アヲヲノゾム   作:もふもふニキ

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パート分けることにした。まだリハビリ中だからね


朝明けの前の宵闇

「………」

 

開幕の火蓋は、お互い無言で始まった。『Decretum』と書かれた装甲がチラリと見える、なるほど。それが調月リオなりの覚悟の証なのだろう。アナイアレイトとは全く別方向に強化されている機体、あちらが多数を相手取るための機体であるならば、此方は1対1、タイマン特化型。そんなことを考えていると、怪しく発射光が光をうっすらと放つ

 

「……っ!」

 

先手を取ったのは調月リオだった、先程まで居たところに着弾する。電撃のようなものが地面を這うようにして分散すれば…床は、一部では有るものの溶けていた。並大抵の威力ではない、人相手に使うような代物でも無いようにも思えてきてしまう

 

「調月リオ、こんなものを人に向けるとは…正気か?」

 

思わず訝しげな声を出してしまう。これは明らかに過剰火力、そう思えてしまう私に。D()e()c()r()e()t()u()m()()()()()()()()()調月リオは冷静にこう返してくる、ま

 

『貴女はまだ、経験不足なのね』

 

「……!」

 

まるで世間知らずの子供に、現実を教えるような大人が教えるような声。回避行動を取っているところに、ミサイルが飛んでくる。それを撃ち落としながら息を整える…私は確かに弱っちい元エンジニアだ。戦いの優劣についてはあまり詳しいとは言えない。だが、カイザーの所有するPMCや兵器なんて目じゃないようなものばかり揃えられているのは確かだ

 

『この程度、他の学園のトップ層にはまだ火力不足と言えるでしょう。少なくとも、ゲヘナの風紀委員長には通用しないと思うわ』

 

……なるほど、確かに。空崎ヒナや。トリニティの最終兵器、それと暁のホルスには通用しないだろうな。射線が単純すぎると言われるかもしれない。まあ、私にとっては十分脅威なんだけれども

 

「ちっ……」

 

上下に誘導の強いミサイルと、左右に誘導が強いミサイルを混ぜ込みながら発射し。着地した瞬間に襲いかかってくる電磁パルスライフルの閃光がジリジリと此方を苦しめてくる。前者は自前のアサルトライフルで撃ち落とし、もう一つは前エンジニア部部長が託してくれたレールガン「fatus」で適度に相殺しながらなんとか逃げ切る。お返しというように両者をぶつけるが大した損傷は見受けられない

 

「硬い…!」

 

当たる寸前、ジリ…という音が微かに聞こえた。これはおそらく電磁障壁……弾丸のベクトルを逆方向にずらしてダメージを軽減し。光線による攻撃はそれそのもので軽減する…ッ!厄介極まりない装甲だこれは

 

「厄介な……だが、対策が無いわけでもないか」

 

電磁障壁が光った一瞬、ほんの僅かだが他の部位の装甲を覆っている電磁障壁と思わしき物が薄まるのを感じ取る。パワードスーツに取り付けてある流体検測を行えば………やはり、稼働率が僅かだが下がっている。であれば

 

「これは流石に防げまいよ!」

 

「fatus」の出力を調整する、エネルギー効率計測装置一時停止、収束率低下。出力上昇、コンデンサー出力上昇………行けるかッ!?

 

『……やるじゃない』

 

攻撃が、通る。収束率を下げて点ではなく面制圧での攻撃。定点で攻撃してはあまり効果が薄い。であれば一瞬だが広い範囲で攻撃すれば、ある程度のダメージは通るはずだ…ッ!

 

『だけどダメージが通せただけ、それだけよ』

 

調月リオがそう言いながら、背部ブースターを点火し。高機動状態となる。そうだ、ダメージが通せただけ。此方があちらの種を割れたのであれば、その逆もまた然りである。此方の武装の種が割れれば。相手は対策を取ってくるはずだ。そこをどうするかが肝になってくる……が

 

「チッ……!」

 

対応が早い、すぐに電磁障壁の出力系を弄ったらしい、広く当てるだけでは効果が無くなっている。かと言って、手持ちのアサルトライフルだけでは火力不足になる。装備の調達が少しおろそかだったかもしれないと、今更ながら若干の後悔が出てくる。そんなことを考えていると、通信が入ってくる

 

(来訪者、聞こえますか?)

 

(チュテレールか……トキは安全なところに避難したか?)

 

(はい、退避は完了しました)

 

通信相手はチュテレールだった、どうやらトキは無事にエリドゥの外に避難できたようだった。これならば、安心だ。憂いの一つはまず消えた、身体の動きが若干良くなったように思える

 

(現在の状態は?)

 

(調月リオと交戦中だ、相手の電磁障壁が邪魔でダメージが上手く通っていない)

 

(なるほど…では、打開策を提示します。此方の指示に従っていただければ)

 

Decretumの砲撃を避けながらチュテレールの指示に大人しく従うことにしよう。私では打開策が思いつかない、何かあちらには打開策が有るらしい

 

(そのパワードスーツには、武装と幾らかの機構が備わっています)

 

(……そうなのか?)

 

(ええ、話す時間がありませんでしたので。戦いながら教えることにします……パワードスーツの方には。右腕部のバルカン、左腕部には格納型のグレネードランチャーが装備されています。脚部は擬似的なスラスターユニットが搭載されており。相手の砲撃を交わすことには十分ですが、持続力に乏しいです。タイミングよく回避していただければと)

 

……なんというか、私の予想を遥かに上回る装備が積み込まれていたらしい。もう少し仕様書を把握しておきたいところではあったけれど……時間がなかったのも有るが。制作者が死んでしまっていた、というのが。やはり、響いてくるな……いいや、感傷に浸っている場合ではない。使えるものは使っていかないと

 

「……さて、通じるかな」

 

左腕部の方を内部でいじる。そうすればモニターに表示されるのはグレネードランチャーの装填数、有利距離、射程距離、射線予測…色々と詰め込まれているな。やれるかもしれない、なんせ作ったのは前エンジニア部部長、私よりも経験豊富で。すごいと思ったマイスターの作品だ、信じる他ない。しくじったときは。私のせいと思うべきだろうな

 

タイミングを見計らう、基本的なパターンは回避、回避、迎撃、反撃。この流れだ。まだ相手もペースを変えるような動きは見せては居ない。様子見しあってるのはお互い様、であるならば、どうにかこうにかする余地は大いにある。勝率はまだ高い、やれるさ

 

「………!」

 

此処だ。そう思ったときににボタンを押す。すると二の腕の部分を覆っていたプロテクターの一部が変形し。グレネードランチャーが火を吹く。今までになかったパターンの攻撃に、流石の調月リオでも瞬時の対応は出来ないのか。そのまま直撃を受ける

 

『その変形機構……なるほど、そういうこと』

 

調月リオの冷静な声が耳朶を打つ、どうやらすぐに前エンジニア部部長の作品であることはバレてしまったらしい。そもそもとして銃の時点でバレていた可能性もあるが。そうでもなかったらしい

 

『それなら確かに、有効打にはなるわ。有効打にはね』

 

爆風で巻き上がった煙が晴れたその先には

 

『だけど、()()()には程遠いわ』

 

「………っ」

 

外殻の一部が焼け落ちてはいる。焼け落ちては、だがそこから覗くのは別の装甲、どうやら今渡しが破壊したのは。ただの装甲の1層目だったらしい。これでは千日手どころの話ではない。パワードスーツの火力は折り紙付きだ、間違いはない。ちゃんと調月リオ(ビッグシスター)にも通用するレベルの逸品だ。ただ、相手が悪すぎる。単独での戦闘は愚であり。今からでも、先生達と合流。最悪でも、トキやチュテレールとの共闘をしなければ勝利は視野にすら入ってきてくれない。そんな戦力差だ

 

『…まだやるのかしら?』

 

「当然」

 

此方を伺うような言葉にそう切って捨てる。たとえ愚の骨頂であろうとも、やり遂げなければならないのが今の私なのだ。誰の手も、借りるわけには行かない。少なくとも、今このときだけは。強がりだろうとも、戦わなくてはならない

 

(来訪者、もう少しでエリドゥへ再突入できます、ですから───)

 

(いや、お前は来るな。チュテレール)

 

此方を執拗に追尾してくるのをアサルトライフルと、右腕部に取り付けてあるバルカンで叩き落しながら。スラスターで動きつつ、レールガンと左腕部のグレネードランチャーで電磁障壁を発生させている部位の装甲を叩き落していく、どうやら電磁障壁は表面の装甲だけ…というのを理解できた。そんな中で入ってくるのはチュテレールの通信。救援に来ようとしているのだろうが、それは要らない。むしろ、お前に来られると面倒なんだよ

 

(理由をお聞きしても?)

 

(理由は3つだ。1つ目は、仮に私が敗北した場合。先生やアリスを逃がすための予備人員としての要素。これは今すぐにでもやってほしいところでは有る。だが今それをヤッてしまえば、余計に刺激することになる。2つ目は……いざというときに。お前が万全の状態で戦えるためだ。無駄な損耗は認められない)

 

会話中にも戦局は推移を続ける。火線が段々と増してくる、電磁障壁という余計なエネルギーを消費する装甲が稼働を停止するとどうなるか。答えは簡単だ、他の武装に火力がどんどん注ぎ込まれていく。先程まで稼働してなかったパルスランチャーがパワードスーツをかすめていく。此方もバリアを装備してはいるが…相手が相手だ。あまり役に立つことはない、過信は禁物だ

 

(3つ目の理由は……これは、単なる我儘だ。チュテレール、お前と調月リオを戦わせたくない……それと。トキを……あの子を、一人にしておくわけにも行かないだろうから)

 

(……了解しました)

 

チュテレールがそう言うと、通信が終わる。そう、これは単なる我儘でしかないのだから。そんな感傷ばかり抱えて、生きている気がする。そんなものは意味がないのに

 

「……厄介、極まりないな」

 

『そちらもね』

 

もう既にパワードスーツのエネルギーは4割ほど使っている。弾数も半分ほど使ってしまっている。だが、追加装甲は既に破壊している。だから、このままいけば。なんとかなる………

 

『だから、そろそろ終わらせたいの』

 

「……!?」

 

そう言うと、Decretumが後ろに下がり。何事かと思えば……地面からせり上がってくるものに瞠目してしまう。待て、それは想定外だ。

 

『あまり、持ち出したくはないけれど…しぶとい相手にはね』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 




この後どうしようかな~。と悩み中、エデン条約編。やったほうがいいんかね。でも介入するのだいぶ後からだけど

トキの扱いについて

  • このままミレニアムに残る
  • ミレニアムから離れてリオと一緒に行く
  • ニアについていく
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