【完結】虹彩の奥底   作:扇架

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不死鳥の騎士団
三十九話


 薔薇の香に、眼を開けた。黄昏色に染まった野原に彼は立っていた。

 瞬いて、あたりを見回す。空も、雲も、草も、彼も、なにもかもが優しい夕暮れに包まれている。

 手を翳せば金色に染まり――瑞々しく、爪の歪みも見あたらない。どうしたことか。着ているのは黒いローブ。首にはネクタイ。輝ける時を象徴する姿……。

 逆転したのか。それとも夢か。不可思議に思い、しかし謎を突き詰めるまでもなく腑に落ちてしまった。

――ついに来たのか

 約束の園なのだ。誰に教えられるともなく悟ってしまった。昼と夜の狭間。どちらでもない間の場所。

 一歩踏み出す。しっとりとした草を踏みしめ、目印もなく進んでいく。頬を薔薇の風が撫でていく。慰撫のこもった感触に眼を細めた。

 一歩、二歩……三歩。彼以外はいない世界に、靴音が渡っていく。

 どれほど歩いたのか。喉の乾きも覚えずに、ひたすらに歩を進める。

 風が吹き、海鳴りにも似た音色を奏でる。子守歌を思わせる穏やかさで。

 やがて一際鮮やかな紅を見つけた。ゆうらりゆうらりと揺れるさまは、早くおいでと言っているかのようだった。

 口元に淡く笑みを浮かべる。

 行かなければ。

 随分待たせてしまったから。

 

 

 雪白の肌。闇を織ったかのような黒髪。唇は薄紅の色。彼の愛した至高の青色は、瞼に閉ざされて窺い知れない。

――もはや永遠にみることが叶わない

 シリウスは深く頭を垂れた。ゴドリックの谷ランパント城の地下深く。聖域――廟堂に彼の妻は葬られていた。地上のジェローム聖堂墓地にあるのは墓石だけ。本家当主の亡骸は、地下に葬られるのが慣例であった。踏み入れるのは当主のみ。特別に招かれた者――たとえば彼のような――を除いては、聖域は当主のためにあるものであった。生きている時も、死してからも。

 歴代当主の視線を感じる。伴侶を――己を犠牲にしてでも守るべきであった伴侶を死なせてしまった愚か者を蔑んでいるのか、ここぞという時に失敗を犯した愚を哀れんでいるのか。

 息子の姿は既にない。気を利かせて出口で待っているのだろう。闇の底には彼と、亡き当主たちの彫像だけ。

――あまりに

 若い。気づけば十数年の月日が経っていて、ようやくのことで妻と無言の対面を果たした彼との、被我の差を思い知らされる。

 妻は永遠に若いまま眠り続けている……。

 獄にいたときは生きながらに死んでいた。外に出て、息を吹き返し……それでも彼は二十歳そこそこの感覚が抜けきらなかった。忌まわしいハロウィンの晩で時計の針が止まっていたのだ。

 けれど妻の姿をみてみれば、否応なしに突きつけられる。失われた時間と、あったかもしれない幸福の形を。己の致命的な失敗も、なにもかもを。

――たとえ君が赦してくれたとしても

 彼は己を赦せないだろう。それだけのことを彼はしたのだ。守り人を見誤らなければ、これほどに救いのない結果にはならなかったろう。吐き気がするほど傲慢であった。どこかで思い上がってはいなかったか。裏切るわけがないと。裏切る度胸もないと。

 いまとなってはわからない。仲間だと思っていた。彼が命を懸けるように、あれの秤も同じだと思っていた。邪悪な影などなかった……なかったはずなのだ……。

 両手で顔を覆う。食いしばった歯の隙間から、唸りが漏れ出る。

「……今度こそ」

 守り抜く。

 

 

 

 ――呑気なもんだ

 グラスを傾け中身をあおる。味なんてわからない。天井にはシャンデリア、床は大理石。油断していると滑りそうだ。壁に軽くもたれかかり、視線を流す。紳士淑女の皆々様のお集まり。遠くで恰幅のいい男が誰かと――ルシウス・マルフォイと談笑している。あちらこちらからおしゃべりが聞こえてくる。

「……物騒ですわ」

「――復活しただとか」

「しぃ、大臣が否定なさっているじゃない」

 ダンブルドアも耄碌しただとか、いや生き残った男の子を操っているだとか。

「――かわいそうに」

 大人のいいように使われているのだわ。優しげな婦人が涙をそっと拭っている。

「一番得をしたのはあの子じゃないか」

「優勝したし、一千ガリオンも……」

 賢しげに男が言う。息を吐いて杯を空にする。指を鳴らせば給仕がすぐさまやってきた。杯を置いて、さあ次はどれを飲もうか。指をさまよわせていれば、すいと差し出された。

「こちらはいかがかなお嬢さん」

「ありがとう存じます」

 できる限りにっこり笑い、杯を受け取る。こうしてみるとかなりおっかなく見える。女からだとこう見えるわけか。背が高く、獅子のような双眸は危険な輝きを放っているように見えてしまう。

「闇祓い局の長官様はお忙しいのかと思っていました」

「なに、これも仕事の一環だ……イルヴァモーニーから帰ってきてそうそう、大変だね君も」

 リディア・グリーングラス。名を呼ばれ口笛を吹きたくなった。参加者全員を覚えているのか。さすがである。

「母の代理です」

 ひたすらに笑顔を……淑やかな笑顔を維持。どうかとっとと離れてはくれないか――と祈りに祈る。魔法大臣主催の催しに名家の令嬢が出席していたとしても不自然はないだろう。なにせ大臣ときたら、頻繁に宴を催しているのだ。名家や高官を集めて。

 給仕が去っていく。壁際にルーファス・スクリムジョールと並ぶ羽目になった。

――これでダンスのお誘いなんてあったらどうしよう

 踊れなくもないが。紳士のたしなみに則るならば、誘ってくるはずだ。壁の花に徹したい気持ちをどうか読みとってくれないだろうか。

「……見事なものだな。どこで習った」

 無表情の中に笑みの欠片が見え隠れする。固く眼を瞑った。気分は広場に引き出された犯罪者だ。断頭台はもう近く。逃げられはしない。

「――見抜きますか普通」

 遠慮なくこぼした。スクリムジョールが盗聴防止や隠蔽の魔法を使っているのは肌で感じている。衆人に唇を読まれる角度ではない。ちょうどうら若き令嬢と闇祓いの長は向かい合う形になっているのだ。

「闇祓いでもなければ気づかん」

「黙っていてくれると大変ありがたいです」

 下手な言い訳なんて無駄だろう。スクリムジョールの考えなんてわからないし、別に事を荒立てたいわけではないのだ。

「なんのことやら。令嬢ならば身元はしっかりしておられる」

 つ、と獅子の双眸が令嬢の衣装を見やる。しばしの沈黙の後、押し出すように言を継いだ。

「懐かしいドレスだ。よく似合っている」

 妙な男に気をつけなさい。はいともいいえとも言えないうちに、スクリムジョールは踵を返した。

 つつがなく宴は終わり、めいめいに解散する。パートナーの男の腕を掴み、ゆっくりと歩を進めた。グリーングラス家の家紋つきの車に乗り込むや否や靴を脱ぎ捨て、口紅を落とした。

「ヘカテもナイアードもルキフェルもおまえも覚悟しておけ」

「そのように荒ぶられては台無しですよ」

 隣に腰かけたパートナーが指を鳴らす。たちまちのうちに男の顔から元の――女へと立ち戻る。車を発進させた運転手はけらけら笑っていた。

「何事も覚えておいて損はありません。お上手でしたよ、ダンス」

「黙れ」

「臍を曲げないでくださいませ我が君」

「なんなんだお前は前世男だったのか堂に入りすぎだろうが」

 エリュテイア、と吼えても従者は涼しい顔だった。ああ憎らしい。可愛さ余って憎さ百倍。会場で令嬢の視線をかっさらっていたのは間違いなく男に化けた従者だ。

「貴方様にお仕えする者として当然です」

 両手で顔を覆った。時たま思う。こいつ人生何周目なんだと。

 リディア・グリーングラスことウィスタ・リアイスは首を振った。なにも考えるまい。これは仕事だ。なにせダンブルドアはおおっぴらに動けないし、御曹司が「狂った死喰い人」に襲われて臥せったリアイスは、今のところ大臣と距離を置いている。間違ってはいない。先日まで寝込んでいた。大臣と蜜月な関係を築くどうこう以前の問題であった。

 爪を噛みそうになり、従者に手首を掴まれる。女の手でも掴まれるくらい細い手首だ。グリーングラスの令嬢はほっそりしていて華奢なのである。ありがとう令嬢。あんたがイルヴァモーニーに行ってくれてて助かった。それにグリーングラスの当主――女傑にも感謝である。繋ぎを取ってくれたディゴリー夫人にも後で礼を言わなければ。

『なにかさせて頂戴』

 優しげな風貌の夫人であった。息子を亡くしてやつれていなければとてもすてきな人なのだろうと思う。のうのうと生き延びたウィスタを責めることもなく、招いてくれた。傷が治っていないでしょうに。お墓参りに来てくれたのね。ありがとう……あなたやハリーが無事でよかったわ。

――恨んでくれていいはずだった

 死ぬのはウィスタとハリーのはずだった。ささいな計算違いで、セドリックは殺された。

 僕のせいだとハリーは呻いた。暗くて寒い医務室で。

『優勝杯を一緒に掴もうって言ってしまったんだよ』

 セドリックは僕に優勝杯に譲ってくれようとして。でも勝ってたのはセドリックだったのに。地獄への道は善意で舗装されている、と誰かが言っていたが、こんな皮肉はあるだろうか。あまりにも救われない。本当ならセドリックは生きているはずだった……。

 吐き気をこらえる。あの夜の光景がまざまざと蘇る。夢だけではなく現実をも浸食しようとする。拳を強く握った。

「――あれを除くぞ」

 一年ばかしかかりそうだが。

「御意」

 後釜は獅子殿ですか? 従者の問いに小さく頷いた。

「少なくとも彼はやる気だろう」

 平時ならばファッジでもいい。だが今は戦時だ。

 求められるのは戦う者。

 仮初めの平和はとうの昔に終わっているのだ。目を閉じて耳を塞ぐ者など――必要ない。

 

「やあお帰り」

 明るく爽やかに言った男に、脱いだ靴を――踵の高い華麗な靴を――投げつけた。固い音とともに顔面にぶち当たる。

「とっとと服を寄越せ」

「今度は紫色の――」

「男 物 を 寄 越 せ」

 鼻血をだらだら流しながら、リアイス一族第二分家当主《ステータント》ことナイアードは肩を落とした。

「母君のドレス、よくお似合いなのに」

「女装趣味はねえ」

 トロールの傘立てが置かれた玄関先で、なぜ不毛なやりとりをしなければいけないのか。裸足の足がひんやりしている。いいや、実はかなり痛い。立っているのも辛い。女物の靴はまるで拷問具だ。よくもまあ踊れたものだ。

「はいはい」

 さっさとしろと睨みつけると、なぜかナイアードが近づいてきた。ひょいと腰を掴まれる。

「おい」

「こんなところでお着替えですかご令嬢。はしたないですよ」

 軽い軽いと言って、担がれてしまう。フレッドとジョージもとい、ウィーズリー家の人間は大笑い。実の父と養父の哀れみの眼が痛い。ビルは「知らないぞナイアード」と冷たい眼を親友に向けていた。

 そのまま階段を登り、とある一室に放り込まれる。着替え一式も一緒だ。まずはドレスを脱ぎ、皺にならないように寝台に広げる。次に杖を振って身体を元通りにした。急に視点が切り替わり、目眩をこらえながら着替える。最後の最後に化粧を落とした。鏡を見れば、いつも通りの――いささか痩せて、薄く隈を飼った姿である。

――ちょうどいい令息がいればよかったんだが

 ドレスを腕にかけ、よろめきながら室を出る。令嬢はウィスタより頭ひとつ低かったのである。切り替えるまでいささか時間がかかりそうだ。

 従者の先導で階段を降りれば、モリー小母が夜食を用意してくれていた。

「食べられなかったでしょう」

 ドレスだとねえ……とモリー小母は笑顔である。クラッカーだとかチーズだとか軽くつまめるものだ。食堂にはジニーとハーマイオニーもいて、大変にきらきらした眼をしていた。

「残念だわ」

「もっと見たかったのに」

「……イルヴァモーニーに行けよ」

 変装したといってもリディア嬢に化けただけだ。化粧はハーマイオニーたちがしたし、耳に穴もぶち開けられたが、顔自体は他人の模倣だった。

「パーティに潜入なんてFBIみたいだわ」

「むしろMI6だろ」

 返し、きょとんとしているジニーに言い添える「マグルの諜報機関だよ」と。

「――それで」

 扉口に顔を向ける。実父である。二年前に比べて随分と健康的になった父に、ウィスタは告げた。

「魔法戦士連盟からも、ウィゼンガモットからも追い出されそうだ」

「……だろうな」

 あのうすのろ。大臣を遠慮なくこき下ろす。冤罪でアズカバンに十二年も投獄されたのだ。魔法省への不信感はあって当然だろう。もっとも、当時の大臣は女傑、ミリセント・バグノールドであった――が、父にはそんなことは関係ないのだ。

――なにせ

「どんな正義があってハリーをたたいているんだあの野郎は。ぶっ殺してやる」

「アズカバン送りになるどころか即刻処刑になりかねないからやめてくれ」

 父ならやりかねない。己の身の危険などたいして勘定していないところがあるし、名付け子に一際思い入れがあるのだ。親友夫婦の息子であるし、本来ならば引き取って育てていたはずだろうし、そもそも不幸の原因は自分にあると思っている節もある。無理もないけれど。

「今死なれると困るしね」

 それこそダンブルドアの陰謀だと言われかねない。ファッジは疑心暗鬼に陥って、影のないところに影をみる始末だし、影があっても無視するのだ。

「一人前の口を叩く」

「もう子どもじゃいられない」

 いられないのだ。

 あの夜、真実を知った日から、ウィスタの人生は永遠に変わってしまったのだから。

 ◆

 痛む足を持て余しつつ、ウィスタはブラック邸に滞在した。滞在もとい、ここもウィスタの家なのだが。所有権は父にある。当主であるレギュラス・ブラックは死亡したとみなされていて、父が相続したのである。いずれウィスタのものになる邸だ。城も別邸も持っているので、今更父方の邸などいらないが。

 さて。父子そろって邸にはたいした執着がなく、放置していた。そして先日打診があったのだ。ダンブルドアの頼みで「不死鳥の騎士団」の本部として機能している。

 屋敷しもべの首を撤去して埋葬。親愛なる祖母上の肖像画も穏和しくさせた。どうやらウィスタは叔父に似ているようで――ともかく肖像画はそう思っているようで「私の息子よ」と祖母は機嫌がよくなるのだ。あんたの息子はたぶん死んでるよと言えば発狂しそうなので黙っている。肖像画は痛んでいて、少し狂っているようなのだ。そのうち修復してやったほうがいいのか悪いのか。「可愛くない」息子は苦虫を噛み潰しているが。

「……純血としての誇りはないのか」

 邸の中でもこじんまりした室に、声が響く。ウィスタは鼻を鳴らした。

「家畜を殺すみたいにマグルを始末することが? それとも逆らうやつらに磔刑の呪文をかけて壊すことが?」

 それともなんだ、月を手に入れようとだだをこねる子どもみたいに、あるいは太陽を射落として壊してしまうことが。言い掛けて眉間に皺をたてる。自分に流れている血は、そういう血だ。穢らわしい……。

「そこまでは言わんが」

 目障りではないか。声がぼそぼそと言って、埒があかないと首を振る。壁にかかった小さな絵に、そいつはいる。ブラック家の先祖。フィニアス・ナイジェラス・ブラック。ホグワーツ校長のひとりだ。評判は父曰く「歴代最低」だったそうだ。

「仲良くしなくても、大人なんだから距離をとろうよ祖父さん」

「しかし――由緒ある邸に……あやつめはマグル生まれやら血を裏切る者や……あげくに駆け落ちだぞ」

「祖母様が勘当したんだから、駆け落ちもクソもないだろう」

 誰を指しているのか明白だ。父が出て行ったのが先か、勘当されたのが先かはどうでもいい。どのみち家族仲はよくなかったようだし。父は己の父母は結婚式に招待しなかったようだが、実弟――レギュラスは呼んだらしい。父母のことはとことん嫌っていたのは確かだ。

「ユスティヌが死んでいなければ」

「はいはい」

 聞き流した。滅んだときいている家門である。爺の愚痴につきあっていたら陽が暮れて、朝になってまた陽が暮れそうだ。

 ひとしきり鬱憤を吐き出させ、ウィスタは釘を刺した。

「あんたな、可愛い曾孫だか玄孫だかが妻を殺されたんだから、察してやれよ」

 フィニアスがぐっと押し黙った。差別主義者だが、身内には甘いのだ。なんとびっくりリアイス家と似ていることだ。

――知られてはいけない

 彼らが秘密を知ったが最後、ウィスタの息の根を止めにかかるに決まっている。誇り高い魔法騎士の一族。英国魔法界の剣にして盾。ウィスタの存在は決して赦されない……。

 負けるものか。歯を食いしばった時、紙片が落ちてきた。掴み取り一読する。すぐさま燃やして寝台から立ち上がった。

 扉の外で待機していた従者に告げる。

「ダンブルドアに報せを」

 吸魂鬼が、ハリーのところに現れた。





人物・設定

【リアイス本家】

ウィスタ・R・リアイス
[Wista・Seirios・Rampamt・Gryffindor・Riis]
主人公。リアイス本家最後の一人にして、只一人ホグワーツ四強の血を引く。ヴォルデモートの直系孫。スリザリン伝来の“蛇語”や“過去視”の能力者。ヴォルデモートを「人間のクズ」と言い切る。個人の紋は『グリフィンと蛇と星』。
父はシリウス。ブラック本家の継承権を持つ。容姿は父に生き写しで、目は母方の血が色濃く出た。

リーン・R・リアイス
[Lean・Isis・Rampant・Gryffindor・Riis]
 ウィスタ・リアイスの母。ランパント・リアイス家前当主。スリザリン寮出身であるが、リーマス・ルーピンと親しくしていた変り種。卒業後は闇祓いとして勇名を馳せ不世出の闇祓いと謳われるも、死去。息子と同じく鮮やかな群青色の瞳を持つ。使用していた杖は月桂樹と死神犬の毛を組み合わせた漆黒の杖。ヴォルデモートの娘。

アリアドネ・R・リアイス
[Ariadne・Istal・Rampant・Gryffindor・Riis]
 リーンの母、ウィスタの祖母にあたる魔女。先々代ランパント・リアイス家当主。故人。ヴォルデモートの策謀に嵌り、望まぬ子を産む。

[パッサント・リアイス家――筆頭分家]

アシュタルテ・P・リアイス
[Astarte・Passant・Riis]
 リアイス分家筆頭パッサント出身の老魔法使い。本家当主不在のリアイス一族をまとめ上げた長老格である。かつてダンブルドアと手を組み、闇の勢力と戦った。その容赦のない戦いぶりから、さまざまな異名で呼ばれ、闇の勢力からは恐れられている。

クロード・P・リアイス
[Claude・Wyrd・Passant・Crouch=Riis]
 リアイス一族の中でも多くの占者を輩出している、パッサント・リアイス家現当主。リアイス一族に数代ごとに現れる“未来視”の力をもつ魔女。。リアイス一族の占者筆頭格。父親をヴォルデモートに殺され、若くして当主の座に就く。ウィスタ、ナイアードと又従姉弟関係。バーティ・クラウチの姪(母親がクラウチ家出身)。バーティ・クラウチ・シニアの死亡により、クラウチの名をも継ぐ。

[ステータント・リアイス家――第二分家]

ナイアード・S・リアイス
[Naiad・Dark・Statant・Riis]
 魔法具“炎のゴブレット”などを作った『創り手』第二分家ステータントの若き魔法使い。学生時代に父に代わり、当主の座についた。リアイス一族の例に漏れずグリフィンドール出身である。先年は補佐教員としてホグワーツに赴任したこともある。本家当主であるウィスタを補佐する。本家の血を引き、ウィスタ、クロードとは又従兄弟。魔力を視る『眼』の持ち主。母がロングボトム家出身。ネビルと従兄弟同士。

[シージャント・リアイス家――第三分家]

ルキフェル・リアイス
[Lucifer・Riis]
 歴史と情報を司る『情報機関』第三分家シージャントの次男。闇祓い第八階位の精鋭である。ナイアードとは従兄弟(ナイアードの叔母がシージャント家に嫁いだため)クロード、ウィスタとは又従兄弟にあたる。閉心術に長ける。魔法大臣の護衛として、魔法省の情報を集める。

[セイリャント・リアイス家――第四分家]

イルシオン・リアイス
[Ilusion・MacKinnon=Riis]
 第四分家の所属。非常に冷めた性格で、周りから「グリフィンドールらしからぬ」と言われることもしばしば。開心術に長ける。烏の動物もどき。闇の帝王によって滅ぼされたマッキノン家の血筋。  黒髪にゴールデン・オレンジの眼。

[クーラント・リアイス家――第六分家]

ネメシス・リアイス
[Nemesis・Courant・Riis]
 魔法生物研究を司る第六分家の魔女。魔法法執行部副官。グリフィンドール至上主義者であり、若き当主であるウィスタにも厳しく接する。菫色の眼。

[ドーマント・リアイス家――第七分家]

ヘカテ・リアイス
[Hecate・Riis]
 薬学医療研究を司る第七分家の魔法使い。ウィスタとは又従兄弟。ドーマント・リアイス直系。兄、姉がいる。母がボーンズ家出身で、スーザンとは従兄妹どうし。学者肌の第七分家の中でも戦闘力に長ける。

[リエーフ家――配下]

エリュテイア・リエーフ
[Erytheia・Riis・Lew]
代々リアイス家に仕えるリエーフ家の嫡子。『白百合の騎士』。ボーバトンからホグワーツに転入してきた。所属寮はグリフィンドール。ウィスタと同学年であり、彼に仕える。フラーとは姉妹の契りを結んでいる。ゴドリックと初代リエーフの誓約が色濃く継がれる。 髪は黒、瞳は灰緑色。

【リアイス一族】
魔法界屈指の名門。一族から優れた人材を輩出し、それぞれさまざまな分野で活躍している。魔法省で勤めていた者も多い。本家と七つの分家からなる一族である。
本家
ランパント(Rampant)/ミドルネームR/リアイス一族本家 当代当主ウィスタ
分家
パッサント(Passant)/ミドルネームP/リアイス一族分家筆頭 当代当主クロード
ステータント(Statant)/ミドルネームS/リアイス一族第二分家 当代当主:ナイアード
シージャント(Sejant)/ミドルネームS/リアイス一族第三分家 ルキフェル所属
セイリャント(Salient)/ミドルネームS/リアイス一族第四分家 イルシオン所属
クーシャント(Couchant)/ミドルネームC/リアイス一族第五分家
クーラント(Courant)/ミドルネームC/リアイス一族第六分家 ネメシス所属
ドーマント(Dormant)/ミドルネームD/リアイス一族第七分家 ヘカテ所属
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