「チュテレール、場所の算出は終わったか?」
「場所はエリドゥ、ミレニアム地下です。侵入経路の割り出しは一通り終わっています。ですが──」
「構わない、経路さえ分かっていれば。後は突き進むだけだ」
廃墟から飛び出し、ミレニアム外周を回りながら指定された経路の中から、最短の距離を探る。だが…これは…そういうことか。最短距離は…
「…そうです、ミレニアム中核からとなります。注目を集めることになるでしょう、どうされますか?」
思わず足を止める、今から別経路を選択すれば。おそらくは、間に合わない。だが中核を突っ切っていくとなると。人の目が有る、私が生きているということだけではなく。リオ会長がしたでナニカしていたというのも、どうするべきか、行くか、引くか。
「……!『ハウンド』、近くに熱源反応!」
「!?」
馬鹿な、こんな早く補足されるわけがない。外周部とは言えミレニアムと侮っていたのが原因か!?そう思っていると。足元に何かが転がってきた、これは…スモークグレネードか!?
そう思ったときには。それが爆発し。意識が遠のいていった遠のいていった……
「────っ!?」
体を跳ね起こす、どれぐらい時間がたった?もう終わってしまったのか?そう思うと。隣でチュテレールが横たわっていた、外傷はない。となるとハッキングか?だが一体誰が……
「お目覚めですか?お嬢さん」
「……『慈愛の怪盗』か」
「覚えていてくださいましたか、それはそれは」
仮面をつけてスラリとした体つき。麗人のような格好をしているのは七囚人と呼ばれる中のひとり、慈愛の怪盗…だがなぜ此処に?こんなところで会うようなやつじゃない。芸術品をこよなく愛する慈愛の怪盗には似つかわしくない戦場だ……では何故だ?分からない…
「何故、貴女が此処にいる?」
「少し野暮用がありまして……それと、見知った顔が今にも死んでしまいそうな状態で急いでいたので何事かと。聞けば物騒なお話をしていましたから、一旦冷静になっていただこうかと」
ただのお節介です、と言われると面を喰らう、面識が…無いわけではない。何度かあったことが有る。アリスを破壊しようとして逃げ出した時。遭遇した、助けた理由としては。なんでも違法取引していた相手を私が潰して、楽に芸術品を盗み出せたからとのこと。その後、お礼として金銭を投げつけられた。要らないと言って逃げたのだが…相手はその手のプロだ、ワイヤーで絡め取られて動けなくなったところに捩じ込まれた。ちゃんと使ったか何回か確認しに来た事もあった。当然使ってなかったからまたワイヤーで絡め取られた。不服だ
…まあ、ここで言っておかないと。何をされるか分かった物ではないから。ある程度の説明はしておくか、ぼかすところはぼかして。言うところは言って、その辺りは察してくれる人物では有る
「なるほどなるほど…キヴォトス全体がそうなってしまうのを阻止したいミレニアム会長とそうはさせたくない生徒の内輪揉め…大変ですねお嬢さんも」
「自分でやったことだからな……そして。此処は?」
「此処はエリドゥでしたか?そこの入り口ですよ」
なんて無いように言っているが、私とチュテレールを運んで内部まで侵入したのだ。この慈愛の怪盗は…さすがと言うべきだろうか?手癖が悪いと言うべきだろうか?そうしていると、近くから戦闘音が鳴り響く。何か戦っているのだろうか
「どうやら、既に戦闘が始まっているようですね」
「そのようだな……行く。世話になった。チュテレール、そろそろ起きろ」
慈愛の怪盗の言葉を聞きつつ、チュテレールを再起動させる。あの一瞬で機能を一時停止させるのは本当にどうやって居るのか不明だが。…まあ良いか、私に出来ることではなさそうだし
「では、此方の方を……」
「……ワイヤーか」
手渡されたのは、ワイヤー装備一式と。脱出用に使うであろう煙幕が入ったものだった。この手の装備は持ってくることはしなかったから有り難いことでは有るが……あまり施しを受けるのは良いものではないな。
「持っていかないと、また縛り上げますよ?」
有り難く持っていくとしよう、機嫌を損ねるとエリドゥに入るとかそういうレベルの話ではなくなる。厄介度ではあの狐以上かも知れない。……あっちはあっちで。面倒だが
「…では、また後ほど」
「あぁ……出来ればもう会いたくはないが」
そう言うとワイヤーを此方に向けてきたので一目散に逃げる、チュテレールは再起動済みで何がなんだか分からなかったようだが。まあ良いだろう、行こう。戦闘音が鳴り響いているあの場所に
「…………名前、呼んでくれませんでしたね」
慈愛の怪盗はため息をつく、親愛を込めて。一度だけ名前を教えたことが有るのだが。一回も呼んでくれたことがない。此方も名前を言ったことはない、名乗りたくないのか教えてくれなかったが。名前は知っている、けれど。彼女がそれを望んでいないのなら……言う必要もないでしょう
ため息を付きながら、使い捨ての端末に電源を入れて。とある人物に連絡を取り、少しの間だけ。その場にとどまった後、慈愛の怪盗は姿を消したのだった
「……そろそろ、鬱陶しくなってきました」
「チッ……」
トキがアビ・エシェフを構え、C&Cに砲撃の体勢をかける。既にメンバーの大半が本来の戦闘力から大幅に低下した状況下でトキを相手取りながらAMSAを相手するのは、至難の業であった。
「ではこれでお別れ─────…!」
トキが銃口を向けてチャージ済みの砲撃を行おうとしたその時、別の方角を見ながら。その場から飛び退いたのを見て不思議そうにしているC&Cをから既に意識を逸しているトキは、静かに呟く
「……来ましたか」
「っ!?」
蒼白い閃光がアビ・エシェフを襲い、直前に察知したトキは跳躍とホバリングをして回避して難を逃れるが、近くにいたAMSAは融解し。爆発する、耳を劈くような轟音、そして衝撃はエリドゥ全土に響き渡る。
「……貴方方の相手をする暇は無くなりました。どうぞご自由に」
「何…?」
「では、失礼します」
C&Cを尻目に、トキは砲撃した相手の居るであろう位置へ向かって飛び去っていく。それを呆然と見送ったネルは、ややあってエリドゥ中心へと足を運ぶことにしたのだった。
「………外したか、恐ろしい感知能力だ」
戦闘音がしたところから大分離れたところで、狙い撃ちしたのだが。外れてしまった。しかし、このレールガン、人相手に使うのは些か火力過剰な気がしていたが。どうやらそうでもないらしいな。
『来訪者、目標接近してきています。留意を』
「ああ、分かってる」
チュテレールは離れた場所でAMSAを処理してくれている。狙撃している時に狙われては。たまったものじゃない。さて、どう迎え撃つか。相手の素性は不明だ。1手間違えれば死ぬ可能性もある…そう思っていたのだが、反撃せずに此方に向かってきているようだ。何か策があるのか?或いは当てられることはないということか。試しに一度砲撃したが悠々と避けられる……これは近距離でないと当たらないな?
「……」
件の相手が地面に降り立つ。このスペックは、おそらくはリオ会長が手掛けたものだろう。機体見た目に遊びがない。実用性しか考えてない辺り。エンジニア部が関与している気配はない。となれば、壊す抵抗もそれほどではない。本来ならば無力化したいところでは有るがそうも行くまいよ
「……」
静かに銃を構える、相手も私と会話なんてする気はないだろうから。まっすぐ此方に来たのも。大火力を有している方が厄介だという視点からくるものだろう。そう考えて、居ると。相手が戦闘態勢の構えを解く、どういうことだ?何故、構えを解く?
「お久しぶりですね」
「……?」
聞き覚えのない声だ。生憎とそんな物騒なものを使って戦っている知り合いはミレニアムにいた時には居ない。怪訝そうな封にしていると、相手はバイザーを外す
「………」
無言で此方を見てくる、だが分からない。金髪なら、あの子のはずだが……だが、違うような気がする。とうとうため息を着かれる。なんだか私が悪いという気がしてくる
「……これで、分かりますか?」
「……!?」
髪を下ろして、表情を崩すのを見れば。確信する、あの子だったのだ、名前も知らない。一緒に歩くだけだったけれども。記憶に残っていた、あの子だった
「お前、だったのか……」
「……はい」
沈黙が流れる、どうしてあの子が此処にいる?何故、そんな物騒なものを使っている?何故……味方であろうミレニアムの生徒と戦っている?どうしてだ?物騒なことをするようなやつではなかったはずだ
「……やはり、生きていたんですねニアさん」
何の間違いだこれは
というわけで次はVSトキです。ちなみに七囚人うちアキラとワカモとは面識があります。それもそのうち書きます、個人的に七囚人の中だとアキラが一番好きですね。ちょっと口調おかしかったかも…見返さないとなシナリオ
トキの扱いについて
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このままミレニアムに残る
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ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
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ニアについていく