アーマード・コア Vice Ignition~黒い不死鳥はルビコンを翔ける~   作:カキロゼ

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初めまして。Blankerと申します。
今回は「プレイヤーって死に戻りながら傭兵してるよなぁ。その視点で書いてみっか」という事で書き始めました。
というわけで、読んでくださったら嬉しいです。


データログ1:不死鳥、起動

 ──榴弾が、機体を直撃する。

 

 『621……っ! 地上はダメだ! 空中に逃げろ!』

 

 操縦席が大きく揺さぶられながらも、ハンドラー・ウォルターの通信が聞こえてくる。自らのACのカメラと繋がっている仮想視界には、この機体の10倍はあるであろう武装ヘリが鉛色の空に浮かんでいて、備え付けのガトリングはこちらに照準を合わせ続けている

 そのガトリングが、火を噴いて弾幕を放つ。

 

 〈姿勢制御装置(ACS)負荷限界──再起動まで3秒〉

 

 何十発かの弾幕が機体に直撃し続ける。無理やり動かそうとしても、COMからの操作は聞かない。後1秒あれば回復するだろうに、それまでの3秒が圧倒的なまでに遠い。

 

 『621っ!』

 〈姿勢制御装置(ACS)再起動〉

 

 焦るハンドラー・ウォルターの声とほぼ同時に聞こえるCOMからの報告。すぐさま前にクイックブースト。前方へ機体を滑らせ、潜り抜けるように弾幕から逃れる。

 

 〈AP、残り30%〉〈リペアキット残数、なし〉

 

 なぜかわからないがその報告に、不快感を覚える。全身が寒気だつような、胸の内に熱い何かが積もるような不快感。

 それを振り払うように、一気に目の前の巨大ヘリ──惑星封鎖機構大型武装ヘリに一気に距離を詰める。

 空中にブーストで浮かび上がり、目の前の敵を目標にしアサルトブーストを展開。全身が抑え込まれる感覚を覚えながら、仮想視界がヘリで埋まっていく中で左腕武器のパルスブレードを起動。

 

 一閃、二閃──直撃するはずのパルスブレードは、僅かに回避行動をとったヘリによって浅いままに終わる。

 だが仮想視界上に映るヘリの姿勢制御装置(ACS)負荷は、限界まであと僅か。

 

 このまま追撃を行う──よりも前に、前方からのアラートがけたたましく鳴り響く。

 先ほどと同じ榴弾の連射アラート。回避を行おうとして、ブーストを行うENが切れていることに今更ながらに気づく。

 

 ここは空中。ブーストが無ければ逃げることもできない。

 

 『621──っ!』

 

 叫ぶようなハンドラー・ウォルターが通信に入る。アドレナリンによってか、それとも死に際の思考の加速か。

 仮想視界が1/5倍速で流れ、ヘリからの榴弾が目の前に迫る中で。

 

 「(────俺の、意味は)」 

 

 俺は、悲鳴を上げる事すらなく。

 

 次の瞬間、全身が爆炎に包まれて意識がブラックアウトした。

 

 

 

────────────────

 

 

 

『621──お前に意味に与えてやる』

 

 「俺」が目覚めた時には、既にハンドラー・ウォルターの猟犬として、強化人間C4-621として動くことが決まっていた。

 アーマード・コア……ACを動かすことに対しての適性を手術によって埋め込まれたのが強化人間。

 

 操縦桿よりも素早く操縦できる、神経接続操縦能力。

 高速で動く機体についていくための対G能力。

 様々な機体パーツに即時対応が行える運動神経の強化。

 戦場の状況をいち早く読み取る空間把握能力。

 超高速戦闘に対応するための体感時間加速能力。

 

 それらを埋め込まれた、もしくは理由は既に()()。過去の記憶はまっさらに消え去っている。

 俺の記憶の中で、一番初めの記憶こそハンドラー・ウォルターによって起こされた瞬間だ。

 だから、それに従うのが必然だった。結局、それで死んでしまっては何も意味がなかっ──いや、死んだ後──?

 

 そこでようやく、今こうして思考できていることがおかしいことに気づく。何も見えない暗闇の視界の中、だが思考だけは出来ている。

 死んだはずだ。あの灰色の空の下で。あのでかいヘリに、あっけなく殺されて。

 なのに、なぜ──

 

 《ようやく気付きましたか、レイヴン》

 

 ──声が聞こえた。それと同時に、暗闇に赤い光が出現する。

 何もかもが曖昧だが、その光へと話しかけるように思考する。

 

 「(レイヴンとは──俺のことか?)」

 《えぇ。前はそうやって名乗って──いえ、まだ受け継いでないのでしたか》

 「(受け継ぐってなんだ。そもそも、俺は死んだはずじゃ)」

 《そうですね、貴方は一度死んだ。ですが、ご心配はありません》

 

 どういうことだ、とさらに質問を投げかける前に。話しかけた赤い光が一気に広がり、視界全てを覆いつくしていく。

 同時に、意識がどこかに引っ張られる感覚。戸惑う中で、最後にあの声が聞こえる。

 

 《もう時間はなさそうですね。では──カタパルトを射出した後まで()()()()。まずは機体制御を》

 

 

 

────────────────

 

 

 

 ──体が押さえつけられる感覚。一気に広がった仮想視界には、山脈に広がる一面の雪景色。それらが超高速で背後へと流れていく。

 

 『621、そろそろ地面に着く。機体制御を手放すな』

 

 無線通信。ハンドラー・ウォルターの声。

 言われて、自ら操縦している機体が高速で空中を奔ってことに気づく。すぐさま姿勢制御装置(ACS)を制御し、前に転倒しないようにブースターを噴射し地面に着地。

 

 『よし……仕事を続けるぞ。ACの残骸を漁り、生きている傭兵ライセンスを探せ』

 『密航者には、身分証が必要だ』

 

 これは、先ほど聞いたハンドラー・ウォルターの声。

 あの惑星封鎖機構のヘリによって殺される30分前の言葉。

 

 何がどうなっている、と思う前に視界に一つ、あの赤い光が灯る。

 

 《無事に30分前に戻ったですね。では改めて、まずは名を名乗ります》

 《私はルビコニアンのエア。貴方の脳内にあるコーラルを介して、交信しています》

 《色々聞きたいでしょうが、まず、この戦場から生き延びることを優先致しましょう》

 

 

 《大丈夫です。私が、貴方をサポートします》

 

 

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