って、相手に変わることばかり求めていましたから。」
明日翔「歩みよりってやつよ、人間だけじゃねぇ神も悪魔も悩む問題だぜ。」
アルマリア「ふふ、エルエルさんのエールフレンドの力を取り戻す手助けをしてくれたときから…ワタシたちは明日翔さんにお世話になりっぱなしですね。」「青蘭カップでは、ぜひアナタに優勝をプレゼントしたいところです。」
明日翔「ま、せいぜい期待してるぜ。」「で、お前どうすんだ?青蘭カップは血無しでやんのかよ?」
アルマリア「あれはあくまで緊急事態だったからです。」「精妙な操作よりも、パワーが必要な場面だったからそうしただけで…ワタシは血液操作を極めて、吸血をしなくても強く在りたいんです。」「吸血鬼としての強さでなく、アルマリアという個としての強さを磨いていきたい。名家の生まれでもなく、たった一代で魔女王の右腕となった、ソフィーナ先輩のように。」
へぇ、あいつ才能派かと思いきや文句無しのガッチガチの叩き上げだったのか。ミルドレッドもみる目があったってこったか。
アルマは種族としてじゃなくて一人のプログレスとして強くありたい、ということだろうな。紗夜の成長や、軍師みてぇな強力な個人がチームにいるのだから、そう思うのも自然なことだ。
明日翔「しっかしわかんねぇな。だとして、もう血吸わねぇのか?種族の特権、ゲームで言うとこの固有スキルみてぇなもんだろ?」
アルマリア「そういうわけじゃありません。あくまでプログレスとして戦うのであれば、吸血に頼りたくない、という意味です。」「それにその、吸血はですね、力が増すだけではなくて…その…クセになってしまいそうで。」
明日翔「癖ねぇ。」
格闘技でステロイド使っちまったら一生抜け出せずにステロイドを打ち続けちまうようなもんか?
アルマリア「あまり頼りたくないんです。お恥ずかしい話ですが…どうなってしまうかわかりませんから。」「ですが、上位個体のような相手であれば別です。チームのみんなとワタシのプライドなんて比べるまでもありません。ですから、そういうときは…。」
明日翔「ま、そんときはそんときだ。血液パックでも用意してお前に渡しとくさ。」「どうも首に跡がつくのが好きじゃなくてな。」
アルマリア「ふふ…そんなアナタだからワタシは、アナタの血なら吸ってもいい、と思ったのかもしれませんね。」
~5月25日·夜~
いつも通り有象無象のウロボロスを倒して、寮の部屋で銃のメンテナンスをしていると電話がかかってきた。相手は…紗夜だ。
テッテレッテーテッテッテーテッテレッテーテッテッテーピッ
紗夜「もしもし、夜にごめん。今って大丈夫?」
明日翔「お電話ありがとうございます、俺様明日翔様でございますターラーララーテーラーレラまたのお電話お待ちしておりますタララーレーラレーラ。」
紗夜「そうやってボケてるときは大丈夫な時だからこのまま話すね。」シカト
明日翔「おいおい、俺のボケは無視かよ。」「で、どした?眠れなくて寝かせてくださいよ電話か?」
紗夜「違うよ、今時そんなことする人なんていないよ。」「…私がリーダーやってる時、ずっと支えてくれてありがとう。こっちのお礼は、ちゃんと言ってなかったなって思って。」
明日翔「あらまぁ律儀なこって。」「それが俺のお仕事だったからってばよ、礼を言われるようなことじゃあねぇさ。」
紗夜「リーダーだからみんなを引っ張らなきゃって思ってたんだけど…ずっと不安だったんだ。」「アルマは才能の塊だし…エルエルのエクシー ドは規格外だし…ナイアもステラもその気になったら、得意分野じゃ誰も敵わないくらいのプログレス。」「そんなメンバーがいるチームのリーダーが私でいいのかって不安で、それを隠すために強がってた。みんなもそれを感じてて、だから本音とかやりたいことも言ってくれなくて。」「そんな時に、明日先輩が来て支えてくれたから、ここまでやってこれた。結果的に、私はリーダーじゃなくなったけど…無駄じゃなかったって思えてる。それも、先輩と一緒にチームと向き合ったおかげだと思うんだ。」
明日翔「あらそう?俺がいた時間が有意義であったんなら、いた意味があったのかもな。」
紗夜「そう、その有意義な時間をくれたお礼。」「あとそれと…。」
明日翔「おぉん、まだなんかあるか?」
紗夜「明日翔先輩がαドライバーなのは青蘭カップまでだってわかってるけど…新しいリーダーのことも、私の時みたいに支えてあげてほしい。」
明日翔「ああ、天音のことか?」
紗夜「うん。天音ってしっかりしてるように見えて…ちょっとへ夕れちゃうところもあるから。」「幸い天音もすごく信頼を寄せてるみたいだし…お願い。」
明日翔「ああ、やれることはやるさ。」「俺の助けはもう要らねぇと思うっけどもよ。」
紗夜「話はそれだけ、おやすみ。」
ピッツーツーツー
~ちょっと経った後~
テッテレッテーテッテッテーテッテレッテーテッテッテーピッ
またしても電話がきた、相手は…噂をすればだ。
明日翔「お電話いただきありがとうございまターラーララーテーラーレラ営業時間外につき留守番電話をどうぞタララーレーラレーラ。」
天音「え?ええっ?」「えーと、彩城天音です。明日翔先輩に にご相談があってお電話差し上げました。夜分にすみません、のちほど用件をメッセージでお送りしておきますので、何卒ご確認を一。」
明日翔「冗談だよ、真に受けんなって真に。」
天音「えっ。」「もう!明日翔先輩!びっくりさせないでよー!」プンスカ
明日翔「そうカリカリすんなって、ちょいからかっただけよ。」
天音「はあ…。」ガックリ「相談っていうのは、リーダーの心得みたいなものがあったら聞きたくって。」
明日翔「んぁ、リーダーの心得だぁ?」
天音「わたし、予選は絶対に突破したいんです。わたしがリーダーでいいって言ってくれたみんなのために…!」「だから明日翔先輩、お願いします!」
覚悟と資質は十分にあるらしいな。
明日翔「リーダーの心得か、考えたこともねぇな。」
天音「えっそうなの?」「ちょっと前に裏山で囲まれたとき完璧な作戦で手も足も出せなかったけど…ほんとになにも?」
明日翔「なーんにも?強いて言うならほんのちったぁ作戦考えたかなぁくらいのもんさ。」「城流や歌右衛門とは付き合いも長いもんでな、目配せひとつでどうとでもなるってもんよ。」
天音「へ、へぇ…。」メカラウロコ
明日翔「3人が全員同じ方向を向いてねぇからよ、その点天音のチームはおんなじ方向向けてていいんじゃねぇか?」「俺達が同じ方向を向くときはお宝があるときだけだからってばよ。」
天音「そう…なんだ。」
明日翔「解答にならなくて悪かったな。けどまぁ、1個言うとしたらな…。」「ここぞと言うときに行動に移せるのが、リーダーなのかもな。」
~しばらくして~
寝る前にたばこを嗜む、いつもの公園の海辺のポジションにいると来客が来た。
ソフィーナ「あら、こんな時間にまたおたばこ?肺に悪いわよ。」
明日翔「おめぇこそ、こんな時間に起きてたら寝不足だぜ?」「それに、副流煙で受動喫煙になるぞ。」
ソフィーナ「貴方に言われたくはないわね。」ジト「で、どうなの?青蘭カップは。」
明日翔「どうだろうっかね、現状俺抜きだと五分ってところか?」
ソフィーナ「あら、ずいぶん低く見積もるじゃない。いつもなら『俺がみてきたこいつらなら行ける~。』みたいなこと言うのかと思ったわ。」
明日翔「最初んころと状況が大分違うっかんな、紗夜のぱっぱぱっぱの動きと違ってどうもまごつくフシがある。」「けど、皆同じ方向を向き続けれられてんだ。やれると思うぜ?」
ソフィーナ「そう…で。」「貴方は貴方で悩みがありそうね?」
明日翔「悩みってほどのもんじゃないさ、指導方針でちょいとな?」「リーダーってのはなんなんだろうな。」
ソフィーナ「リーダー…?貴方がいつもやってることじゃない、なにを今さら。」
明日翔「いやぁよ?俺もなげぇこと泥棒してきたし、修羅場も潜ってきたがリーダーとして泥棒してきた自覚がねぇ。自然とそれをするポジションになってた…が正しいのかもしんねぇな。」
ソフィーナ「つまり、1人でやってた仕事が気がついたら3人に増え今では何人も増えたってわけ?」
明日翔「ご名答、さすがは次期魔女王にふさわしい解答だ。」「せっかくだからお前に聞いとくか、リーダーってなんなんだろうな。いずれトップを統べる黒魔女さんはどう思う?」
ソフィーナ「うーん…。これは私がミルドレッドの元につく理由にもなるけれど…一言で言えば『好きだから』じゃないかしら。」「ミルドレッドが荒れた黒の世界を1代で平定したって話は覚えてるかしら?」
明日翔「…あぁ、そういえば先月言ってたような言ってなかったような。」
ソフィーナ「種族間で争いの絶えなかった黒の世界を平定し、様々な文化を産んだ。私はそんな黒の世界を愛しているしそれを産み出したミルドレッドを尊敬している。」「そんな指導者に、私はなりたい。」
明日翔「…。」
ソフィーナ「『好き』にも色々あるでしょう?恋愛、敬愛、友好…。抱く感情はどうあれ指導者は『好き』になり続けられることじゃないかしらね。」
明日翔「『好き』になり続けられるか、なるほどな。俺にはなかった考えだよ。」
ソフィーナ「誤解を恐れずに言うと、私は貴方が好きよ。『敬愛』という意味合いでね。」「だから、貴方のために協力するし知恵も貸すわ。何より、恩人だもの。」
明日翔「ほほほ、お褒めの言葉ありがとうって言っとくよ。」
ソフィーナ「じゃあ一つ聞いていいかしら?」「貴方はなぜ泥棒をしているの?」
明日翔「何でってお前、面白いからだろうよ。」
ソフィーナ「違う、それは続ける動機でしょ?私が言いたいのは泥棒を始めた理由よ。金がないとかなら普通のコソ泥だけれど…貴方は違う、貴方は夢をために、世界の全てを盗むために泥棒をしていると言った。」「世界を獲る方法なんて政治家にでもなればいい、むしろその方がよっぽど早いように感じるわ。」「盗むという手段に固執する理由はなに?」
明日翔「あ~…難しいことを聞いてくれちゃって。」「そうさねぇ~…。」
明日翔はしばらく考え込んだ、そして答えを出す。
明日翔「…わかんねぇ!」「実を言うと俺もよくわかんねぇんだ。俺は物心つく頃からの泥棒でよ?全うに生きるって選択がハナから無かったんだ。国の責任背負わされるなんてまっぴらごめんってやつよ。」
ソフィーナ「…はぁ~。」ガックリ「全く、貴方は骨の髄まで泥棒なのね。」
明日翔「そゆこと。」
ソフィーナ「まぁある意味、自分に忠実で見えてる景色があるからこそ仲間がついてくるわけね。」「自分勝手だけど、勝手な人間が集まることで結束力が高まるなんて不思議な話だわ。」
明日翔「まぁな、あいつらはあいつらの生き方があんのよ。俺はその生き方のほんのスパイスを加えてるだけなのさ。俺が先頭にいるのはたまたまってやつよ。」
ソフィーナ「ほんのスパイスにしては、大分刺激のあるスパイスね。舌がバカになりそうだわ。」
明日翔「おっほほほ、最高級品の岩塩よりも辛いぜ?」
雑談に花を咲かせ、寮に戻る最中…。
ソフィーナ「…ふと思うのだけど、悪いことをして飲むお酒って美味しいのかしら?」
明日翔「最高に美味いぜ?城流にでも聞いてみればいいじゃねぇか。ウイスキーもバーボンもアイツはイケる口だかんよ。」
ソフィーナ「飲みたいとは一言も言ってないわよ…。」ガックリ
リーダーとは、『好かれる』ことである。
5月も大詰め、青蘭カップの本番もあってバケモノ退治の話もしなきゃならねぇ、やることが多いぜまったくよ?
天音たち!最後の仕上げだぜ?
次回「最後の練習、明日翔に迫る影。」
ぶぇっくし!…誰かが俺の噂をしてやがるな?
おっと、また会おうぜ?