アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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VSトキと行きたかったけど戦闘前に割りと文章嵩んだので一旦投稿

morose dreamer聞きながら読むと良いかもしれない


近いけど、遠くにいる貴女/遠いけど近くに居てくれた君

何の間違いだ……何の間違い何だこれは…!!

 

「───、──」

 

声が、上手く出せない。動悸が激しくなる、息が苦しい。視界が、どんどん歪んでいく……っ。そんな感覚を覚えながら、ポケットに入っている薬を飲む。精神安定剤だ……さっきのワイヤー一式の中に挟まっていた。あの慈愛の怪盗め……

 

息を、吸って、吐く。

 

「………どうして、そこにお前がいる」

 

あの子に問いかける、だが返答はない。聴こえているはずだ。だが答えない……

 

「何故、何故……っ」

 

何故なんだ…っ。何故なんだ……!!何故、あの場所に留まろうとしなかった。脅威は私が潰した、追われることにはなったが。それでも…それでも…!!まだ、私は生きている。そのことを伝えることは出来なかったけれど…!何で後追い紛いのことをしたんだ…!

 

「何故私と同じようになった!何故武器を取って、戦い続ける道を選んだ…調月リオがそう仕向けたわけでもないだろう。自分で、選んだろう…!」

 

どうして…どうしてなんだ、なんで。平和なところにいられたはずのお前が…そうなってしまった?なん何だこれは…なんでこうなるんだ…!調月リオがこんなことをするとは思えない。

あの事件のことを、知らなかったはずだから。だから……なら、罰か?この道を選んだ罰なのか?それなら私に向けられるべきではないのか?もっと、苦しむだけで済むなら。幾らでも受け入れられたのに…!自分のことなら、耐えられる。

あのときの私は、それを選んだ、好きだった人も。切り捨てた、ならそれからくる苦痛や痛みは至極当然なもので、誰かが何か助けるようなものじゃないんだ

 

「………どうして、お前がここに居るんだ………どうしてだ……なんで……なら、私のやった意味はなんなんだ…」

 

私は、君にも。武器を取っては欲しくなかったんだ、無愛想な顔だったけど。君はそういう子じゃなかった。違っただろう、なんで…そうなってしまった。どうして……人を傷つける道を選んだ。

 

「………そんなこと……そんなこと……」

 

暫くしてから、君は口を開いた。無表情で少し呆れていた君の顔が、どんどんとくしゃくしゃになって。そのまま泣き出してしまった。

 

「貴女が居ないあの場所で、どうやって笑えば良いんですか…?」

 

堰を切ったように、君は言葉を発する。胸を抑えながら、ただただ苦しそうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニアさんが、あの人が。私を攻撃した時。ほんの少しだけ辛かった、敵と認識しているのが。だから、彼女と会おうと思った。近くに行って、話せば止まってくれるだろうと。

 

「………」

 

彼女は、何も言わないまま、此方に銃を向けてきた。此方のことがわからないだろうからという理由で。バイザーを外して、顔を見せた。それでも…彼女は気付かなかった。正直に言うと、その時点で泣きそうになってしまった。

 

それを堪えるように、ため息を付きながら。髪を下ろすと、どうやらそれで気づいたらしい。

 

そこからの彼女は苦しむように悶えて。顔をキツく険しくした後。私の方を見ながら、どうしてそうなってしまったのか。そんなことばかりを投げかけてきました、私には。私なりの理由もありましたが…私が選んだ選択肢で。彼女が苦しそうにしているのを見るのは、耐え難いものがありました

 

薬を飲んでから、言葉を発したのを見る限り、もうそうでもしないとまともに話すことができないほど。壊れてしまっているのか?そう思うだけで、唇を噛みしめる力が強くなります

 

罪人のように、繰り返し繰り返し言ってくる貴女が。何でそうなったのか…と、意味がなかったのか?ということを言ってしまうのを聞いた時。とうとう抑えが効かなくなりました。もう、言うことを我慢できません

 

 

「貴女が居ないあの場所で、どうやって笑えば良いんですか…?」

 

一言、そう言えば。涙がとめどなく溢れてしまう。苦しくて苦しくてたまらないんです。ぼろぼろになった貴女の姿を見るだけで、そんなに無理をしている貴女と対峙している自分がいるというだけで。その事実が、私を苦しめて離さない

 

「貴女が、居ないと意味がないんです…!貴女が、居ないと…っ!」

 

「……そんなことは、無いはずだ。私が居なくてもきっと──」

 

「違います!それは、違います!!」

 

私の言葉を遮ってくる貴女の声を此方が再度遮る。自分でもどこか驚いてしまうような大声だ、此処まで大声を出したのは初めてかも知れない。それだけ、貴女の存在は大きかったんですよ

 

「私を、独りにしなかったのは、独りにしないようにしてくれたのは。他の誰でもない、貴女なんです…!調月リオでもなければC&Cでもなく、貴女なんですよ蒼望ニアさん。このミレニアムが…キヴォトスが。あれから1年間、不自然とも言えるぐらい平和だったのは。そこから更に平和で居られたのは、貴女が一人きりになってまで。戦い続けたからです!このミレニアムが、今日まで続いてるのは貴女のおかげなんですよ!セミナーでもなく、ヴェリタスでもない。ましては外部のシャーレの先生という()()()()()()等では決してありません!!…ミレニアムを、私達を守ってくれてた人が。帰ってこず、ずっとずっと戦ってるのに、何もしないままのうのうと生きろというのですか?それは……あんまりです、他者を救うだけ救って。自分は畜生道に堕ちてもいいと言いたいんですか貴女は!」

 

涙で前が見えなくなり、呼吸も荒くなる。この1年間。辛いことはたくさんあった、何も考えずただ平和ボケしたような生徒の顔を見るたびに、そこに居たはずの貴女が居ないことに歯噛みした。利益を貪る輩を始末しようとして、先に貴女が独りで戦う姿を見るたびに。どんどん小さくなっていく姿を見て後悔した。あの時から、強かったらそうなっていたんだろうと。

 

もし、あの時無茶をしてでも、どんな手段を使ってでも貴女を連れ戻すことができたら。こんな風になるまで関わり合いを持つことができなかった今はないんだろうなと。そんな自分が一番嫌いだ。被害者ぶるのはできない、むしろ加害者だ。このキヴォトスで生きている全員が、恐らく加害者なんだ。全部独りに投げつけて、無意識下で誰かがやるだろうと。放っておいた結果がこれだ

 

世の中は、適当に生きている人ほど長生きする。後先なんて考えずにいるから。正直者が馬鹿を見る、辛くて、苦しくてそれでも立てる人間にこの世界の人間は平気で荷物を投げて放置する

 

「何度も、何度も考えました。このミレニアムを全部壊してしまおうかと、リオ会長が止めようとも。すべて壊して無くなってしまえと…!」

 

「お前それは……!」

 

「だって……だって……!貴女が、居ないんですよ…!どこを探しても、ミレニアム中を歩き回っても、あの廃墟に行っても。どこにも居ないんですよ……!でも…でも…!」

 

もう駄目、我慢。できない、みっともなく、泣きじゃくるしか無い

 

「貴女が守ったミレニアムを、壊せるわけがないでしょう…!」

 

そうだ、壊せるわけがない。貴女が守ったミレニアムだ。それを壊すなんてことは到底許容できるものではない、そんなことをするぐらいなら。何もせずに廃人になった方がいい。そのぐらい、耐え難いものだから

 

 

でも、酷い話だ。貴女が守ったのに、貴女はどこかに行ってしまって。私は何もしなかったのに…何もできなかったし、しようとも思わなかった人達がミレニアムに残っている。こんなのあんまりな仕打ちだ、やり遂げたものが追われ。事をなさない者が残る、そこに何の意味があると言うのですか?当たり前だと思っている人間が残っても、何になるというのですか?

 

「だから……だから…!私は、C&Cも、ゲーム開発部も。ヴェリタスやセミナーでさえ、私は信用することができません……!セミナーの2年生…貴女の同級生だった二人も。私には、信用することができない…!」

 

C&Cも何かしらの工作があったことを把握していないわけがない。ヴェリタスもそうだ、何故。手を撃とうとしなかったのか、お前たちは何のためにそこにいるんだ。守るためでは無いのですか?なら、別に存在する意義もないでしょう。ゲーム開発部は、自ら解決する力もなく。責任を取れるわけでもない、そういう人が居るからこうなっている。行動には責任が伴う、どんなことでもだ。それを何故、受け入れない、許容しない!

 

「貴女が居なくなったことを知っている生塩ノアも、早瀬ユウカも。何故アリスと呼ばれている方を気にかけるのか。私にはわかりません、例え生存しているかを知ってはいなくても。貴女が全て捨ててまで残そうとした、この日常を脅かす物を放置してる理由が分からない、私にはわからないんです…!どうして、どうしてそんな事ができるのか。私には理解できません。例え合理的な判断でないにしても、感情的な判断だといても。私はそちらを選びます」

 

「お前………」

 

グズグズにと泣きながら叫び声を上げる私に、貴女は掛ける言葉が見つからないというように。ただひたすら黙っていました……そうですね。名前もまだ私から教えていないのに、貴女は気遣ってくれる。私は貴女が助けようとした何千、何万人の中のひとりに過ぎないかも知れないけど。でも、私は貴女がそのままぼろぼろになって朽ち果てていくことだけは、どうしても許容することができない

 

「…………エンジニア部については、何も言わないんだな」

 

「………言えるわけがないでしょう。貴女が守ろうとした場所を悪く言う事はできません。白石ウタハは確かに何もしませんでした。ですが、それは仕方がないことです。一番身近にいて、一番傷ついている彼女に、そんな事をしろというほど私は人間性を捨ててはいません。それに……白石ウタハが、一番。もしかすると、ミレニアムが嫌いかもしれません。貴女が居なくなったことを知らない彼女達を、貴女がもたらした平穏を何も知らずに。当たり前と捉えている彼女達を、憎んでいるかもしれない白石ウタハが。恨みをぶつけていないから、私もミレニアムを壊すことはできません。当事者である貴女が、今でもなお、ミレニアムの為に戦っている。なら、私達は本来それを受け入れなければなりません。ですが、それすらできていません。そんな私達の為に。戦う必要性が有るとは。私は……思わないんです」

 

「……………」

 

一頻り、私が思いの丈を吐き出し切ると。貴女はどこか悲しそうだけれど、嬉しそうな顔をしていました

 

「……そうか、お前は。ちゃんとミレニアムと向き合っていてくれていたんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子が、泣きじゃくりながら。言葉を投げかけてくるのをただひたすら黙って聞いていた。この思いの丈は、私は聞かなければならなかったから。これは、私がやったことで、あの子に課していた枷を。重荷を降ろさせることに必要なことだと思った。あの子が息をつまらせる度、泣いて上手く言えなくなるたびに、私は……やっぱり戻ってくるんじゃなかったと何回も思った。

 

でも、同時に戻ってこなかったらずっとこのままだったんだろうなという気持ちもあった。このまま潰れていくのを防げることができた、そう捉えれば。幾分気が楽になる

 

「………そう言えば、名前。聞いていなかったな」

 

「飛鳥馬…飛鳥馬トキです」

 

「そうか…じゃあトキでいいか。トキ…悪かった、君にそんな物を背負わせて、辛い思いをさせて。君の平穏を私が奪ってしまっていたんだな。……他のミレニアムの生徒については、あまり言わないであげて欲しい。どうしたって知らないこともある。戦おうとしても、戦えないことも有るんだ。だから……良いんだ」

 

そう、私も何度も逃げ出そうとした。誰だって、辛いんだ、戦うことは。だから、それから逃げたって誰も何も言うもんじゃないんだ。例えそれが、私一人に集約しようとしても。私は、ミレニアムが消えることのほうが悲しかったから。寂しかったから、拾ってくれた恩を返している。それだけなんだから

 

「ですがそれでは、貴女が…!」

 

「確かに、たしかに…私はこうなってしまった。だけど、まだ生きている。生きているなら、めぐり合わせで。こうして再会することも出来るだろう。いつかまた巡り合うことも有るんだろうきっと。…それに、私は君にそんな事を言ってほしくはない。優しい君に」

 

きっと、飛鳥馬トキは。優しいんだろう、私のことをずっと気にかけてくれているのも。多分、そういうことなんだろう、だから。そんな君に武器を持って戦わせるのは良くないことなんだ。そんなことは、私は認めたくないんだ

 

「私は、私は…!貴女が言うような人では…!」

 

「じゃあ何で、他の人に戦えと思いつつも。それをぶつけなかったんだい?」

 

「それ、は……」

 

「君も、自分のようになって欲しくなかったんだろう?日常を謳歌している彼女達が、そうしてしまわないように。闘っていてくれていたんだろう?…それは十分優しいし。十分、彼女達のことが好きなんだという根底が有るんだ。それを忘れてはいけないさ……だから、悪いけど。トキ、私はお前を倒して進まないと行けないんだ。」

 

「……!」

 

そう言いながらお互いに距離を取る。此処から先は、どうやっても衝突は免れない。だからこそ、こうやって思いの丈を最初に吐き出しておくんだ…多分もうきっと、会うことも無いだろうから。

 

「……戦わない、選択肢は。ありませんか?」

 

「……無いよ、じゃないと。トキが潰れてしまうから。このまま私と同じ様に進んでしまえば。トキは壊れてしまう、私はそれを見たくないんだ。だから…君が戦わなくても大丈夫だと。理解させる必要がある」

 

「……分かりました、なら。私も貴女が戦わなくてもいいということを理解させます」

 

トキがバイザーを装着してアビ・エシェフを起動させる、お互いに無言になりながら。構えを取る。

 

「……行きますよ!」

 

「あぁ、喧嘩をしようか!」

 

なんてことはない、これは殺し合いじゃなく。ただの意見の食い違いからくる。喧嘩の始まりだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次こそVSトキ。その話か次の話で強制敗北させてくるリオ会長のお話

ほんへの話で申し訳ないんだけど。個別ルートのアンケ、なんで一番下が多いんだあれ????

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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