アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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これは3戦目……かな?4,5はまとめて一気に


『ビッグシスター』

「ノア、確かに。アバンギャルドを無力化することは大事なことね。でも……アバンギャルドばかりに気を取られたのは失点よ」

 

リオは地に転がっているノアとユウカを見ながら出来の悪い生徒を見るような視線を送る。それは、本来事務仕事でセミナーに選ばれたことを忘れているのか?という視線だ

 

「うっ………くぅ………!!」

 

ノアがなんとか体を起こす、全身に激しい痛みを覚えつつ。アバンギャルドは健在だった、その理由は簡単だ。エリドゥの隔壁をリオが操作し、リオとアバンギャルドによりノアの粒子砲のエネルギーが極端に下げられ。内部で爆発するように仕向けられたのだ。

 

「これで二人は戦力として役に立たなくなったわね」

 

「まだ、戦え───」

 

「いいえ、終わりよ」

 

立ち上がろうとするノアとユウカの周りの床がドン!と音を立て聳え立ち、隔離される。とっさのことで動けなくなった二人は、そのまま戦線離脱を余儀なくされたのである。

 

「あの二人にこれ以上傷を負われると面倒なのよね」

 

リオからしてみれば、ノアとユウカを消す理由はない。むしろ今後のミレニアムの運営に無くてはならない人材では有る。その二人を傷つける、というのは本来不本意ではあったが。向かってくるのでしょうがない、とため息をつく

 

『先生、早く体勢を立て直してください』

 

「”うん、分かっているよ”」

 

ヒマリの言葉に、補給を終えたゲーム部の面々が再度リオへと銃を向ける。それを見るリオは何処までも興味がなさそうな顔で眺めていた。

 

「一度負けたのによく向かってこれるわね。ろくな対策もしていないでしょうに」

 

『対策なら、此方の方で既に終えていますよ』

 

リオの言葉にヒマリが返すと、アバンギャルドが武装を下ろす。どうやらアバンギャルドにハッキングを仕掛けていたらしい、ノアとユウカの戦いの隙を伺って。完全にそちらに向いた瞬間。プログラムの書き換えを行ったのだ。

 

「………そう、ソレぐらいは出来るのね」

 

ただ、リオはそれでも全くと言っていいほど興味を向けてはいない。これぐらいやってくるのは想定の範囲内であり、どうでもいいことであった。ヒマリの腕はよく知っている、放置しているのも面倒になることも知っている。ただ……面倒というだけで。脅威には足り得ていないのだ

 

『随分、余裕ですねリオ。貴女のご自慢のアバンギャルドが機能停止したというのに』

 

「ご自慢…?なにか勘違いしているようだけど……」

 

ヒマリの怪訝そうな声を聞きながら。リオはため息をつく、最近ため息しか着いていないな。なんて場違いなことを思いながらリオはアバンギャルドを見つつ。端末を操作する

 

「──()()()()()()()

 

『!?』

 

アバンギャルドを自爆させたのだ、リオ自身近くに居たのだが。爆風は全て自前のシールドで防いでいる。自分の最大の手駒であろうアバンギャルドを自らの手で破棄したことに。先生も、ゲーム部も、ヒマリも瞠目する。これではみすみす負けるようなものではないかと

 

「……さて、戦闘データは取れたわ。後は始末するだけね」

 

「”一体何を……?”」

 

『先生!高熱原体。接近しています!?』

 

リオの行動を不可思議に思っていた先生にアロナの悲鳴じみた声が聞こえる。遠方から何かが飛んできた、と思ったときには両者との中央に着弾し。粉塵を巻き上げる、砂煙が段々と晴れると。今度こそ、先生達は言葉を失ったのだ

 

「茶番は終わり、消えて貰いましょう」

 

突如として現れたのは、アバンギャルド…に似た兵器だった。4脚は変わらないのだが。問題は付いている武装である。背面部に巨大なミサイル・ポッド。右腕には火自衛用ののアサルトライフル、左腕には近接の大口径ショットガン。右肩には光の剣《スーパー・ノヴァ》よりも大型のレールガンと左肩にはノアが使っていたのと同規格でありながらチャージ速度が格段に早い粒子砲が装備されていた。脚部にスラスターと姿勢制御用のバーニア兼ブースターが備わっており。速度も先程のものとは比べ物にならない程機動力が有るのだろう

 

『リオ、貴女一体何と戦うつもりで…!?』

 

「何と?勿論、貴方達が人間扱いしているアレに連なるものと……そして、他の学園とよ」

 

ヒマリが瞠目しつつ、絞り出すような声で出した問いかけに素っ気なくリオは返す。

 

「”他の学園…?”」

 

「そう、他の学園……まさかとは思うけれど。各学園が仲良しこよしだと思っているのかしら?」

 

「”ッ…!”」

 

先生の反応にリオはほとほとつまらなさそうにしている。此処まで何も調べていないのに、学園の中枢に関わることに首を突っ込んできたのか?ともはや呆れを通り越して感心するレベルだ。その責任能力のなさに

 

「アビドスの暁のホルス、ゲヘナの風紀委員長、トリニティの力天使………仮想敵なんて幾らでもいるわ。特にゲヘナとトリニティとは、いずれ一線交えることになるでしょうから。現状、ミレニアムにはコレと言って使える戦力と呼べるものはC&Cぐらいだもの。これぐらい用意していないと、ただ搾取されるだけだもの」

 

そう、リオは他校との戦争を仮定し続けている、特異な力がないゲーム部や情報戦こそ強力では有るが直接的な戦闘能力はほぼ無いに等しいヴェリタスに向けられる戦力ではないこれらのたぐいは。全て「外」に本来向けるものだと。此処に居るメンバーには過剰戦力では有るが、仮に暁のホルス……小鳥遊ホシノにぶつけるとするならば、コレでも火力不足だろう、そうリオは判断する。風紀委員長の空崎ヒナの場合では防御力不足であると。だからこそ、常にアップデートを続け、より強く。より強靭にと……実際、いま現れているアバンギャルドによく似た兵器もリオからしてみれば試作段階でしかなく。本命ではない。最初に出たアバンギャルドなぞ以ての外である。セミナー程度に遅れを取った時点でリオからしてみれば失敗作も良いところである

 

「全ては………ミレニアムが此れからも、そして…此れからも。ミレニアムで有り続けるために必要な力よ、力がなければ乗っ取られるわ」

 

そう、リオはいつでも。ミレニアムの行く末を考えている、自分が卒業したらもうこのようにすることは出来ない。基本学生主体だ、そこに大人として関われるかと言ったらそうではないだろう。基本、キヴォトスの大人は信用されない。リオ自身信用していないのだからそう仮定する。それからでは遅いのだ、この短すぎる学生生活で。より多く、より多彩に。戦うための力を残していくべきである。それが、セミナーとしての。長としての役目だと、リオは信じてやまない。例え今こうして否定されようと、この後に続く生徒たちが少しでも楽になれるのであれば……それで良い、既に犠牲を出してしまうことでしか守れないであろう自分には。過ぎた報酬だろうから

 

『リオ、貴女は───』

 

「同情も理解も必要ないわヒマリ、端から私は誰にも期待しないもの。今更向けられる感情としては不愉快極まりないわ。貴女、私からアレを奪い返そうとしているのでしょう?覚悟が足りないわ」

 

ヒマリの声をリオは遮る。リオはもう、誰からの理解も、同情も必要とはしていない。そんなものは1年前のあの時から、捨てているのだ。捨てなければならなかった、そうでなければ禊にはならない。そうでもしなければ、自分よりも早く、守ってあげなければならない側なのに、逆に身を挺して守ってくれたあの生徒に申し訳が立たない。こうして向けられる銃も、敵意でもまだ足りはしない。私が……私達が殺してしまったあの生徒の覚悟には。到底及ばない、まだ。及ばない

 

あの生徒が考えていたのは、ミレニアムだけではない。キヴォトスの行く末すら考えていたはずだ。でなければキヴォトスの未来まで慮ったあんな言葉は出てこないだろう。私は、ミレニアムの行く末しか考えていないからと。それに……あの生徒の同級生も傷つけてしまっている、あの生徒が見たら。怒り狂うだろうと、そうリオは思いながら視線を先生へと向ける

 

「さて、終わらせましょうか。貴方達にかける時間は無駄でしか無いもの」

 

「”待ってくれリオ、他の学園は───”」

 

「……本当に何も知らないのねキヴォトスのこと。トリニティの成り立ちを知っていれば口が裂けてもそうは言えないはずよ」

 

「”……?”」

 

静止しようとしてくる先生にリオは何度かともしれないため息を付きながら問いかける。先生は投げかけられた質問の意図を理解できずにいるのを見ると、リオはもうコレ以上は関わるだけ時間の無駄だと判断する。相手が連邦生徒会に関連するような組織であっても、自治権の侵害である。そういう言えばリオはソレで片がつくと判断をつける

 

「先生、貴方を排除する理由は私の方は説明が付くのよ。だから遠慮も加減もせず、()()()

 

『リオ、先生は連邦生徒会の依頼を受けているはずです、故に───』

 

「AL-1S」

 

先生もろとも消そうとする姿勢に流石にヒマリも説得に入る。だがリオはそれを遮りつつ。元凶であるAL-1Sの名前を口にする

 

「アリスはAL-1Sじゃないよ!天童アリスだもん!」

 

堪らず、モモイが口を開く。そう、彼女達の認識では。AL-1Sではなく天童アリスなのだ

 

()()()()()()()()

 

「そんな生徒、ミレニアムには居ないわ。少なくとも()()()()()()()()()()()()……この意味、分かるわよね?『シャーレの先生』?」

 

「”……!”」

 

そう、あくまでもそれは先生達の言い分である。だがリオとしては……いや、ミレニアムの生徒会であるセミナーとしてはそんなもの認証した覚えはない。少なくともリオが、トップがそれを承認していない。つまるところ、連邦生徒会関連の組織が。勝手にミレニアムの自治権を阻害、その上その生徒がミレニアムを、ひいてはキヴォトスを滅ぼす可能性が大いにある存在なのだ。それを認めろ、等というのは調月リオ以前に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あまりにも好き勝手されると、困るのよね。だから…此処で潰しておきましょうか」

 

殲滅戦が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機体名:アナイアレイト

アバンギャルドの改良型…と言うには構造がかけ離れている。走破性、機動力、出力、処理能力全てにおいて遥かに高い。アバンギャルドが車だとするならば此方は大型の迫撃砲が付いている戦車と呼べるほどに別物。仮想敵として挙げられた三人には通用しないだろうとリオは考えており。あくまでも尖兵でしかない、尖兵と呼ぶにはあまりにも火力過剰では有るものの、他校との戦争を仮定しているため尖兵であると仮定した。3〜4小隊程組める程度には既に製造している。先生やゲーム部含めた現在敵対している生徒には過剰戦力、C&Cが完全離反し、トキも何らかの理由で離反した際に持ち出す予定であったが。ノアとユウカの戦闘で予想よりもアバンギャルドが弱いと判断したため此方を持ち出した。なお尖兵の枠なので。コレよりも強力な兵器は控えている

 

 

 

 




感想にチラホラありましたが。リオは各校とやり合うつもりで、先生がホシノかヒナを連れていくるだろう……とは行かずとも。シャーレで動かせる部隊ぐらいは連れてくるだろうと想定したのだが誰も連れてきていなくて肩透かしどころか舐められると感じて内心キレてる

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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