怪盗紳士明日翔   作:どこかにいる一般人

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退学勧告は突然に

~4月3日·朝·青空寮·自分の部屋~

 

明日翔「ど~れにしようかなこれ、どれも俺に似合うジャケットだ。」

 

俺は少し早く目覚め新歓パーティの準備をしている。聞けば制服は着なくても襟章をつければ見逃されると聞いたので、着るジャケットを選ぶ。

 

コンコン

 

空「先輩っ、朝ですよ~!ってもう起きてたんですね!おはようございます。」

 

明日翔「おはよう空、早いな。目の下のクマすごいことになってるぜ?」

 

空の目の下はわかるぐらいのクマができている。

 

空「実は私、憧れのプログレスの皆さんに会えると思うと緊張してしまって…」「なので先輩!パーティの開催時間まで私とおしゃべりしてください!」

 

明日翔「構わねぇぜ。じゃあよぉ空、今日着ようとしてるジャケット。どれがいいかな?」

 

候補は「赤」「青」「緑」の3つだ。ネクタイとシャツもそれに会わせて揃えてある。

 

空「いいですね!でも、制服じゃダメなんですか?」

 

明日翔「バ~カお前、パーティなんだぜ?せっかく制服を着なくても見逃してくれる機会だ。俺もおめかししようと思ってな~?」

 

空「なるほど!…そうですね、華やかさ重視で赤なんていかがですか?パーティにふさわしいと思いますっ!」

 

明日翔「サンキュー。」ゴソゴソ「どうよ?似合ってるだろ?」

 

空「おおっ。大分印象違いますね!赤が明日翔さんの情熱的な姿をイメージさせてくれますっ。」「…にしてうも年齢以上にファンションセンスがその…おじさ」

 

明日翔「う~るせぇ、大人ってことだよ。」「さて、そろそろ下に降りてもいいんじゃないか?朝飯にしよう。」

 

空「はいっ。」

 

~リビング~

 

明日翔「おはようさんさん、太陽さん。なんちゃってな。」

 

空「ソフィーナさん。おはようございます。」

 

ソフィーナ「あら、休日なのに二人とも早起きね。………って、空。貴女その目の下のクマどうしたの?」

 

空「えへへっ…実は今日のパーティが楽しみでほとんど眠れませんでした。」

 

ソフィーナ「ふふ、まったく本末転倒ね。寝不足で粗相のないよう気を付けなさい。」「あと明日翔、その挨拶は何?面白くないわよ。」

 

明日翔「おほほほ、手厳しい。」

 

ソフィーナ「でも、そのジャケット似合ってるわよ。襟章は忘れないように。」「あと………貴方に手紙が届いてたわよ。」

 

そういうと一枚の大きい封筒を渡される。

 

明日翔「なんだぁこれ?宛先は…学園から?そんなん直接渡せば済む話じゃないの。」ビリッパサッ

 

封筒を開けると空が横から見てきた。

 

空「何ですか~?何が書いてあるんでしょう。」

 

明日翔「えーっとなになに。『後藤明日翔、退学勧告』」「え、な、な、なにィ!?」

 

空「えーーーーっ!?」「ど、どどどどど、どういうことですか!?」

 

リビングの机にバンと書類を置き内容を読む。

 

明日翔「えー『後藤明日翔、貴殿は入学の要件を満たせておらず編入か認められませんでした。よって退学を勧告致します。期限は1ヶ月、お忙しい事とは存じますが何卒よろしくお願い致します。』は~ぁ!?」

 

ソフィーナ「貴方、スカウトされてここに来たんでしょう?後から何か見つかったのかしら。」

 

空「ソフィーナさん、こんなことってあるんですか?」

 

ソフィーナ「聞いたことないわね。」

 

空「このままだと先輩はいなくなっちゃうってことですか?そもそも入学の用件って…。」

 

ソフィーナ「今日の新歓パーティーには、学園のトップである生徒会長もくるはずよ。」「彼女に直接聞いてみましょう。」

 

空「大丈夫ですよ!先輩!例えそれがどんな理由でも、私は抗議します!」

 

ソフィーナ「きっと何かの間違いだと思うけど………。」

 

俺が退学…?ドンパチは起こしはしたが俺とは感づかれてないはず、調べる必要があるな…。

 

話をしていたら美海が起きてきた。

 

美海「ふぁ~…。おはよぉ~…。あれぇ~みんなはやいねぇ~

。どおしたのぉ?」「あ、そっか。きょうはしんかんぱーてぃかぁ、たのしみだねぇ~。ふぁ~…むにゃむにゃ。」

寝ぼけてるらしい。

 

ソフィーナ「貴女は相変わらず呑気ねぇ…。」

 

俺たちは足早に学園に移動する。ここからはしばらく単独行動だ。

 

~青空学園~

 

学園にやってきた。すると城琉が待っていた。いいこと思い付いた。

 

城琉「よぉ、明日翔。昨日ぶりだな。…あのアンドロイドのねぇちゃんは?」

 

明日翔「おはよう城琉っちゃん。実は彼女は少し要り用で不在なのよ。」「そんなことよりカフェテリアでもいかねぇか?話があるんだ。」

 

城琉「なんだ気持ち悪い。それにカフェテリアは閉まってるんじゃ」

 

明日翔「わーわーわーわーわー!!!!そっかありがとな!すぐにいこう!!!!」「というわけで、俺はこのお兄さんとお話ししてくるからよぉ、先にいっててくれ!!!!さぁさぁいったいった!」

 

城琉「あ!おい!」

 

俺は城琉の背中を押してその場を去る。

 

一同「……………?。」

 

~校舎内~

 

城琉「……あぁ?退学勧告だって?」

 

明日翔「そうなのよ、今朝書類が届いてよ。そう書いてあった。」

 

城琉「成る程。んで、俺をわざわざ二人だけにしたってことはなにかしでかす気だな?」

 

明日翔「ご名答、流石城琉ちゃん。いっちょ調べにいくのよ。」

 

城琉「ほう、だがしかしアテはあるのか?こんなバカでかい学園の中、情報無しに探してたら日が暮れちまう。」

 

明日翔「大体検討はついてる。ま、ついてきなって」

 

~資料室~

 

城琉「ここは資料室か」

 

明日翔「そう、俺たちの住む地球や他世界の歴史に。エクシードの種類やリンクの基礎…ま、この島に住むにあたって必要な資料が全部あるところさ。」「だが、本命はもっと奥。あれさ。」

 

俺はそこを指差していった。

 

城琉「あれは…関係者以外立入禁止の扉だ。」

 

明日翔「ああ、あそこは生徒会とかそのへんしか入れない特殊な資料室さ。いわば学園の機密情報なんかがここには保管されてる。」「たまたまこの学園の探索をしてたときに風紀委員がたまたまここに入っていくのを見た。」

 

城琉「成る程。しかしどうやって入ろうか。見る限りだとカードキーとパスワードが必要なようだぜ。」「もちろん、作戦があるんだな?」ニヤリ

 

明日翔「そらもちろん。俺たちは泥棒だぜ?」グッ

 

サムズアップに城琉は不適な笑みを浮かべた。

 

~廊下~

 

風紀委員A「今日は新歓パーティー!有名な先輩たちが一同集まる日!見回りを強化します!」

 

風紀委員B「こんなところに入る不審者なんていないと思うけど…。」

 

明日翔「あーっ!ちょうどいいところに!お嬢さんたち風紀委員?」

 

俺は見回り中の二人に声をかける。

 

風紀委員A「はいっ!貴方は編入生の後藤明日翔先輩ですね!うわさわかねがね聞いております!」

 

明日翔「あ、そうなの?有名なのは罪ね。実は~ねぇ、体育館の場所がわかんなくなっちゃったの。案内してもらってもいい?」

 

風紀委員A「はい!では、着いてきてください!すぐそこで…」

 

彼女二人は俺を案内しようとして、先導しようと前に出た。その瞬間

 

パァァァァァァン!!!

 

急に甲高い爆発音が鳴り響いた。外だ。

 

明日翔「なんだぁ!?どっからだ!?」キョロキョロ

 

風紀委員B「中庭の方から、いくよ!」

 

風紀委員A「うん!明日翔先輩、体育館はこの通路をまっすぐいった突き当たりの右の階段を降りて外に出れば入れます!今度お話聞かせてください!では!」

 

彼女たちは走り去った。その時彼女たちは何かを落として行ってしまった。

 

明日翔「ごめんな。場所は全部把握してんのよ。」

 

俺はその『落とし物』を拾った。カードキーだ。

 

城琉「うまくいったな。明日翔。」

 

影から城琉が出てきた。

 

城琉「1年で風紀委員に入るような真面目さを利用してかんしゃく玉で音をならして気を取られている隙に腰にくっついていたカードキーの留め具を外すなんてな。」

 

~つまりこういうこと~

 

風紀委員A「はい!では、着いてきてください!すぐそこで…」

 

この風紀委員が全員背を向けたタイミングでかんしゃく玉が鳴る。

 

パァァァァァン!

 

この瞬間に二人の腰の留め具をパチッと外したわけだ。あとは適当に俺もビックリしたふりをして走って現場に向かった際に落としたカードをまんまと俺が拾ったわけだ。

 

~解説終わり~

 

明日翔「仕事熱心なのはいいことなんだけどよぉ、こんな重要なものを腰にぶら下げるなんざ隙だらけもいいことよ。」

 

城琉「しかしこうもうまく行くとは、プログレスとはいえやはり人間らしい。」

 

明日翔「人聞きの悪いこと言うなよ。俺たちは落とし物を拾っただけの善人よ?ただ、ちょいと借りるだけさ。あとで返せば感謝もされる。何て良い人なんでしょうか。」

 

城琉「へっ!いい性格してやがるぜ。」「さぁ、気がつかれないうちにとっとと調べよう。気がついちまうぜ。」

 

俺たちは足早に資料室に戻り、立ち入り禁止の扉をスススっと開けた。

 

~機密資料室~

 

明日翔「よーし、資料を探そう。」「城琉はあっち、俺はこっちだ。恐らく生徒が絡む情報はここにある。」

 

城琉「ここからは手探りか。」

 

俺たちは資料を漁り始める。

 

~一方その頃~

 

壊れたお掃除ロボット「ヒゴロノウラミ!ケラレタウラミ!」

 

そう言って何かを投げる動作をしている。

 

風紀委員A「…ロボットが壊れてる。」

 

風紀委員B「きっと誰かが蹴っ飛ばしたのね。品がないなぁ。」

 

壊れたお掃除ロボット「ニンゲンニウラミ!ロウニンギョウニスル!」

 

~場面は戻り機密資料室~

 

明日翔「………こいつの退学理由は生徒に対する風紀を乱したため。こいつは…?編入試験に不合格のため…」「編入試験?」

 

城琉「どうだ?明日翔、なんか見つかったか?」

 

明日翔「城琉、お前ここに来る前に編入試験なんてやったか?」

 

城琉「ああ、入学式があったその日にやらされた。俺は間に合わなかったからな。」「もしかしてお前、やってないのか?」

 

明日翔「それどころか存在すら知らなかった。知ってたらそんなへましねぇよ。」「今季の入学名簿を探そう、俺の名前を探すんだ。」ゴソゴソ…

 

~数分後~

 

明日翔「あったぁ!えーと…?…健康状態良好・前学校での成績・態度ともに良好・編入試験の合否…空欄だ。」

 

城琉「やはり受けてないみたいだな。お前は黒いスーツの男たちに脅されてきたんだろう?何も聞いてないのか?」

 

明日翔「ぜーんぜん何も。」

 

城琉「そうか…。」「明日翔、これはお前にも伝えておきたい。俺がこの島に来ることになった理由とそいつら、繋がっている可能性がある。」

 

明日翔「何…?」「そいつはいったい全体どういうことだ?」

 

城琉「こいつを、見てくれ。」

 

城琉は緑の世界に関する機密資料と数枚の写真、そして日本の新聞の切りぬきを出してきた。

 

明日翔「こいつは?」

 

城琉「緑の世界の資料だ。どこと紛争してるかとか資源がどうだとか色々書いてあるが俺が注目した部分はここだ。」

 

城琉が開いたページにはグリューネシルト統合軍の各部隊編成がこと細かくかかれており在籍している学生の名前もちらほらとある。

 

城琉「この部隊編成、俺の知ってる情報と違う点があるんだ。」「各部隊の合計人数がこの資料と数が合わねぇ。ざっと…15人くらいか。」「俺はこいつらの正体を追ってる。」

 

明日翔「へぇ。なんかやる気になった理由でもあんのか?こういう面倒事は嫌いだろ?」

 

城琉「ああ、それについてはこの新聞の記事を見てくれ。」

 

新聞の切り抜きを指差した、内容を読む。

 

明日翔「え~『3月某日、暴力団員殺人事件を追っていた刑事が警察署資料にて殺害。事件の概要は都内某所の暴力団員殺人事件の調査を行っていた際後ろから刃物で心臓を貫かれ殺害された。所持品は貴重品類等は残されていたが調査の際に使われた手帳がなくなっていた。犯人は未だ不明』こらまた物騒な事件だなぁ、本当に日本かぁ?」

 

城琉「実はこの事件、暴力団員と書いてあるが実際の被害者は殺し屋だ。ここんとこ殺し屋が行方不明になったり殺害される事件が増えてるらしい。」「刑事さんが生前見ていた資料は例の殺し屋殺害事件の詳細だった。目撃情報がまとまった資料だ。」

 

明日翔「ああ、で?どんな内容が書いてあったんだ?」

 

城琉「黒いスーツ・黒いレインコート・黒いスーツにサングラス、一貫して黒い服装を来た人間を見かけたやつらが多数いた。それがこの写真だ。」「俺はこいつらが怪しいとにらんでいる。」

 

監視カメラからのスクリーンショット4枚の写真を見る。確かに特徴と合致する。その中におかしな写真があった。

 

明日翔「この四枚目の写真のやつ、軍服着てるか?」

 

城琉「明らかに不自然だ。この軍服がリーダーで他3名セットで動いていると俺はにらんでる。」「そしてこの軍服の紋章、見覚えないか?」

 

俺は写真を目を凝らして見てみた。

 

明日翔「グリューネシルト統合軍の紋章だ。別世界の人間が何が目的だ?」

 

城琉「ここからは俺の想像だが…裏組織へのスカウトだ。」「もしグリューネシルト統合軍に裏組織があったとしたら、ある程度想像はつく。」「殺された殺し屋も大方断って殺されたってことだろう。」

 

明日翔「そして刑事はその事実に気がつき口を塞がれた…。」

 

城琉「あくまで、想像だ。だが、もし裏組織があるとすればこの資料と俺の知ってる情報で人数が会わないのも納得できる。」「行方不明のやつは今ごろ裏組織所属ってところだろうな。」

 

明日翔「まぁ筋は通るな…。にしてもなんでこんなめんどくさい裏組織の正体なんて暴こうとしてんだ?」

 

城琉「約束したのさ。」「刑事さんの奥さんとせがれにな。」「お前をこの島につれてきた連中。もしかしたらこいつらの可能性がある、もしかしたら狙われる身になるかもしれない。だからお前には伝えた。」

 

明日翔「なるほどな。ご忠告どうも、でも俺は泥棒だ。どこにもいかねぇし捕まったとしても逃げる。お前もわかってんだろ?」ニヤリ

 

城琉「もちろんさ。」「まぁ真相がわかるのは先の話だ、この話は終わりにしよう。」

 

城琉は資料や写真を片付ける。

 

城琉「ところで、お前の退学勧告の話だ。忘れてないよな?」

 

明日翔「ああ、すっかり忘れてた。」「でもよぉここでも手がかりなしだぜ?どうすっか…。」

 

ここで俺はある言葉を思い出す。

 

~朝の記憶~

 

ソフィーナ「今日の新歓パーティーには、学園のトップである生徒会長もくるはずよ。」「彼女に直接聞いてみましょう。」

 

~現実~

 

明日翔「いや、もうひとつ。アテがあることに気がついたぜ。」「城琉、生徒会長とその回りの人間を洗うんだ。」

 

城琉「ほぉ。何か考えがあるんだな?」

 

明日翔「まぁ見てなさいって。」

 

ガサゴソ…ガサゴソ…

 

~三十分後・青空学園中庭~

 

風紀委員A「えーっと、報告書はこれで以上、と。」

 

風紀委員B「じゃあ、見回りに戻りましょう。」

 

明日翔「みーつけた!探したぜ!お嬢さんたち、『落とし物』だ」。

 

彼女たちが落とした『落とし物』を彼女たちに渡す。そうすると彼女たちは顔が真っ青になり。

 

風紀委員A「はぁぅっ…。ありがとうございますありがとうございます!!!!これを無くしたら何を言われるか…………………!!!!」ペコペコ

 

風紀委員B「ありがとうございます。明日翔先輩、この事はどうか黙っていただけませんか?」ペコペコ

明日翔「いいの、いいの。見つけたのが俺でよかったな。仕事ごくろうさん、がんばれよ!」。

 

俺は彼女たちと別れ城琉と校舎前広場に戻る。

 

~校舎前広場~

 

明日翔「お~ま~た~せ~。」。

 

空「先輩!もう入場始まってますよ!何してたんですか?」

 

明日翔「ちょっと男のお話を、なぁ城琉?」

 

城琉「確かに話しはしたがその気持ち悪い距離感はやめてくれないか?」

ソフィーナ「まったく…退学になってしまうかもしれない人間がこんな…。」

 

美海「仲良しだなぁ…。」

 

~体育館~

 

体育館の中に入場するともう多数のプログレスが集まっていた。

 

空「わぁぁぁぁぁぁ………配信で見たことある人ばかりです!」キラキラ

「ほら!先輩見てください!あそこ!」ビシッ

 

彼女が指を指した先を見ると刀を持ったプログレスが立っている。

 

空「青の世界のエース、御影葵さんです!実力と安定性共に抜群、青の世界を代表するプログレスで美海さんのライバルと言われています!」「注目すべきはなんといってもその剣の腕前!流麗で美しい剣技は、見る人全てを魅了します!」「あぁ!あっちに白の世界のセニアさん!彼女は最新型のアンドロイドさんなのです!」「白の世界でも群を抜いて超高性能といわれてる彼女はまだ公開されてない機能も多いそうです…!!!」「どうですか!?せんぱ…あれ?先輩?せんぱーい!」

 

~体育館、2階~

 

空が興奮して周りが見えないことをいいことに城琉と俺は二階にこっそり移動し、忍び込む。

 

明日翔「おそらく生徒会長の控え室が近くに用意されているはず、その近くに軍服を着た獣人がいるはずだ。」

 

城琉「おい、明日翔。あれじゃないか?」

 

城琉の指差した方向を見ると猫耳に尻尾がある軍服を着た獣人が扉の前に立っていた。様子を見る限り若干気だるそうにしている。

 

明日翔「おっけー、ベストな状態だ。…そーれ」ポイ

 

ビー玉ぐらいの球体を獣人の向こう側に投げる。

 

銃人「んー。何か見えた。確認するー。」ヒ「これはマタタビの匂い。嗅ぎたいけど今は仕事中ー。」「でも…、少し嗅いでてもばれないー。」

 

獣人はその場を立ち去った。

 

明日翔「どうやら、うまくいったようだな。」

 

城琉「訓練された軍人でも、本能には勝てなかったようだな。マタタビに匂い玉にまんまと釣られていった。」

 

明日翔「ナクル・クルルシファー。緑の世界出身の獣人でネコ科の特徴を持つ。もしかしたらと思って用意したが、ネコはネコだったってわけだ。」

俺たちはドアに移動しそれぞれ隠れられるよう左右に立つ。

 

城琉「さて…本命のやっこさんがここにいるわけか。」「悪いな、明日翔。万が一のことがある、手荒にいかせてもらおう。」ジャキッ

 

城琉はマテバを構え臨戦態勢。

 

明日翔「ああ…、いくぜ?」ガチャッ…「誰かいるか?」

 

俺は控え室らしきの扉を開け中を覗いた。しかし誰もいない。

 

城琉「おい、誰もいねえじゃねぇか?」

 

明日翔「あれぇ~?アテが外れちまったか…。」

 

俺は部屋の中に足を踏み入れた、その瞬間城琉は気がついた。

 

城琉「違う!明日翔!こいつぁは罠だ!」

 

明日翔「えぇ?」シュルッ「あぁりゃ~~~~!!」ビヨン

 

俺は片足が天井に吸い付くように浮いてしまい逆さまに宙吊りのようになってしまった。

 

明日翔「ななななんだこりゃぁ!」

 

城琉「けっ!バレてたのか!」ジャキッ

 

城琉はマテバを正面に構える。そしたらマテバが空中に浮上し天井に浮いてしまった。

 

城琉「あぁ!?…俺の銃が浮いている。」「…いや、吊られてるのか。」「明日翔、これは糸だ。俺たちはまんまと誘い込まれちまったらしい。」

 

よく見るととても細い糸が俺の足を引き上げて宙吊りにしている。城琉のマテバも糸に引っ掛かってつられている。それに気がついたとき、一人の女性の姿が見えた。

 

???「全く怖いなぁ。男の子二人が女性の部屋に入るなんて。」「やましいことを考えていたのかな?」

 

彼女は部屋に入り俺の目の前に来る。

 

???「私に何の用かな?」「密偵?それとも…ストーカー?それとも…襲いに来た?」「何を企んでいたか、教えてくれるかな?」

 

感じたことのない圧だ、俺が普通の人間だったら失神していただろう。

 

明日翔「俺が退学勧告された理由を聞きにな?あんたらだろ?俺にあんな書類を送ってきたの。」「俺は明日翔、αドライバーだ。」

 

???「知ってるよ。来ると思ってた。今、糸を消すね。」

 

パッと糸が消える。

 

城琉「おっと………。」キャッチ

 

明日翔「あらぁ~!!グエ」ズシャァァン

 

城琉はマテバをキャッチし俺は首から床に落ちる。

 

ミコト「もう調べてると思うけど、改めて。青蘭学園で生徒会長をしている、ヒメガミノミコトだよ。よろしくね。」「話題の編入αドライバー後藤明日翔君に…相棒リュウセン・ジョウル君、だね?」

 

城琉「名前まで把握されてたか、元から俺たちに勝ち目はなかったってことだ。」

 

ミコト「ふふ。作戦は悪くなかったよ、ナクルをマタタビでおびきだして私一人になったところを狙う。密偵でも考えないよ。」「でも、私のエクシードの前では失敗だったね。」

 

明日翔「いででででで…。どっから気がついた?」

 

ミコト「この階に来たときからだよ、ふと見たとき2本の『縁(えにし)』が見えたんだ。それが私のエクシード。」「敵意がないのはわかってたけどどう来るのか気になっちゃって。」

 

ふふっと彼女は笑った。

 

城琉「で?生徒会長さん、こいつが退学になる理由はなんだ?相応のわけがあるんだろ?」

 

ミコト「それは、後で話すよ。」「それを知りたがってる人たちもいるでしょう?少なくとも明日翔くんから3本の『縁』が見えるな。」「ナクルはあとでつれてくるから、先に戻っててね。」「今日のことは秘密にしておくから、楽しかったし。」

 

明日翔「わかりましたよ…城琉、戻るか。」

 

ミコト「ああ、それと…」「君のジャケット、すごく似合ってるよ。」ニコッ

 

明日翔「お褒めに預かり光栄だよ。」

 

そう言って俺たちはその場を後にした。

 

~体育館~

 

空「先輩!どこにいってたんですか!。」プンプン

 

ソフィーナ「そうよ、明日翔。もうすぐ生徒会長が到着する時間よ。」「このままじゃ貴方、退学になっちゃうんだから。」

 

空「でも生徒会長の席にはまだいらっしゃいませんね?生徒会長さんはどこに…」

 

???「呼んだ?」

 

空の後ろに現れた。ミコトだ。

 

空「な…な…。」

 

ミコト「ごめんごめん、驚かせちゃったかな。そんなつもりはなかったんだけど。」チラッ

 

俺の事を一瞬チラッと見た。話を合わせろということだろう。

 

ミコト「そういえば、ちゃんと挨拶をしていなかったっけ。」「改めて、青蘭学園の生徒会長をしているヒメガミノミコトだよ。よろしくね、」

 

明日翔「直接ご挨拶いただけるとは光栄だ。俺は明日翔、αドライバーだ。」

 

ソフィーナ「挨拶なんてどうでもいいわ。それより生徒会長、この通知はどういうこと?」「編入が終わってからの退学勧告なんて、強引にもほどがあるんじゃない?」バンバン

 

書類を前に提示しバンバンと叩く。

 

ミコト「ああ、それ?」チラッ「うーん、それは私も本意ではないんだけどね。」

 

また俺の事をチラッとみてきた。これから話すということか。

 

ナクル「では、それは私から説明しまするー。」

 

ナクルだ。さっきとは状況が違うから話は聞こう。

 

空「先輩、この人はナクル・クルルシファーさんです。生徒会の書記を務めている方です。」「本来は緑の世界の軍人さんだそうですから、きっと怖い方に違いいりません……!」

 

ナクル「これこれ、勝手な偏見はやめなされー。」

 

美海「ナクルちゃん、ちゃんと説明してくれる?何かの間違いじゃないの?」

 

ナクル「彼の退学勧告については入念に調査して、正式な手続きをふんだものー。」「もちろん、嫌がらせでも勘違いでもないのでその点はご安心めされいー。」

 

ソフィーナ「勘違いじゃないというのなら、なおさら安心も納得もできないわね。」「どんな正当な理由があるのか、ちゃんと聞くまで引き下がれないわ。」

 

ミコト「へぇ…珍しい。ソフィーナがそこまで入れ込むなんて。」「ふふふ、

よほど彼を気に入ってるんだね。」ニヤニヤ

 

ソフィーナ「貴女急に何を言い出すの!?」

 

明日翔「俺の事をこんなに気にかけてくれるなんて…俺感動しちまったぜ。ソフィーナ、お前の事尊敬するぜ。」

 

ソフィーナ「コホン、いい心がけね。相手を敬うのは尊敬される立場としてうれしいことよ。」

 

ミコト「なるほど、気にいっているのはソフィーナの側だけじゃないってことか。」「明日翔くんも隅に置けないね。」ニヤニヤ

 

ソフィーナ「…人の話、ちゃんと聞いてもらいるかしら。」ゴゴゴゴ

 

明日翔「まあまあ、落ち着けってソフィーナ」

 

ミコト「あはは、ごめんごめん。ついからかいたくなっちゃって。」「怖い怖い、話を戻そうか。彼の退学について正当な理由を知りたいんだね?」

 

ソフィーナ「どんな理由でも退学になる理由があるとは思えないけどね。」

 

ナクル「明日翔は、編入試験を受けていないー。つまり、正規のαドライバーではないのだー。」

 

やはり、というか調べた通り。編入試験を受けていなかったのが原因だったようだ。考え事をしていたらソフィーナが目の前にいて叫ぶように質問された。

 

ソフィーナ「ちょっと明日翔!貴方、編入試験を受けてないって本当なの!?」

 

明日翔「ど、どうやらそのようでしてね。知らなかったというか、あはははは」

 

ソフィーナ「笑っている場合!?」ボカーン

 

空「せ、先輩が裏口入学だなんて…」

 

ミコト「そういうわけで、彼は正式に青蘭学園に席を置いているとは言い難い状況なんだよね。」

 

ソフィーナ「でも彼がαドライバーであることに疑いはないわ。私たちは、この目で確かに見たのよ?」

 

ミコト「うん、噂はかねがね。だから私としても困っているんだよ。」(二人だけで私がいる部屋に忍び込む度胸もあるしね)チラ「彼がαドライバーであることはわかってる。だけど青蘭学園は5つの世界の共同体だからね。」「対面上は正式な手続きを踏むしかなかったんだよ。『退学の勧告』という形でね。」

 

ソフィーナ「ふぅーん…なるほどね、読めてきたわ。」

 

美海「え?え?ソフィーナちゃんどういうこと?」

 

ソフィーナ「変だと思わなかった?退学させるっていう割に『一か月以内』なんて曖昧な書き方だったし。」

 

空「確かにそういえば、そうですね」

 

ソフィーナ「つまり明日翔がこの学園に残る道はまだ潰されてないってこと。そうでしょ、会長。」

 

ミコト「悪く思わないでほしいかな。特例を認めるためには、それなりの材料が必要なんだ。」「後で誰かにどうのこうの言われたら、キミたちだってやりにくいでしょ?」

 

ソフィーナ「能書きは結構よ。それで、具体的にどうしろっていうの?」

 

ミコト「簡単なことだよ。ブルーミングバトルで『結果』をだしてくれればいい。」「彼が編入試験を受けていたとしても、問題なくパスできたことが証明されればいいってわけ。」「もちろん一か月以内にね。」

 

ソフィーナ「入学したばかりの生徒相手に勝手なことばかり言うのね。」

 

ミコト「こちらの不手際かもしれないわけだし、これでも申し訳ないとは思っているんだよ。」「だから私たちとしても、かなり譲歩しているし精一杯の誠意を見せているつもりなんだけどな。」

 

ソフィーナ「…誠意ですって?一方的に条件を…」

 

明日翔「やめろ、ソフィーナ。」ポン

 

俺はこの言い争いを止めた。ソフィーナの肩に手を置く。

 

明日翔「そうカリカリしなさんな。元はといえば、俺が悪いんだ。自分のケリは自分でつけるさ。」「そんな怒ってるとかわいい顔が台無しだぜ。」

 

ソフィーナ「明日翔…。」

 

明日翔「学園の規則で俺は裁かれた、そうだろ?規則ならしょうがねえよな。」

 

ミコト「そう。素直だね、キミは。てっきり嫌われると思っていたのに。」「それじゃ、健闘を祈っているよ。パーティは楽しんで。」

 

ナクル「楽しんでー。」

 

そういって二人は去っていった。とおもいきや戻ってきた。

 

ミコト「いい忘れてた。」「ネクタイはちゃんとつけなきゃね、そのジャケットすごく似合ってるんだから。」シュッ

 

俺のネクタイきっちりと締めてきた。その時、なにかを胸ポケットに入れてきた。

 

ミコト「じゃ、今度こそ。」タタタタタタタ

 

今度こそ去っていった。

 

空「大変なことになってきちゃいましたね……どうしましょう。」

 

明日翔「どうしたもこうしたも、これから考えるさ。期限は一か月、どこか方法があるはずさ。」「外の空気吸ってくるわ、パーティクラッシャーの俺にはこの場は向いてないみたいだ。」

 

こうして俺は外に出た。

 

~体育館外~

 

明日翔「…」

 

俺は待っていた。俺を外に誘ってきた相手を。

 

ミコト「本当に来たんだ、急すぎる告知の上理不尽な条件で退学を迫られた相手の誘いに。」

 

明日翔「俺はレディの誘いは断らねぇ。」

 

ミコト「わざわざごめんね。さっきも言い争いになりそうなところに割ってもらって。」シュン

 

少しシュンとした顔をしたので

 

明日翔「いいのさ。…で、俺の事はどこまで知ってるんだ。」

 

ミコト「知っているといっても私が知っているのはここに来た時からのキミしかしらないよ。あとは書類に書いてある情報ぐらいしかね。」「…きっと編入試験の事は本当に知らなかったんだよね?」

 

明日翔「ああ、来た経緯が経緯だからな。下調べもろくにしてなかった。」「俺にしちゃ普段やらないミスだ。」

 

ミコト「キミが編入試験を受けていれば合格どころか特待生として入学できてただろうね。保証するよ。」「貴方の相棒もね。君と彼はとても精巧で鮮麗された縁にみえる。」

 

明日翔「俺の相棒だからな、特待生かそれ以上の実力はあるだろうよ。」

 

ミコト「…正当な退学理由はないとは言ったけど、私が黙っていただけでほかにもある。」「ここ連日の裏山での発砲事件、キミでしょ?」

 

明日翔「なんでわかるんだ?」

 

ミコト「…こんなものを持ってるのは学園探してもキミと相棒だけだよ。」チャキ

 

俺の側に近づいてジャケットの中に手を突っ込むと俺の拳銃をそっと触った。

 

明日翔「なんでもお見通しか。恐れ入ったよ。」「ところでお前さん距離感距離感近いっていわれないか?俺が勘違いでもして襲っちまったらどうすんだよ?」

 

ミコト「キミに限ってそんなことしないでしょ。私は人を見る目はあるからね。」「…これから一か月、期待してるからね。ふふっ」「…ソレ、撃つのは構わないけど乱射はしないでね。」

 

ミコトはそういって中に戻っていった。そういえば忘れていた。

 

明日翔「そういえば城琉はどこいった…?」

 

~一方そのころ~

 

セニア「城琉、昨日ぶりです。元気ですか?」

 

城琉「日頃の楽しみができたおかげでな。…そいつは?

 

セニアは一人アンドロイドを同伴していた。

 

ステラ「コードΩ77ステラ、ステラと呼んで。話は聞いてる、ジョウル。」

 

セニア「城琉、αドライバーのあなたにお願いがあります。話を聞いてください。」

 

城琉「…俺に、か?」

 

セニア「はい」「今度の『新入生歓迎ブルーミングバトル』に」

「私とステラで、出てください。」

 

城琉「…あぁ?」




俺は一か月以内に結果を出すために新歓戦に出ることになった!出場者メンバーを見てみると俺の名前がない!?しかもセニアチームには城琉の名前が!?
夜になったら敵に囲まれるしどうなってやがんだ!?あれ、お前は…

次回「かぶき者開演、新歓選でおどる」

また会おうぜ。
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