アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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VSリオの1戦目と2戦目みたいなもんです


失望

アバンギャルドとの戦闘は、戦闘と呼べるものではなかった。ゲーム部の攻撃は一切届かず。ヒマリやヴェリタスの支援も意味をなさない。単純明快な力の差をお互いに感じ取っていた

 

「どうしよう……こっちの攻撃、全然届いてないよ!?」

 

「多分、アバンギャルドについている『アレ』の所為だと思う…!」

 

モモイがなんとか攻撃を躱しつつ悲鳴を上げると、それに答えながらミドリが返す。アバンギャルドに装備されている盾の形をした装置の影響だった。あれが発生させているのは特殊な電磁波であり、磁気をコントロール化に置いて銃弾の加速と減速に干渉し。此方の攻撃を一方的に退けているのだ

 

『先生!このままでは押し切られてしまいます!』

 

「”うん、分かっているよアロナ”」

 

アロナを経由して先生も指揮を取るが、やはり一筋縄ではいかない。アビドスの一件で多少なりとも自身がついていたようだが。此処でそれが思い上がりだったことを叩きつけられているのだ。先生は着任してから程なくしてしかなく。対してリオは元々がキヴォトスの住民であり。戦闘経験もリオの方が圧倒的に勝っているのだ

 

「…………」

 

しかし、リオは先生の方に意識を向けていない。放置していても問題ない…というよりは無関心なのだ。リオからしてみれば、先生はただの()()()()()なのだ。責任を背負う、と言いつつソレが出来てない出来損ない。アビドスの一件も当然調べた。調べた上でのリオの評価はこうだ

 

結局、最期は他人頼りか。と

 

カイザーを引かせた、とは言うのだが根本的なものは何一つ解決していない。カイザーの悪行は知っているはずだ。ならば、徹底的に潰せば良い。なら何故ソレをしないのか?それはあれで解決した。等と高をくくっているのだろう。そんなわけがない、第一もう一度同じことをされたらどうするのか?と問いかければ具体的な返答は返ってこないだろう。だから、期待も何もしていない、どうでもいい。先生が所持している0の力も、大したことはない。局所的なものは変わるだろうが、趨勢を左右するものではない。そう結論づけて興味を失っている

 

「呆気ないわね、やはりその程度」

 

なんの感慨もなく呟く、どうせこれで終わりだ。そう思っていたリオにアバンギャルドから得た情報が伝わる。どうやら他にも来ている人が居るようだ……と。

 

「皆、下がって!」

 

アバンギャルドとゲーム部の間に割り込んできたのはセミナーの一員である早瀬ユウカである。彼女が有している解析能力はリオも認める一流のソレだ。そこで一旦距離を離して仕切り直しを図る

 

「遅かったわね、ユウカ」

 

「………リオ、会長」

 

想定済みの結果。というようにリオが声をかければ、ユウカは苦しそうな声を出す。ユウカは迷っていた、リオが言っていることも理解できるし、アリスをただただ排除することは。居なくなってしまったあの同級生を思い出してしまうからと。二人の間に沈黙が流れ、ユウカは……静かに銃を向けた

 

「……そう、貴女はそちらに付くのね」

 

「────いいえリオ会長、違いますよ」

 

リオの言葉を遮ったのは……巨大な粒子砲を装備した生塩ノアだった。彼女が所持しているのはハンドガンだったはず?とリオは若干の想定違いを起こしていた自分にほんの少しだけ失望する。だが、差した問題ではない。元々の仮想敵であるAL-1Sが想定通りに戦いに来た。というだけなのだから

 

「……ご無沙汰していますリオ会長。あの時以来ですね」

 

「ええノア、あの時以来ね……それで。違うというのは?」

 

「私達はアリス………いえ、AL-1Sを救出しに来たわけではありません。()()()()()はそうであっても、少なくとも私はそうではありませんよ」

 

これにはリオ以外の面々が驚く。此処まで来たのだから、アリスを救う為に来たのだろうと。ゲーム部も、ヴェリタスも。そして先生もそう思っていた。

 

「”ノア。君は──”」

 

()()()()()()()

 

先生の言葉をノアが冷たく遮る。先生、ではなく。敢えてシャーレの先生と。貴方は部外者であることをお忘れなく。と釘を差しに来るように

 

「私は、リオ会長に人殺しをさせないために此処に来ています。それだけが目的ですから間違えないようにしてください……必要であれば。私も破壊する方向で行きますから」

 

ノアの言葉に、全員が息を呑む。これは友軍ではなく、第3勢力であると。下手をすると、此方も攻撃されかねない。そう思わせるには十分すぎる雰囲気だった。

 

「私は……私は、出来ることなら。アリスを壊したくはありません」

 

ユウカが、苦しそうに胸を抑えながらそう絞り出すような声を上げる、それはそうだろう。ユウカはアリスと触れ合ってきたのだ。逆にノアは一切関わらなかった。これが意図的なものであるのかそうでないのかはノアにしかわからないのである。

 

「でも、私は。リオ会長に遠くに行ってほしくは無いんです!貴女が、どんな思いでこういったことをしたのかは。私には正直、分かりません。でも、私達を守るために行っているのだけは。分かっているつもりです」

 

「……その根拠は?」

 

此処で初めて、リオが口を開く。ノアとユウカが来てから。初めて二人に焦点を合わせて二人に問いかける。お前たちの戦う理由は何だと。生半可な覚悟では到底打ち勝てないし、意味もないぞと

 

「……蒼望ニア、この名前……知っていますよね?」

 

「………………ええ、知っているわ」

 

「知っているのであれば、それが根拠です。この話は、私自身。他の人には話したくはないので。ご理解を」

 

「ええ、勿論」

 

「私の方は……特に必要ありませんよね」

 

「要らないわ、貴女の理由は既に知っているから」

 

ユウカの問いかけに。一瞬だけ表情を動かしたリオは。この生徒も、彼女のために……と思いながらノアの言葉に肯定する。早瀬ユウカと生塩ノアを『敵』として認識する

 

「……皆、動ける?動けないなら。後ろに下がってて」

 

ユウカの言葉にゲーム部は顔を見合わせて、一度後ろに下がる。撃ちすぎて弾薬の補給をしなければならないことと。負傷した傷と体力を僅かでも回復させる必要があったからだ。

 

「ノア」

 

「何でしょうか?ユウカ()()()

 

「……背中。任せるから」

 

「はい………行きますよ。リオ会長!」

 

「ええ、挑んできなさい。格の違いを教えてあげるわ」

 

ユウカが先行してアバンギャルドの攻撃の合間を縫いながら、まずは速度を補っているであろうブースターに狙いを定める。そもそもとして、機動力が有る兵器というのはそれだけで厄介な代物だ。ユウカのサブマシンガンが火を吹く。I.F.Fは敵と味方を区別する装置のことだ、本来ならば味方であるはずのリオを打つことには警告が出るのだが。それも外してある、残弾を気にする必要はない。彼女が今着ている服には。マガジンが大量に入っている。重さはもちろんあるが、そんなことで泣き言を言っている場合ではないのだ

 

「やっぱり効果は薄い、わね!」

 

電磁波により、まともにかする弾の数は数えるほどでしか無く、それだけでは到底火力は出せない。リオの作った兵器だ、そんじょそこらの銃火器では刃が立たないのは、目に見えている。

 

「馬鹿の一つ覚え……というわけでは無いでしょうね」

 

ユウカの行動をリオは分析する、電磁波は出していればいいというわけではない。局所的に出力を上げる必要がある。となれば……勿論、その周り以外の干渉能力は当然下がるのだ

 

「──では、まずは一撃」

 

当然、ノアも攻撃に参加する。ミレニアムで開発されている技術力の高さを示すだけのために作られた。ただの展示用の物を秘密裏に改造した粒子砲から放たれる物は──アバンギャルドには届かなかった

 

「やはりそう来ますか」

 

「ええ、勿論」

 

リオが止めたのである。彼女自身も技術者であり、戦闘力はお世辞にも高い方ではなかった……のだが、自身も弱い訳にはいかないと。彼女自身鍛えたのだ。干渉能力を補助し、電子機器を操れるようにと

 

「ですが、それも此方は計算済みですよリオ会長?」

 

「……!?」

 

アバンギャルドにダメージらしいダメージが此処で入る。リオがアバンギャルドから目を離した隙にユウカが自身が持っている解析能力で電磁波のパターンを解析し、緩まったタイミングで攻撃したのだ。狙い所はブースターの接合部、こういった精密機械は誘爆を避けるためパージしやすいようになっているのだ

 

爆発音が響き渡り、片方のブースターが破損する。ソレを見るなりリオはもう一つのブースターを外すように命令を送り。ブースターが両方とも外れる。片方だけではデッドウェイトになりかねないのと、もう一度同じことをされて気を散らすよりかは此方の方が戦いやすい、と判断したようだった

 

「……言うだけあってやるわね。ふたりとも」

 

「コレぐらい出来ないと、土俵にすら!上げて貰えないでしょうから!」

 

「ユウカちゃん、一度後ろに!」

 

アバンギャルドとほど近い場所に居たユウカをノアが呼び戻すと、その場にガトリング砲の嵐が飛んできて。飛び退いたユウカの前にノアが遮るように粒子砲を撃つことで砲撃をブロックする。

 

「なるほどね……そう、しっかり自分の人生を掛けに来た。ということね」

 

「まあ、そうなりますね……ノア、大丈夫?」

 

「ええ、大丈夫です、まだ余裕はありますよ」

 

リオの言葉に反しつつ、ユウカはノアの体調を気遣う。ニアが失踪してから長いことまともな生活を送ることが出来なかったノアの体は。普段よりも体力がなくなってしまっていた、ソレに加えて扱いづらい粒子砲を装備しているのだ、疲労が貯まるスピードも尋常ではない。だが、此処で死ぬ勢いで戦わなければいつ生死をかけて戦うのか。とノアはユウカに答える。それをリオは眺めつつ……無慈悲に宣告する

 

「だけど残念ね──アバンギャルド、タイプCよ」

 

リオがそう言うとアバンギャルドの元へタワーから何かが射出され。粉塵を巻き上げる、その場に居たリオ以外の人間が目を眇めつつ、何が起こったのか?と粉塵が収まりつつある状態で目を凝らしていると……

 

「皆、避けて!!」

 

いち早く気づいたユウカの言葉に。それぞれが回避行動を行う。数秒後には耳を聾するほどの爆音が鳴り響き、爆風で姿勢を崩されたメンバーは地に転がる。ユウカはシールドを貼り、ノアは粒子砲を盾代わりにしたことにより戦線復帰に支障はないのだが。目の前に現れている者に言葉を失った

 

「嘘でしょ……!?」

 

「これは、少々………」

 

粉塵の中から現れたのは。武装を新しく変更したアバンギャルドだった、ブースターは着いていないもの。威力を重視したマシンキャノン。回避行動を制限するグレネード。そして何よりも

 

「貴方達が使いそうな兵器の対策ぐらい、していないとでも?」

 

「くっ……」

 

チャフグレネードの存在であった。電子機器を阻害するこれは、対策をしていないと致命的なまでの戦力低下を招く、勿論ノアも対策はしていたものの。リオが開発しているチャフグレネードは電子フィルムだけではなく、無差別に信号を送るというものであり。機械制御にも支障をきたすものであった。

 

「ノア、行けそう?」

 

「駄目そうですね、チャージが1段階までしか操作できません」

 

無対策ではないというのもあって、チャージ自体は可能であったものの。最大までチャージしきらなければ有効打を撃つことは出来ず。ジリ貧になることは確定するのである。

 

「悪いけど、手は緩めないわよ?」

 

「くっ……!」

 

容赦のないアバンギャルドの砲撃が二人を襲う、マシンキャノンの中にグレネードが織り交ぜておられ。地面に着弾して爆発するだけでなく、時折アバンギャルド自身の攻撃で爆発させてから。逃げ道を固定させて放たれるマシンキャノンの嵐に、さしもののユウカとノアも捌ききれずに。あちこちに被弾してしまう。威力は折り紙付きで数秒でも点射されようものならそのまま戦闘不能にまで追い込まれる勢いだ。

 

「……そう、負けたのかしら?まあいいわ」

 

一方その頃、リオはC&Cが此方に向かっていることを把握した。トキが破れたのか、はたまた別の何かが発生したのかは分からない。けれど、トキはトキの為に戦っている、そう認識しているリオは特に何の感慨も見せない、負けてしまったのならば蒼望ニアの二の舞いを引き起こすことになりかねないと一瞬だけ思ったが……例えそうなったとしても。全員をそうする訳にはいかない、そう思って眼の前に集中することにした

 

「ユウカちゃん、一秒でいいので隙を作ってください」

 

「……どうするつもり?」

 

リオが隙を見せている間もアバンギャルド自身は動きを止めることはない。ただリオの意識が一瞬でも離れた今が作戦を立てる最期のチャンスだろう。

 

「……隙を見て。粒子砲をオーバーフローさせて自爆させます、アバンギャルドの武装は厄介ですが…アバンギャルド自体の予備パーツがそう有るとは思いません。仮にあったとしても、今から付け替えている隙は無いでしょう」

 

「ノア、それじゃあノアも危険よ。第一、オーバーフローさせたとはいえ粒子砲自体のチャージも完全には出来ないのよ?無駄骨になると思うわ。だから──」

 

()()()

 

いつもより余裕のないノアが捲し立てるように説明すれば、ユウカが待ったをかける、確かに此処で自爆させるのは色々とリスクが有る…というよりはリスクしか無い。そう伝えるユウカの言葉を遮るノアの顔は。穏やかなものだった。

 

「───私は、もう。心が耐えられる余裕がないんです。本当だったら、リオ会長とも、お話したかった。でも、こうなってしまいました。だから、終わらせたいんです。もう、二度と。このようなことをしないようにと……ふふ、大丈夫ですよ。死んだりしませんから」

 

「ノア……」

 

「さあ、ユウカちゃん。行きますよ、最初で最後の……博打になると思いますけど」

 

ノアが息を整えて、構えに入る。それに応えるようにユウカも武器を構える。もうこれしか方法がない、そう思いながら。ユウカが被弾覚悟で突っ込み、ノアがオーバーフローさせた粒子砲を構え、辺り一帯が閃光に包まれる

 

 

 

 

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「それでも結果は変わらないわ」

 

 




ここではアバンギャルド君、ではなくアバンギャルドなのでひたすら殺意マシマシです。ちなみに今のところリオが出してきてるのは失敗作だけど一応テストデータ取っとくかぐらいの代物です

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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