アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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ほんへの話を見た人は…まあ、本編の流れはなんとなく理解できると思います


例え、全てを敵に回しても

「随分、歯ごたえが無いですね」

 

「チッ…!セコい戦いしてるくせによく言うじゃねえか」

 

「エリドゥに戦いを挑んだという認識がない方が問題なだけですよ」

 

C&Cとトキの戦いは、おおよそ戦いとは呼べないものだった。トキが操るアビ・エシェフによる絶対的な決定力の差。エリドゥから供給され続けるドローン、及びASMSによる射線封じ。逃走経路の誘導、何よりも弾薬の消耗を押し付けてくる戦い方にさしもののC&Cといえど。苦戦は必須だった

 

「ぐっ…!」

 

「カリン!!」

 

特に、一番狙われることの多かったのはカリンだった。狙撃手、というのは絶対的なアドバンテージがあってこその運用であり。とりわけ数を相手にする、ましてや消耗戦を仕掛けられるというのは絶対に避けなければ鳴らないことだったのである

 

「先ずは一人、続いて一人です。」

 

「!?」

 

カリンが戦闘を続行するのが厳しい状態に追い込まれると。すぐさまトキは狙いを変え、爆破で距離を取ろうとしたアカネにASMSを特攻させて。自爆させる、人海戦術によるアドバンテージと、機械故に損耗を気にすることはないという特性が相まって相性はあまり良くないのが現状である

 

「部長、どうする?流石に不味いよ」

 

アスナがネルの死角をカバーするかのように滑り込むと、ネルは舌打ちしそうな心境を堪える。想定が甘かったというのも有るが、あまりに過激すぎる

 

「……お前、リオになんて言われたんだ?」

 

ネルがトキにそう言葉を投げた。気をそらす、という意味合いではない。純粋な問いかけだ。幾らリオとは言え、側近に此処までさせるのか?という疑問はどうしても付きまとう。仮にネルの意図がそういったものなら、トキは容赦なく撃ち抜いただろう。ただ、そうではなかったが故にトキは一旦手を止めた

 

「リオ様は、侵入者の足止めが最優先だと言われました。事の発端は皆様ではなく、アリスと呼ばれている少女ですので。ミレニアムの戦力を落とす、ということに繋がる皆様の完全排除は命令されてはいません」

 

トキは静かにそう話す、これにネルは更に怪訝そうな顔をする、トキはリオの直近のエージェント、いわゆるボディガードだ。それがリオの命令を半ば無視しているような行動を取るというのは不可解そのものだった

 

「じゃあなんでこんな手段取ってるの?流石にリオ会長に怒られるんじゃない?」

 

「ええ、そうでしょうね。最悪私も追放される可能性があります」

 

アスナの問いかけに、トキはなんてことのないような口調で返せば。両者とも驚いた顔を隠すことが出来ない、キヴォトスに置いて、学園から追放される。或いは退学させられる、というのはほぼ極刑といっても過言ではない。後ろ盾がない状態で生き残れるほどキヴォトスは真っ当な倫理観で動いてはいないからである

 

「貴方方は、蒼望ニアという人物を知っていますか?」

 

トキの問いかけに、二人は答えない。気絶していたカリンとアカネもいつの間にか起き上がっているが、その二人からも特に返答はない。それを見たトキは、予想通りだなと思いつつ。言葉を続ける

 

「───私は、その人が帰ってくる居場所を守るだけです」

 

 

 

 

 

 

 

 

───1年前、私がリオ様のボディガードになる前のことである。私は名目上は1年生なのだが、実際は留年しているので2年前から此処にいる。

 

あれは…そう、入学して少し立った後のことだった。学校そのものに慣れることがなかった日々、特に楽しいと思うこともなく、ただ無為に日々を過ごしていたあの日。

 

そんなある日、私は彼女とあった。別に特別な出会いではない、劇的なものでもない。単に授業に向かう時に一緒に歩いていただけ。いや、ただ同じ方向に歩いていただけだったのだが。彼女は特に何も言うことはなく。その場はそれで終わった

 

だが、その日から。時折同じようなシチュエーションが発生することが多くなりました。ふとした瞬間、知覚したときには。それが当たり前になりつつ有る。ということに気が付きました。そして、その日から。心の何処かで探していたような気もしていました。

 

それから少し立つと

 

『……今日も一人?』

 

初めて、彼女から声をかけられました。私がいつも一人でいることについて、なんとなくですが察していたようです。私自身、そこまで気にしていることでは有りませんでしたが。口に出されると、自らのことではありますが。随分と惨めなことだったと思います

 

『…そうですけれど』

 

『そっか…じゃあ、一緒に行こっか?』

 

その日から、私達はよく一緒に歩くようになりました。食事などは一緒に取ることはなく、ただ移動先が一緒のときだけ共に歩く。そんな不思議な関係でした。

 

そんなとある日、いつもと明らかに様子が違った彼女に声をかけようか、かけまいか迷い。結局声をかけ無いことにしたあの日の選択は。間違っていたのでしょう。名前も知らなかった彼女が、忽然と姿を消したのです。訳も分からなかった私は途方に暮れて。授業にも出る気力がなくなっていました。

 

それぐらい、無意識にあの生徒に救われていたんだな。と痛感してしまうことになるとは思いませんでした。会話もなく、どちらかというと他人行儀な関わり合い方。でも、今思うと、わざわざ一人でああやってきてくれたのではないか。と思わずには居られませんでした

 

そんな日を繰り返していた日々の中で、ふと目に入ったのはカイザーを襲撃して回っているという一人の人物の写真、それを見たときに直感しました。これは間違いなくあの生徒だと。

 

では何故、あの生徒がああなったのか…それを疑問に思うことにそう時間はかかることはなく、自力で調べようとしていたところで。リオ様と知り合うことになりました

 

『……何故、あの人物のことを探ろうとしているのかしら。興味本位?…ではないようね。通称はハウンド、カイザーコーポレーションを標的にばかりする謎の勢力よ。単独犯と言われては居るけれど、支援している人物がいるのではないかと────』

 

リオ様の言葉が耳から通り抜けていく、目撃情報の写真を見れば見るほど。間違いない、あの時の生徒だ、名前も知らなかった。会話自体も少なかった、けれど確かにあのとき私は救われていた…そう思うと。泣きたくなってくる、初めての感覚だ。ただの知り合いにも満たないような間柄なのに。酷く寂しく感じてしまうのだ。

 

『……ところで、何故一年前のあの事故のことについて、調べていたのか教えて頂戴』

 

『…友人を……いえ、友人とは言えませんね。私の一方的な感情ですが……私を救ってくれた人が。居なくなった影響かも知れないと。思ったので……』

 

『……そう、彼女の』

 

『リオ会長もご知り合いなのですか?』

 

そうリオ様に問いかけると、彼女は視線をそらし。遠くを見るような目をしていた。此処ではない何処か、未来ではなく。おそらく過去に意識を飛ばしているのだろう

 

『…貴女と同じ、一方的な感情よ』

 

『そう、ですか……』

 

『……ええ、そうよ。一方的な感情。よかったらだけれど、聞かせてくれるかしら?彼女との思い出』

 

『思い出、と呼べるほどなにかしたわけでは有りませんが……構いませんよ』

 

そこから、思い出話と言うにはあまりにも内容のない。数分にしかみたないような情報量を話した。我ながら、こんなことで感情を揺さぶられ続けていたという事実に恥ずかしくなってくる…そう思いつつも。リオ様は特に何も言うこともなく、むしろ感謝してくれていたようでした

 

『そう…彼女は、やはり優しかったのね。関わり合いの無いような貴女も気にかけるほどに』

 

『…はい』

 

それから暫くの間、お互いに何かを言うことは有りませんでした。私の方は、ポッカリと空いた穴を再度自覚させられているような。そんな気分でした、悲しいけど。よくあること、と言うには非日常的でしたが

 

『……覚えていてくれて、ありがとう』

 

『はい……?』

 

リオ様の一言に、不可解なものを感じて。視線を向ければ、リオ様の方には。泣き腫らしたような跡がありました。今泣いたような跡では有りませんでしたが。確かに、泣いていた痕跡がそこにありました

 

『彼女…蒼望ニアのことを。忘れないでいてくれて、ありがとう』

 

『…では、リオ会長が。彼女の…蒼望ニアに抱いている感情を教えて頂けませんか?』

 

『……わかったわ。私の方は、直接あったことはないのだけれどね。』

 

そこから語られたのは、あの日あの時何があったのか。そして、彼女がどうなってしまったのか…リオ様の推測混じりではあるものの。信憑性は高かったのは間違いない

 

完全に彼女というのがわかったのは。録音されていた音声だった、こんな弱々しい声を聞いたのは初めてだった。関わり自体少ないけれど。そう思ってしまった、それぐらい声に覇気がなかったのだ

 

『……間違い有りません。これは彼女の声です』

 

『そう……嫌な推測ばかり当たってしまうのね』

 

私の声に、リオ様は。本当に彼女だという確信を持ててしまったことが哀しかったのか。目を伏せてしまいました。

 

『リオ会長…いえ、()()()

 

『……何かしら、様なんてつけて』

 

怪訝そうな顔をしているリオ様を見据えつつ、私はとある提案をすることにしました。

 

 

 

──私を貴女の側近にしてほしい、と

 

そこからは、厳しい訓練漬けになり。学校に顔を出すこともありませんでした、知り合いというものがほぼ居なかった私にはあまり関係がなく。彼女が居ないのであれば、行く意味も無いに等しかったのは幸いなところです。

 

『このままだと、トキ。貴女留年するわよ?』

 

『構いませんよ、興味がないので』

 

そう素っ気なく言うと、リオ様は苦しそうな顔をしてしまいました。私に彼女のことを重ねているのでしょうか…確かに。ここから学園に復帰するという手もなくはありません。ただ、私には一つだけ。理由があります

 

もし、もしも彼女がミレニアムに戻ってきたとき。知り合いは皆居なくなってしまっているでしょうから。その時復学したい。誰も知り合いがいない状態は寂しいでしょうから。おこがましく思いますが、それなりに仲良くはできるとは。思っています。

 

だから……だから

 

彼女が、蒼望ニアが帰ってこれるように。ミレニアムを守る必要があります。例えそれが誰かを犠牲にする選択肢であっても。

 

アリスと呼ばれる少女が居ることを否定することになっても。それでも、構いません。あの時から、そう決めました。それ以外の道を。私は……私は歩む気はありません。

 

それが……あの時気にかけてくれた調月リオさえも敵に回しても

 

 

全てを利用して………必ず、必ず勝ってみせましょう。今も戦い続けている貴女が。戻ってこれるように。障害は…全て薙ぎ払い、駆逐し。葬り去ります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥馬トキの愛用品『勉学ノート』

なんの変哲もない。あまり使われてはいないノート、それどころか記載されているのは授業にして4時間程度の内容しか記載されていない。ただのノート

 

名前の欄には『蒼望ニア』と記載されている

 

 

 

 

 




はい、ニアのことを明確に覚えているというのはトキです。ウタハでもノアでもなく。この二人は明確にと言うにはダメージを受けすぎていて、正確に思い出そうとすると吐きます。トキがリオに確証を持たせないまま進んだ場合、ニアちゃんが大変なことになります。具体的にはこの時点、ミレニアムに侵入した時点でボロボロになります

じゃあなんでそんなことになってないのか?ということは……そういうことです

ちなみにリオにニアが生きてることはトキは教えてないです

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=305043&uid=169733

トキの扱いについてのご意見があればどうぞ、アンケートも設置しておきます

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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