アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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ようやく5連戦終わり


『アナイアレイト』

「………ウタハ先輩、大丈夫でしょうか?」

 

「ん、大丈夫だと思うよ……ウタハ先輩なら。きっと」

 

誘導を終えたヒビキとコトリは先生達から離れたところで様子をうかがう。事前にウタハが身につけている機械が壊れた時、即時撤退するように言われている。ただ、それが届いていないというのはそういうことだろう

 

「”皆、大丈夫?”」

 

「なんとか………、だ。誰!?」

 

負傷したモモイの手当をしている先生を尻目に、ミドリが誰かの足音を聞く、此処でリオの援軍だろうか?そう思った先生一行の前に現れたのは

 

「よぉ、その様子だと。リオにボコられたみたいだな?」

 

ネルを筆頭にしたC&Cのメンバーだった。とりあえず敵ではないだろうと一息つく、決戦前の雰囲気と言うには。先生側は意気消沈、といったところだった。

 

「だらしねぇなぁ……そんなんじゃリオには逆立ちしても勝てねえよ」

 

「………ネル先輩は」

 

「あん?」

 

「ネル先輩は、こうなるって知ってたんですか……」

 

「………あぁ」

 

モモイの言葉に、ネルは億劫そうに声を上げる。こんなこと、ネル以外のC&Cもわかり切っていた。

 

「じゃあなんで止め───!」

 

「アホか」

 

モモイの言葉を聞き届ける前に、ネルは突っぱねる。ほとほと億劫そうに

 

「お前、リオはミレニアムの長だぞ?少なくとも、C&C(アタシ達)だけじゃどうしようもならねえ。分かり切った結果が見えてるのに死にに行くことはねえし、死なせに行くつもりもねえ。……それに」

 

言葉を一旦区切ると、ネルはエリドゥのタワーを見上げた

 

「………止めてやれるもんなら、とっくの昔に止めてるよ」

 

「部長………」

 

ネルの言葉に、アスナが目を伏せる。ネルだってなんとかしてやりたかった、こんなことはやめろ。何度も何度も言い聞かせて、なんなら一度銃を向けて撃ったことも有る。その時、リオはこういったのだ

 

『別に撃ちたければ撃てばいいわ、殺したければ殺していいし……ただ、少しだけ待って頂戴。それが終わるまでは』

 

その時から、ネルはリオを撃てなくなっていた。死んでもいいってなんだよ、居なくなってもいいっていうのかよ。そう罵倒しても、リオは何も言わなかったのだ

 

「………こうなんなきゃ、アタシも動けなかった。その時点で、お前らとそう変わんねえ。期待しすぎるな」

 

「………それは、私達も一緒ですよ」

 

ネルの言葉にそう投げかけたのは、下層に落とされたはずのノアとユウカだった。ボロボロだった服は、どこかで交換したのだろうか。新しいものに変わっている。粒子砲は破壊されてしまった以上、別の銃を備えている

 

「お前らか、あっちにつかなかったんだな」

 

「ウタハ先輩がそうしたなら、そうしていましたけど……ウタハ先輩は。リオ会長を止める方に回りましたから」

 

「………そうかよ、難儀だなお前ら」

 

「貴女もですよ、ネル先輩」

 

ノアとネルが互いに互いの境遇に思いを馳せる、各々再度準備を整え。戦いに備える

 

────終わりの時は、近い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……リオ、私は。それでも、君にアリスを破壊させるわけには行かないよ」

 

「……そう、残念ね。なら、立ち去りなさい。エンジニア部に手を出すつもりはないわ」

 

リオが抱えているものは、私と同じ…とは言えないかな、多分。リオのほうが、色々と考えてくれていたんだと思う。私は何も準備できなかった、しようとしなかった。もし、もしもだ、準備することが出来たのならば。アリスを安全にあの場所に置いてあげることが出来たのかも知れない。そう、ウタハは後悔した

 

「出来ない相談だ」

 

「……なら一つだけ、忠告よ。貴方達が天童アリスと呼んでいるソレは。蒼望ニアの変わりにはならないわ」

 

「………そんなこと、分かっているよ」

 

そうだ、天童アリスを見ていると。ふと思うんだ、あんなふうに燥いでいたニアのことを、どこかで。ニアの投影をしていたのかも知れない。そこは、否定できない

 

「………リオ」

 

「………何?」

 

「今度………同じ夢の話でも、しようか」

 

「……そうね、きっと。楽しいでしょうね」

 

お互いに距離を離してから、互いが互いを見つめる。どうしてこうなったのか?と問われれば、自分達が情けなかったからだ、異口同音で二人は返すだろう

 

「………行くよ」

 

「………ええ」

 

短い応答の後。アナイアレイトが再起動し、照準をウタハに合わせる。ウタハも、自らが持ってきた戦闘用のロボットを起動させる。

 

ウタハも、ただこの場所に来たわけではない、戦う準備はして有るのだ。

 

──弾丸の応酬が始まる

 

「やれやれ、凄まじい火力だね……!センスのなさ以外は非の打ち所がないよ!」

 

「貴女にだけは、言われたくないわね」

 

ウタハが使っているのは、いつも使っている雷ちゃんではない。センティメントと名付けた戦闘用のロボだ、人形のサイズでは有るものの。AMSAを遥かに凌駕するそれは、アナイアレイトの砲撃を受けてもなお。損傷と呼べる損傷は与えられていない

 

「……!」

 

ウタハ自身もアナイアレイトへ銃を向ける、自分で銃を打つ機会なんてほとんど無かったが、感覚と当て感だけで。アナイアレイトの防御が薄いところを察知し、そこにセンティメントの砲撃を当てて行く。

 

「……やはり、マイスター相手なら損傷は避けられないわね」

 

リオはそう呟く、こういう時。技術屋を相手取るというのはかなり厄介だ、作りが甘いところ。構造上どうしても脆くなりがちなところを徹底的に潰しにかかるのだから。

 

「でも、貴女自身の戦闘力は低いのは変わらないわ」

 

「!」

 

リオも出し惜しみはしない、エリドゥの防衛機構を作動させたのだ。各場所に設置されている発射口から。ミサイルが発射される。大陸間弾道ミサイル、いわゆるICBMに匹敵。或いはそれ以上の射程だ、威力も並ではない。さしもののキヴォトス人ですら、直撃すれば生死に関わる

 

ウタハは目を眇める、これは不味いと。迎撃するようにセンティメントに指示する前に。それは撃ち落とされた

 

「………来たわね。C&C」

 

「あぁ、来るしか無いだろ。ビッグシスター」

 

ミサイルを迎撃したのはカリンだ、離れたところで狙撃するように専念させている。ネルを先頭にゲーム部、セミナー。そして先生がリオの前に立ちはだかる

 

「ウタハ、交渉は……まあ、駄目だよな」

 

「残念ながらね、リオの石頭は相当だ」

 

「ハッ!……わかりきってたことだから構わねえよ」

 

ウタハとネルが互いに軽口を叩くが、どちらも笑うこともなく。最初から成功するなんてことも考えてはいない、そう思えるほど。調月リオを知らないわけではないのだ

 

「………リオ」

 

「………何かしら」

 

「………アタシは、正直。お前がやってることは、人一人が背負うもんじゃないと思ってる」

 

「……そうかも知れないわね」

 

「それを知った上で、お前はやるって言うんだな?」

 

「そうよ」

 

「……最後の確認だけ、しておきたかっただけだよ……構えろ。ガキ共、リオは強いぞ」

 

ネルとリオの短く、だけれど互いの思いが交錯する会話が終われば、ネルは銃を構える。開戦の合図だ

 

「……行くぞ!」

 

ネルの言葉に、C&Cが一斉に動き出す、アナイアレイトの攻撃力の根本は、質量だ。浴びせかけられる武装の数が多ければ多いほど。即座に退場させられる可能性が高まる

 

「………」

 

ただ、リオも何も考えていないわけではない。不意打ち気味にAMSAを追加投入し、エリドゥの防衛機構を作動させて死角から攻撃を浴びせかける、大半のミサイルはカリンが撃ち落とすが、当然撃ち漏らしも発生する

 

「ヒビキ、コトリ。悪いけれど。そっちに専念してもらえるかな?」

 

「うん、分かった」

 

「お任せください!」

 

ヒビキとコトリは徹頭徹尾AMSAとミサイルの迎撃だけに専念するようウタハは徹底する。この二人が攻撃に参加すれば、リオがより後に戻れなくなってしまうのは明白だから、それをさせない為に。ウタハは気を配る

 

「ネル!!」

 

「……チッ!!」

 

やはりと言うべきか、ネルへ集中敵に攻撃が飛んでくる。そうでもしなければ、負けるかも知れないというのは誰が見ても明白だからである。

 

「やっぱり陰気臭いなぁ!!リオ!!」

 

「そうね、貴女は少し騒がしいぐらいよ」

 

ネルの発破にリオは乗らない、乗っても何も変わらないから乗る必用がないのだ、ネル自身も乗ってくるとは思っていないのだが。

 

「ネル先輩、伏せて!!」

 

「うおっ!?………やるじゃねえか」

 

「いえ、此れぐらいは……!」

 

どうしても庇い切れないところは、ユウカが割って入ってシールドを形成し。ノアがエンジニア部から借り受けたドローンで交差ロック解除をして攻撃を減らしにかかる。

 

「後輩ばっかりに!戦わせるのもね!」

 

アスナも果敢に攻める、彼女が有している神秘は超直感とも呼ぶべき感知能力だ。予測から来る攻撃を躱したり、敢えて狙わせて。エリドゥの防衛機構にぶつけて行動不能に追い込んでいく

 

ようやく戦いらしい戦いになってきた頃のことであった。戦線が大きく動くことになったのは

 

『先生、アナイアレイト。損傷率おおよそですが、30%を超えました!』

 

「”このまま押し切れるといいけど……でも、大丈夫。セミナーとの連携も取れてるし、C&Cも加わってくれているそれと──け”」

 

たった一言、弾丸と爆風と叫び声が交錯するこの戦場で、たった一言。こぼれ落ちた言葉だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「’─────’エンジニア部の力があれば、絶対勝てるよ’’」

 

 

 

 

たった一言だ、アロナとの会話、他の人には聞こえることがないだろう呟き。この戦況で先生が自分を奮い立たせるために言ったであろう一言。ミレニアムの戦闘では如何に優秀な技術者が裏にいるかで戦闘が決まる。それは正しい、正しい

 

 

 

だが

 

 

 

「……アナイアレイト、リミッター解除」

 

 

 

この場に置いては

 

 

 

「リミッター解除!?不味い、皆を退避させるんだ!!早く!!」

 

 

 

この場に置いてだけは

 

 

 

「あぁ?リミッターなんざどの機械にでもついてるもんだろ!此処でビビってたら勝ち目はねえ!!」

 

 

 

 

「良いから引くんだ!!あれは、アナイアレイトは!!」

 

 

 

 

………自爆スイッチを押すようなものだった

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「対象の()()まで行動制限解除、エリドゥでの性能制限解除。対人への火力減衰。破棄、コアXPUオーバークロック、電磁フィールドの全エネルギーを出力へ。……追加武装、A、B、C全装着開始」

 

 

 

 

「うっ!?」

 

「ユウカちゃん!?早く下がって!」

 

「アスナ、一旦離れろ!……アスナ?」

 

「やばいよ、部長。これちょっと……()()()()()()

 

 

 

 

 

 

アナイアレイトが唸り声を上げ、エリドゥの床から武装が出てくる。全身に粒子砲を極限にまで濃縮したことでブレードのように振るうことが出来るものを身にまとい、背部には巨大なブースター。全面には合計6砲門からなるパルスキャノン。それら全てが……()()ただ一人に向けられていた

 

 

 

 

 

……砂塵の中から、真っ赤な眼光が。先生だけを射抜く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────死になさい」

 

 

猛烈な殺意が迸った後、その場にいた全員が。赤い閃光に包まれた。叫び声を上げる暇もないまま。ただ迫りくる殺意に抗うことは出来ずにただ呆然と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────光よ!」

 

「………!」

 

光の剣と、殲滅の機械が拮抗するところを眺めるしか無かった

 

「アリス!?」

 

「うっ………うぅ………!!」

 

モモイの悲鳴が上がる中、アナイアレイトとアリスの光の剣が拮抗する。どうやってあそこから抜け出してきたのか>どうして光の剣を装備しているのか?そんなことを考える周りのことに考える暇もないまま。光の剣の出力を上げて──

 

 

 

 

アナイアレイトと相打ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………っ………」

 

アリスは目を覚ます、目を開けると。破損したアナイアレイトと。相殺した爆風で散り散りになりながらボロボロになって気絶している各メンバーの事が視界に入る。そして顔を上げれば……

 

「………ようやく目覚めたのね?AL−1S」

 

……自分を閉じ込めた調月リオと、()()()()()()()()()

 

「…うっ…………うぅ……!」

 

なんとか立ち上がろうとするが、思いの外ダメージも受けている。そもそもとして、無茶な使用をしたのだ。フィードバックは計り知れない。破壊したと思ったアナイアレイトとは別の兵器があることもアリスの心に罅を入れるには十分だった

 

「どう?自分のせいで起こった破壊の結果を見る気分は」

 

調月リオの言葉は平坦だった、アリスをただの物としてしか見ていない視線。ただ排除することだけを念頭に置いているだけのそれを受けて、アリスの脚が竦む。

 

「まあ、良いわ……コレで終わり。さようなら」

 

 

迎撃の体勢が整っていない状態のアリスに構うこと無く、リオは背後に控えている兵器に指示を出し。レールガンを充填させる、確実に、一瞬で塵も残さず。消し飛ばすつもりだと。アリスはまるで他人事のようにどこか感じてしまった。

 

 

「此れでようやく……ようやく終わる」

 

 

チャージが終わった瞬間、レールガンが火を吹く。蒼白い、破滅を齎す閃光。それがアリスに放たれ。リオはようやく終わるとため息を付き、アリスは恐怖に目を伏せる

 

これで、本当に終わり───?意識が遠のくアリスが最後に見たものは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、まだ終わりじゃない」

 

「…………!?」

 

 

同じく、蒼白い閃光が自らを滅ぼす閃光と撃ち合う光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………何者?」

 

リオが警戒心を顕にしながら。声を出す、これは。アナイアレイト以上の出力が出せる兵器だ、それと真っ向から打ち合い。押しのけることなんて。それこそ白石ウタハでも厳しいと言えるような代物でしかなし得ない。

 

「………何者、ね。そう聞かれるとちょっと困るな」

 

真っ黒いパワードスーツを来た人物が現れる、互いに距離を取り。その二人しか意識があるものはいない。だからこそ、彼女は。顔を覆い隠していた部分だけを。取り外し。髪をかき分ける

 

「…………貴女、は」

 

「……どうも、初めまして調月リオ会長。私は………ただの元ミレニアムの生徒だよ」

 

 

蒼望ニアが、調月リオと邂逅する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけでようやくニアの登場です。5話ぐらい出番がなかった主人公ことニア、ようやくですね、この小説の山場の一つ。

前の感想欄でちらっと出た。プレ先生じゃないの?っていうのに殺されて終わりです。って書いたんですけど。リミッター解除した場合のアナイアレイトに轢き殺されました

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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