宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 最近思うこと…エルデのdlcのラスボス、アレはアカンやろ、人の心とか無いんか?


唐突にやって来てかっ攫う…人はそれをN(以下略

 

 

 ふと、ピクリと宿儺の眉が動いた。

 

 変態的な知り合いの発言による意欲の低下、最早目の前の存在なぞ眼中には無く、帰ったら何を食べようかと半ば現実逃避気味にそう思考した宿儺の探知範囲に、何かが引っ掛かった。

 

 

「それじゃあいっそのこと私の膵臓を食べてよ! 私の身体の全てを貪りなさいよ!! 私の血の一滴から毛筋一本に至るまでその身の血肉としてちょうだいよ!!!」

 

 

 

 相も変わらずの変態発言、発情した犬のような顔をしながら宿儺へと訴えかける万の言葉を大いに無視して、宿儺は探知に引っ掛かった気配の方角へと瞬時に視線を向けた。

 

 大きい様で小さくて、強者のようで弱そうで、鋭いようで何処かしなびた様な気配を醸し出すその存在へと宿儺の視線は釘付けにされ…同時に、宿儺はどうしようもない歓喜と共に、絞り出すような笑みを浮かべた。

 

「───やっとか…!!!」

 

 それは、さながら待ちに待ったご馳走がやってきた時の子供のような顔だった。

 

 涎を垂らして待ち惚けを食らっていた料理、好物を食おうと店に入り客が多いからと手間が掛かって時間が掛かってしまった料理を待ちわびた少年のような顔、発せられる気配からそれが何であるかを察知した宿儺は、その歓喜を隠しもせずに前面に押し出す。

 

 吐き出した言葉からは隠しきれない興奮が滲み出る、垂れた涎がぴちゃりと頬を伝って地面へと落ちていく…そんな宿儺の姿を、裏梅は何処か嬉しそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

 そして、そんな宿儺の姿を見た万は…有り体に言ってしまえば、脳を破壊されていた。

 

 

 

 見たことも聞いたこともない表情に雰囲気、喜びを全身で体現しているかのようなその姿に万の思考は停止し、次いで動き出したその瞬間には、既に万の頭は壊れていた。

 

「───ガハッ…!!」

 

 吐血、まさかの吐血である。

 

 自分には一切合切向けてくれないような嬉しそうな表情、やっとかという言葉から宿儺はその存在をずっと待っていたのであろうという推測、その他諸々に至る全てが万を苦しめた。

 

 頭が割れるように痛い、心臓が弾けるように痛い、愛という愛を宿儺という一人の男へと注ぎ尽くした女にとって、それはあまりにも劇物に過ぎた。

 

 故にこそ───

 

 

「───私を見なさいよぉぉぉっ!!!!」

 

 

 万はその事実を許さない。

 

 叫ぶ、憎悪から来るソレではなくあくまで愛情から来る嫉妬心、自分の好きな男がこの場に居ない誰かを想っているという事実に万の心のキャパは完全に壊れていた。

 

 術式を発動する、呪力を消費し液体金属を作り出し、そこから更に流れるような鮮やかさで以って作り出すのは肉の鎧。

 

 虫のような羽に虫のような顔、両手両足人のままで構築されたその鎧は昆虫のエネルギー効率と機能を取り込んだ謂わば虫の鎧、万の十八番中の十八番が今ここに愛で以って解禁される。

 

 征く、爆発的な加速で以って踏み出した万は背部に付いた羽をフル稼働させ踏み込みと共に一気に最大速度まで加速、その勢いのままに彼方を見つめる宿儺へと襲い掛かる。

 

 私を見ろ、私だけを見ろ、私以外を見ないでほしい…そんな、先程の変態的な姿を知れば知るほどに二度見してしまいたくなる程に純粋な嫉妬心で以って足を踏み出した万の姿を、宿儺は今気が付いたかのように何気無く視線を投げ掛けた。

 

 先程までの引いた様子の顔ではない、最早完全にその個人に対する興味を失ったような顔、視界に捉えてこそいるが本質的には一切その存在を見ていないかのようなその目に、万はギリッと歯を噛み鳴らした。

 

 

───映してあげる、無理矢理にでも…!!

 

 

 急速に接近する、自身を見ることのないその瞳に刻み込んでやろうと言わんばかりに殺気を撒き散らした万はその腕を大きく振りかぶり、そのまま宿儺へと振り下ろさんとする。

 

 そんな万に対して宿儺は無造作にターンっと音が付きそうな程に軽やかにどうでも良さげに後方へと足を踏み抜いて跳び、その振り下ろされた拳を躱す。

 

 地面が砕ける、振り下ろされた拳が地面へと突き刺さり埋まり、それを無理矢理引き摺るように、抉り取るように腕ごと加速した万は追撃と言わんばかりに後方へと下がった宿儺へと迫る。

 

 逃さない、何があろうと何が起ころうと決して貴方を逃さない…そう言うかのような気配を纏った万は咆哮を上げながら引き摺った地面ごと腕を振り抜き拳を放とうとする。

 

 引き摺られる腕に呼応して盛り上がる地面、バゴンバゴッと亀裂を作りながら迫ってくるソレに宿儺は何をするでもなく、何気無いように万から視線を外して…呟いた。

 

 

「───来たな…!」

 

 

 何気無い呟き、万の耳へと届いたその言葉の意味を理解しようと思考を動かす万…その真横から、砲弾のように何かが万へと突っ込み、その肉体を吹き飛ばした。

 

 真横から唐突にやってきた何か、重さと速さを両立させたその一撃が万の虫の鎧を抉り、その内にある肉体ごと万の虫の鎧を容易く砕く。

 

 まるでジェットコースター…否、空中で勢いに乗った新幹線にでも轢かれたような感覚、肉体に掛かった不可に思わずと言ったように瞠目すると共に血反吐を吐き出し、近場にあった建物を貫通し更にその奥に存在した水場へと叩きつけられる。

 

 響き渡る飛沫音、見えるか見えないかで言えば恐らく見えないであろうその飛沫を視界に収めることなく、宿儺は歓喜のままに言葉を紡いだ。

 

 

「…待った、待っていたぞ───」

 

 

───禪院廻…!!

 

 

 張り裂けそうな笑み、実際に張り裂けているのではないかと錯覚してしまいそうな程に大きく弧を描いたその笑みに、突っ込んできた砲弾…禪院廻は、何気無いように口を開く。

 

 

「───…そうだな…悪い、待たせちゃって」

 

 

 一番最初に出たのは謝罪の言葉、待ちわびたと張り裂けた笑みを浮かべた相手に、自身を一度殺した相手に向ける言葉としてあまりにも優しいソレに、相も変わらずと宿儺は嗤う。

 

 

「気にするな…それで? 決まったのか?」

 

 何が…とは最早問うまい、それが何を意味するのかを禪院廻は良く知っている。

 

 渋谷での縛り、要求された際に取り決められた場所と時間の選択権、何時に闘り何処で殺るのかというソレに、廻はふとしたように口を開いた。

 

 

「…お前はどうしたいんだよ?」

 

 聞き返されたソレに宿儺は驚いたように目を見開く、廻はそんな宿儺の様子を差して気にもせずに言葉を繋げた。

 

「色々と考えてみたけど…ぶっちゃけ人が居ないなら俺としてはもう何処でも良いって結論にしかならなくてさ……それで、どうする? ───」

 

 

───今からでも闘るか?

 

 

 何時でも何処でも良い、お前がしたいと思うなら今でも良い…そう暗に言われてしまった宿儺は、何かをひた隠しにするかのように目元へと手を当て…次第にクツクツと笑みを零し始める。

 

 

「───良いのか? 今ここでやっても?」

 

「───お前が闘りたいと言うのなら、今すぐにでも」

 

 

 視線が交わる、殺意が交差する、今か今かと手探るように指を鳴らす宿儺と拳を握り込む廻…両者共に、臨戦態勢。

 

 やっていいのか、やりたければやればいい…場所の選択も時期の選択も何も無い、ただ宿儺(お前)のやりたい時にやればいい…そんな何処か投げやり気味なその言葉に、宿儺はほくそ笑み───

 

 

「───ならば、闘ろうか………と、言いたい所なのだがな」

 

 ふとしたように、頭をガジガジと掻き上げた。

 

 何処か不貞腐れたかのような仕草、食べたいものが目の前にあるというのに食べられないとでも言いたげな様子で、不満そうな表情を隠しもせずに闘うことを拒む宿儺に廻は珍しいものを見たとでも言いたげな表情を浮かべ……その直後───

 

 

「───誰よアンタァォァァァァッッッ!!!?」

 

 愛もクソも無い怨嗟の声を響かせながら、吹き飛ばされた先の壁を砕きながら、虫の鎧を纏った万が突っ込んできた。

 

 狙いは廻、横合いから唐突にやってきた挙げ句に吹き飛ばされ、いざ戻ってきてみれば何やら宿儺と仲良さ気に会話しているその姿を見た万は、有り体に言ってしまえば嫉妬していた。

 

 先の嫉妬心とは比べ物にならない程にドス黒く本能のままに剥き出しと化した黒い衝動、自分には一切向けないような瞳と表情で見据えられている顔も知らない一人の男の存在に、万は獣のように激情を剥き出しにしていた。

 

 羨ましい、憎たらしい、羨ましい、羨ましい、羨ましい、憎たらしい…羨ましい、羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい。

 

  

 そんな顔を向けられたことなんて無かった、そんな風に話しかけられたことなんて無かった、そんな風に待ってもらったことも無ければそんな態度で接して貰えたことすら無かった。

 

 妬ましい、妬ましい…普段から宿儺の事だけを考えて、宿儺のことだけを一心に見つめ、誰よりも宿儺へとアプローチを行ってきた万だからこその確信だった。

 

 自身が向けられたいと願う感情を目の前の男が独占しているのだと、そう確信した万は眼前の男の殺害を決定する。

 

 ドス黒く煮詰まった殺意を全身から立ち昇らせたかのような気配、黒く光を映さない瞳がただ一心に嫉妬という名の憎悪の対象を捉える…そしてそんな身に覚えの無い恨みをぶつけられた当の廻本人は───

 

 

「…お前の奥さん?」

 

「いや、ただの変態だ」

 

 

 千年来の宿敵相手に、何処か気の抜けた会話を交わしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 








 タイタンフォール2のアレみたいに思い切り投げ飛ばされる形で来た、宿儺に反応して来ただけで万に対して何かしようとか思ってなかった人。

 因みに、記憶云々に加えて平安の頃の万の事を本気で知らない。


宿儺

 ワクテカワクテカ(涎ダラダラ

 万に対する印象:食えるけど食ったら確実に腹を壊す類の昆虫。


変態ストーキング女(ガチ)

 脳を破壊された、廻のことは余所から聞いたりしてて知ってるけど実際に会ったことは無い。

 因みに、禪院廻という人物を宿儺の初恋相手と認識していたりする。

 
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