アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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5戦目まで行けなかった。許して………

今回はメーベルとシャルル聞きながら書きました。シリアスでは有るけど、結構しっとり


『小さい姉』

「さあ、終わらせましょう」

 

アナイアレイトが唸り声を上げ、武装を展開する。吐き出される武装の威力はアバンギャルドの比ではなく、エリドゥの外壁に接触した途端爆発して貫通するレベルである。焼け焦げ、融解した鉄を見るゲーム部、先生、そしてヒマリは青い顔をする

 

調月リオは本気で此方を殺しに来ていると

 

心の何処かで思っていた、調月リオはただアリスの破壊をしたいのであって、ミレニアムの生徒を殺したいわけではないと……しかし、認識が違った。もう調月リオはゲーム部を、ヴェリタスを、ヒマリを、そして先生をミレニアムに仇なす『敵』と認識しているのだと

 

『リオ───!!』

 

ヒマリの声が虚しく響く、此処まで溝が深かったと思っていなかった自分の甘さを呪いつつ、そこまでするかと。ただ、当人のリオには何も響くことはなかった。もう決めているのである、ミレニアムの『敵』ならば何であろうと排除すると。

 

『チーちゃん、援護をは!?』

 

『やってる……やってるけど……ッ!』

 

ヴェリタスの部室ではアナイアレイトにハッキングを仕掛けているチヒロの苦々しい声が響く、アバンギャルドのハッキングも楽なものではなかったが、可能ではあった。だが、アナイアレイトにはそもそもとしてハッキングが通用していないのだ、明らかにプロトコルのレベルが跳ね上がっている。脂汗を流して、なんとか突破口を切り開こうとしているが

 

「………目障り極まりないわ」

 

『ッ!?』

 

リオがただ傍観するわけもなく。アナイアレイトへのアクセスをシャットダウン、そしてアクセス履歴からヴェリタスの部室に有る電子機器をハッキング仕返し、何も出来ないようにさせたのである。この間僅か数秒にも満たない攻防戦だった、いや、攻防戦とも呼べないものである

 

「高々ハッカー程度で。ミレニアムのトップに勝てると思ったのが間違いよ」

 

『リオ………!』

 

身の程をわきまえろ、というようなリオの言葉にチヒロが苦々しい声を出す、コレではバックアップのしようがない。アナイアレイトをどうにかしなければリオを倒すことは不可能であるのは間違いないのだから。

 

『チーちゃん、落ち着きなさい。体勢を───』

 

「そして……そろそろ目障りだから、ご退場願おうかしら?」

 

『一体何を……────!!??』

 

リオが端末を操作すれば、ヒマリの声が途中から聞こえなくなり。投影が消える、その後先生達がつけている連絡用のイヤホンから爆音が響き渡る。

 

「”まさかヴェリタスを直接……!?”」

 

「ええ、トキが乗り込んだ時にアビ・エシェフに仕込みをしておいたのよ……周りの電子機器を暴走させて爆発するプログラムをばら撒く電波を発生させる装置を」

 

先生の言葉にリオは肯定する。仕込みには仕込みを、もしかしたら、アナイアレイトもハッキングされる可能性があるかもしれない。ということを仮定していたリオは直接排除する必要を考えていた、仮に此方も防がれた場合。AMSAをけしかけて潰すのも用意していたし。ヴェリタスの部室周りの電気の供給を断ち回線そのものを物理的に破壊することも視野に入れており、直ぐに実行できるようにしてあるのだ

 

「卑怯?非道?なんとでも言えば良いわ、私から見れば。私以上の事をしてる貴方達に何を言われても。なんとも思わないもの、」

 

自分達のエゴで世界を滅ぼしかねないものを側に置き続ける。等と言っているのだ、自分がやっていることよりも余っ程の被害を出して、下手をするとその場でキヴォトスが終わる、そんな物を許すわけがないと

 

「それでも…それでも私は……!」

 

「貴方がなんと言おうと事実よ。仮にこれが外部の学校に知られたらどうなるのかしら?勿論攻め込まれる口実にもなるし、利用されることもある。そんな原因を放置していいと思うの?貴方の居るゲーム部も当然標的になるわ。他ならないAL-1Sのせいでね。望みを持つのは個人の権利、けど。押し通すにはそれ相応の覚悟と…何よりも力がなければ意味がないわ」

 

「………!」

 

モモイがそれでもアリスにいて欲しい。と口走る前に、リオが封殺する。お前はお前の居場所のために他の居場所を潰すのかと、仮にもし。それを自分がされたとして容認できるのか?と

 

「そう、自分のエゴで今後のキヴォトスの未来に影を落とすような真似は許されないわ」

 

リオがアナイアレイトの攻撃でボロボロになったゲーム部を見つつ、戦力がなくなった先生を見る、コレで終わりだ。というようにアナイアレイトの主砲を先生へと向ける

 

 

「そうだね、その意見は。違っていないと思うよ」

 

「!?」

 

アナイアレイトに砲撃が命中する、ゲーム部ではかすり傷すらつけられなかったそれに傷をつけられるのは。ミレニアムに限って言えば、ごくごく限られた人員だけだ。

 

ミレニアムの歴史上最高のマイスターと呼ばれた前エンジニア部長か、所属していれば。数々の開発でリオと並び立つところまで行けたはずの最強のマイスター。蒼望ニアか

 

「…………やあ、リオ。遊びに来たよ」

 

「白石……ウタハ………」

 

現エンジニア部長、最優のマイスターである白石ウタハである。

 

「ヒビキ、コトリ、悪いけど。皆を避難させてくれないかい?」

 

「……わかった」

 

「ウタハ先輩も、危ないことはあんまりしないでくださいね!?」

 

ヒビキとコトリ二人がかりで、負傷したメンバーを安全圏へと運んでいく。リオはそれを呆然と見る……筈もなく、逃げるメンバーを狙い撃とうとするが。ウタハに邪魔をされる

 

「ウタハ……!」

 

「悪いねリオ、私の後輩なんだ。撃たせる訳にはいかないよ」

 

離脱していくのを見つつ、リオが睨むが。ウタハはどこ吹く風だ

 

「……まあ、そんなに怒らないでくれリオ。私は話し合いに来たんだ」

 

「話し合い……?」

 

ウタハとリオが向かい合う。先生も負傷したメンバーの治療を手伝うため、戦線離脱しており。今はこの二人しかこの場には居ないのだ。

 

「………話し合いの余地が有るとでも?」

 

「ある……というよりは、聞きたいんだ。君に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………君は、ニアが本当に死んでいると思っているのかい?」

 

私はリオに問いかける、リオはニアが本当に死んでしまっている。そう思っているのだろう、生存を確認できなかったことはノアから聞いている。だけど、私はニアが生きていると思われる手紙も持っている……もしかしたら。違う人物が書いているのかも知れないけれど。可能性を捨てるべきではない

 

「……そんなことを聞いてどうするのかしら」

 

リオの視線は揺らがない。此れぐらいで動揺するようなら、リオは最初からこういうことはしていないだろうということは容易に想像がつく。元々頑固な性格だった君のことだ、一度決めたら辞めることは決して無いだろう

 

「仮に、生きていたとしたら。どうするのか気になったんだ」

 

「生きていても、死んでいても。私は同じことをする。それだけよ」

 

「はぁ………ほんとに合理主義者だね」

 

頑固さに拍車がかかっている。もう後戻りできない所まで来ているという自覚は、私よりもリオのほうが当然感じているだろう。

 

「変わらないわ。仮に生きていても……彼女が失った物は戻ってこないもの」

 

「……それはそうだね」

 

多分、リオにとって。ニアの生死は極論どうでもいいのだろう。生きていても、死んでいても。リオは、その過程で失わせてしまったこと、肩代わりさせてしまったこと…この2つが。何よりの動悸なんだろうな、と他人事のように見ている自分がいる。……そんな彼女に何通かの手紙を見せる

 

「…………それは?」

 

「ニアからの手紙だよ」

 

「…!」

 

揺らいだ、明星ヒマリでも、シャーレの先生でも揺らがなかった調月リオが。白石ウタハによってほんの少しだけ。揺らいだ

 

「………ニアは生きている。少なくともそう思っているよ。書かれている内容も内容だった……ニアにしかわからないことしか書かれていなかったから。彼女で間違いない……手紙自体。本当に時折しかコないけれどね」

 

この一年と少しの間。届いた手紙はたったの3通だった、居なくなってから半年、その次にもう一通。そして最近もう一通、それしか来ていない。けれど……ニアが生きているという証拠としては、それなりに意味があると思っている

 

「確証がないわ、彼女を模した別の誰かの偽装工作かもしれない」

 

「…そうだね、君の言う通り。その線も非常に可能性としては高い、私もいっときはそう思ったよ」

 

だけど、そうじゃない。確定的なものが、この手紙の中に混じっているんだ

 

「光の剣」

 

「……AL−1Sが使っていたアレのことかしら?」

 

「そう、あれの設計図……あれは、私が引いたものじゃない。ヒビキでも、コトリでもない……あれは。手紙の中に仕舞ってあったんだ。必要になるだろうからと」

 

「……………」

 

光の剣《スーパー・ノヴァ》。ニアがまだ居た頃、光学兵器にかなり強い興味を持っていて、今度一緒に作ろうって約束したものだった……一緒に作ることも出来なかったし。設計はニアが書いて、作るのは私だった、けれど……お互いに別々の場所で。一緒に作ることはなかった、出来なかったって言うべきかな。ただ、リオ自身もあれが私達が設計したものではないと見抜いていたはずだ

 

「……そう、なら。今度は私が提示する番ね」

 

「何を……?」

 

リオは少し考える素振りを見せる後、ため息を付きながら。何処か諦めた顔をした

 

「私が、何故此処までするのに至ったかの証拠よ。……ウタハ、私としては、この証拠を見ることは勧めないわ。今の貴女には刺激が強すぎるから」

 

リオは此方を見ながらそういう、その目……そうだね、君も。本当はこういう事をしたくないタイプの人間だっていうのは私は分かっているよ、だけど……うん。それは、私も知らなきゃいけない事だろうから

 

「いいよ、見せて欲しい。君がそうなった理由を私は知るべきだ」

 

「……後悔は?」

 

「ないよ」

 

そう言うと、リオは自分の服の中に手を入れて、ボロボロになっている端末を取り出した………あれは間違いない、ニアが使っていたものだ。そっか……連絡を取れなかったのは、もう手元になかったからなんだねニア

 

「………これが、私の戦う理由よ」

 

そう言うと、リオはスイッチを押した。聞こえてきたのはノイズ音。そして、ニアが残した言葉。ミレニアムを最期まで大事にしてくれたこと。キヴォトスが明日もありますようにと願った言葉……

 

………そして、死ぬことへの恐怖が漏れ出したことだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………そう、かい。此れが……君の。戦う理由なんだね」

 

「ええ、そうよ。これが私の戦う理由」

 

録音を聞いた後のウタハは、膝を震わせて立つのもやっとなところで踏みとどまっている。この先輩あってあの後輩なんだろう、そんな事を私は思う。聞かせるべきではなかった、と思う私も居る、しかしこれは知る権利だ。私はそれで自分の中で決着をつける

 

「………君にも、悪いことをした」

 

「別に、悪いことをされた覚えはないわ」

 

そう、悪いことをしているのは私の方だ。これを、もっと早くに教えてあげることが出来たかも知れない、事情を知っているウタハだけでなく。ノアとも話し合って、なんとかする未来があったのかも知れない。だけど、私は合理性を選んだ。負担を背負わせるべきではないと、自己で判断した。

 

「……でも、ニアは生きている」

 

「否定はしないわ、仮に生きていても変わらないもの」

 

「……どうして?そう言えるんだい?」

 

「………そうね、貴女になら。言っても良いでしょう」

 

打ち明けることのないと思っていた事を、今。話そう。時間の無駄だと分かっている、敵対している以上。変わらないことも知っている、だが……だが。白石ウタハにだけは、誠実であら無ければならない、一番辛いはずの彼女を差し置いて、こんなことをしている理由を

 

「………あの光の剣《スーパー・ノヴァ》で、人を殺してほしくないのよ」

 

「え………?」

 

ウタハが間抜けな顔をする、それもそうだろう。AL−S1憎しだけで戦っていると思われていただろうから。でも、そうじゃない。そうじゃないのよ

 

「あれは、彼女が。蒼望ニアが残した現在だと。唯一の痕跡になっていると思うわ、既に他のミレニアムの生徒は彼女事を覚えていないでしょう。知りもしないでしょう、ただ有るのは貴女が言った設計図を作成して関わったあれだけ、最期に残った痕跡が。人殺しの武器だった、なんてのは認めたくないし。許せないのよ」

 

知っていた、あの光の剣《スーパー・ノヴァ》が別の誰かで設計されていただろうことぐらいは。あれは明らかにAL−S1を倒すために設計されている。AL−S1というよりは……もっと別のものだろう、私が押さえつけて。破壊した()()()に対抗するするための兵器で、人を脅かす脅威から身を守って欲しい、そんな願いがこもった武器なのだろうと。居なくなってしまったから、せめて。これで守り抜いてほしい、そんな祈りが籠もっているのだろうと。

 

それがAL−1Sに使用され、最悪暴走状態で人に向けられて使用されたらどうなるか?下手をしなくても、死人が出ることになるだろう。それは、認めたくはない。認める訳にはいかない

 

……あの生徒が遺した物が、血まみれの兵器であってほしくない。どうせ使われるなら、何かを守る為に振るわれる力であってほしいと

 

「……優しいんだね君は」

 

「優しくはないわ、最低限の義理よ。守ってあげられなかったから」

 

「……それは『ビッグシスター』としてかい?」

 

「いいえ、違うわ。技術者として、一人の人間として……何よりも、年上として。上級生としてよ」

 

そういうとウタハが目を伏せる、そう。私達は守ってあげられなかったのだ。知らなかったでは済まされない、少なくとも私は。その時からセミナーの一員だったから、守ってあげるべきだった。もっと調べておくべきだった、そんなことばかり、考えていた。

 

「……生きていても死んでいても、という理由には。もう一つ理由があるわ」

 

「それは……なんだい?」

 

「帰ってこないから…帰ってこれないからよ」

 

「……そう、だね」

 

どんな理由があるのかは知らない、知らないけれど。仮に生きていたとして。もしかしたら、もう自分だけでは動けないかも知れない、手も動かせないかも知れない。足がなくなってるかも知れない。食べ物を食べても、味がしないかも知れない。触覚がなくなってるのかも知れない、目は見えているだろうけど。見えにくくなったり、もう見えないかも知れない。耳が聞こえなくなってるかも知れない

 

…………もう、ミレニアムを去る前の蒼望ニアではないから

 

「帰ってこれる場所を、作ってあげられなかったというのも有るわ」

 

「リオ…………」

 

仮に、ちゃんと生きていたとして。彼女のことをちゃんと探して、強引でも良いから連れ戻して。彼女が帰ってこれない理由をすべて排除して。なんなら全てと戦うことが出来るぐらい、私が強かったら良かったのに。そう何度も思いながら夜を明かしたのを覚えている、私は………彼女が、蒼望ニアが生きているかも知れない。という可能性を切り捨てて此処に居る、手一杯だった。なんてことは言えない、そんなことは。口が裂けても言えない。私はミレニアムの長だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

………私は、そうなることが出来なかった。それが、私の罪。私のやったこと。だから……

 

 

 

…………だから、ウタハ。そんな風に悲しい顔をしないで頂戴。これは、私が受けるべき罰でもあるんだから。ウタハは、貴女はもう。苦しまなくていいのよ

 

 

沢山悔やんだはずだ、あの時こうすれば良かった、こうしていたら…と。私以上に苦しんでいたはずだ。もう関わりたくない、そう言って泣いていても良かったはずだ

 

その点はノアも一緒だ、そうしてあげられなかったのは私のせい。私が未熟で弱かったから、それだけが理由。貴女達は。悪くないのよ……

 

 

 

 

 




リオにとって、ウタハは本当に関わってほしくない相手なんです。辛い思いをしただろうから、そういうのは私が引き受ける。そういう気持ちがかなり強かったので、エンジニア部には本当に一切手を出していませんし。トキにもそう言い聞かせていました、トキもそのつもりでしたけれど。そういう言うことを言っていたこと、一人で悩んでいたこと、それがあったからこそ。リオに従っていた。という側面があります

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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