五条視点を書こうとすると長くなるから分割しよう(唐突)
ところで…キャラの詳細な設定とかいります?(唐突)
じゅじゅさんぽ的な小話はいります? ワイは欲しい(確固たる意思)
あの後のことを話そうと思う。
まず、魔虚羅に抱きしめられていた俺の所に先生と先輩達がやってきた、そりゃあんな大きな音したなら確認しに来るよなって話だわ。
それでまぁ、やっぱり驚かれたよね、なんだったら先輩達は即座に臨戦態勢に入ってたよね。
だから俺はあれやこれやと先輩達を説得した、こいつは俺の式神だから大丈夫なんですとか、呪霊じゃなくて式神なんだよとかなんとかそういう感じで。
その際に俺の術式が十種だってことも説明することになっちゃったけど、まぁそれは良いんだよ、先輩達も納得してくれたから。
でも、一番問題だったのがその当の魔虚羅自身だった。
アイツ、先輩達が臨戦態勢に入ったと同時に明らかに雰囲気が変わってたからな、絶対に先輩達のこと殺す気満々って様子だったからそれを宥めるのが一番疲れた。
何が疲れたって、魔虚羅が頻りに俺を自分の後ろに下がらせようとするのだ、俺を絶対に先輩達の前に出そうとしなかった。
表情は動いていない、動かすという機能自体が無い…それでも俺には分かった、こいつは今にでも殺してやると言わんばかりの表情をしているのだと。
それが分かったらまぁ大変、その手で先輩達と先生を殺そうとする魔虚羅を止めながら先輩達に魔虚羅の説明をするというマルチタスクをしなければならなかった…因みに悟はその様子を見てゲラゲラ笑っていた…後で殴る。
まぁ、そういったこともあって俺は途中から交流戦には不参加、今回の式神についての情報を実家に伝えることになった…なったんだが、ここでも予想外というか、完全にスッと頭の中からすっぽ抜けていたとある事態が起きた。
そう、俺は自分に術式があることも、それが十種であるということも、ましてや魔虚羅を調伏していたことすらも実家の人間…両親どころか爺さんにさえ何一つとして伝えていなかったのだ。
そこからはもうドンチャン騒ぎだ、今すぐ帰ってこいと言われて実家に帰ってみれば使用人の人達に爺さんの部屋に行ってくださいと急かされ、周りの見覚えのない人間に青白い顔で凝視されたりと、何をしたわけでもないのに妙に畏まられていた。
そうして爺さんの部屋に行った俺に掛けられた第一声が───
───よくやったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
という、爺さんの無茶苦茶ハイテンションな賛美の声だった。
それだけではなく、ズンズンと近づかれてワシャワシャワシャワシャと頭を無茶苦茶撫でられた、ちょっと気持ちよかった。
それから爺さんに式神を見せてほしいと言われたから、広場で魔虚羅を出して十種の証明にした、爺さんは満面の笑みでその後ろにいた頭がツルツルしてそうな人は顔面蒼白になっていた。
それからほんの数時間後くらいだろうか、それくらい経ったら確認も出来たからもう高専に戻っていいぞと許可が出たから、そのまま俺は実家を出てさっさと高専に戻った。
実家を出る前、爺さんが頭ツルツルの人にこれでもかとドヤ顔して、それに対して頭ツルツルの人が顔に青筋出してるのが妙に印象に残った。
まぁ…そういうこともあって、俺は高専に戻ったわけだ…なお、続いていた交流会の個人戦は二年の先輩がサマーオイルに勝利、三年の俺を心配してくれていた先輩が悟に敗北という形で終わっていた…いや二年の先輩強いな。
そいつを見た時、俺は産まれて初めて、自分以外の『人間』を見つけた気がした。
初めて会ったのは俺が10かそこらの時、ウチの親父と禪院家の当主が会合の為に家に集まっていた時のことだ。
最初はただの会議だった、けど一人が呟いた言葉を切っ掛けにただの嫌味大会に変わったその会合の皮を被った単なる言い争いを、俺は冷めた瞳で見つめていた。
どうでも良かった、関係無かった…だって、俺にとってはどいつもこいつも同じようなものだったから。
人間は俺だけ、その他全てはただの虫か花。
見渡してみれば少しはマシな奴も居たけれど、それでも俺にはそいつ等を人と見ることが出来なかった、精々がちょっと大きな虫とか良く育った花程度の…そんな風にしか見れなかった。
…だけどそれは……縁側で寝そべるアイツに出逢った時、唐突に終わりを迎えた。
一目見た瞬間から分かるその異質さ、その強さ…圧倒的なまでの呪力操作にその身を渦巻くオーラ…産まれて初めて、俺は他者に興味を持った。
そこからはほぼ衝動任せの行動だった、話しかけた際に起き上がったアイツに俺は順転を撃ち込み…見事に躱された。
そして…そして……キレた様子のアイツに、禪院廻に…俺は思い切り殴り飛ばされた。
……産まれて初めてだった、殴られたのは、痛みを肌に感じたのは…本当に初めてで、嬉しくて、嬉しくて…心の底から笑った。
それからは、鬼ごっこみたいな感じだった…親父達が来るまで、俺は何時まで経ってもまるで追いつける気がしないアイツを、夢中になって追いかけ回した。
騒ぎを聞きつけてやってきた親父を見た時、心の底から邪魔だと思った、産まれて初めて意識すらしていなかった存在を、本気で邪魔だと思った。
だから殺してやろうと手を向けて、廻に止められた。
また何処かで仕切り直そう、誰にも邪魔されない何処かで続きをやろうと…そう言われた時、俺はそれでも良いかもなぁと思った……けど、それは俺の理性が出した答えで、本心は違った。
嫌だ、嫌だと駄々を捏ねて、今ここにいるコイツ以外の人間をみんな殺してやろうって、本気でそう思った。
そんな俺に対してアイツはあろうことかプロレス技を掛け、挙げ句の果てに俺を絞め落としてくれた…絞め落とされる感覚も、あの時が初めてだった。
そこから目を覚ました後、俺は直ぐ様禪院家に向かった…まぁ向かったと言うよりは同行したが正しいんだろうが。
親父は、俺が壊した家の損害を禪院家に請求するつもりのようだった、その顔は醜い笑みで歪んでいて、酷く気持ちが悪かった。
そうして辿り着いた禪院家で、アイツはまた寝ていた。
ぐーすかぐーすかと、こちらの興奮なんて知らんと言わんばかりに幸せそうに鼻提灯を膨らませながら眠っていた。
今ここで叩き起こしてやろうと思ったが、それをして嫌われるのは流石に嫌だった、だから俺は廻が起きるその時まで、ジッと待ち続けた。
そうして待って待って、起きてきたアイツとの会話は、やはり俺にとっては初めての連続だった。
起きて開口一番で悪魔扱いされ、お前に会いに来たと言えば帰れと雑に扱われ、仕切り直しの話を出せば何故か一人で来たのかと心配そうな表情をされた。
全部初めてだった、悪態を吐かれるのも雑に扱われるのも一人の人間として心配されるのも…全部が全部、初めてのことで…なんというか…そう、俺はあの時、初めて誰かと会話してる気がした。
初めてのことだったからどう構えば良いのとか分からなくて、だから所謂だる絡み的な感じで只管構ってくれとダルダルとするしかなかった、それに対しては嫌がるようにされるのも、初めてだった。
そして……アイツは…俺にとんでもない爆弾を置いていった。
『虚式』……その名を聞いたのは初めてだった、赫は聞いたことはあっても虚式だけは聞いたことは無かった。
聞いてみてもアイツは答えない、ただ誤魔化そうとするだけ…だから親父に聞いてみようと思った、親父は当主だから何か知ってるのかもと…そう思った……まぁ、その後追いかけてきた廻に蹴り飛ばされて気絶したんだけど。
だから、後で知ったのだ…虚式は所謂五条家の奥の手中の奥の手で、本来ならば五条家の中でも極々限られた人間しか知らないということを……そして、その極々限られた人間しか知らないソレを、アイツはさも当然のように知っていたということを。
俺の中にあるアイツに対する興味のボルテージが、何段も上がった気がした。
それからは、ただ遊んだりしてた。
色々と…時折鍛錬とか遊んだりしてない時があったけど…それでも大半はアイツと一緒に遊んでた。
双六したりゲームしたり外で駆け回ったり…あの時あの瞬間、俺は心の底からの笑える日常を送ることが出来ていた。
鍛錬では勝てた試しは無く、それ以外でも基本は負けっぱなし…勝ってる所なんて術式の有無程度だった…それが、どうしようもなく、嬉しかった。
…だから…アイツが高専に行かないと知った時…俺は心底嫌だと思った、アイツが居ない高専が嫌で仕方がなかった。
だから…脅した。
親父と禪院家の当主に、廻を京都校に入れなきゃ潰すと…そう脅した。
ずっと一緒じゃなくても良い…せめて、交流戦の時に何も考えずに戦えればそれで良いって…そう思った。
そうして、俺達は交流会を迎えた。
当初の作戦は、俺を相手にして逃げるであろう京都校の奴等を追い詰めて、一気に囲んで叩いて後は楽にやろうと…そういうものだった。
けど…俺はそれに従う気はなかった、傑にもそれは説明しておいたし、アイツも先輩達の作戦が嫌だってことで協力してくれた。
そして…俺は廻と戦った……楽しかったなぁ。
不意打ちの蒼は避けられ、格闘戦はボロ負けだった…すぐにやられなかったのは、俺が意図的に切った不可侵のことを、アイツが妙に勘ぐっていたからだろう。
理由は単純だった…俺は黒閃が撃ちたかった。
アイツと同じように、アイツと同じ段階に俺は行きたかった…だから俺は打撃と呪力の差を縮めるために、それ以外に意識が行かないように、出来る限り不可侵を切った。
そして…それは実を結んだ。
黒閃は発現し、俺は反転術式に到達し…そのまま術式反転にも到達した。
黒閃直撃したのに即カウンターは流石にビビったけど…結果的には良かった、アレのお陰で俺は反転に辿り着けたんだから。
その後に俺は廻に詠唱込みの『赫』をぶつけてふっ飛ばして…そして…何時かアイツが言ったあの技を、勢いに任せて撃った。
虚式『茈』、仮想の質量を押し出す五条家の秘中の秘…それを、俺は俺の親友へと、何の躊躇も無く撃ち出した。
捻じれ渦巻くように突き進む仮想の質量、それは森を、地を、果ては空間すら穿ち抜いていき、そして…廻へと激突した。
廻は必死だった…それが生きるのになのか、それとも受け止めることになのか…はたまた別のことなのか……そんなことは、正直どうでも良かった。
俺にとって大事だったのは…あぁ、これでまた一人だなぁという…何処か虚しいまでの諦めだった。
はっきり見えた、廻の両腕は吹き飛んだ…俺の勝ちだ、後は両腕を失ったアイツに『赫』なり『蒼』なり撃ち込めば良いと…その時はそう思っていた。
しかし…その時の俺は理解していなかった……今の俺とアイツで、一体どれだけの差があるのかを。
瞬間…廻の姿は搔き消え、次の瞬間には俺の目の前には靴の裏底が迫っていた。
声も出す暇も、反応する暇も無かった…それほどまでの、絶対的なまでの速さ。
黒い、火花が散った。
顔面に奔る絶大な痛みと衝撃、それだけで意識が飛んでしまいそうなそれ…でもそれだけじゃ終わらない。
顔面に入った蹴りを起点にして、廻は俺を地面に引きずり倒し…そのまま流れるようにマウントを取って俺をボコボコに蹴り始めた。
ただ蹴るだけなら良かった、俺はそれを蒼で吹き飛ばすことも出来た……けど出来なかった。
何せ…繰り出される蹴りの全てに、黒い火花が散っていたから。
そこからは、単なる蹂躙だ。
不可侵は繰り出される黒い火花に容易く砕かれ、ダメージ覚悟で攻撃しようとすれば黒閃の連打で腕を完膚無きまでに破壊され、反転で耐えようとすればそれ以上の物量で押し潰された。
放たれる攻撃の全てが、黒閃…それを受けた時、食らった時、俺の意識は死を感じるのと同時に…それすら上回る歓喜を感じていた。
打ち込まれる黒閃の打撃、潰される顔に砕かれた腕、完膚無きまでの敗北…そしてそれを成したのは、術式を一切使っていないただの術師。
それを自覚した時、意識した時…俺は改めて確信した。
嗚呼…俺は……
あっれ〜? おっかしいぞ〜? なんで大半が五条で埋まってるんだろう?