宿儺にぶっ殺されたワイ、何故か子供になる   作:富竹14号

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 なんか疲れた…そろそろまたブルアカ書き出そうかぁ。

 今回の話はそんな気分になりながら書いてしまったので上手く書けているのか分からない…シンプルに疲れた。


『獅子王』②

 

 

 咆哮が、轟いた。

 

 万の元へと届いた獣の遠吠え、雷が降ると共に明確な殺意と害意を持って発せられたその雄叫びは確かに万の元へと届き、その脅威を伝えていた。

 

 膨れ上がる呪力反応、増大していく圧力と気配の濃さ、まるで積乱雲の中心にでも居るかのような感覚を万は覚える。

 

 これは不味い…そんな考えが万の脳内から溢れ出す、視界の先に存在する特級の危険物を相手に万の思考は、ことここに至ってようやく敵手の持つ本来の危険性を明確且つ急速に理解し始める…が───

 

 

「───っ!?」

 

 

 既に、遅い。

 

 

 

 

 爆音、離れていても嫌でも聞こえてくるその音、虫の鎧による聴覚範囲の拡大無しにでも聞こえてくるその大きな大きな踏み込み音に、万は咄嗟に身構え…次の瞬間、徐ろに飛んできた何かによって、万の肉体は建物へと叩きつけられた。

 

 ガバッという空気を無理矢理吐き出させられたような音、それとほぼ同時にやってくる背中への衝撃と轟音、突き刺さった身体が酷く痛む中で万は自身へと直撃したソレに…ソレだった物へと視線を向けた。

 

「───瓦礫か…!」

 

 瓦礫…散々っぱらに壊して壊した果てに無数に転がった大きな瓦礫、自身へ直撃するのと同時に粉々に砕け散ったソレは万の視界を塞ぐ煙を吐き出していた。

 

 土煙に砂煙、無数に混ざった材料により発生した煙を振り払いながら突き刺さった身体を浮かして外し、キッと睨みつけるように投擲方向へと視線を向けた万は…次いで、無数に飛んでくるソレ等に視界を圧倒された。

 

 確認するだけでも数十にも及ぶ投擲物…車に瓦礫に看板、電柱に岩に果ては家宅そのものに至るまで、無数に宙に浮き飛んでくるソレ等に万は舌打ちを溢し…ふと、気が付いた。

 

 飛んでくる全て、重力を無視してポンポンと飛んでくるそれら飛来物の全てに紫色の雷が纏わりついている……その事実に、万は冷や汗を大量に流しながら思わずと言ったように引き攣った笑みを浮かべ、呟いた。

 

 

「───冗談キッツいでしょそれは…!」

 

 

 呟くや否や飛来する殺意の籠もった投擲物、一つ一つに雷が…獅子王の呪力が纏わりついたそれら凶器が万をぶち殺してやると言わんばかりの速度にて真っ直ぐと突っ込んでくる。

 

 咄嗟に万は動き出す、トンボの羽を生やして自身が突き刺さっていた建物の近辺から即座に離脱、無数に飛来した投擲を正確に的確に素早く躱していく。

 

 突き刺さり、砕け散り、果てはパァンッと音を立てて爆ぜ散っていく投擲物、飛来した物による大きな音に混じるように響いてくるパチリッという静かな電流の音が嫌に恐ろしい。

 

 躱す、躱す、躱す、躱す…無数に飛んでくる恐ろしい速度のソレ、一発でもまともに食らえばただでは済まないだろうという危機察知にも似た感覚を万は覚えた。

 

 避ける、避ける、避ける、避ける…何時まで続くのだと、そう愚痴を溢したくなる程に連続する投擲、徐々に徐々にその精度が上昇していっているように感じるソレを、万は幾度と無く躱し続けた。

 

 退け、躱し、避けては躱してまた避けてを繰り返し繰り返し、遂には飛んできた電灯が万の鎧を掠めた辺りで…ふと、奇妙な音が万の耳へと届いた。

 

 奇妙な音だ、甲高いキィーという音、出力を上昇させた機械から発せられた駆動音のような…そう、例えるとするのならば飛行機が発車する直前のような、そんな音が万の耳に届いた。

 

 鳴り響く奇妙な音、何処から鳴っていると投擲を躱しながらも視界を動かし聴覚を働かせ、無視してはいけないと本能の囁くままに万はその音の出処を探し…ふとしたように、側に突き刺さっていた電灯に視線が行った。

 

 なんてことない偶然、ただ何気無しに向けてしまったソレに万の視線は釘付けにされる、もがれて尚もチカチカと薄らぼやけに光を放つ電灯、何をするまでもなく放っておくだけでその機能を停止させてしまいそうなソレに、万は目を離せなかった。

 

 音が響く、キィーッと甲高い音が響く、何処からともなく鳴り響く音…時間が経つにつれて一つ、また一つと徐々に増えていく音にも構わず、万はチカチカと光る電灯から目を離さない。

 

 チカチカ、チカチカ…光り続ける電灯、万自身も何故こんな物にここまで目を奪われるのだろうという疑問が頭を過る。

 

 何かあるのだろうか? 何か自分の琴線に触れる何かがこの電灯にあるのだろうか? …幾ら考えても答えは出ない。

 

 引っ掛かる、万の何かがどうしようもなく引っ掛かるのだ、何かと言われれば万自身も到底分かりようがないが、それでもどうしても引っ掛かりを覚えてしまうだけの何かを感じてしまう。

 

 

 

───何だ? 何だ? 何が私をこうも惹きつける?

 

 

 分からない、思考が回る、思考が巡る、何故だどうしてだと頭の中を疑問で埋め尽くした万の直ぐ真横を投げられた電灯が掠める、ほんの少しの痺れとバチリと弾ける紫電が痛みを捻出し、それでも万は自身の中にある違和感を探り当てようと思考し…そして、それを見た。

 

 電灯、チカリチカリと光っていた電灯の灯り…それが今、消えようとしていた。

 

 チカチカチカリ、ぼうっと存在していた灯りが消えていく、ゆらりゆらりと光を放っていた電灯の灯りがゆっくりと、ゆったりと万の視界から消えていく。

 

 消えかかった電灯の光、今まさに消え去っていくその瞬間を目にした万は……ふとしたように、己の危機を悟った。

 

 

 

───…不味い。

 

 

 頭の中に浮かぶそんな言葉、何がどうとかそんなものではなく、何処までも単純明快な身の危険への忠告。

 

 

 

───不味い。

 

 思いつき…そう、あまりにも突発的な思いつきが万の頭の中に生まれ落ちた。

 

 急速にあらぬ方向へと突き進んでいく思考…もしも、もしもあの電灯の灯りが、消えかけていた電灯の灯りが一種の時計なのだとしたら、目覚まし時計代わりなのだとしたら…そんなあまりに突飛な考えが万の頭の中に生まれた。

 

 

 

───不味い、不味い、不味い。

 

 

 何故そんなことを藪から棒に考えたのかは万にも分からない、しかしそうであったとするなら自分でも納得してしまいかねない何かがあった。

 

 もしもずっとあの電灯を見ていた理由が本能的なものであったのなら、本能的にそれが時限爆弾で言うところのタイマーであったのなら、それに注視してしまうのは仕方の無いことなのではないだろうか…と。

 

 

───不味い…不味い不味い不味い。

 

 

 カチリカチリと光が消えていく、光が消えかけ暗がりが視界に映ると共に共に、何処から伴なく紫電が飛び散った。

 

 甲高く音が響く、キィーッという音が辺り一帯…万の周辺を境として大きく響き渡り始め、それと同時に周辺に紫電が無数に大きく飛び散り始めた。

 

 バチリとバチリと今までの比では無い程に弾ける電流、万を囲むように展開された電流がその身を決して逃さぬと言わんばかりにグルリグルリと万を閉じ込めるようにして泳ぎ出す。

 

  

───不味い、不味い不味い不味い不味い不味いッッ!!!

 

 

 脳内で大量の一言がせめぎ合う、直感的な思考と理性的な思考の両方が揃って逃げろと叫び声を上げた、それほどまでの危険が迫ってきているぞと万の本能は悲鳴を上げる。

 

 羽を広げる、飛び立ち急いでこの場から遠ざかろうと羽を高速で動かし最大速度にてこの場から離れようとする…そこへ、まるでそうすることを待っていたかのように、鋭い鉄柵が万の肉体へと突き刺さった。

 

 

「───がッ…!?」

 

 

 唐突な痛みと貫通感、ようやく気を逸らしたなと言わんばかりに狙い澄まされたその一撃に、万は回避するどころか反応することすら許されずに直撃した。

 

 直撃したのは腹と胸…虫の鎧の硬度をガン無視したかのように貫通して見せたその鉄柵は、心臓こそ避けたが万の臓器を容易く傷つけ破壊してみせた。

 

 突き刺さったままの柵の尖端をカマキリのように変形させた腕で切り落とし、そのまま身体から血が吹き出るのも気にせず、万は突き刺さっていた鉄柵をそのまま引き抜いた。

 

 血が吹き出る、二つの鉄柵を半ば無理矢理引き抜いた結果として大量の血液が下へと流れ落ちていく…その穴へと反転術式によって最低限の治癒を施し、再び万はその場から飛び去ろうと羽を動かそうとし…その頭上から降ってきた獅子王によって、その肉体を思い切り地面へと叩きつけられた。

 

 あまりに突発、あまりに唐突、何処から伴なく現れた獅子王による上段からの振り下ろし、純粋に硬く重いその一撃が万の頭蓋へと振り下ろされ、その纏っていた鎧ごと万の頭蓋骨へと罅を入れる。

 

 ピシリと頭蓋から響いてきた鳴ってはいけない音、強烈な激痛と脳を揺らされたことによるグラつきによって万はまともに態勢を整えることすら出来ずに地面へと大きく沈み込む。

 

 亀裂が走り穴が出来て、その中心にいるだろう万はゲホッと血反吐を吐き出しながら持ち前のしぶとさと根性にて無理矢理にでも立ち上がり、自身を叩き落とした存在へとその瞳を向けた。

 

 

 瞬間…万は、心底から死を覚悟した。

 

 

 

 自身を見下ろす複数の瞳、ギラついた牙にその奥から吐き出される獣のような吐息、バチリバチリと身体から弾ける紫電とそれと類似する…否、それよりも尚も濃い色をした毛並みが、ふわりと静電気のように浮かび上がっていた。

 

 バチリバチリと周囲が弾ける、先程までとは文字通り比較にならない程に強く、より強く紫電が泳ぐ、紫電が弾けて爆ぜてその存在を無理矢理にでも示してくる。

 

 身構える…目の前のいる存在を万は最早獣とは認識していない。

 

 何処までも明確な自我と知恵を持ち合わせた類稀なる敵手であると、少なくとも獅子王という存在をそう認識した万は印を結び、惜しみ気もなく自身の切り札を見舞ってやろうと呪力を練り上げ……ふとしたように、それが目に入った。

 

 チチッと文字通り消え去る数秒前と言わんばかりの電灯の灯り、最早光っていることすら奇跡なのではないかと言わんばかりに弱々しくも輝きを放つソレに、万は思わずと言ったように呟いた。

 

 

 

───やっば……忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間…周囲一帯が、包み込まれるように爆ぜた。

 

 

 





獅子王

 手当たり次第に引っ掴んでは投げる繰り返した子、この戦闘の後に廻に滅茶苦茶怒られて拗ねることが確定している子。

 因みに、投げた物全てに出力全開の呪力を込めている。

 普通に投擲はするのは上手い、ただし誰が標的になるかは完全に獅子王の気分次第とする。






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