─ゲヘナ自治区にて
ランデブーポイントにいつまで経ってもこない相手に連絡を入れると、リズムが崩れて思わず離れてしまったという回答が帰ってきたことにため息をつく。経過観察に着た時は思い切り扱き上げるしか無い。そう心に決めつつ、緊急車両から降りて報告に向かう。正式な依頼の報告でないので内々の報告だ
「アコ行政官。帰還しましたよ」
「おかえりなさい。セナさん、報告はまず一息ついてからで…と言いたいところではありますが。そちらの方が我慢ならないようですね」
「そうですね、今すぐにでも」
お互いに席に座る様に促されると。双方から深い深い嘆息が零れ落ちる、お互いの業務の忙しさを嘆いているのではない、嘆息の原因は蒼望ニアその人だ
「また、無理難題を力技でどうにかしたようですね」
「ええ……あの体では。長くは戦闘を続行できません。後方支援としてアビドスに介入していましたが…明らかに無理をしていました」
私の言葉にアコ行政官はより深い溜め息を付きながら机の上に突っ伏す、普段の彼女からは考えられないような落ち込みっぷりだ
「……あの時、無理矢理にでも縛り付けておくべきだった、そう思います」
アコ行政官が窓に視線を向けつつ、苦々しい声を出しているのを聞きながら。過去を思い出す
きっかけはヒナさんからアコ行政官が度々見回りに行ってから帰ってこないことが有る、そう言われて様子をそれとなく探ってほしい。とのことでした。ヒナさんからすれば、面倒事を増やしているのではないか?という危惧もあったのでしょう。
そう思いながら、彼女の後をつければ。セーフティハウスへと入っていくのを見た時。医療関係者としての嗅覚が察知してしまいました
───血の匂いと、薬品の消毒剤の匂いが
接触するのはあまり良くはない、そう思いつつドアのインターホンを押してしまいました。何か私の予想がつかない事態になっているのではないのか?と、暫くして。アコ行政官が何かを警戒するようにドアを少しだけ開けました
『……どうされましたか?』
『いえ、たまたま近くを通りかかったので…それと、薬品の匂いがしましたので』
そう言うとアコ行政官は今にも舌打ちしそうなのを堪えるようにため息を付きました。すると、部屋の奥から物音が聞こえてきました
『──、──?』
視界に入ったのは。やせ細った身体。おそらく栄養失調ギリギリのところで踏みとどまっているのだろう。そして何より目を引いたのは。新しい包帯であろうそれに夥しいほどの血痕が着いていたこと
『──ッ!!!』
『うっ……ぐっ………』
思わず、ドアの隙間に腕をねじ込んで、アコ行政官の首を締めている私がいました。彼女はなんなのか、何故まともな治療を施さないのか。どうして病院に連れて行かないのか。そんな感情が渦巻いて私自身おかしくなっていました
『答えてください、天雨アコ。返答次第では……っ!?』
そう言い切る前に、彼女が私の腕を振りほどかさせるように体当りしてきて。アコ行政官の前に庇うように立ちふさがりました。脚は力がうまく入らないのか。震えているのものの、それでも。引く様子は無いようでした
『───。────!!!!』
『…っ。ニアさん!駄目です動いては!!私は、だいじょうぶですから。貴女が動いては、駄目ですから……!!!』
言葉がうまく話せないのか。口を開いては閉じてを繰り返しながら。それでも此方のことを威嚇して。アコ行政官を守るようにしていた彼女をアコ行政官は後ろからぎゅっと抱きしめて。落ち着かせるように何度も何度も、自分の服が汚れるのも厭わずに抱きしめていました
『……事情を、聞かせてください』
それを見て、私は途方もない勘違いをしていたことに気づいて。腕を下ろしました、それを見たアコ行政官と。蒼望ニアと呼ばれたお互いを見て頷きました
『……なる、ほど。そういう事が……』
アコ行政官から語られる事実は、平常心を奪うには十分すぎる内容だった。彼女……蒼望ニアはあの後、事切れたかのように倒れている。恐らく無理矢理身体を動かしたのだろう、出血が酷かったので新しい包帯と適切な処置を施した後、ベッドに寝かせている。彼女を見るアコ行政官の視線に最初は戸惑いを覚えたが、今なら分かる。彼女に死んでほしくない、これ以上無理を強いたくない。その一心なのだろう
『…セナさん、今の表情をニアさんに見せないほうが良いかと』
『……何故でしょうか?』
そう問いかけると、鏡を向けられる…なるほど。これでは本当に悪魔のような形相だ、患者を怖がらせては行けない、ただでさえ精神不安定な状況で怯えさせるのは状態が悪化する原因となる
そう思っていると、ふと隣の部屋で何かが動く気配を感じる。彼女が目覚めたのだろうか?そう思っていると、アコ行政官が血相を変えて隣の部屋に走っていくのを見て違和感を感じれば。その答えはすぐに分かりました
『ニアさん、落ち着いてください!大丈夫ですから!貴女は、生きていて良いのですから!』
そんな声を聞いてしまえば、私も隣の部屋と急いで向かう。そこには
『セナさん!銃を!銃を取り上げてください!!』
そう言われると、ハッと意識が此方側に戻り。急いで銃を引き剥がそうとしますが。なかなか力が強く、一向に離そうとしません…止む終えず。軽く首筋に強い衝撃を与えると。呆気なく気絶した彼女を、苦しそうな顔で見つめているアコ行政官に。私は苦々しい感情を隠すことが出来ませんでした
『…彼女は、いつもこんな事を?』
『……はい、銃を持たないようにさせては居るのですが。何処からか銃を持ってきて、今のようなことを……』
なんでも、何日か顔を出さなかった間にあちこちに隠しているらしく。未遂にこそ終わったものの、自殺衝動が有ることには間違いないという結論に達した後。彼女が起きるのを待ちました
『ごめんなさい』
筆談でしか会話ができない彼女がまず書き起こしたのは謝罪でした、この衝動で私達二人に迷惑をかけたことが余程堪えているのか。普段よりも元気がないとのこと、アコ行政官は怒りたくても怒れないような。そんな表情で口を開いては閉じを繰り返していました
『……いえ、強い外部からのストレスに。身体が防衛反応をしたまでに過ぎませんよ』
慰めではなく、客観的な事実として。医療に携わるもののとしての発言も彼女を気落ちさせることしか出来ませんでした。暫くして、ペンを取って弱々しい筆跡で物を書き始めた彼女が何を書いてるのか、気になり二人で見れば
『やっぱり、此処に居ないほうがいいとおも──』
『そんな事を、思わないでください……!!生きていたいと、思ってください……!!』
自己存在の否定、それは生きるという事に未来を見いだせず、堕ちていくしか無いことを意味しており。アコ行政官は紙をひったくりただただ抱きしめながら。涙ながらに訴えるも。当の本人は。ひたすら居心地が悪そうにしているだけでした
自分は、愛されるべきではない。そう考えている彼女が何処まで追い詰められていたのか。それを知るのはそこから暫くたった日のことでした
ミレニアム決戦前にニアが昔どういう状態で、どういう事を考えてたのか教えていくスタイル
ちなみにセナが居ないとアコ共々ニアは共倒れになってました
……ところでほんへに本編の記憶流したり。ほんへニアちゃんのあのお馬鹿っぷりを本編の方に記憶流したらどうなるんだろ
トキの扱いについて
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このままミレニアムに残る
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ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
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ニアについていく